● 「フランスのへそ」オーヴェルニュから、新しい生産者さんをご紹介させていただきます。ビオディナミを実践し、使用するSO2はごく僅かながら、決してアヴァンギャルドには陥らない、「ピュア&ナチュラル」な高質ワインを生産していると判断します。
オーヴェルニュと言いますと・・超有名どころは今はポエール・ボージェでしょうか。人により、ヴァンサン・トリコとかド・ペイラなどが思い浮かぶと思います。それらはミネラリティはたっぷり有って、その組成と土壌、天候の性でしょうか・・酸は緩めでコアは比較ぼんやり・・(すみません・・正直なもので・・)、スイスイと飲み易いかな・・と思いますが、
「オーヴェルニュのワインと言うと・・優しく飲み易いワイン」
と言うようなイメージがあるかと思うんですね。
まぁ、例外や受け取り方の違いは在るかもしれません・・が、このサン=プルサンはオーヴェルニュと言いましても北の方に寄った場所にありまして、そんな「優しく緩めの味わい」では・・全く無い、美しい酸とミネラリティを深く高質に繊細なディテールで見せてくれる本格派?な味わいをしています。
ですので、ブルゴーニュ辺りのワインとの比較にも耐えうる見事な味わいです。ちょっとビックリしました。この辺りでもこれだけの高質なワインが出来る・・それを知っただけも儲けものでした!是非ご検討くださいませ。

Terre de ROA(テール・ド・ロア)。その名前にはビオロジック栽培を遂行する信念が含まれています。
Terre de ROAは2009年にEcocert認証を取得した、このA.O.C.サン・プルサンでの有機栽培のパイオニア的な存在です。Claudin(クロディーヌ)と夫Luc Tisserand(リュック・ティスラン)、その娘Loren(ロレン)は、Monetay sur Allier(モネテ・シュール・アリエ)とBresnay(ブリネ)のコミューンに現在11ヘクタールの畑を管理しています。
前者の砂質土壌は果実に表現力を与え、後者の花崗岩質土壌はテロワールのミネラルを優勢に描きます。私たちはヴィニュロンとして、多様なブドウ品種を選択しました。シャルドネ、ガメイ、ピノ・ノワール、ロワール渓谷で一般的なブドウです。Tressallier(トレサリエ)はこのアペラシオン、サン=プルサン固有の特別なブドウなのです。
キュヴェ・リュネール、キュヴェ・ソレイユ…私たちのワインの名前は環境と自然のサイクルを尊重して造られているということを思い出させてくれます。ブドウ畑において、リュックは化学肥料、農薬、殺菌剤、除草剤を禁じています。ボルドー液のみ、丁寧に散布してブドウの樹を護ります。野菜で造る堆肥を畑に与えます。土中の微生物の活動を豊かにして生態系の多様性を促進すると共に土中を空気を取り込むために畝ごとに管理して交互に草刈りを行います。
私たちは持続可能なアプローチとして畑だけではなくセラー建築の材料、木材、麻と石灰のレンガ、レンガの詰め物や石膏まですべて選択しました。そのセラーでワイン造りは可能な限り自然のリズムに沿って行います。発酵は培養酵母を添加せず、古来からの方法で行います。ごくわずかな硫黄だけが控えめに加えられるのみです。

Monetay sur Allier(モネテ・シュール・アリテ)にある区画は9ヘクタール、古代ブルボネの砂質土壌です。ワインは果実味と鮮度を表現します。もうひとつの区画はBresnay(ブリネ)にある2ヘクタールの区画で花崗岩土壌にあり、このテロワールの全ての力をワインに与えてくれます。この二つのテロワールのおかげでキュヴェに応じた表現が出来るのです。
私たちの畑のブドウ品種は赤とロゼの場合、ガメイとピノ・ノワール、白の場合はシャルドネとトレサリエです。トレサリエはA.O.C.サン=プルサン特有の品種であり、私たちの白ワインになくてはならない典型です。
ヴィニュロンたちが忘却から守ることが出来た古代のブドウです。私たちの畑は1年ごとに交互の畝を処理しています。働いていない畝は自然のまま草に覆われています。ブドウの樹には一切の化学合成的な処理を施しません。銅と硫黄を含むボルドー液は的を絞ってホメオパシーの考えに基づいて投与します。植物と海藻の堆肥がそれを媒介します。
私たちはビオディナミの実践を通じて栽培と醸造をすることで生態系の多様性を尊重しています。醸造はそのヴィンテージの個性に応じて最小限の介入となります。また亜硫酸の添加には非常に注意を払っており、ヴィンテージによりますが最大でもフリーSO2は15㎎/Lを越えることはありません。発酵は培養酵母を用いず固有の天然酵母を使用して行います。可能な限り最も自然に寄り添ったワイン造り、それが私たちの目標なのです。
【超絶に質の良いガメに、さらにエレガントな美しさを加えるピノ・ノワール!これは滅茶美味しいです!】

少しオーバーな物言いを許していただけるとするならば、
「マルセル・ラピエールの珠玉のキュヴェ・マルセル・ラピエール並みの質感!」
を感じさせてくれるのがこれ・・ミスティークです。飲んだ瞬間に「ビビビッ!」と・・お~・・キュヴェ・マルセル・ラピエール!・・が脳裏に浮かびました。もう中盤まではそっくり・・です。
終盤から余韻に掛けては、ピノ・ノワールの繊細で美しい余韻が、キュヴェ・マルセル・ラピエールの若い時にみせる「モルゴンらしい・・重みあるガメの押し」をかき分けて感じさせてくれるのがこのワインの特徴かと・・。
濃密な色合いですよね?。・・滅茶良い感じです。充実した色の濃いチェリーは濃密なアロマと、ドライながらも濃密なエキスゆえの「甘美な味わい」が、チェリーな美味しさを感じさせてくれます。

それでいて、決して・・
「・・ちょっと濃いなぁ・・」
などとは感じないと思うんですね。
オーヴェルニュの、やや軽いながらも一面に敷き詰められたようなナトリウムっぽいミネラリティとは・・全く異なる、むしろブルゴーニュ的な「カリっと」した・・(^^;; だからカリウムっぽい・・(あくまでnoisy的な感覚の話しですが・・)ミネラリティが豊富にあり、また酸バランスもほぼ真ん丸でして・・なので、
「ブルゴーニュ的な美味しさ!」
を感じさせてくれます。
まぁ、もしピエール・ボージェ的、ヴァンサン・トリコ的なオーヴェルニュらしい美味しさをこのワインに求めるのは間違いです。むしろ、
「オーヴェルニュのサン=プルサンの美味しさを見事に表現している!」
ガメ&ピノだと思います。滅茶美味しいです。是非飲んでみて下さい!お勧めします!
【なるほど・・こんなバランスも有りだったんだ・・そう思わせてくれる、ピノとガメをリキュールほどに昇華しつつエレガントさも失わない、稀有なタイプです!】

こちらも美味しいです!・・ミスティークの濃密な美味しさとは、またちょっと異なりますね。ピノの配合が多い性か、それともアルコール分が16度と出ている性か・・。
しかしそのアルコール度数程は・・「強い」とは感じないかと思いますが、
「非常にエキス的!」
なのは間違い無いでしょう。
そしてそのエキスには、
「これでもか!」
みたいに多岐にわたるノーズ、味わいが内包され、表現されています。
ヨクヨク味わってみますと・・確かに、なるほど・・ここまで高い抽出が優しくなされた赤ワインは余り無い・・と言いますか、通常のスティルでは有り得なかったと思うんですね。
言ってみれば、陰干しを施したヴァルポリチェッラなどは有りますが、それらは水分を飛ばすために陰干しし、そのアパッシメントと言う作業と引き換えに・・
「ピュアな果実の表情を失い、ドライな果実の複雑な表情を得る」
訳で、そもそもの味わい、アロマが大きく異なります。

ヴァルポリチェッラなどの表情とは異なりますが、ピュアなスパイシーさ、ピュアな果実プラス・濃密さ・・そして滅茶複雑!チェリーっぽい果実はミスティーク同様ですが、その複雑さについてはこちらの方が上かもしれません。
また、これは実際にはやってはおりませんが、ある程度冷やして飲んでも味わいは沈まないと思うんですね。ですので、これからの季節には結構合うんじゃないと思います。
それに、
「ピノやガメと言ったブルゴーニュ的品種のワインが、高めのアルコール分を得た時の味わい」
を知るにも良いと思いますよ。まぁ、ブルゴーニュとはミネラリティの組成が異なりますが、花崗岩だとするならブルゴーニュの南方のサントネが良いでしょうか・・もしくはボージョレでしょう。是非飲んでみて下さい。このようなタイプはある意味激レアかもしれません。
【激的にピュア&ナチュラルなガメのしっとり優しい味わい!・・ボージョレ=ヴィラージュに似ていますが、中域が厚く決して軽く無いです。】

とてもピュアでナチュラルなガメです。美しくエレガント・・涼やかさと密度の高さが同居している感じです。
このサン=プルサンは、緯度的にはほとんどマコンやボージョレと同じだと思います。気候は微妙に異なるかと思いますが、やはり土壌の違いでしょうか。適度なヌケが有って涼やかなんですが、密度はそれなりに高いと思います。
流石にミスティークほどの濃密さ、質の凄さは無いんですが、若いボージョレにはほぼ見当たらない「旨味」の在る酸バランスをしています。まぁ・・熟成して行くと徐々に変化しますから、一概には言えないんですが、これ・・非常に美味しいと思いますよ。
そもそも皆さん、「ガメ」と聞いただけで逃げてしまいますから・・ね。逃げられるとどうしても追いかけたくなってしまうのが人間の「性」と言うもの・・。ガメって本当は滅茶美味しいですし、何より、
「完全に熟成すると滅茶凄い香りを出してくれる!」
ことは何度も経験しているので、ついつい・・自分でも追いかけてしまうんですね。

ミスティークのコラムでは、キュヴェ・マルセル・ラピエールと比較してしまいましたが、あのワインも最初から滅茶美味しいでしょう?
ビシッと隙間なく充実していて、誠実ながら妖艶さを隠しているような・・感じがします。
でも、おそらく誰もキュヴェ・マルセル・ラピエールのSo2無添加のキュヴェの、30年ものなどは飲んだことは無いはずなんですね。粒子が大部分、崩壊した時のガメの芳香を、できればこんなビオ系のワインで試してみたいものです。・・でもまぁ、
「・・そうは言っても飲んでしまって残らない!」
のが現状でしょう。昔は Noisy wine にも古いボージョレ辺りは普通にその辺に転がっていたんですけどね。
若くて美味しい味わいと古くて美味しい味わいは、全く違いますから、是非そんな「お遊び」も将来のために仕込んでおいていただけると良いかと思います。テール・ド・ロア・・良い造り手でした。是非ご検討くださいませ。
【美しいバランスです!とても美味しい!】

何でしょうね・・noisy もいつの間にか老けて来た性か、穏やかなアロマと味わいに心を惹かれてしまいます。
「穏やかなんだけれども・・ちゃんと有るのが判る」
でしょうか。
なので最近は、もしテイスティングをしないで良くて、晩酌を自分の意思で出来る自由を得させていただけるのであれば、
「こんな優しくピュアでしっとりした、でも実はちゃんとしてるワインを選ぶ」
と思うんですね。
ミネラリティも、実はしっかり有るんだけれど、決して・・
「ミネラル、ミネラルと主張してこない」
のが良いんですよ。「私を見て・・もっと見て・・ずっと見てて!」とは絶対言ってこない人・・(^^;;
だからブルゴーニュワインのテイスティングを1週間続けていて、ポテンシャルを取りに行って理解し、またそれを繰り返して・・。そしてまた違うドメーヌのテイスティングに入って、それがたまたま出来の良い「ブルゴーニュ・パストゥグラン」だったりした日には、日頃の疲れがどこかに飛んで行ってしまうような気持ちになったりします。

もう何度も書いていますが、トラペやダンジェルヴィーユのパスグラには何度も癒されています。今までは結構強めだったユドロ=バイエのパスグラも、しなやかさと優しさを得て・・「実に美味し!」と感じてしまいます。
ですから、このサン=プルサン、ブレンドしないとA.O.C.認定されないアペラシオンですので、ガメとピノ・ノワールをブレンドしますが、
「この6対4バランスが見事に美味しい!」
と感じさせてくれます。
どうしても「ガメ」が入った「ピノ」は下に見られてしまいますが、
「じゃぁ・・ルジェのパスグラはどうなの?」
と言いたいですね。
確かにルジェのパスグラは特別なのかもしれません。最初からあんなに妖艶なブケを嗅がせられたら・・「おお~っ!」となっちゃいますよね。
こちらはルジェのような樽使いはしていません(そのはず)ので、最初からそんなようにはなりませんが、熟したら判りませんよ・・結構に「むんむん」と妖艶さを見せてくれるかもしれません。
素晴らしいバランスの味わいでした。是非飲んでみて下さい。お勧めします!
【この価格帯では実に秀逸!密度の高いエキス由来の清涼感バッチリな柑橘果実が品良く、長い味わいを感じさせてくれます!充実したトレサリエ由来の見事な出来です!】

オーヴェルニュのワインが大好きな方が飲んだら・・
「・・えっ?」
と思ってしまうかもしれません。
「これって・・普通にブルゴーニュじゃない?」
まぁ、noisy も「トレサリエ」と言う品種がどんな芳香と味わいを持っているのか・・までは理解しておりません。「サシー」とも呼ばれるようで、シャブリ近辺にも有ります。
飲んだ感じだと・・
「普通に見事なシャルドネ・・で良いんじゃない?」
と思ってしまう、素晴らしい仕上がりでして、
「この価格でこの品格と味わいならトップクラス!」
だと感じてしまいました。

何より柑橘フルーツの表現が素晴らしいです。すこし「マッタリ」としていてオイリーさが有り、それらが白や黄色、薄緑の柑橘フルーツを強く感じさせてくれます。
敢えて言ってみるとするなら、これほどに「緑」を感じさせてくれた部分に「トレサリエ」の特徴が有るのかもしれませんが、すみません・・まだそれは言い切れません。まぁ、シャルドネだけだと、この「緑」の感覚は「青っぽさや未熟さ」として感じられるだけかもしれませんが、このワインに関しては、
「ネガティヴな表情になっていない」
と感じられ、ポジティヴな表現としてしか受け取れません。
しかも飲んで行くと次第に「サラサラ」としてくるんですね。マッタリ感は残したまま、「酸素」を得てサラリとして余韻に気持ちを持って行かれる・・そんな感じでしょうか。
思いがけず良いワインでした。このテール・ド・ロアでは、この「トレサリエ」に特別な想いを持っているようです。是非飲んでみて欲しいと思います。おそらく想像されたより美味しいはずです。