● ピエモンテの新しい生産者さんをご紹介させていただきます。ナチュールです。
ですが「美しさを失わない系」でして、揮発酸がバリバリでワインだかお酢だか判らないような「イケイケ系ナチュール」では有りません。非常に精緻でピュア・・良い感じでクイクイっと行けるけれど、実はかなり充実していると言う、願っても無い造り手さんです。
そしてピエモンテですがモンフェッラート・・ニッツァです。タンニンの出易いピエモンテワインですが、柔らかくて優しいですから、これまた良い感じの果実感の飲み心地が有ります。デイリーにも良いですが実はしっかりしているので、ポテンシャルを取りに行く飲み方も出来るんですね。是非飲んでみてください。
■ アスティの南でエレガントなバルベーラを造る新たなナチュラルワイナリー
◆ カーゼ・コリーニとトリンケーロに憧れてワイン造りに転身
ランゲとは異なり、エレガントで酸のあるバルベーラが生まれるアスティ地区。この地の巨匠と言えばカーゼ・コリーニとトリンケーロですが、この二人に憧れてワインの造り手に転身した人物がいます。2017 年にSETTE セッテを設立したジノ・デラ・ポルタです。それまで、レ・ボンチエやカッペッラーノ、マルコ・サーラ、イ・マンドルリなどの小さなナチュールの造り手のコンサルタントとして働いてきたジノは、ある日、ニッツァ・モンフェッラートにあるブドウ畑を見て一目で恋に落ち、購入を決断。ナチュラルワイン造りに乗り出したのです。セッテでは、ナチュラルワインでも、揮発酸が高かったり、過度の酸化といったオフのない、テロワールを表現した“ファインワイン”を造っています。

◆ ドライ・モスカートにも挑戦し、ヨーロッパで人気沸騰
樹齢80 年にも達する素晴らしいバルベーラが主体のセッテの畑は、ビオディナミとアグロフォレスティエールを導入して栽培が行われています。セッテでは、ナチュラルワインでも、揮発酸が高かったり、過度の酸化といったオフのない、テロワールを表現した“ファインワイン”のバルベーラを造っています。エツィオ・チェッルーティとも交流があるため、辛口のモスカート造りにも挑戦しています。セッテのワインは、エチケットもアーティスティックで、デビューと同時にヨーロッパで人気が沸騰。今、アスティでも最もホットなナチュラルワイナリーの日本上陸です。
Sette セッテは2017 年にGino della Porta ジノ・デラ・ポルタによって、Nizza Monferrato ニッツァ・モンフェッラートに設立されたナチュラルワイナリーです。ジノは1973 年にローマ北部の小さな村で生まれました。両親が4.5ha のブドウ畑を所有して、農薬を使わずにブドウを栽培していました。ブドウは全て地元の他の生産者に売っていましたが、自家消費用のために少量のワインを造っていました。
そのワインは醸造添加物を使わない、今で言う「ナチュラルワイン」でした。このため、ジノは子供の頃から自然とナチュラルワインに触れ合う環境に育ったのです。しかし、1999 年に父が逝去。実家から遠く離れた場所に住んでいたジノは、やむなくブドウ畑は売却してしまったのです。大学で現代文学を学んだジノは、2003 年までピサでコミック・ショップを経営していました。その後、小さなナチュールの造り手のワインのマーケティングとブランディングの会社を設立。レ・ボンチエやカッペッラーノ、マルコ・サーラ、イ・マンドルリなどのコンサルタントとして活躍していました。しかし、2017 年のある日、ニッツァ・モンフェッラートを訪れたジノは、あるブドウ畑を見て一目で恋に落ちたのです。その畑は、丘陵の南斜面に位置し、樹齢25 年から80 年に達するバルベーラ主体の素晴らしい畑でした。
この時、ジノは天啓に打たれたように、⾧年、他のワイナリーのために働いてきましたが、自分自身でブドウを栽培してナチュラルワインを造るのに適切な時が来たと感じたそうです。
こうして、ジノは友人であり、共同経営者であるジャンルカ・コロンボ(バローロで自身のワイナリー経営)とともに、セッテを設立したのです。セッテはジノの中で湧き上がってきた創造的なプロジェクトです。新しい道を探検すること、新しい挑戦への興奮、そして新しい場所で自然と地球に貢献したいという願望から生まれました。
ワイナリー名のSette セッテ(イタリア語で数字の7 を意味する単語)は、錬金術の用語に由来しています。セッテとは「創造的な人」を意味します。到達したい目標、新しいプロ
ジェクトをあったら、すぐに行動したくなってしまう人のことです。ジノ・デラ・ポルタとジャンルカ・コロンボの二人はまさにこのような性格でした。二人は生来の好奇心に動かされて、セッテを設立して新しいチャレンジを始めたのです。また、錬金術におけるセッテには父も母もいません。このため、地元の人達のように家族から継承した伝統もありません。二人は誰にも、地元の慣習にもとらわれず、自由に自分達の道を歩んでいるのです。
セッテでは、2017 年に実験的に醸造を行った後、完全経営の初年度である2018 年からビオロジックで栽培を行っています。土壌の浄化と再生を助けるために畑にはアブラナ科の植物を植えました。さらに、土壌の複雑さと活力の増大を促し、侵食の防止にも取り組んでいます。2020 年からはビオディナミも導入しました。セッテのブドウ畑は、この地域では数軒程度しかない、背の高い樹木と果物の木がある希少なブドウ畑です。将来的には、このようなアグロフォレスティエールの植生を増やし、ブドウ畑に40 種類以上の地元の果物や背の高い木を植える計画です。栽培面積は7 ヘクタールで、17 の細かい区画に分かれています。栽培品種はバルベーラがメイン( 5.2ha ) 、その他に、モスカート(0.675ha)、グリニョリーニョ(0.45ha)、シラー(0.3ha)、カベルネ・ソーヴィニョン(0.3ha)、アルネイス(0.075ha)を少しずつ栽培しています。
そもそも、ジノはバルベーラに深い愛着を持っていました。なぜなら、彼が自分自身でワイン造りをしたいと初めて感じたのは、トリンケーロのヴィーニャ・デル・ノーチェを味わって感銘を受けた時のことだったからです。現在のセッテの畑を購入したのも、畑のバルベーラの美しさに惹かれたからでした。もちろん、ヴィーニャ・デル・ノーチェとセッテの畑とは、テロワールもワインの個性も異なりますが、ジノは、トリンケーロのヴィーニャ・デル・ノーチェと、そしてカーゼ・コリーニのバルベーラが、ピエモンテで造られる最上のバルベーラであると考えています。そして今でも二人を尊敬してワイン造りをしています。
ニッツァ・モンフェッラートは非常にユニークなテロワールで、ランゲよりもエレガントで酸と深みがあるバルベーラが生まれると言われています。セッテの畑はDOCG Nizza 域内にあるため、バルベーラで造る赤ワインは全てニッツアでリリースすることができますが、セッテでは畑の最上のバルベーラの区画から造られるキュヴェのみをニッツアでリリースし、その他のキュヴェは格下げして、バルベーラ・ダスティとしてリリースしています。
また、若木のブドウはロゼに仕立てたり、エントリー・レンジのキュヴェにブレンドしています。ジノは、モスカートの名手エツィオ・チェッルーティとも交流があり、友人だそうです。彼のドライ・モスカートが大好きで、自分でもドライ・モスカートを造りたかったジノは、醸造について彼に教えを受けに行ったそうです。また、セッテの共同経営者であるジャンルカ・コロンボは、大学時代にロレンゾ・コリノ氏と一緒に共同で論文を執筆した間柄だそうです。セッテが目指しているのはナチュラルワインでも、揮発酸が高かったり、過度の酸化といったオフのない、テロワールを表現したファインワインです。現在生産しているキュヴェは全部で7 種類。若木のブドウからリッターボトルのヴァン・ド・ソワフも造っています。セッテのワインは、エチケットもアーティスティックで、デビューと同時にヨーロッパで人気が爆発。デンマーク、スウェーデン、オランダ、ドイツ、フランス、ベルギー、オーストラリアなどに輸出されています。ヴァン・ド・ソワフの2 種類のキュヴェ以外のエチケットは、ジノの友人であるアーティストArianna Vairo アリアンナ・ヴァイロによって、ジノの人生のインスピレーションである水をモチーフに描かれています。バルベーラとニッツアには、水の中にある7 つの石が、その他のキュヴェには海の生物が描かれています。
【新興D.O.C.G.のニッツァ!・・ここまで美味しいとビックリします。エキス系の深く柔らか、しなやかなバルベーラの味わいです!】

そもそもモンフェッラートのワインは、バローロ、バルバレスコには中々追いつかず・・3番手、4番手グループに入っているかどうかも不明な産地でした。味わいの傾向も時代がそうさせたのか・・
「バローロ、バルバレスコ風の重厚長大を目指したため、そのエレガント系のバランスを崩していると思われるワイン」
や、
「どこか薄い・・淡い・・と感じさせてしまう実力不足の味わい」
のどちらかだったような気がします。
ですが今や・・そんな重厚長大は「却って受けない」時代です。産地の特色を生かした味わいに持って行かなければ、どこか無理の有る味わいだと思われてしまうと思うんですね。ブルゴーニュワインが良い例です。1990年代の濃い、力に任せた遅熟の葡萄の味わいは、今や絶滅していると言え、本来のエレガントな味わいの中にポテンシャルのある表情を見出してもらう・・そんな風になっていると思います。
それに気候も味方しているんじゃないでしょうか。ブルゴーニュでも今や、昔の超エレガントなブルゴーニュワインの味わいは再現できず、かと言って今の・・いつ飲んでも美味しいブルゴーニュワインも素晴らしいですが、
「これ以上気温が上がるとどうなってしまうのか?」
と言うような懸念さえあると思うんですね。
で、この日陰の存在だったモンフェッラートは、やはり気候的にネガティヴさが有ったと思います。ところが現状は、その積算温度がしっかり得られるようになって来たので・・ある意味、
「こんなに美味しいワインが生まれて来た!」
のかもしれないと思っています。勿論ですが、ジーノさんの力量によるところです。

バルベーラ・ダルバよりも見た目でもう・・より素晴らしいと感じさせてくれる外観です。
どこから見てもブルゴーニュ・・みたいな色調に見えてしまいますが、しっかりエキス系の複雑さばっちりな、しかも、ナチュール感もたっぷり漂いながらピュアな味わいです。
果実感も果実果実しているだけでは無く、その果実も実に精緻でピュアです。黒味掛かったチェリーや凝縮したベリー、しかし軽やかにフィネスたっぷりの味わいです。力一杯に何かをされた・・と言うような、人為的な部分が無く、すいっと・・身体に馴染んで膨らんでくれます。心地良いとしか言いようの無いバルベーラでした。
まぁ・・Noisy wine はブルゴーニュワインファンの方が非常に多いので、イタリアワインをご紹介すると・・新着は静かです・・(^^;; noisy も、リアルワインガイド発刊当時はブルゴーニュ担当、しばらくしてからRWGがイタリア特集をやるから・・と言うことでブルゴーニュ担当を外されてイタリアワイン担当に、でもイタリアワインをやっても反応が少ない・・と言うことでイタリア特集は止めることになり、自然派担当に鞍替え・・今に至っています。まぁ・・最近は忙し過ぎてR.W.G.のテイスティングには参加出来ていないとは言え、まあ良く続いたとも・・(^^;; 思っていますが、
「イタリアワインだからって noisy らしさは消えない!」
と思うんですね。
ゴツゴツしたテクスチュアの悪いワインは余り好きでは無い・・と言うか、なんでそんな風になったのか?・・なっているのか?・・と想像をします。ブルゴーニュワインも同様・・
「なんでこんなにxxxxなの?」
と・・。良きにつけ、悪しきにつけですね。
ですから、このように美しい味わいを見せる新しい生産者さんに出会うと嬉しくなってしまいます。だからそれをお客様にご紹介できる・・そんな流れなんです。ですから、
「ブルゴーニュワイン大好きな人にも飲んで欲しい見事な味わい!」
とご紹介したいと思います。是非飲んでみてください。お勧めします!
【しなやかでナチュラル!・・柔らかなエキス系の味わいです!決して濃く無い・・タンニンも前に出ない、見事なバランスです。】

Noisy wine ではド定番だったルチアーノ・サンドローネのバルベーラも、まぁ・・価格上昇で結構な値上がりをしています。
サンドローネのバルベーラ・ダルバは皆さまには受け入れられた濃い目のピュアな味わいですが、こちらはバルベーラ・ダスティ。しっかり目のダルバにエレガント系のダスティ・・と思っていれば、そうはかけ離れていないと思います。
アルターレのバルベーラも美味しかったですよね。深~い味わいで、豊かさを感じさせてくれる果実のワインでした。
で、こちらのジーノさんのバルベーラですが、
「ん・・美しい!・・エキス系のバルベーラ!」
と思わず言葉が出てくるような味わいです。ふんわりとしていますがナチュールでも危険性ゼロの美しい味わいです。
アルターレにしてもサンドローネにしても、このジーノさんのバルベーラ・ダルバのようなエキス系の味わいでは有りません。言ってみれば前者は熟成前のボルドー的テクスチュア・・ややゴツゴツっとした感じです。後者はそんなテクスチュアでは無く、流れて行くような美しい感じ・・まぁ、ブルゴーニュワインでしょうか。

色合いも決して濃くは無いですよね。赤さ、やや淡い紫がきっちり感じられます。
一番価格の安い・・と言っても3/4換算で・・ですが、1000MLのボトルのものと比較しますと、
「かなりの質の違い」
を感じます。
いや、あれはあれでとてもおいしいんですが、こちらはかなりの古木だと思います。それをどちらかと言いますと、
「さらっ」
と・・弱い抽出でエレガントさを出している感じかと思います。
ですので飲み飽きせず、果実だけに留まらず、様々な要素を含んだ味わいのバランスになっていますし、
「押してくる味わいが長い!」
ですから、相当楽しめると思います。
また、最近になってモンフェッラートから独立したD.O.C.G.になった「ニッツァ」との違いも面白いですよ。価格も若干ニッツァの方が高いですが、樹齢や畑の素性が良いのか熟成年数の差か、ニッツァのポテンシャルが上回っていると思います。
で、こちらはブルゴーニュ系のエレガントな味わいがお好きな方にお勧めします。是非飲んでみてください。
【ナチュールさをピュアさが包み込んだような、でもしっとりとした赤黒果実が美味しい・・1リットルサイズのリーズナブルワインです!】

こちらも1000MLのボトルですので、
「四分の三すると2500円以下?」
位の価格になりますよね。
そうしますと・・
「ナチュール系では最安値?」
に近い価格です。
最近はもう・・船は遅れてまともに着かないし運賃は高い、ボトルもコルクもキャプスュルも資材不足、梱包用の段ボールも爆上がり・・ですから、ワイナリーも大変なことになっているはずです。まぁ・・船代を出すのは購入する方では有りますが、
「資材が購入できない」
のは死活問題です。
そんな中、
「危険性のある味わいのワインは如何に自然派だとしても造らない」
と言う一本、筋の通ったビオ系の生産者さんが生まれています。このジーノさんの「セッテ」もそうです。リーズナブルなのにクオリティは相当高いと判断しています。

因みに「セッテ」って・・イタリア語の「7」ですよね?エチケッタの右隅に「7」と書いて有りまして、「Sette」とはクレジットしていません。
色合いをご覧いただけますとお判りいただけるはずですが、
「非常にピュアさがにじみ出てくる照りの有る色彩」
をしています。これがもし「揮発酸バリバリ」になりますと、色彩も浸食されて・・特にエッジを見るとすぐに判ります。・・もっとも、香りを嗅げばすぐに判るとも思いますが、意外や意外、
「・・揮発酸の匂い・味わいって・・判らないんですけど・・」
とおっしゃる方はそれなりにいらっしゃいます。・・良いんです・・気にならないならそれで・・(^^
バルベーラにシラー、カベルネを加えたセパージュを、一緒に混ぜて醸造したそうです。
「・・重そう・・」
と思われるかもしれませんが・・全然そんなことは無いです。かと言って・・軽ん軽んでは有り得ません。実に心憎い感じの重量感です。
で、綺麗ですし滑らかですし、果実感も充分に在ってスイスイっ・・スルスルっと飲めてしまう訳ですよ。ピュアな果実感の中に・・奥にナチュラル感が潜む感じ。なので、
「ん・・デイリー!」
と一瞬思う訳ですが、・・その後に・・
「ん?・・待てよ・・?」
と思うはずでして・・まぁ、このジーノさんのワインはこればかりでしたから・・。
そう・・樹齢の若い樹からの葡萄とのことですが、いや~・・それだけじゃないだろ?・・と突っ込みたくなってしまう位、後を引く、一見ピュアだけな味わいの果実感の中の複雑さを発見することになると思います。
素晴らしくリーズナブルです。是非飲んでみてください。お勧めします。
【激繊細系ドライ・モスカート!・・心底素晴らしい、クエスト・エ・イル・ヴィノ・ビアンコをさらに優美にしたような見事な味わいです!】

ん~・・モスカートに心を持って行かれるとは思わなかったのでちょっと驚いています。
まぁ・・凄いシャルドネとかソーヴィニヨン・ブランとかを飲んだ時の感覚とはまた違う感じでして、どちらかと言いますと、
「知らなかった世界を覗いて素晴らしいと感じた時の感覚」
に近いです。
そもそもモスカート90%にアルネイス10%を加えた2021 クエスト・エ・イル・ヴィノ・ビアンコ が劇的に美味しくて、飲み進めるに連れてどんどん「セッテ」の世界に連れていかれてしまう訳ですが、このヴィノ・ビアンコ・・
「カツオノエボシ?・・エチケットにクラゲって・・何・・」
と言うのは置いておくにせよ、
「自身の持っている既取得の感覚外の部分をも揺らされる!」
と言うようなその初めてに近い感覚が、実はとても素晴らしいものだと認識するまでの時間の長さの中に、結構に物凄い自身と脳との会話???を求められたような気がするんですね。
例えばアルザスのミュスカもそう・・。まぁ・・同じ品種ですが・・(^^;;

アルザスの素晴らしいミュスカに出会った時、その深い味わいを持った繊細さに驚く訳です。
しかしながらこのジーノさんのモスカートは、どんなに素晴らしいビオ系生産者さんのミュスカよりもナチュラルで、しかもまったく危険性の無い・・見事な味わいをしていました。・・いや、勿論ですがまだまだ「伸びしろ」が大きいですから、時間の経過とともにさらなる世界を見せつけてくれるのも間違い在りません。
まぁ・・ビオ系の生産者さんのミュスカで・・とことんナチュラルに振ったワインと言うのは、
「危険性ゼロ=結果論」
であってかなりの場合、結構に揮発酸を含み、それが有る程度の収まりを見せるまでの時間・・数年間でしょうか、一体となった姿を見せてくれることは無いんですね。
ですがこちらは・・すでに一体です。僅かなSo2は使用しているのでしょうが、非常にナチュラル感が有りつつの・・安心感、ゆとり・・が有ります。
ですので、
「どうしてもSo2の使用が許せない!」
と思われる方以外は・・(^^;; 飲んでみるべきじゃないでしょうか。
甘みに逃げず、ふっくらと柔らかいテクスチュアと劇的に繊細な表情・・これは経験していただきたい見事な味わいです。ご検討くださいませ。
【ちょっと驚かれるでしょう・・「こんなに美味しいドライなモスカートが有ったんだ!」と。】

甘さをたっぷり感じさせるスティルや、やや強めの甘みを残した泡ものはポピュラーですから、モスカート主体、モスカートオンリーのそれらは、きっと一度は飲まれたことが有るでしょう?・・と言いますか、そもそも・・
「モスカートは女子受けが良いよね~・・俺は飲まないけど!」
とおっしゃる方がほとんどのはず。
「泡ものもシャンパーニュやクレマンなら良いけど、イタリアのモスカートじゃ・・なぁ・・手が伸びないよなぁ・・」
となってしまうと思います。
ですが・・このセッテの「クエスト・エ・イル・ヴィノ・ビアンコ」..飲んだら驚かれると思いますよ・・だって・・
「滅茶旨い!」
んですから。
そもそもドライなモスカート、モスカート主体のワインは甘いものに比較すると多くは無いものの、それなりに存在しています。でも・・結構にイマイチなものが多いんですよ~・・。だからワイン屋さんとしても敢えてそこは手を拡げない・・売り辛いですからね。

ロエロの柑橘を感じさせるアルネイスもお飲みになられた方も多いかと思いますが、モスカートに10パーセントのアルネイスを加えたセパージュになっています。アルネイスはちょっと「むっちり」とした表面張力を感じさせてくれる場合が多いと思いますが、柑橘果実の果皮のニュアンスとともに、わずかにこのワインにフレーヴァーを添えています。
開けたては・・
「・・おっ・・ドライなモスカートにしちゃぁ・・上出来じゃん?」
みたいな感触でした。ですが、そこにビオ由来の柔らかな厚みが存在しています。ドライ系のモスカートは結構にぺったんこになってしまっている・・平板な味わい、感触がほとんどでしょう?
で・・5分もしますと・・そこから実に良い感じの複雑性と共に、さらなる膨らみと、果実だけに頼らない見事な味わい、バランスを見せてくれるんですよ。
しかもこれ・・1000MLなんですね。なので、
「ちょっと飲み足りない」
とか、
「翌日に残してポテンシャルを取りに行ける」
ことも可能です。
さらには・・セッテのジーノさんはSo2 は使う人なのかな?・・と思いますが、その量は本当に僅かなようでして、飲んだ後の身体の軽さが特徴的です。
飲み飽きしない、デイリー感覚なのに・・実はかなり凄い!・・と言うのが noisy の印象。これはみっけもんだと思います。
まぁ・・
「それでも言うたかて・・モスカートでしょ?」
と思われる方はスルーで結構・・でも、
「リーズナブルで美味しい・・そして造り手の世界観が伝わってくるような深みのある味わいのワインが欲しい!」
そんな方は必飲だと思います。目から鱗のドライ・モスカート(主体!)。飲んでみてください。数は有りません。