● ローヌの新しい生産者をご紹介します。アルディッシュですので、価格の方も非常にリーズナブルながら、濃すぎず、ダレず、ピュアで美しいワインでした!


新たなヴィニュロンの群雄割拠が目覚ましいローヌ地方アルデッシュ地区。
ル・マゼルのジェラール・ウストリック、ジル・アゾーニといったアルデッシュ地区の先駆者に導かれるように誕生しています。オクシタン語で“運命の家”を意味するマス・ド・レスカリダ。
ローラン・フェル氏はまさに運命に導かれたヴィニュロンなのです。
アルプス出身のローラン氏は元々ワイン造りに携わる家系ではありませんでした。大学卒業後、得意のフィールドワークを生かして地図製作者として活躍していました。
2004年、奥さんの仕事の都合でアルデッシュに越してきたが大きな転機となります。葡萄畑での収穫を経験したローラン氏は一念発起し、ボルドー大学へ葡萄栽培学と農業を学び、2006年には農業エンジニアの資格を取得しました。アルデッシュに戻ったローラン氏は、その知性と行動力を持って農業領事議会で葡萄畑の有機栽培コンサルタントとなったのです。
ジェローム・ジュレ、ジル・アゾーニ、ル・マゼル、レ・ドゥー・テール…アルデッシュで自然なワイン造りを志す造り手たちと交流を深めるうちに、栽培だけではなく自らのワイン造りの夢が芽生えてきたのはごく自然なことでした。ローラン氏は自然な葡萄栽培の第一人者ですが、醸造は未経験。栽培コンサルタントの仕事を通じてジェローム・ジュレといった造り手たちから醸造を学びました。
2012年、アルデッシュ南端サニヤックの3.2ヘクタールを買い取り、マス・ド・レスカリダは産声を上げました。醸造所もなく、道具もない中、コンサルタントの仕事と並行してワインを造り始めます。当初は道具を借り、小さなタンクを買って自宅でワインを造っていました。当然、葡萄はすべて醸造出来ないため、一部を除いては農協に売っていました。
2014年、コンサルタントの仕事を辞してワイン造りに専念。そして2015年、念願の醸造所を設立し、初めて全て自らの手でワインをリリースすることとなったのです。地図製作のフィールドワークが育んだ畑の観察力、エンジニアの資格取得後に栽培コンサルタントを務める知性。アルデッシュに新たな綺羅星が誕生しました。
●ワイン造りの哲学●
ローラン氏の一番の哲学はテロワールをワインに表現したいことです。サニヤック村のテロワールはとにかくミネラル感、フレッシュ感、酸味、飲みやすさ、旨みが特徴的です。その味わいを素直に反映させるために、できるだけ人の手をかけない醸造法、シンプルな醸造を心描けています。
『葡萄の味、テロワールの表現、そしてビュヴァビリテ(飲み心地の良さ)。それだけさ。』
また、必要な時以外は亜硫酸を添加しません。葡萄とテロワールの味の表現を楽しんでほしいこと。これが無添加のワインを造り始めた大きな理由なのです。
【適度に熟したピーチや洋ナシ的フルーツがとてもリアルです!】

良い感じに熟したフルーツのニュアンスを柔らかく、リアルに伝えて来る自然派の白です。So2の少なさ故の香りのスピード感、柔らかなテクスチュア、ふっくらとした印象が顕著です。
ジェローム・ジュレのキレの有る、ややタイトでスパイス感たっぷりなヴィオニエとも大分印象が違い、より熟していて糖度が乗った、食べごろのフルーツが満載・・と言う感じです。
左の写真を見ていただくと判り易いかと思いますが、「桜桃」「白桃」が熟したような色合いですよね・・。もうそのまんま・・なイメージで良いと思います。全くその通りの味わいがワインに昇華した感じなんですね。
勿論、リアルなフルーツが持つ豊かな「酸」や、僅かな「苦味」「エグミ」がこの味わいの中に有るからこそ、ワインもリアルなフルーツ感になります。残糖は僅かに感じますが、それもまたフルーツ感を加速しているようです。ミネラル感もソリッドなものでは無く、やや柔らかめだけれどたっぷり有ります。美味しいデイリーです。是非ご検討くださいませ。
【アルディッシュの冷ややかな酸、濃密さも有るチェリー!旨いガメイです!】

こちらも良い感じに仕上がった、ローヌのガメイです。何と言っても暑苦しく無く、しかし伸びが良い・・そして若々しくも熟した果実が素晴らしいです。奥にはちゃんとビターが存在していて、とてもリアルなフルーツ感です。
色合いも良いですよね・・一面的な色合いでは無く、細やかなグラデュエーションが見えるようです。ベリーはしっかり赤く、そこにややチェリーのリキュールっぽい濃度感の有る果実が有ります。一見濃厚さが目立つのかな?・・と感じますが、さにあらず・・キッチリ冷ややかな酸が存在していまして、結果としてあっさりしているようでも有ります。余韻もしっかりです。
口入直後は一瞬、
「ん?ロワール・・?」
と思わせるものの・・
「・・ロ、ローヌ・・かな?」
と思い直させる感じで、この少し濃密さの有るチェリーな美味しさは格別です。アルコール分がちょうど良いので、度数の上がりやすいフランス南部地域のワインとするなら、飲み易くて適度な濃度が有り、しかもピュアでナチュラルさも感じられると思います。良い出来じゃないでしょうか。是非ご検討くださいませ!
【ツヤッツヤで僅かな起伏のあるメルロの舌触りが素晴らしいです!これは非常に美味しいと思います!】

とてもピュアな感じに仕上がっているナチュラルさの有るメルロです。リーズナブルで質感も有り、バランスの良いメルロと言うのは、中々出会えないですよね。
色合いも素晴らしいでしょう?・・有機ですが揮発酸も無く、非常にピュアです。メルロ独特の滅茶美しい粘土を感じさせる襞と、黒や赤の小果実が甘やかに香ります。中域も適度な膨れ具合で、残糖が全く無い・・とは言えないかな・・?・・と言うレベルの旨み的スウィートさが、適度に熟した果実を想像させてくれます。勿論ですが、そこにはビター感がちゃんと在り、リアルなフルーツ感と質感を伴っています。テクスチュアも滑らかな中に僅かな起伏が有り、単に「ストン!」と入って来ただけで無くなってしまう・・と言うようなことが無いです。
それに有機栽培由来のメルロと言うことで、熱い地域ながらも酸がきちんと有り、石灰系のミネラリティもたっぷりで美しいワインです。
まぁ、メルロのワインと言うのは高級な部類のアイテムに偏りがちで、たまに見かけるリーズナブルなものは、酸やミネラルが追い付いていない、軽くさっぱりしたものが多いですよね?・・充実したボディを持ちつつ、でも飽きの来ないピュアなものは、非常に少ないと思います。
まだ始めて間もない造り手のようですが、自然派の先進者たちに囲まれた環境で、自身のスキルをいつの間にか上げられるのかもしれませんね。これなら良いな・・と思っていただけるでしょう!ぜひ飲んでみてください。お勧めします!