
いや~・・こんなに良いとは思わなかったので今まで扱っていませんでしたが、まだまだ知られない素晴らしい造り手がいたもんだと・・感心してしまいました。
最も、あの超リーズナブルながらも素晴らしくエレガントなヴァルポリチェッラ・サセーティを造り出すモンテ・ダッローラですから、
「アマローネも美味いに違いない・・」
と言うような予想は立つ訳です。
しかしながら、アマローネと言うワインは色んな意味で特別です。クインタレッリやダル・フォルノ=ロマーノと言う二大巨頭がいらっしゃり、そのイメージが「イコール」で「アマローネ」にすり替わってしまっている世情でも有ります。
いや、そうでは無いとしても、彼らのレベルに到達しない・・と思われてしまうと、まず評価が付いて来ない・・と言うことにもなり、衆人の知るところにはなりにくい・・と言うような結果になってしまいがちです。
大手さんの造るアマローネは、それなりに美味しく飲めはするものの、まず輸入業者さんの扱いが悪いし、ポテンシャルもそこそこながらも大して気を引くものでは無いのも事実です。
そんな中で・・いや、もう数が余り無かった、モンテ・ダッローラのトップワイン、アマローネの「ストローパ」ですが、その姿形も・・かなり威容を見せています。重めのボトルに蝋封(プラですが)、アマローネ云々の文字は小さく、「ストローパ」の文字が大きく上質なエチケッタに書かれています。
ノーズは実に迫力が有ります。アマローネと言う、ある種独特の造りから生まれるワインですから、多くのアマローネがそのド迫力のアロマを立たせますが、ストローパは低重心からモリモリと・・いや、ゆっくりと・・鼻の穴を押し広げるかのように侵入してきます。
どこかショコラやカカオを思わせるアロマに赤黒いチェリーのノーズが混じります。舌の上に乗ると、その縦構造の深さが半端無い・・ミネラリティを充分に含んだ黒い赤と濃い茶が、非常なまでのドライさの中に感じられます。
「滅茶美味しい・・甘く無い高質なチョコ?・・・ココア?」
みたいな感覚に、とても小さな実を付けるベリーのニュアンスが混じって感じられます。
「・・これ・・アマローネなのに・・甘く無い・・」
そうなんですね・・多くのアマローネは、甘いニュアンスだけに留まらず、残糖分を多く感じさせますが・・非常にドライです。
「・・温度が上がってくるとアルコホリックになりがちなものが多いのに、実にしっとり!」
これも、ほとんどのアマローネに感じられるポイントですが、エチケッタの表記を見るとアルコール分は14度台・・なんですよ。17度くらいまで上げるアマローネが多いと思うんですが、たしかにこれだとボディ感は感じられますが、エレガントさは・・消えちゃいますよね。デザートワインとしては良いのでしょうが、食中酒としては厳しい訳です。
「・・これは美味いなぁ・・」
勿論、多くのアマローネが感じさせてくれる非常に複雑なドライフルーツ的ニュアンスも多分に持っていますが、明け透けに表情にする・・と言うのとは違って、表情の一部分としての訴えなんですね。ですんで、アマローネなのにフィネス感が漂う、余り見かけないタイプなんです。
そして・・何より余韻が素晴らしいです。黒い果実のしっとりした美味しさ・・・そうだなぁ・・敢えて言うなら、
「上手なバリスタさんに入れてもらったとても濃いエスプレッソ」
でしょうか。
その還ってくる最後のノーズにまた・・何とも言えぬ果実感があるんですね・・。あの、サセーティのピュアさの延長上に・・この素晴らしい仕上がりのストローパが存在している・・と感じさせてくれます。
これは非常なアマローネでした。・・いや、コメントは色々すっ飛ばしたとしても、少なくとも「甘く無い」のが最高に良いですよ。質感も上質!そして飲むタイミングを選ばない・・その時の熟度に見合っただけの美味しさで充分満足させてくれるアマローネだと思います。是非飲んでみてください!・・美味いです!