
深淵な色合いをしていますよね。テッカテカに輝いて見えます。勿論、見えるだけでは無く、口に入れてもそのテッカテカさは輝いて感じられます。
シャトーヌッフと言えば、例えば官能派である「ラヤス」「アンリ・ボノー」・・エキスの綺麗にでた、妖艶さまで感じられる凄いシャトーヌッフです。
一方、「シャトー・ド・ボーカステル」に代表されるような、濃密で濃厚、超上等なケーキのような・・パワフル派とでも言いましょうか、誰が飲んでも圧倒されてしまうようなシャトーヌッフも有ります。
他にもま~・・シャトーヌッフは巨星が沢山・・でも、どちらかと言えばエレガント派に入るであろう官能派と、濃厚なイメージのパワフル派に、おおまかに言えば分かれるかな・・と思うんですね。
自然さと言う点においては、そのどちらの派閥にも様々なタイプで分かれていると言えます。
クロ・デ・パプはどうなのか?・・と言いますと、人それぞれで違う見立てになるかもしれませんが、「パワフル派」に近いと思いますが・・、このル・プティ・ヴァン・ダヴリル・ルージュは3ヴィンテージに渡りブレンドしていますので、その細かなセパージュは不明・・と言うことになります。しかし、グルナッシュをメインにムールヴェードル、シラーを主要にセパージュしているのは間違いないでしょう。
シャトーヌッフ・デュ・パプと言うワインは、基本、多くの品種をブレンドすることによって成り立っています。しかし、その主要品種で有る「グルナッシュ」は必ず使用しているはずですし、グルナッシュのみで造っている造り手も存在します。そこに、ややワイルドな芳香、厚みのあるボディ感のムールヴェードルを、そして濃密にもエレガントにも、土地の個性で揺れるのであろうローヌ北部での高貴種であるシラーが入る訳です。
で・・基本的には、グルナッシュは「横に拡がるパレット」を形成しやすい・・と思うんですね。良い意味で大柄になりますが、縦構造がやや緩慢・・と言うか、拡がりやすいが積み上がらないイメージが有ります。
ところがですね・・クロ・デ・パプはそうじゃないんですね。果汁に対する果皮の構成割合がまず凄く大きいニュアンスを持つ・・と言うのも有るんですが、横にだらしなく拡がる・・と言うようなことが無いんですね。グルナッシュらしからぬカッチリしたニュアンス・・・と言うべきでしょうか。
そこに滅茶ピュアなノーズ。揮発酸無しです。なのにナチュラルでスピードの速いノーズなんです。そして、ローヌ南部のシャトーヌッフなのに・・
「スパイススパイスしてない!」
んですね~。しかし、複雑性もしっかり・・なんです。
なので、言わば上質な・・出来が良いと言われるヴィンテージのブルゴーニュワインのようなニュアンスとテクスチュアなんです・・・これで美味しく無い訳が無いじゃないですか。
で、このル・プティ・ヴァン・ダヴリル・ルージュは、クロ・デ・パプのシャトーヌッフにそっくりです。粗を探せば・・幾分濃度が低いのかもしれませんが、noisy 的にはもう充分・・です。スイっと入って身体に馴染みつつ口内でたっぷり楽しみ、美しく長くたなびきつつ・・余計なものは見せずに消えて行く・・そんな感じです。
これだけ果皮のニュアンスがしっかりあると、安いキュヴェだけにどこかに破綻した表情が出るんじゃないか?・・などとかなり粗探しをしたんですが、無意味でした。売れるのも判る・・仕上がりでした。
今回のこのワインは「正規品では無くブローカー品」です。しかし、写真を見ていただいてもお判りの様に、コルクも液上がりなくとても綺麗、ワインに至ってはこの輝きですからね・・非常に上等です。
この質で有れば、外人さんにも受けるでしょうし、派手さのキライな(奥ゆかしい?)日本人にもバッチリです。旨いので是非飲んでみてください。凄く・・推します!追加は望めませんのでお早めにどうぞ!