
左の写真は「限定大吟醸」です。黒い化粧箱に入っています。輝き、照りの有る綺麗な色をしていますね。香りも自然で穏やか、適度な膨らみと余韻、そこからの切れの有る味わいが素晴らしいです。
今のロットはやや若めで僅かな渋みが有りますが、いずれ消えて行きます。熟成が大事なんですね。ワインと同じです。
日本酒の話しになりますと、noisy は「製造年月日」の話しを良くしますが、何とかのひとつ覚えみたいに、
「日付の新しいのが良い」
とおっしゃる方が多いです。
まぁ、地酒ファンの方は、比較的人の話をちゃんと聞かない・・と言うか、自身の考えを押し通したい方が多いように・・すみません・・見受けられます。
それが正しいものなら良いんですが、間違って覚えてしまったものを訂正したくない、それが正しいと相手にも強制したがる・・と言うか、まぁ、地酒の世界の方は、造り手も売り手も飲み手もその傾向が強いかな・・と感じています。
ちゃんと保存した日本酒は、まぁ、細かいことを言いますと例外も有りますが、ワインと同様に長い命を持っています。出来立ての日本酒はまだ・・赤ちゃんなんですね。ワインで言うところのヌーボーやプリムールです。これが日本酒の全てだ・・と言われてしまいますと・・そうは言わないにせよ製造年月日の新しい奴をください・・と言うのはそれと同じです・・
「(・・判ってない・・)」
と感じてしまいます。
満寿泉の枡田社長さんとは旧知の間柄でして、いや、noisy がそう思っているだけでしょうが、その昔は色々と教えていただきました。でも noisy よりも全然お若いですよ。noisy のように汚いナリはしておらず、いつも綺麗です。
先日はたまたまテレビを観て居たら、北陸新幹線の開業で富山駅の様子を映していまして、その中にシッカリ!・・枡田社長の細身で長身のお姿が有りました。懐かしいなぁ・・と思うと同時に、頑張ってるんだなぁ・・そんな場面には必ずいらっしゃるよなぁ・・と・・感激しました。
蔵にも訪問させていただいたことが有り、海の近くの立派な蔵で、しかも昔は富山駅からかなり離れている(おそらく6~7キロ)にも関わらず、他人の土地を歩かずに蔵まで来れた・・と聞き、ビックリしたものです。
そんな若社長に連れられて、ワインのオークションに参加させていただいたことも有ります。実際にアメリカン・クラブに行き、ハンマープライスを経験しました。
まぁ、前以って入札はしておいたのですが、何か落とせたのか、何も落とせなかったのか・・覚えていませんが、ワインの勉強を始めてしばらく経っていた頃では有りますが、
「ワインの世界は・・地酒の世界とはちょっと違うなぁ・・」
と、その自由さにワクワクしたものです。
神谷町の交差点近くに有る(有った?)シガーバーに連れて行ってもらったのもその頃です。若社長はワインだけじゃなくて葉巻にも凝っていて・・タバコは吸わないんですけどね・・その吸い方とか、高級ワインとシガーのマリアージュとか、実際に色々と試させていただき、驚くことばかりでした。
「シャトー・マルゴーのxx年ものと、キューバのxxの何年ものがどうのこうの・・」
マルゴーが判ってもシガーが判りませんから、若社長の言うことを丸飲みするしかないですよね・・。それで、シガーの口を切り、温め、火を付け、1~2時間、ワインやブランデーと共に楽しむ・・・と言うような、ブルジョワな世界を教えていただきました。
その頃若社長は、フランスからシャルドネの使用樽をコンテナ一杯に仕入れて来て、それに純米大吟醸や純米吟醸を詰めて熟成させ、ワインボトルに入れたり、本来は蒸米を使うべきところに麹米を使用し、「全麹仕込み」を完成させたりと、大活躍でした。
使用済バリックはドメーヌ・ラモネから・・その風味を閉じ込めたのが「シャルドネ樽仕込」ですし、「全麹仕込」は、まるでソーテルヌのような甘~いニュアンスを日本酒で実現したものです。
実行力も有りますが、何より企画力、その原動力となるのは「尽きない興味」なんだろうと・・凄いなぁと感心したものです。
あらら・・ご紹介する満寿泉のお酒の話しじゃなくなっちゃいましたね。すみません。
限定大吟醸は、そんな訳で「非常にドライ」「穏やかな吟醸香(上立香)」「滑らか」な、大吟醸の見本のような大吟醸酒です。
純米大吟醸は枡田さんの看板とも言えるアイテムです。兵庫県産山田錦、9号系酵母、精米歩合50%と言うテクニカルですが、磨きに磨いて35%までに落とすとか、あるいはそれ以上に磨く・・などの過剰とも思えるような精米歩合による香りで勝負するのではなく、
「あくまで食を考えた酒」
が枡田さんの意図する酒です。
日本海の豊かな漁場からの恵みに合わないような過剰な吟醸香や、線の細過ぎる味わいは目指すところでは無い・・と言うことでしょう。ある種、「完璧な日本酒」と言うことになるかと思います。いずれ写真も撮って掲載したいと思っています。
特別大吟醸「寿」は、枡田さんの目指す最高の酒をイメージし、実現している日本酒です。毎年仕入れられるお米の出来や量も有りますんで、実際に伺った時は、
「必ずしも35%とか40%とかの精米でやると決めている訳では無く、実際には仕込みにより色々」
とのことで、沢山の小さい仕込みのタンクが並んでいるのにはビックリしました。
因みに、例えば大吟醸の造りなら、限定大吟醸と特別大吟醸 寿 は同じ「大吟醸」で、どこが違うの?・・と言うような疑問も有るかもしれませんね。
「それは飲めば判る」
ものです。
やはり蔵のトップのお酒は、蔵元さんがトップと認めた酒になります。使用米も精米歩合も違いますし、粕歩合と言いまして、元のお米をどれだけお酒したか・・と言う指標が有ります。これが全然違って来てしまうんですね。同じようにやっても、全然違う場合も有ります。
名杜氏、能登四天王である三盃幸一さんが醸す銘酒です。勿論、ワインと同様に飲み頃も有りますし、保存の仕方も有ります。ワインセラーでは温度は高過ぎます。保存は冷蔵庫の冷蔵室で大丈夫です。まぁ、その前に無くなってしまうと思いますが、20年経ったら・・滅茶苦茶旨いですよ。ご検討くださいませ。