
2~3区画も東に行くとサンテミリオンに入ると言うロケーションにあるポムロールのシャトーです。元々はシャトー・グラン・シロン・ガバショと言う名前でしたが2000年にシャトー・ピエレムと改名し、元のシャトー・グラン・シロン・ガバショはセカンドワインのネームになっています。
まぁ、名前を改めたと言うよりもスペシャル・キュヴェを造った・・ような感じを漂わせたいのかな・・と理解しています。元のシャトー名だとせっかくリファインしても中々、目を付けて貰えない・・と言うことでしょうか。
早速、期待を込めてテイスティングしてみました。抜栓直後より深いメルロの、黒赤い果実と滅茶美しい土のアロマが「むわ~っ」と漂って来ます。
こう言う感じはむしろ、ポムロールで珍しい感じに思いますが、カスティヨン辺りの新興シャトーには感じることも有ります。
しかし、さすがポムロールのワインと言える上質さで、如何に衛星地区のワインが頑張ったところで、この質感は出せないんじゃないかと思います。
ボルドーのワインに対しては noisy もミネラリティに関して、余り言及しない場合が多いんですが、このピエレムは、その滅茶美しい土や粘土のニュアンスの中に、かなりのパーセンテージのしっかりした石灰系ミネラル感が感じられます。
ボディを感じる時、その厚いミネラリティが同時に感じられ、タンニンだけに寄っかかりがちなボルドーワインとは異質な感じです。もっとも出来の良いポムロールのワインはミネラリティは豊富ですけどね。もちろん、タンニンの質も甘く柔らかです。なので好みと言うか、飲みたいな・・と思うのかもしれませんね。
果実感も非常にしっかり有り、果皮のニュアンスが非常に濃いです。しかし甘味はほぼ無く、残糖で飲ませるワインでも在りません。ゴージャスで有り、しかししつこく無く、要素をビシバシ感じさせてくれる、かなり旨いメルロに仕上がっています。
2011年はポムロールはさほどでは無い・・普通なヴィンテージでは有りますが、しかし、この「ピエレム」にとっては、10年掛けて努力してきたことが報われたヴィンテージになったようで、例えば、ヘヴィーなファンの多いベルギーの雑誌、ヴィノ・マガジンでエクセレント・ワインに選ばれています。
色合いもまさにポムロール的な彩色で美しいですよね。今飲んでもこの美味しさは見つけやすく、さらに20年持つでしょう。良い仕上がりかと思います。生産は8000本程度ですから、入手は難しいでしょう。これからも楽しみなシャトーです。お勧めします。