ミシェル・シャプティエ
ミシェル・シャプティエ
フランス M.Chapoutier ローヌ
● ローヌの雄、シャプティエの古酒が入荷です。以前も一度1990年のエルミタージュ・ブランをご紹介しましたが、その時は飲めずに(実は後では飲んでいましたが・・・)いました。今回も?1990年を飲んでのご紹介です。
● 1990 Hermitage Blanc Chante-Alouette
エルミタージュ・ブラン・シャント=アルーエット
【散り際の風情が素晴らしい!冷涼な酸の訴えを堪能してください!】
20年近くも前のエルミタージュ・ブランです。PKさんなら、
「4~5年で飲め。」
と言うに違い無いワイン。・・・まあ、こってりとしたゴージャスな果実味がしっかり有る内に飲むのが基本だ、と言うPKさんの意見は、実に真っ当なものです。
しかしながら、そこで一つの疑問にぶち当たります。
「古くからの銘譲畑であるのに、4~5年で飲むのが通常で有るとしても、それを過ぎたら美味しく無いのか?」
というものです。
一方的に決め付けられた飲み方ほど、楽しみを削ってしまう出来ことは無いでしょう。ワインは、特に良く出きる畑のものは、そんなにチープなものでは無いと思います。先日も、2005年の滅茶苦茶安いがしっかり温度管理しておいた、単なるボージョレ・ヌーボーを飲みましたが、偉大さは見つけられないものの、充分に美味しいと感じさせてくれるものでした。銘譲畑のものであれば、これから先数年に渡り美味しく飲めるに違い有りません。
さらには、前回の新着で、「ムーラン=ナヴァン1996」をご紹介しましたが、この直近のタイミングで飲まれた方はおそらく気付かれたはずです。
「10年以上経過したクリュ・ボジョレーが、まだこれから先、成長しそうだ・・・」
さすがに1990年のエルミタージュ・ブランは、この先、大きく成長する・・・ということは無いでしょう。しかし、びっくりするような「美しい冷たい酸味」がとても美味しいと感じさせてくれます。杏や熟したビワっぽいニュアンスも入り、僅かにオイリーさの中に蜜のヒントが有ります。その酸味には若干のビターさも入ってきて、大きく完成度の高い見事な輪郭を感じさせてくれます。
1990年のエルミタージュ・ブランは、肩のラベルに赤く「1990」と入っているように、良いヴィンテージで有ったことを伺わせますが、ヴィンテージ的には1989年の方が良いと言えます。僅かに「こってり感」が強く、酸を取り巻く素直な果実感が、より上の印象を持つことが出来ます。
簡単に言ってしまえば、
「最高の飲み頃はやや過ぎた1990年と、過ぎようとしている1989年」
です。
こってりした果実感がお好きな方は1989年、侘びさびを感じさせる味わいがお好きな方には1990年・・という選択が良いかと思います。
敢えて言っておきたいと思いますが、
「静かに飲みましょう」
決して乱暴な扱いは駄目です。飲むまでしばらく立てておき、細かな澱をしっかり落としてください。特に1990年の方は、やや赤くとても細かな澱が出ています。これを除去して飲むのと、混ぜてしまって飲むのでは、かなり味わいが違います。質感が向上し、味わいも繊細になりますので、
「絶対にしばらく立てておく」
ことを忘れないように・・・お願いします。また、癖になっていらっしゃる方も多いと思われますが、
「グラスを絶対振り回さない」
ようにしてください。静かにしておいて、ボディをゆっくりと膨張させつつ上がってくるブケを溜めつつ・・・味わいましょうね。出来る事ならロブマイヤーワイングラスIII等の香りを溜め込むスタイルのグラスがベストです。(ワイングラスIIIなら・・・きっと現在でもグレートワインに変身してしまうでしょう!)
一番良い飲み頃は過ぎた。でも、その時には感じられない、存在しえない「香り」「質感」「旨さ」が有るんです。若いワインばかりじゃ面白く無いでしょう?まさに飲み頃のワインも素晴らしいが、飲み頃を過ぎたと思われるワインも、実に心を打つ深い味わいが有るものです。特にnoisy のように盛りを過ぎた、疲れ無いモードの味わいが大好きな方には・・(T.Tそれにこれ位のプライスのワインなら、古酒の醍醐味に挑戦することも、財布の中身にやさしいと思います。とても良い熟成をした、コンディション抜群のエルミタージュ・ブランです。きっと、
「エルミタージュってこんなに美しい酸を持っていたんだ!」
と、びっくりされるに違い有りません。何十年経ってもワインはワイン!偉大なエルミタージュなんです。お奨めします。
● 2012 Hermitage Blanc de L'oree
エルミタージュ・ブラン・ド・ロレ
【シャプティエの3枚看板のひとつ!ミスター・パーフェクト・エルミタージュ・ブラン!?】
脅威の満点率を誇るエルミタージュ・ブラン・ド・ロレの2012年です。アドヴォケイトでは惜しくもマイナス1点されて99点のようです。因みにスペクテイター誌は97Points、タンザーさんは94Points のようです。
セレクションされた区画からの古木のマルサンヌを100%使用し、パーフェクトワインを目指していますが、基本的にこのシャプティエさんは筋金入りの自然派ですから、ローヌの多くの生産者よりも美しい酸がのびやかに存在しています。
また、穿った見方をすると、シャトー・ド・ボーカステル 対 シャプティエ と言うローヌ大手自然派対決的な要素も見て取れますよね。ボーカステルがルーサンヌ100%で凄いシャトーヌッフ・ブラン・ヴィエイユ・ヴィーニュを造っています。エルミタージュでは負ける訳には行かないシャプティエが、マルサンヌ100%のエルミタージュ・ブランでパーフェクトを目指す・・そんな感じでしょうか。
ゴージャスなワインです。今回は正規ではございませんがコンディションは良いです。また価格も非常にリーズナブルです。ご検討くださいませ。
● 1987 Rivesalts
リヴザルト
● 1983 Rivesalts
リヴザルト
【まあよくもこれだけ古いものを綿々と・・・!・】
酒精強化甘口ワインです。ピレネー山脈のふもとで造って樽で熟成させています。ブランデーを発酵途中に添加して発酵を止めますので、葡萄本来の甘みが残りますし、酒精を入れていますので、熟成もしっかりする・・・というものです。
ですので、例えば1984年のワインなど、普通は価格が高いだけで果実味がほとんど飛んでしまっています。かのアンリ・ジャイエのエシェゾー・マグナムなど、もう7~8年前に飲みましたが・・・ものの見事な状態でした。まさに骸骨になりながらも、その体型のみを保持している・・・みたいな感じで、その肉体の肉の付き方が想像できてしまって恐ろしい・・・感じ。判るでしょうか?
でも、このリヴザルトなら、そんな心配は要らないでしょう。かなり旨いと思いますよ。デイリーに近い価格でもありますので、食後酒的に冷たく冷やして飲んでみてください。お奨めします!
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