
こんなのを飲んでしまったら、如何に「ビオ嫌い」のブルゴーニュワインファンでも認めざるを得ないでしょうね。凄い外向きのエナジーがほとばしっています。そして、何よりも・・
「これがブルゴーニュのガメか?!」
と言うような、どこかに卑下した感覚を持ちつつも、「こりゃ・・適わないな・・」と肯定せざるを得ない気持ち、そして、
「ガメでこれならピノは一体、どうなっちゃうんだ?・・しかも滅茶苦茶高いけどアリゴテも評価高いし・・!」
と言うようなところに落ち着くはずです。
だって・・noisy だってそうなんだから、皆さんだって大多数の方々はそう思われるに違い無いんです。
まるで、黒、赤、透明の何重にも及ぶ緻密なグラデュエーションを見ているかのようです。時にコーヒー豆で有り、それを少し何かしたような・・つまり煎ったり挽いたりですね・・時に赤を積層させたような見事なベリーだったり、黒みを帯びた小粒なチェリーの群生だったり、挽いたばかりの香料だったり・・する訳です。
味わいも見事で、ドライなんですが・・膨らむんですね。そして僅かな甘みを感じさせ、すっと引いて行く・・・んだけど、まだ存在しているんです。
昨年も書きましたが、「こりゃバケモンだわ・・」
マルセル・ラピエールのキュヴェ・マルセル・ラピエール・サン・スフルを思い出しましたし、やはりプリューレ・ロックの良く出来た年のクロ・デ・コルヴェのようでも有ります。
そして、リアルワインガイドも・・いや、リアルはブルゴーニュを主体にしつつも、結構にブルゴーニュに対する評価は厳しいものが有るんですが、90点オーバーのアリゴテとか!・・思い起こせばやはり若かりしときに飲んだコシュ=デュリのアリゴテのような立ち位置なのでしょうね。
徳丸さんも、
「時代が生んだ奇跡の人なのかも・・」
と書かれています。・・そうかもしれない・・だって、
「少なくともガメで高質高価なナチュラルワインを想像させるようなブルゴーニュ人は他にいない」
ですもんね。ご検討ください。非常に希少ですし、好き嫌いはともかく、頭を叩かれたようなショックが有るに違い在りません。
以下は以前のレヴューです。
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【2017年ものは値下げ・・しかし、こりゃぁバケモンです!】
滅茶良い時のプリューレ・ロック(・・確率は低いが)をさらにプリップリに膨らませ、リアルな果実感と複雑性を付加したかのような素晴らしいブルゴーニュワインです。敢えてコトー・ブルギニヨンと言う必要性を感じません。手放しで褒めたい、実に旨いブルゴーニュワインです。
黒果実に赤果実がもう、本当にブリッブリです!テッカテカと言って良いかもしれません。先ほど、もいで来たばかりの熟度の高い新鮮果実が目の前に有ります。
基本、全房発酵に持ち込みたい人ですんで、そう言う系統の味わいです。プリューレ・ロックしかり、フィリップ・パカレ、マルセル・ラピエール、ジャン・フォワイヤール。でもこれを飲んでしまうとフィリップ・パカレは干乾びてるだろ!・・とさえ言いたくなってしまいます(・・言葉が悪くてすみません。それでも昔はそうでもなかったんですけどね。)ジャン・フォワイヤールの、あの超秀逸なモルゴン・コート・デュ・ピィ・キュヴェ3.14を超えてくるような超絶さです。
それでいて、しかめっ面をして飲ませるような、ナイーヴな味わいじゃぁ無いんですね。どこかにおおらかさと言うか、包容力のある・・と言うような感覚を与えてくれます。
そして、この全房発酵系の・・醸造由来のニュアンスが消えた時、このコトー・ブルギニヨンは爆発し始めるでしょう!
今はあのアメリー・ベルトーのいい人で有り、ドメーヌ・ベルトーの醸造長でも有りますが、ドメーヌ・ベルトーのジャンプ・アップはこのニコラ・フォール有っての出来事だったに違いないと、今更ながらに感じられてしまいます。
「コトー・ブルギニヨンに過ぎないから・・」
「ガメイって?・・」
等と言ってる場合では有りません。ワイン上級者から初心者まで、飲む者を幸せに導いてくれる・・そんなポテンシャルを持った素晴らしいワインでした。是非飲んでみてください!一推しです。追加は出来ません。
以下は以前のレヴューです。
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【コート・ド・ニュイにおけるビオを感じさせてくれるのはニコラ・フォールだけ!!?】 まぁ、ブルゴーニュのコート・ドールも、広いようで本当に狭いですし、何せ人の数は少ない訳です。ほとんどの土地には葡萄をはじめ植物が植わっている訳ですし、正に「集落」を思わせる・・例えば埼玉の「秩父(ちちぶ)」から西に移動するとそんな感じになってきます。
数年前に秩父から西に向かい三峯神社へ行った時などは、携帯がつながらず・・でも集落に近づくといきなり繋がったり、離れるとアンテナが立たなくなったりしていましたが、そんな感じに似ているかもしれません。
で・・コート・ドールもそんな感じで、村の中央辺りに集落が有り国道で繋がっています。コート・ドールのコート・ド・ニュイの南端がプレモー=プレシー&ニュイ=サン=ジョルジュで、その北がヴォーヌ=ロマネです。
その南端のプレモーに取得したガメが植わっている畑で造られたのがこのコトー・ブルギニヨン、つまり以前の「パストゥグラン」です。一生懸命に造られた「パストゥグラン」は本当に美味しいですよね。樹齢40年以上のヴィエイユ・ヴィーニュだそうです。
今回は数が無くてとても飲めません。それに今回は仕入れを見送ったニコラ・フォールのアロース=コルトンには、
「ドメーヌ・ベルトーの樽」
が使用されているようで、興味は尽きないですね。アペラシオンを考えるとちょっと高目ですけどね。
で、ニコラ・フォールの彼女がアメリー・ベルトーだそうで・・・まぁ、狭い地域ですから、ヴォーヌ=ロマネ村に本拠の有るドメーヌ・フランソワ・ジェルヴェがアメリー・ベルトーの母方ですから、子供のころからのお付き合いだったんでしょうね。
それにしてもニコラ・フォールのワインとドメーヌ・ベルトーのワインでは、かなり仕上がりが違うなぁ・・と言う印象ですが、ニコラ・フォールのワインが持つ「生き生き、溌剌としたイメージ」は昔のドメーヌ・ベルトーには全く無く、アメリーがやるようになってから持つようになったのは、若いブルゴーニュ人の世代たちが持っているワインのイメージを想像させます。
その昔、プリューレ=ロックの・・今では考えられないような下級クラスのワイン、例えば1997年のグラン・ドルディネール(白)とか、1999年のオート=コート・ド・ニュイ・ブラン、サン=ロマン・ブラン(両方ともアンリ=フレデリック・ロック名義)などを3千円もしないで販売していましたが、ビオディナミや自然派と言う言葉がようやく定着し始めた頃で楽しかったですね。
特にグラン・ドルディネールはアンリ=フレデリック・ロックがいたずらで造ったんだ・・とか、いや、フィリップ・パカレが関与してる・・とか、なんのかんの、やいのやいのとワイワイ騒ぎながら楽しんで飲めました。実際、あのフィリップ・パカレも2000年頃までだったか、プリューレ=ロックに在籍していましたからね。
因みに・・その頃のデータを探していたら、ちょっと興味深いイントネーションで言葉になっていましたのでご紹介しますね。今は無き、INAさんからその頃いただいたテイスティングデータです。noisyのものでは有りません。おそらくですが、その頃「女番長」と呼ばれ、現在リアルワインガイドのテイスターにもなっていらっしゃるT女史のものかなぁと思います。
【有償サンプルのコメント】
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1)白 ブルゴーニュ グラン オルディネール ブラン 1997 プリューレ ロック(500ml)
仕切価格¥-、--- 参考上代¥-、---
プリューレ ロック、ドメーヌ物の白で、シャルドネを印象付ける香りはほとんどなく、自然派ワインらしい香りはロック独特のものです。シュナン ブランを思わせる酸味も印象的です。やや褐色がかった色と香りには、熟成感が少々出ています。
で、自分たちでテイスティングして・・
「この褐色掛かった、落ちた色って・・有りか~?」
とか、
「ん~・・So2絡みの話しでそここそがナチュラル由来なんでね~の~?」
とか・・ですね・・。今じゃ笑っちゃうような会話でしょうけどね。
そう言う意味では、プリューレ=ロックはブルゴーニュの自然派生産者を目指す若者たちの、特にコート・ド・ニュイでの本拠、基地のようになっていたことが伺われます。今では手の届かないプライスになってしまいましたし、色々とナーバスな問題が有ると考えられますので扱い辛く、ご紹介に至っていないのは残念ですが、
「まだニコラ・フォールがいるじゃないか!」と思えるんですね。
是非そんな裏側を想像しながら飲むのも「オツ」じゃないかと思います。ご検討くださいませ。