
今までのnoisy であれば、きっとこのヴォドピーベッツの2013年のヴィトフスカのラインナップについてはこのように言うはずです。
「ビオ系、ナチュラル系の白ワインが嫌いな方には向いていません!」
と。
しかしながら、2013年のトップ・キュヴェまで通して飲んでみて思ったことは、
「これは白ワインを好物としておられる方には是非飲んでみて欲しいワイン!」
と言うことなんですね。
2012年ものまでのヴォトピーヴェッツのラインナップには、「色落ちしていないアイテム」が存在していました。綺麗なレモン色をしたものが有った訳です。これには、So2を控えることによる「酸化」のニュアンスは全くと言って良いほどに加わっていませんでした。そして非常に判りやすく、ブルゴーニュの偉大なシャルドネと比較したとしても、決して劣らない繊細さ、フィネスが備わっていました。
(左上はオリージネ2013年です。大樽です。)

しかしながら、2013年のヴォトピーヴェッツのラインナップには、そんな「黄色のみで黒味や赤味が入らないアイテム」は有りません。これをどう評価すべきか・・
左の写真はノーマル・ヴィトフスカです。(発酵 アンフォラ-->熟成 アンフォラ-->熟成 大樽)
しかし、しかしながら、色合いを見ていただければお判りかと思いますが、
「ものの見事なまでに光り輝いている」
のが判るはずです。
そして、「色合いの落ち」は「ほんの僅か」で有ることもご理解いただけるでしょう。決してラ・カステッラーダのような色合いでは無い・・と感じられるでしょう。
さらには、
「揮発酸による浸食はまるでない」
のも、慣れた方には見える可能性もあると思います。実際、揮発酸は検知限界でした。そして酸化は非常に緩いものですので非常にピュアなワインばかりです。

左の写真は「T]で、アンフォラを使用したキュヴェです。
それでいて・・いや、やはり大樽のオリージネは現状でやや内向的な側面を持っていますが、それ以外の3アイテムはアンフォラを適切に、慎重に使用している性でしょうか、とても外向的でベクトルが外向きです。開放的・・と言うべきかもしれません。蜜、白い花!!、色付いた花や新鮮な果実にほんのり熟し気味の果実、適度な締まりと解放を繰り返します。
オリージネとノーマルは、やはり大樽とアンフォラの適時使用の違いが有ります。オリージネはしっとりとした美味しさ、やや締まり気味では有りますが、すでにおいしく飲めるタイミングに近付いています。油っぽいお食事にはピッタリマリアージュすると思われ、繊細さも備わっています。
ノーマルは、やはり色々と試行錯誤・・と言うか、手の込んだ味わい・・と言うか、複雑性に富みつつ開放感のある味わい・・と言うべきか悩みますが、明らかにオリージネとは異なる主張をしてきます。蜜っぽい表情はより多く、より滑らかな現状です。
だからと言って、先行きはかなり違ったものになるか?・・と問われると非常に微妙かと感じます。将来は結構似たものになるような気もするんですね。

左の写真はトップ・キュヴェの「ソーロ」です。
3枚目の写真の「T」になりますと、グググっとボリューム感の出がアップしたように感じます。グラが有り、僅かにオイリーです。この辺りになるとブルゴーニュ・シャルドネをかなり意識できるようになります。ふくよかな、グラマラスな味わいと繊細な表情とが、ノーズに抜けて行くときにも強く感じさせてくれます。
ソーロになりますと・・かなりの繊細さを持ちつつ、クラス上位と言うか、上位のブルゴーニュ・シャルドネをかなり意識せざるを得ない見事な仕上がりです。非常に高質です。そこにナチュラル感のある柔らかで繊細なアロマ、たっぷりな要素からの複雑な表情が、ノーズや味わいからもしっかり感じられます。これは絶旨い!・・です。見事でした!
2013年ものの熟度の経過・・と言うことですと、やはり2011年ものや2012年ものには追い付かないかもしれません。オータ社長さんは、
「2013年はまだ・・かな・・2012年を先に飲んで・・」
と言っています。
確かにそれはその通りかもしれません。しかし2013年ものも美味しいんですよね。まだ蕾のままの花のニュアンスも・・良い表情じゃないですか?・・それがしっかりと表れてくれるんですね。だから楽しいし、何と言っても昨今のカロリー高目のお食事にはベストマッチしますし、生のお魚系にもしっかり対応できてしまう懐深さもナチュラルワイン系だからこそ・・かと思います。
非常にレベルの高い白ワインだと思います。是非挑戦してみてください!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【ビオ嫌いも全く問題無し!滅茶苦茶ナチュラルですが美汚臭無し・・(^^;; むしろコート・ド・ボーヌの偉大な白のレベルを持って楽しんでください!】
いや~・・美味しかったです。非常に・・ナチュラルです。全開ですね・・。香りのスピードも速いしエナジーのベクトルも外向きで、サイン波のようにグルグルと回っているかのようです。・・判らないですよね~普通・・そんなこと言われても。でも、判る人には判る言い方かと思います。
ヴィトフスカと言う品種です。今までにも何度かご紹介していますが、これほどまでに気高さを感じたヴィトフスカは初めてです。
オイリーでも有るんですが、それだけにとどまらず、またシツコクは成らないです。中域はふくよかさを持ちつつも、そのままだらしなく拡がっていってしまうようなものでは有りません。
ミネラル感がまた・・これ、独特ですね。硬質なものと比較的軟質なものが同居、また非常に目の細やかな質をしています。
基本的に柑橘系ですが、果実果実しているだけじゃない・・「何かを表現しようとしている」ニュアンスが伝わって来ます。
「・・何を言いたいんだろう・・」
まぁ・・まだ良く判らないうちに・・余りの旨さに無くなってしまいました・・。脱帽です。
何せ、
「オータさんのだから酸化臭バリバリ、もしくはエキセントリックな揮発臭もガンガンあるんじゃないか?」
などと邪推してテイスティングに臨んだ性もあるかと思います・・すみません、オータさん。
オータさんからいただくご案内を読んでも、どんなワインかが全く判らないので、とりあえず購入して飲んで見るしかないんですね・・。オータさんと造り手さんの仲の良さは物凄く良く判るんですけど・・(^^
で、余韻も素晴らしいです。適度な締まりを持ったまま、ミネラル感を放出しつつ、長い余韻が有るんですが、この部分においてはコート・ド・ボーヌのシャルドネたちとは違う素振りを見せます。ボーヌたちがやや硬質なタッチから要素を放出しつつ、最後は硬さの有る部分が残って行くんですが、ヴォドピーヴェッツのワインは非常にソフトで、ふっくらした印象を与えつつ、コアにあるミネラリティを崩壊させつつ優しく、でも非常に長く持続して無くなって行きます。
これ、非常に美味しいです。ボーヌの偉大なシャルドネの1級クラスと良い勝負になるんじゃないかと、ポテンシャル的に見ています。
このキュヴェはスタンダードだそうです。発酵 アンフォラ-->熟成 アンフォラ-->熟成 大樽と言うエルヴァージュです。
「オリージネ」は大樽ですね。このオリージネとスタンダードの比較で何となく・・ヴォドピーヴェッツが理解できるでしょう。飲んでみたいですが、今のところ思いとどまっています。
「ヴィトフスカ T」はアンフォラを使用したキュヴェだそうで・・これも飲んでみたいですね~。造り手紹介の部分の地面に埋められたアンフォラをご覧ください。いかしてます。
「ソーロ」は、オータ社長さんの言葉を借りると「シングル・ヴィンヤード」で「グラン・クリュ」だそうです。非常に痩せた土地から、他とは違うミネラリティを持っているそうで・・これも・・いや、余りにヴィトフスカのスタンダードが旨かった性です。
オータさんは、是非3~5年ほど熟成させて欲しいと・・・そのため、何本かは熟成させて・・とおっしゃってましたが、ワイン屋に入る量がまず少ないってことをお忘れの様です。それに今飲んでも、スタンダードは美味しく飲めます。
レアな、ブルゴーニュの偉大な白ワインと張り合うべき、もしくは、それらが持ち合わせない見事な「ナチュラルさ」を加え持っているワインです。ご検討くださいませ。