● 新しい生産者をご紹介します。ちょっと変わっています・・・ポマールに地所を持ちつつ、
「ブルゴーニュは・・合わん!」
と言って、スイス国境近くの村に畑を持っちゃいました。一応、ブルゴーニュでも造っているようですが、今回はそのサヴォワから、シャスラをご紹介します。

Les Vignes de Paradis
オーナー: Lucas Dominique リュカ・ドミニク
地域: Bourgogne、Haute Savoie ブルゴーニュ オート・サヴォワ
地区、村: ポマールとレマン湖沿岸(クレピー、マリニャン、マラン)の3セクターの畑
醸造・栽培責任者 :Lucas Dominique リュカ・ドミニク
ホームページ: http://www.les-vignes-de-paradis.fr/
【ドメーヌについて】
ドメーヌ創業年:2008年
ドメーヌ解説: リュカ・ドミニクは、ポマールにあるドメーヌの5代目にあたる。自分の選びたい手法がブルゴーニュの土地に合わないため、スイス国境にあるバレゾン村に数年前から移り住み、自身の志すワイン造りを始めた。 ブドウ畑は、サヴォワと、家族が経営しているブルゴーニュの両地方に所有。サヴォワ圏内では、クレピーとマランに6ヘクタールを所有。シャスラをはじめとして、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリ、シャルドネ、サヴァニャンを植える。大多数の樹齢は10年に満たないが、 マランでは樹齢20年以上のシャスラ区画を所有している。一方ブルゴーニュには、ポマール周辺に2.5ヘクタール所有。シャルドネが多く、ピノ・ノワールとアリゴテの区画は小さいが、いずれも樹齢100年前後。ピノ・ノワールは4割、アリゴテは2割が、フラン・ド・ピエ(接ぎ木していない自根栽培のブドウ)のままである。
畑には多様な植物が敷き詰められるように自生し、土を踏む感触がとても柔らかい。冬と春 には畑に羊や鶏を放し、散布するハーブティーは購入品ではなく、山で摘んだハーブの乾燥品を使うという具合に、その土地に根付いた処方を用いる。原則としてはビオデヒナミだが、認証などには重きをおかず、代わりに太陽と月のマークを記して、自身の選ぶ手段を示す。
収穫は同一区画中でも2~5回に分けて行い、11月半ば頃まで続き、遅摘みは降雪後になることもある。ことほどさように、ブドウの状態を最優先させている。
造り手略歴:ボーヌの栽培専門学校で学び、ブドウ栽培者として5代目になる両親のもとで学んだ。
哲学: テロワール、土地の起源そして各品種を尊敬しながら、できるだけ自然なワインをつくること。
【畑について】
栽培方法: ビオディナミ
その栽培方法の開始時期: 2008年
その栽培方法を適用している畑名:全て
栽培方法の将来的な展望:変わらずビオディナミ
認証機関:エコセール
土壌:粘土石灰質、氷河堆積、花崗岩
気候:穏やか
自社ブドウ畑面積:10ha
契約ブドウ畑面積:7.5ha
自社ブドウ畑の数:21
自社栽培ブドウ品種:9種(シャルドネ、サヴァニャン、ソーヴィニョン、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、アリゴテなど)
ブドウ以外の自社農作物:なし
ブドウ畑以外の自社畑総面積:1ha
主な仕立て方法:ギュイヨ式、コルドン・ロワイヤル式
仕立ての支柱の素材:木、鉄
仕立ての添え木の素材:木
堆肥:ブドウかすを混ぜた牛糞
【醸造について】
酵母のタイプ: 野生酵母
圧搾方式:空気圧式プレス
醗酵・熟成容器:樽(200~2000L)、アンフォラ、卵型のコンクリートタンク、ファイバータンク
【和食に良く合う滅茶苦茶エレガントな美しい白です!イメージは甲州?】

非常に透明感の有るエレガントな白ワインです。この際、一旦は「サヴォワ」が産地で有ることは、忘れてしまいましょう。皆さんが大好きな「シャルドネ」だと思っちゃってください。
クセが無くて中域が適度に膨らみ、白や黄色の果実、柑橘、樽が有ればその要素を適度に取り込み、土地由来の石灰系ミネラリティを程良く取り込み、なだらかな減衰カーブを感じさせつつ、ほんの僅かにビターを感じさせ、フルーツのリアル感を増しつつ消えて行く・・。
クラスが上になると、そんな風情に凄みや緊張感が増し、さらに土地固有のミネラリティをいろんな形で表現してくれます。
で、このシャスラ・ド・マランです。マランのシャスラ種・・・って、全くそのまんまです。
このワインは、そんな王道シャルドネの村名クラスの味わいを、
「エレガント系にだいぶ振った感じ」
で、
「わずかに細身・・だけど繊細」
で、
「ざらつく感じが無い」
し、
「柑橘が綺麗に香る」
全くビオ系のマイナス面を持たない、非常に美しい白ワインです。・・・だから美味しくない訳が無い・・ですよね。
このリュカ・ドミニクさん、ポマールに畑を持ちながら、スイス国境まで行っちゃってこんな美味しいシャスラを仕込んでますんで、反対にその合わないと言うポマールに興味を持っちゃいました。その位出来が良いです。
何が気に入らないんだろう?・・そこが知りたくなるかもしれない、非常にエレガントな白です。和食系に良く合う繊細な味筋なので、ある意味・・いや、誤解を恐れずに言えば、
「甲州種を図太く、少しだけオイリーに、マッチョに向け、余韻を太くした感じ?」
かもしれません。美味しいと思います。是非飲んでみてください。お勧めです!