
例えばソムリエになろうとか、エキスパートの試験を受けようとか・・ワインの勉強をすると必ず出てくるのが、
「フランスの五大白ワイン」
なんて、誰が決めたのか良く判らない5つの白を覚えることになります。
確かに、本当にそれが正しいので有れば、
「そりゃぁちゃんとその5つを覚えて・・やっぱり飲んでみたいよね~・・」
となる訳でして、で・・そこからがこのいつも長い話しの肝なんですが、その5つの中に、
「・・なんでこれが五大ワインのひとつなのよ!」
と理解出来ないのが有りまして・・。それが、
「シャトー・グリエ」
と言うワイン。コンドリューで造られるヴィオニエ種のワインで、しかも、独自のアペラシオンまで与えられていると言う破格の待遇なんですね。
で、何とか手に入れたシャトー・グリエを期待を大にして飲んでみますと・・
「・・何だこれ?・・」
と、非常にガッカリするような代物だったんですね。・・いや、少し前までの話しですよ。
勿論ですが、当時の輸入品質は現在の比では有りませんし、情報も確かでは有りませんでしたから、元々はそこそこポテンシャルが有り、ちゃんとは仕上がっていた可能性も有ります。そこそこに飲めるボトルも有りました。なので昔販売したことも有ります。
しかし、
「薄い、平べったい、硬い、臭い、酸が無い」
と五重苦丸出しで、
「何でこれが五大ワイン?五重苦ワインじゃないの?」
と思ったものでした。今ではかのシャトー・ラトゥールのグループが買収し、だいぶ良くなっているようですが、非常に高価なワインです。
言ってみれば、コンドリューの中のモノポールを独自のアペラシオンを持たせることで特別化したのがシャトー・グリエだとも言えますが、言っちゃえばコンドリューでしょうし、長い間、コンドリューの方が美味しかったのは事実です。
で、この「レ・レザルド」ですが、低迷期のシャトー・グリエより良く出来ているんじゃないかと思えるほどの仕上がりです。シャトー・グリエは、
「5年以内には飲まず、でも8年以内に飲め」
と言われたものですが、こちらは、
「今すぐ飲んでも良く、10年間は美味しく飲める」
と言えます。
この地のヴィオニエらしい、華やかなアロマ・・いや、節操のないものでは無いですよ・・白胡椒、蜜、パイン、洋梨等のピュアで繊細、軽やかなアロマが漂います。ナーバスにはならずに快活ですが嫌味の無い味わいです。中域がぷっくりと膨らみますが、酸の適度なしっかりさが、このワインを美しいものにしています。しかもしっかりドライです。
どうしても酸の無い白ワインはダレてしまいますが、結構にしっかりしています。この辺りに、
「レ・レザルドはプティ・コンドリュー」
と言われる由縁が有るのでしょう。
むしろ昔のネイレ・ガシェ時代のシャトー・グリエを知っていれば、重量感は控えめなので「プティ・シャトー・グリエ」と言った方が判りやすいかもしれません。構造自体を埋め尽くせないシャトー・グリエより、やや小さな構成でしっかり埋め尽くせている方が、良い印象を持って当然ですよね。
健康的で柑橘主体の美味しい白です。少し前ならジェローム・ジュレも良かったんですが、安く無いし数は貰えないしで、最近は仕入れてません。是非飲んでみてください。お勧めです!