● 日本のワインをご紹介させていただきます。山形は温泉で有名ですよね・・赤湯の酒井ワイナリーさんです。
今回から Noisy wine も日本の秀逸なワイナリーを数多くご紹介させていただく運びになりました。リアルワインガイドにてコーディネート?された日本のワイナリーです。この内容につきましては、noisy 的な捉え方になりますが、
「どうしてそうなったか?」
をこのコラムの下の部分に記載させていただいておりますので、是非ご面倒でもお読みくださいませ。
少なくとも、
「ちゃんと流通、ちゃんと管理、だからちゃんと美味しい日本のワイン」
と言うことが言えると思います。
noisy も折に触れ、日本ワインを飲ませていただいており、この数年の間の激変は驚くべきものでした。勿論ですがフランスやイタリアのワインと、全く同じ土俵で比較すべきでは無かったレベルが、
「・・同じでも良い状態に物凄く近付いて来た!」
ことが感じられます。この辺はおいおい・・書かせていただきます。
酒井ワイナリーさんは明治の時代から日本でワインを造って来た老舗です。まぁ・・余り細かいことは言いませんが・・
「今の酒井ワイナリーさんのワインを飲んだらきっとビックリするはず!」
です。
とてもナチュラルですし、心地良い飲み口、不足のない果実感と酸、流れるような自然な余韻、酸化防止剤の少なさ・・などなど・・そんなことを考えなくても、
「ん~・・とっても良いんじゃない!」
と言える味わいなんですね。
各ワインについてはそれぞれのコラムでお願いいたしますが、Noisy wine のお客様には、このような選択をしていただきたいと思っています。
まずは、王冠のしてある「自然派ワインを特に意識していると思われるワイン」のラインナップと、トップカテゴリーで有ると思われる「自社畑の品種別シリーズ」のラインナップ。この2つのラインナップからご選択いただきたいと思います。
その上で、酒井ワイナリーさんのことが判ってきたら、ベースのラインナップである「まぜこぜ」シリーズの赤白を飲んでみる・・のが良いと思います。
この逆をやりますと、よく判らないと思いますよ。なので、必ずこの方法で飲むことをお薦め致します。
思った以上に・・美味しいと言っていただけるでしょう。ご検討くださいませ。
■ Real Wine Guide Coordination ■ え~・・勝手に「リアルワインガイド・コーディネーション」と名付けさせていただきました。この文章はあくまで、noisy 的な理解で書いておりますので、もしかしたらリアルワインガイド側の意図とは異なる部分があるかもしれません。すでにリアルワインガイド・コーディネーションなんて勝手な名付けもしていますし・・そこはご了承くださいませ。
リアルワインガイドが取材で日本中を駆け回っていたことは、読者の方には周知の事実かと思います。毎号多くの日本のワイナリーをご紹介してきました。その中で、
「せっかく意欲ある小さなワイナリーが増えて来たのに、このままでは日本のワインはダメになってしまう!」
と思わせる事象が多くみられた訳ですね。
地方にあるワイナリーは、地元販売と少量の直販、そしてお酒の問屋さんルートで販売されると言う実情が有ります。始めた当初より、長いお付き合いになればなるほど・・忖度して値上げできない状況に追い込まれています。今時、人件費や流通費の高い日本で、720~750MLのワインが1本1000円とか1500円で販売されている訳ですが、では、1本幾らでワイナリーから出荷されているか、を考えると、
「ワイナリーは利益を出せていない・・非常に倹しい生活をしている」
訳ですね。
ところが、そのワインを販売する側も決して利益は多くありません・・と言うか、もしまったく他に経費を掛けなくても、お客様に発送するとか、クレジットカードでの支払いとかになりますと、本当に微々たる利益になってしまう訳ですので、どうしても続きけて行くにも厳しい訳です。それは、流通費の値上がり、古い時代の利益率が影響している訳です。
また、もしワイナリー側が酸化防止剤等を極端に減らす、使用しないと言う方法を取りたいと思っても、管理できない昔ながらの酒屋さんもいらっしゃいますから・・非常に難しいことになります。
仮に消費者の皆さんがそのワインを飲みたい、探したいと思っても、中々探せないし入手できない・・のも事実です。
そのため、リアルワインガイドではワインインポーターさんとワイナリーさん、ショップのコーディネートをしたのがこの・・noisy が勝手に名付けた「リアルワインガイド・コーディネーション」です。
ワインの流通に長けたインポーターさんが入出庫、販売を管理することで、ワイナリーさんの負担を減らすことができます。そして、品質管理が出来るショップさんのみに卸すことで、品質を万全に保てる訳です。
だから、少なくともワイナリー品質でワインショップに届けられる訳で、あとはワインショップがお客様にきちんとお渡しすればよい訳ですね。
これは万々歳・・な方法では有ると思います。が、最終消費者にとってはマイナス面も有ります。それは、
「今までの価格より高くなってしまう」
訳です。
もともと値上げしたいワイナリーさんの考えが有りますが、値上げしたくとも出来なかった・・背景が有ります。そして、ワインショップも、少しでも経費を掛けると赤字になってしまうような利益率では、販促も出来ない訳ですから、利益率のアップを要求したかった訳です。
これ・・もし実情と言うか、実際の利益率をお客様が聞いたら・・ビックリすると思いますよ。それで良くやって行けてたね・・と。
なので、日本ワインの全国流通を完全な管理のもとに出来るようにした・・と言う点において、明るい未来が開けて来たようにも思います。価格的には消費者の皆さんにはややの値上げになってしまうことをお詫びいたします。しかし、
「この先もどんどん素晴らしい日本ワインが生まれ、成長して行くために必要なこと」
だと認識していただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
■酒井ワイナリー

酒井家十六代目当主酒井 弥惣(さかい やそう)氏は、1864年(元治元年)赤湯村に生まれました。1887年(明治20年)に赤湯鳥上坂にぶどう園を開墾。1892年(明治25年)ブドウ酒の醸造業に着手しました。帝国大学農科大学の古在 由直(こざい よしなお)先生に教えを乞いますが、その当時の味覚に合わず見よう見まねの独学でブドウ酒醸造をしていました。
1908年(明治41年)から1924年(大正13年)まで赤湯町長を務め、その間の仕事を「記憶のまま」「返り見る老後」などの自伝に残しています。
ブドウ酒醸造業は、大変な苦労の中で続けました。戦争中は女手や年寄りなどの手で、そして戦後は日本酒ブームの中、細々と家業を続けます。それでもワインは必ず売れる時代が来ると信じていたからです。
その後、四代目又平氏に後継されると、ようやく時代はワインへと移り変わっていきます。そして2004年(平成16年)酒井家二十代目当主、ワイナリーとしては五代目となる酒井 一平氏に代替わりし、現在に至ります。
「順境不誇」「悲境不屈」が代々の家訓で驕ることなく屈することなく、今出来ることを精一杯励んでいるワイナリーです。
【赤湯の酒井ワイナリーさんのベースのワイン、「まぜこぜ」!・・ナチュラルで優しい雰囲気が伝わって来ます。】

ふんわりと滑らかで優しく、ピュアながらもナチュラルさの感じられるベースのキュヴェです。全く甘く無く、糖分に寄り掛からない造りです。おそらくですが、上級キュヴェに使われなかったものを中心に、良い感じになるようにブレンドしたもの・・と言うことになろうかと思います。
で、この赤も白も、中々の出来では有るんですが、やはり主張が少ない分、捉えどころのない感じに受け取られてしまうんですね。
いや、ナチュラルだし、スイスイ飲めて美味しさが優しく返って来る感じなので、それはそれで良いと思います。
しかしながらもし今、海外のワインに慣れた方がいきなりこの「まぜこぜ」を飲まれたとしたら・・
「やっぱり・・ね。」
と思ってしまうに違い無いです。良い部分を認めるにしても、
「不足感が何となくどこかにある・・」
と感じてしまうんじゃないでしょうか。

しかしですよ、これ・・上級キュヴェを飲んでから、この「まぜこぜ」に戻って来て飲んだとしたらどうでしょう?
noisy は実際にやってますんで・・はい。とてもSo2の少ない、優しい味わいなんですね。これ、ハッキリ言って、もっとSo2を使った方が、味わいはハッキリします。判りやすいです。
でもそうしたくない・・する必要が無い・・と言うことでしょう?・・わざわざSo2 を多量に使用することは無いんですね。
で、もし・・例えばバーダップとか、小姫さんとかを飲んだ数日後に、またこの「まぜこぜ」を飲まれたとしたら・・
「ん~・・身体にも優しいにクイクイ飲めて優しい旨味やアロマが返って来る良いワインだね~・・」
となるに違いないんですね。
なので、日本のワインに慣れていない方や、noisy でブルゴーニュをガンガン買って呑まれていらっしゃる方・・(^^;;
そのような方は、必ずや上級キュヴェからこの「まぜこぜ」に戻ってくださいね。Noisy の言っている意味も、美味しさも、きっと良く判ると思います。
味わいの方ですが、何と言いますか・・白はバーダップを格下げした感じ、赤はマスカット・ベイリーA・ブラック・クイーンを緩くした感じ・・です。密度も違いますが、造り手の意識は同じ方向を向いています。
コンディションが良いので、それだけでも巷で販売されているものより美味しいはずです・・と言うか、量販店にも並ぶ可能性は有りますが、これほど純な味わいには出会えないでしょう。ご検討くださいませ!
【淡い色合いからエキス濃度がしっかり感じられるエレガント系のナチュラル・ルージュ!・・まるで優しいピノのような心地良さです。】

いや~・・美しいですね~・・淡くて、ほんのり「ナトリウム」が目に見えるような「ふんわり感」が漂っているように見えます・・いや、noisy 的な主観だけの話しですけどね。
例えば、コルトンの白・・シャルルマーニュなどもそうですが、白い細かな石灰(チョーク)が感じられるときは、ナトリウムっぽいとは思わないんですよね。
「カルシウム系だな・・」
と思ってしまう・・理系じゃないんですけどね。カリっとしてるとカリウムとか・・(^^;;
例えば、ディディエ・ダグノーのシレックス・・透明感が有ってクリスタルを思い浮かべるようなツヤツヤした感じ・・
「ケイ素系かな・・」
などと感じてしまいます。
勿論、その両方を感じることも有ります。が、その中間・・決してその両方を同時に感じている訳じゃ無くて、白くてほんのり透明でフカフカしていて、カルシウムだ、ケイ素だ、と感じるよりもやや「粗」な感じだと、
「ナトリウム系かな?・・」
と感じる場合が多いように思います。あくまで自身を自分で分析した結果ですので・・はい。
ナトリウム系かな?・・と感じる場合は、結構、最近ワインを造り出した産地のことが多いように思います。フランスの名産地はもう、相当以前からワインを造っているでしょう。イタリアでも、ピエモンテ辺りは昔から・・でも寒かったアルト=アディージェとか、国境辺りの産地のワインには、やや「しょっぱい」と感じる位の塩味とナトリウム、カリウムを感じる場合も多いように思います。
塩分は、植物が水分と一緒に僅かずつ吸い上げ取り込まれてゆきますから、大地の塩分は多すぎると植物が育たないが、多過ぎなければ植物が除去してくれるんじゃないかと・・思ってます。違うかもしれません。
で、このバーダップ赤ですが、印象は穏やかなピノ・ノワールそのもの・・です。穏やかなナトリウム的ミネラリティがたっぷり入っている感じです。やはり「オーヴェルニュ」的でも有りますし、最近だと「ヴァーゼンハウス」「ジュリア・バートラム」「エンデルレ・ウント・モル」などのドイツ系のピノの味わいにも似ているでしょうか。
ふんわりとナチュラルでピュア、ベリー系の果実に・・旨味の出汁味が日本的で有るのも、ドイツの上記生産者に似ているように思います。是非飲んでみてください!お勧めします!
【ナチュラル&ピュアなジャパニーズ・ハイポテンシャル・アリゴテ?!高級感も感じられる抑揚ある味わいが見事です!】

以前はおそらく2000円で販売されていたことを思うと、バリックも使って長い熟成で、コストの高い日本の資材や流通を考えると、とにかく「厳しさ」だけが募って来てしまいます。
因みに今、Noisy wine でワインを12本、東京のお客様にお送りするとなりますと1600円ほど掛かります。クールでは9本位までしか送れず、2000円ほど掛かります。なのでその数量ですと、どちらにしてもお客様から600円の送料をいただいたとしても1000円以上の負担をしている現状です。
ですのでワインの出荷だけみても2千円そこそこでワイナリーの顔たるシリーズをリリースしなくてはならないのは・・厳しい訳で、でも値上げをしたくても古くからのお取引を考えると踏み切れないでいた・・訳ですね。なので、適切な値上げは行われなくてはいけないし、それが品質アップにも、業界の健全化にもなると思っています。その上で、品質的にも価格的にも、妥当な競争が行われるのが資本主義社会、自由な社会だと思います。
この「甲州」ですが、そのハツラツとした小気味良い「酸」に特徴が有りますよね。それをステンで発酵、樽で熟成を掛けたものです。
イメージ的にはフランスのアリゴテでしょうか。それも昨今流行りの「高級アリゴテ」に近い感じです。最も「新樽バリバリ」な感じでは無くて、非常に穏やかに樽が掛かっているイメージで、飲んでいて「樽」を強く意識することは有りません。
それでもハッキリした酸が滑らかになりつつ、でもその酸の持っている美味しさを損なわない・・絶妙のレベルで仕上げています。
「小姫さん」や「バーダップ」などのSo2無添加、少量のみ添加の自然派を意識したシリーズよりは、僅かにナチュラル度は下がりますが、その分、非常に健全でアヴァンギャルドの「ア」の字も感じられないものの、
「So2の少なさ、身体への優しさ」を感じる、非常にクレバーな仕上がりだと思います。
これを飲めば、
「お~・・日本のワインの味わいだけれど・・相当旨いな!」
と、今までの自身の日本のワインに対するイメージ、もしくは酒井ワイナリーさんに対するイメージが大きく変わるんじゃないかと思います。良い出来です。是非飲んでみて下さい!お勧めします!