● ちょっと驚きにコストパフォーマンスの赤白、しかもビオディナミコでノン・アヴァンギャルド・・なんですが、想像される以上に
「超マトモ!」
なアロマと味わいの地場品種ワインをご紹介させていただきます。
まぁ・・いつもとちょっとトーンが異なる感じのオファーをいただいたので、乗っかってみることにしたら・・
「なるほど~!」
と納得のワインだった訳でして、
「これはルイ・ジュリアンを超えるヒットになるか?」
と・・今ではオファーさえ無くなってしまったワインの代替になるかもと、嫌らしい期待を持ってのご案内です。
「いつもとトーンが異なる時が買いなのは noisyさんのところも同じだよ」
と言われるのは判っているので・・先に言っておきました。どうぞよろしくお願いします。
■インポーター情報
ラッツィオ州フロジノーネ県のはずれアルチェ村。ローマ帝国時代から葡萄をはじめ素晴らしい農作物の産地として名を残してきた。この地で400年続く荘園を営んできたマロッコ家は60年代、マルコのお爺さんの時代に全ての農地を売却。鉄道会社で働く為にローマに移住して、荘園の歴史は終わります。

その後、ローマでエンジニアとして活躍、エレベーター製造会社を立ち上げ、財を成したマルコ・マロッコは幼い頃に見て、経験したお爺さんの農業が忘れられず、農業にこそ自分達家族のルーツがあると考えるようになっていきます。遂には会社を清算。37歳でトスカーナの農業学校に進学し農業を学び、ワイン造りに興味を持つようになります。
卒業後、ボルドーのグラン・ボーセジュール等で実際のワイン造りを経験した後、故郷に戻り、祖先の土地を買い戻し、畑に仕立て直していきます。400年続いたマロッコ家の荘園を同じアルチェ村で再現していったのです。
2010年、マルコはパラッツォ・トロンコーニを設立。自分達のルーツである土地の個性を再生し、後世に残していく事を目標に葡萄だけでなく野菜、オリーブオイル、蜂蜜の生産を手掛けるお爺さんと同じ昔ながらの農園に戻していきます。
アルチェ村の個性を際立たせる為に、自然と必要になったのがビオディナミと土着品種の復活。農業学校で学んだ事はお爺さんの農業の否定でした。圧倒的に効率的で世界で受け入れられている農業を学んでも、自分達のルーツである土地の個性を再生する事とは出来ないと感じてしまいます。お爺さんの手作業の仕事、知恵は、ビオディナミとほぼ同じ思想である事に気付いたのです。

葡萄樹は土壌を介して土地と結び付き短期的にも長期的にも成長(変化)していきます。土壌を健全に保つ事こそが土地の個性の最大化だとすると、唯一の方法は土壌に科学的なものを与えず、正常化し自然の一部に戻していく事だったのです。
◇土着品種を忘却から救う
もう1つ重要だったのが、この土地の土着品種の復活。マルコは文化や農業と同じように効率化(平均化)されていくワインに疑問を感じ、この土地に元々あった土着品種こそ、この土地に最も相性が良かったはずと考えるようになります。栽培や醸造技術の乏しかった時代に、自然と選ばれた土着品種は、この土地の土壌の力とテロワールに最も相性が良かったはずなのです。
出来る限り、昔の農業と同じ環境を実現するべく、全ての化学肥料や現代技術を排除していきます。それは、言い換えれば、天(栽培)と地(土壌)のバランスを保つ事でした。そして、それを可能にするのがビオディナミだったのです。
土着品種の個性は質素で田舎っぽく、あか抜けないものでしたが、ローマ時代から愛される気品や繊細さがありました。これを活かす為に醸造面では野生酵母での自然発酵が採用されます。清澄やフィルターなどのワイン造りを楽に(経済的に)する事で本質的美味しさ(あるべき姿)を失うのを嫌います。
◇非常に珍しい土着品種
・Lecinaro レチナロ
黒葡萄。中~大サイズの房。4月上旬に芽吹き、10月1週目に熟します。
アルチェ村の代表的な品種。レチナロは「レチナ」の方言が由来で「プラム」を意味します。葡萄果実は大きく、果皮は薄い。ワインは非常に色の淡いもので、野生のチェリーやイチゴを思わせる軽快なワインになります。質の高い酸を持っていて、暑くても上品さを失いません。
少し熟成するとドライプラムやブラックチェリー、チョコレート、コーヒーのような強い芳香を持つように変化。イタリアの素朴な美味しさを味わえます。
・Ulivello Nero(Raspato) ウリヴェッロ・ネロ(ラスパトに名前が変更される予定)
黒葡萄。小~中サイズの房。4月1週目に芽吹き、アルチェでの収穫時期は通常10月2週目以降。
フロジノーネのモンティセリ・デスペーリア村の代表的な品種で、他のラッツィオ州の村でも見かける事は、ほぼ無い貴重な品種。果皮が厚いので、ワインは非常に強いストラクチャーを持つが、現代品種のような強さはなく、繊細で透き通るような味わい。フレッシュなイチゴやカシス、赤スグリのような芳香を持つ。
・Maturano マトゥラノ
白葡萄。小~中サイズの房。4月2週目に芽吹き、9月3週目に熟します。
アルチェとコミノ丘陵にある小さな村では代表的な白葡萄だが、他のラッツィオ州の村でも見かける事は、ほぼ無い貴重な品種。
ある程度の厚みがある果皮を利用して若干のマセラシオンが採用されてきた。果実由来の旨味を感じさせる香としっかりとした味わい。果皮はタンニンを豊富に持っている。名前の通り、熟度が高く、糖度が充分に得られる。酸度はそれほど高くない。
・Pampanaro パンパナロ
白葡萄。中~大サイズの房。4月1週目に芽吹き、9月3週目に熟します。
アルチェとコミノ丘陵にある小さな村では代表的な白葡萄だが、他のラッツィオ州の村でも見かける事は、ほぼ無い貴重な品種。
樹勢が強く多産なのである程度高い樹齢が必要。果皮が非常に薄く、タンニンは控えめなので、ワインは爽やかで透き通った岩清水のような繊細さが得られる。上品で繊細な香。ミネラルのクリスピーさに質の高い酸を持っているので飲み飽きしません。
・Capolongo カポロンゴ
白葡萄。小サイズの房。4月1週目に芽吹き、収穫時期は通常9月1週目。
アルチェ村では代表的な品種だが、今やほとんど存在しなくなってしまった。
パンパナロやマトゥラノよりも早い生育サイクルなので毎年、安定した品質を得られる。房は非常に小さくしっかりしていて厚い。タンニンが豊富でアントシアニン等非常に豊かでリッチ。ワインはしっかりとしたストラクチャーを持ち、香、味わい共に濃密で高貴。マルコ・マッロッコが最も重要視する。
【巷では大人気の?ルイ・ジュリアンのイタリア・ラッツィオ版でしょうか?・・1リットルボトルにビオのナチュールな味わいで、しかもこの価格!・・ピカ一のコストパフォーマンスとコクのある味わいにビックリされるはず!】

1リットルのボトルでビオディナミの葡萄、しかも味わいもアロマもバッチリで2千円ちょい(初のご案内時)・・これを見ますと、どうしてもあの「ルイ・ジュリアン」を思い出してしまいます。
ルイ・ジュリアンが今も売れているのかどうかはnoisyは知らないのですが・・いや、他のショップさんは大いに売れていたようなんですが、Noisy wine では・・売れないことは無いにせよ、そんなに驚くほどの売れ行きでは無かったんですよね・・。
まぁ・・あの、グズグズ漏れるし薄汚れているボトルに入っているのが noisy のお客様にはウケ無かったのかもしれませんし、流れるようなフワッとした飲み口が・・ね・・まぁ・・好みですから良い訳ですが、栓が良くなって綺麗なボトルで届くようになった頃には、オファーを何度か飛ばしてしまったのが影響したのか、オファーも来なくなって5年ほど経ってしまいました。
で・・ふと他のインポーターさんのオファーを見ていましたら、
---ビジュアルは今時のナチュラルワイン!と言わんばかりのカジュアルさ。水用の透明1リットル瓶を王冠で打栓。WTF(Wine That F・cks)という英語名と、イタリア語で「田舎者」を意味する「Rustica Progenie」という2つの名前を持つワインです。この内容なのに、1リットルで参考上代2.900円!---
みたいな文面が流れて来たので、お試しに赤白12本ずつ仕入れてみたんですね。
まぁ・・世の中、先が読めない状況ですが、そんな時にこそカジュアルでスイスイ飲めてリーズナブルなワインこそ・・お客様のお役に立てるというような気持ちも有る訳でして・・某国の自称王様?が、結果的にどうなるか判らないとしても、まかり間違えば自分たちの首を絞めるようなことになりかねない・・本来の仮想敵国に甘い言葉をささやき、世界の工場を自任して尖って来た大国にとんでもないほどの関税を掛けたは良いけれどスマホは除外と言い出すし、自由主義の同盟国を恫喝するような態度に出ている訳ですから、偉い立場の人ほど・・状況を見定めたいと思うこの頃かと思ってしまいます。

で、このラツィオの地場品種ばかりをセパージュしたビオディナミの白ワインなんですが、
「思った以上にしっかりしているのに驚かされる!」
と思いますよ。
ルイ・ジュリアンを持ち出して書かせていただいてますが、ワインのポテンシャルとしますと・・こちらの方が上でしょう・・おそらく。ただし、ルイ・ジュリアンの・・流れるような・・どちらかと言えば酸が弱めの味わい・・では無いんですね。
濃度もしっかり有り、コクもしっかり、酸もしっかりです・・いや、酸っぱく感じるほどではありませんのでご安心ください。そしてフレーヴァーも、ほんのりジューシーさも、高級ワインたるマロも行っていますんで、滑らかで・・後半は特にミネラリティたっぷりな存在に、心地良さを感じていただけると思うんですね。
1リットル入って結構に高質で、しかもビオで価格も安いと来ますと、
「それなら・・飲んでみて・・やろうか」
とおっしゃる方も、もしかしたらいらっしゃるかなぁ?・・と思いまして、今回の新着でご案内させていただきます。インポーターさんの在庫が切れない限り、この8月まではこの価格で大丈夫らしいですので・・ただし、余りに人気になりますと早期完売も有り得ますので、その辺りはご了承くださいませ。
まぁ・・このグラデュエーションのある濃い目の色彩ですから、
「・・この色の感じなら・・問題無いだろう」
ときっと思っていただけると・・どうぞよろしくお願いします。お薦めです!
【こちらも1Lボトルに王冠!価格はリーズナブルながらビオの地場品種で濃密でドライ!・・ルイ・ジュリアンに対抗できる本格派イタリアンです!】

物凄く深~~い・・と言う訳では無いですが、ルイ・ジュリアンを引き合いに出したからと言って・・
「似ている訳では無い」
ので悪しからずご理解くださいませ。
しっかり濃密さも持ちつつ、深みもしっかり、コアがど真ん中に有りつつ・・ある意味、
「完成された味わい」
を感じさせるラツィオの地場品種の赤です。
そしてビオディナミコでその地場の葡萄を育て、かなりファンキーなエチケッタと言葉を記載し、挑発気味にアナーキーでパンキーさを出しつつも・・
「生まれたワインは・・意外なほどに正統派!」
なんですね・・。返ってルイ・ジュリアンの方が味わいはアナーキーじゃないかと思ってしまいました。

ベリーやチェリーが香るエキスがたっぷりの味わいです。甘みは全く無く、しっかりドライです。ビオ臭的なものは感じませんが、ナチュラル感はちょっと有ります。嫌味なものでは無く、正統派のワインをお好きな方でももちろんOKサインをしてくれる味わいなんですね。ちょっと驚きでしょう?
むしろちょっとカチッと締まっていますが、そのレベルは「適度」なものと感じます。ボトル詰めでやや還元的な状態で詰めている性と、王冠を打っている性かと思いますが、飲んでいく内にホロホロとソフトなタッチに変わって来ます。
これ・・もしかしてリストランテさんで出されたら、結構良いワインをグラスで出してくれたかな?・・などと勘違い???・・しそうだなぁ・・と思えるポテンシャルでして、・・ただし、
「ん~・・どこのワインか良く判らない」
とか、
「・・これ、品種・・なんだろう・・?」
と思い始めたら迷路に入ってしまって出て来られなくなって・・気持ちが落ちて来ないだろうか・・などと還って心配してしまいます。noisyだって、レチナーロとウリヴェッロ・ネーロなんて・・知りませんから・・はい。上の造り手紹介のコラムに葡萄の特徴などを掲載していますので、気になられたらご覧ください。軽やかな味わいの品種と、濃密複雑な味わいの品種を混ぜている・・その結果がこの、
「完成度の高さ」
を感じさせるものになっていると言うことなんですね。
これは文句は出ないでしょう。1リットルでこれですから・・是非飲んでみてください。お薦めします!