
サンテミリオン・グラン・クリュのロル・ヴァランタンです。ゴムリーやシュヴァル・ブランに隣接する畑を持ち、右岸でありながらもどこかに左岸も感じさせる・・・呑むタイミングによっては、全く右岸が出て来ないことも考えられますので、テイスターとするとかなり手強い相手では有ります。まあ、メルロが普通に頑張っているタイミングなら、
「まあ、普通に考えても右岸だし・・・シュヴァルっぽい部分も有るし・・」
などの連想から、近辺の畑を想像しつつたどり着かないとも限りませんが、メルロが大人しくなっているタイミングだと、サンテミリオン的粘土のニュアンスがあまり出てきませんし、砂地のニュアンスだけを受けてしまうと、もう全くの迷路に入ったかのように思われるか、もしくは硬いタイミングだと、
「あ、これはカロン=セギュールね」
などと言い出しかねませんので大幅な注意が必要です。
まあ、もっともnoisyは昔のように、全くのブラインドでボルドーをテイスティングして当てる・・等と云うようなこともほぼ遣らなくなりましたんで、そのワインの持つポテンシャルを受け取ることのみに精神を集中させる方がほとんどです。
久し振りに飲んでみましたが・・良いですね~!かなり深いです。しかも今回、noisyが合わせたのは、「カツオの刺身」ですよ!勿論ですが、ソースはヴァレンティーニのエクストラ・ヴァージンに紫峰醤油です。さらには勿論、そんな高級品は普段の noisyの食卓には上がりませんので、普通のカツオです。季節も戻りカツオが出回る前でちょうど境でしょうか。目の前に有る「角上魚類」さんでカミさんが購入したものでしょう。全く臭くならないし、脂のほぼ無い赤身のカツオが非常に旨いです。
黒味の多い果実に赤や紫の果実が入り、結構な量の白い石灰系ミネラリティです。たっぷりしていますが酸がしっかりバランス良く有り、ダレることは有りません。台風が来ていて蒸し暑いですが、思いの外・・飲んで良かった感が大きいです。粘土由来のややねっとりした感触、高質複雑なコーヒー味の積層ケーキをドライにしたようなニュアンス、中盤以降は結構なエキス由来の味わいを感じさせつつ、これまた結構な長さの余韻を感じます。
これが90点とかそんな位にしか評価されないのはどうなのかな?・・と思っちゃいますが、確かに95点は付けないかな?・・とも思います。
だって・・普通に凄く美味しいんですね。複雑だし、格も感じます。でも「凄み」が無いのかな?・・だから評価に繋がらないのかな?・・もしくは、「金色の小さなハートとエンジェル」をエチケットにあしらっているような媚びたワインには高い評価を付けないのか?・・とも思ってしまいます。
おそらくですね・・評論家さんの点が付かないのは、「どっち付かず」に思われるからなんでしょうね。果実味重視ならそっちに行けば良いし、エキス系の綺麗さ命ならその道に・・と言うことでしょう。果実味もそれなりにしっかり、エキス感もそれなりにしっかり有るもので、「??」と・・なっちゃうのかもしれませんが、普通の日本人ならほぼ間違い無く、
「・・ん?・・いや、旨いね~!」
と言うはずの素晴らしいバランスだと思います。
また一応ですが相変わらずの
「私、関係在りませんので・・」
的なエージェント情報を読む限りは、全くどんなワインか想像つかないと思いますが、コッテリ系だけど甘く無い、タイトさの有る滑らかメルローだと思ってください。確かに、ドゥルノンクールっぽいっちゃぽいですよ。ミシェル・ロランのようには甘くならないです。美味しいので・・是非ご検討くださいね。価格もリーズナブルです!