
アルザスの中心地、コルマールからほぼ真っすぐ東に・・直線距離で20キロちょっとでカイザーシュトゥールです。緯度的にはコルマールとほとんど変わりませんから、
「コルマールの北西にあるシゴルスハイム、マルセル・ダイスのマンブールともほぼ同緯度で直線距離30キロ以内」
と言うことを考えれば、
「アルザスのピノ・ノワールに有りがちな、むわっとした濃密な味わい」
なのか、
「グラン・クリュの畑に植わったピノ・ノワールのような激エレガントなタイプ」
なのかと・・思われるかもしれません。
何せたったの20~30キロしか離れていないということは、Noisy wine の店から銀座に行くようなもの・・まぁ、車でも電車でも早くて1時間ほどは掛かってしまいますが、深い森有り、またドイツとフランスの間にはライン川が有りますから・・あ、いきなり思い出しました・・
♪♪ 男と女のあいだには 深くて暗い河がある 誰も渡れぬ河なれど...♪♪
まぁ・・そんな感じで、
「・・相当・・違う」
と思っていて良さそうです。
でも!・・

今まではそれでも良かったんですよ・・。軽やかで明るく、スイっと飲めてフレッシュに消えて行く感じで心地良いピノ・ノワールでした。
ところがこの2021年ものを飲んでみましたら・・だいぶ深みが出て来ていたんですよね・・。ちょっとビックリです。最も以前は「アイヒシュテッター・ヘレンバック」と言う名前だったんですが、単に「バーデン・トロッケン」に変更になっています。
おまけに・・
「微細な表情が有り、思った以上に美味しくなっている!」
と感じます。
まぁ・・どうでしょう、色彩もやや「黒味」が出て濃密さが目に見えるようになっていると思いますし、そこに・・
「以前から軽やかで目の細かい石灰系ミネラリティはふんだんに有った!」
ことを思えば、
「だいぶブルゴーニュに似たニュアンスになって来た!」
と言えると思います。
しかもこのワイン、ナチュール系ですから・・選択肢に入って来ないでしょうか?・・そう、思った以上に美味しさを増していますので、是非飲んでみてください。
淡く無く、濃過ぎず、12.5パーセントのアルコール分の、ブルゴーニュ系に似た味わいのシュペートブルグンダーです。ご検討くださいませ。
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【適度な濃度の軽やかで優しく、しつこくないけどちゃんと有るドイツのピノ・ノワールです!】
昨今はワインの調査?でネットを徘徊していると、以前とは少しずつ変わって来ていることに気付きました。
例えばワイン名や造り手を google などで検索してみると、上位には某大手ショッピングモールのRさんとか、Yさんとかが上位に来ているのが普通で、少し「コア」な造り手などで検索すると、ショッピングモールに入っていない個人店のサイトが検索上位に入ります。
そこまでは以前とさしては変わらないんですが、変わってきているのは・・
「自身の感性でちゃんと言葉にして説明しているサイト」
が少しずつ増えてきているんですね。
まぁ、自分のことは思いっきり棚に上げて言ってしまえば、確かにまだ青い感じの文章だったりもするんですが、中には少し驚きさえ感じるような、ちょっと鋭い視点で、しかもちゃんと本質を捉えていらっしゃると感じる内容だったりして、それがしっかりお勧め出来ているなぁ・・と思えてしまうんですね。
Rさんとか、Yさんとかのモールでは、エージェントさんの用意したテクニカルの写しがほとんどで、どんなワインかは全く判らないですし、稀にコメントが入っていても、
「なんだかな・・何を言いたいのか判らんなぁ・・」
と言う感想しか得られないことが多かった訳です。
若い方たちが自信を持って、自分の意見をしっかり・・頑張って書いているのを見て、なんとなく嬉しくなるんですね。例えそれが自身の感覚と少し離れていたとしても・・です。インターネットが始まったころは、
「これからは意見交換が簡単に出来る」
と思ったものですが、20年以上かかっちゃいましたね。ワイン屋だったらワイン屋同士で意見をぶつけ合えば良いんですけどね。それに仲間同士ではそれは出来ても、知らない方とは中々できないですよね。
このバーデンの軽やかで優しい味わいのピノ・ノワールですが、実に飲みやすいです。少し前にご案内させていただいた「モル」とかの深みまでは行かないし、「ヴァーゼンハウス」の凄いポテンシャルと並べてしまうこともできないとは思うんですが、
「この軽やかさ、飲みやすさ」
が実に良いんですね・・。気を張って望む必要も無く、でもちゃんと持つべきものは内包している・・そんな健全でピュア、ほんのりナチュラルなピノです。美味しいですよ・・
あ、そうそう・・ヴァーゼンハウスは・・世界的に物凄いことになっているようです。ドイツでも入手できないと・・ドイツ人の友人がいるお客さんから聞かされました。
「美味しかったでしょ?」
と聞くと、
「僕、買えなかったんですよ・・」
「(・・・あれだけ旨いって言ったのに・・)」
それに、エージェントの担当さんも、自分じゃ中々飲めなくて、しっかり落ち着いたヴァーゼンハウスをお客さんのところで飲ませてもらったそうですが、
「滅茶旨くてビックリ!・・感動しました・・!」
「(・・・誰よりも最初に飲んでるんだから・・しっかりポテンシャル拾わんと・・)」
まぁ、あのヴァーゼンハウスば持つニュアンスが70年台のブルゴーニュと面白いように重なることは、流石に長年、ただやってるだけではあるにせよ「年の功」が成せたものなのかもしれない・・と、却ってしんみりしてしまいました。
と言う訳で、少し前までは「淡い」をまず言わなければならなかった「ドイツのピノ」を脱却した、「淡くは無い」美味しいピノをご紹介させていただきました!
以下は以前のレヴューです。
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【超繊細、でも不足無し!エレガントなピノ・ノワールです!】
本当は夏場にご紹介したかったんですが、何度探しても飲んだ時に撮ったはずの写真が無い・・んですよ。ようやく探し出したと思ったらもう・・年末です。お陰で追加注文を出すこともなく、2015年はもう・・ラシーヌさんには有りません。noisy のところのがデッドストック、最後のワインになるでしょう。
夏前に届いておりまして、今年は滅茶暑かったですから・・この超エレガントでドライな・・繊細に織り上げられたような旨味が、ま~美味しい訳です。ちょっと経って温度が上がり始めますと、ピノの持つ野性味とか、土壌由来のミネラリティの発露なんでしょうが、これまた繊細にノーズに現れてくるんですね。
チープな自然派ワインにありがちな「飴」みたいなニュアンスは有りません。ロゼとか白とかに出やすいですが、このように色合いが強く出ない赤にも、時折感じられます。
と言っても、2015年ものはしっかりしていますよ。もう20年近く扱っているはずですが、当初はこのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)は非常に淡くて、味わいも薄くて・・
「ミュラー・トゥルガウは良いんだけどピノは・・」
と感じていました。
しかしやはり、「ちゃんと熟すことが出来た」ピノ・ノワールは、その高貴さを発揮しますよね。ベリーとチェリーな果実ですが、兎に角ドライですから、アロマの表情が非常に判りやすい・・ストレートに感じられます。
昔書いたレヴューをようやく見つけましたので・・2009年ものですね。読んでみたらほぼ同じことを書いてますが、2009年ものより当然濃度もグッと上がっています。美味しいと思います。少ないですが、是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【今までで一番の出来!旨いです... 】 ビオで、しかもドイツのピノ・ノワールです。今まで何度か扱ってますが、
「薄い・・な・・」
と云う部分が気になってしまう気持ちを隠す事は出来ませんでした。
しかし、2009年のこのピノに限っては、
「お、しっかり濃度も有る!」
と思っていただけるでしょう!
そして、何よりも嬉しいのは酸のバランスです。冷涼な、とってもいい感じの酸味には、「酸っぱさ」が突出しておらず、見事な旨みを抱いています。それに、逆浸透膜で凝縮感を演出したような、ドイツの赤に有り勝ちな「嫌らしさ」や、薄くて平板で、ロゼと間違えるような小ささは全く見当たりません。
素晴らしい仕上がりのシュペートブルグンダーだと思います。夏向きながら、小さくない、酸っぱくない、充実した味わいをしている・・・ブルゴーニュのピノにも比較対象としてもらえるような味わいです!是非ご検討ください。一推しです!