◆ラシーヌ・デイリー・セレクション
●ピュア、デリケート、フラワリー と言う形容詞がとても良く似合う、素敵なワインをご紹介します。トスカーナは、キャンティ・コッリ・セネージで一躍注目をされる造り手となった、「テヌータ・レ・カルチナイエ」シモーネ・サンティーニのご紹介です。
ワインの好みは人それぞれで異なりますので、noisy とすれば出来るだけ自身の好みは別に置いておき、コンディションが良いのが前提で、扱うかどうかを選択するようにしています。旨いワインも有れば「凄い」ワインも有るし、「まあまあ」のワインも有る訳です。
そうは言っても前提となる「コンディション」の部分がとても問題です。良いアイテムを扱ってはいても、収穫から1年少しで出荷されるデイリークラスのワインが、
「ほど良く熟していてそれなりに美味しい・・」
ことが、本当に多いのです。
世の中に出回っているワインのほとんどは、そのような、外部からの余計な熱を蓄積して本来の味わいとは掛け離れたものです。色々なテイスティングに出かけていますので、そのように感じることに慣れてしまってはいるのですが、リアルのテイスティングのように、何が出品されているか判らないような場合には、
「明らかにおかしいぞ!」
という確信が無い場合には、少々の疑問を感じながらのポイント付けになる訳ですが、銘柄をオープンされてエージェントさんの名前を聞いて、
「な~るほど!そういうことか・・・」
と、晴れ晴れした気持ちになる訳です。
未だに「まともな流通経路」の構築が出来ないインポーターさんはとっても沢山いらっしゃいます。残念なことです。まだまだ若いのに妙な熟成香を発するワインなど、出来れば口にはしたくないものですね。状況によっては飲めなくは無いものの、
「ピュアさの欠如」
はいかんともし難いです。
こちらのレ・カルチナイエのワインは、見事にピュアです。イタリアワインのエージェントさん、特に有名銘柄を抱えている大手さんには、今のイタリアワイン低迷の現状の責任が大いに有ります。本当に美味しいワインは・・・濃淡に関わらずエレガントさに満ち、ピュアなんです!ピュアすぎて引っ掛かりが少なくて「評価機関の高いポイント」にはなり辛い訳です。そこのところ、お間違えの無いよう・・・もう判りすぎているとは思いますが、メンバー様にはよろしくお願いいたします。

【ドメーヌについて】
フォンテレオーニとほかの数件の造り手と共にテヌータ・レ・カルチナイエは、ヴェルナッチャに高品質のワインが復活したことを示している。高品質志向のヴェルナッチャという考えは、一世代前には誰も顧みなかったものである。
シモーネ・サンティーニは働き者で、一人でこのカンティーナを切り盛りしている。典型的なトスカーナ人らしいユーモアのセンス(鋭さ、軽さ、刺激)があり、彼が造るヴェルナッチャによく似ている。彼のワインを見れば、サン・ジミニャーノがなぜ最初にDOCを得たかがわかる。ソアベ・オルヴィエートとともにヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノは、イタリアの白ワインの中で傑出しているという名声を裏付けるようなワインだからだ。
そのワインは華やかさと神経質さを併せもち、しっかりした骨格がありながら溌刺としている。しかもアフターはなめらかでヴェルナッチャ酒の独特なほろ苦いアーモンドのタッチがある。カルチナイエのヴェルナッチャはいわばコケティッシュな可愛らしい女性で、生産量は少ないが、もっと欲しくなってしまう。ヴェルナッチャ – ヴィーニャ・アイ・サッシは単一畑の産で、取れる量はもっと少ない。こちらは一部樽発酵で、控えめで静かな趣がある。
シモーネ・サンティーニの赤ワインにぞっこん惚れた人も少なくない。キャンティ・コッリ・セネージ(無清澄、無濾過)はサン・ジミニャーノの気候とテロワールが生み出すしなやかサンジョベーゼの素晴らしい実例であり、気取らない柔らかな、大変親しみのある味わいがする。テオドーロはここの華である。芳酵で凝縮した味わいのこのワインは、メルロとカベルネ、サンジョベーゼの混醸ワインで小樽熟成させた、見事な出来映えだ。(マルク・デ・グラツィア・セレクション/Fine Wines 2005より)
【畑について】
土壌:石灰・粘土質、石灰・ローム質、石灰質
【醸造について】
醗酵:ステンレスタンク
熟成:フレンチバリック、ステンレスタンク
【まっこと正しい白ワイン!イタリアには意外に少ない正統派・・・です!】
正統派だよな・・・と感じさせてくれる素直で美味しいヴェルナッチャです。・・・ここでの正統派は・・・まあ、後で説明しますので、とりあえずコメントを読んでみて下さい。
このヴェルナッチャはやや緑の入った黄色の液体で、白~黄色の花・蕾、柑橘系、緑茶、麦藁、ハーブ、ミネラルのアロマがとても複雑に混じり合っています。口当たりもとてもソフトですが思った以上にパワフルでコクが有り、口中でスパイスが弾けるように拡がりながら持続します。幾分荒れた感じも有りますが、いずれ落ち着き丸みを帯びてくるでしょう。中量級ながらもこれだけしっかりしていると、10年位へっちゃらで持ちそうですね
イメージは余り変わりませんが、端正さが増しているように思います。イタリアの白ワインには、いつも書いていることではあるにせよ、高級なものを除いて、どこか不足を感じさせてしまうものが多いように思います。それは、まず、ブルゴーニュを代表とするフランスのワインに慣れているから・・という事実にぶち当たる訳です。
どうしても、酸味の綺麗なバランスを基本に置き、その上でどんなフルーツや有機物を感じさせてくれるのかな?みたいな想像の仕方をしてしまいますよね。その酸のバランスが「正統派」を意味しています。熱で「ぶよぶよ」していませんし、キリッとした丸い輪郭を形成できるバランスの良い酸が有ります。決してボーヌの高級シャルドネとタイマンを張れるようなものでは有りませんが、基本に忠実で、しっかりした美味しさを感じていただけるでしょう。飲んでみてくださいね。お薦めです!