● 超本格派、シャンパーニュの本場からの新しくも強い風を吹かせている・・とも言うべき生産者さんをご紹介させていただきます。ようやっと回って来た??・・ヴァレ・ド・ラ・マルヌの「トリスタン・イエスト」です。
ご存じの通り、アイテムの数はそこそこに有れど、各キュヴェが1000本程度しかないので、
「トリスタン・イエスト、飲んでみたいけど・・買えない・・」
と言う状況のようです。
noisy も話しは聞いていたので欲しかったところ、ようやっとお鉢が回って来た・・ところまで漕ぎつけました。なので、
「1ケースずつでもいただけたら・・全部開けてやろう」
と思っていたんですが・・さすがに全部のアイテムはいただけなかったのかな?・・それに6本ずつと言うことで、仕方が無いのでいただける都度、少しずつテイスティングさせていただき、トリスタン・イエストの全貌を掴むことにさせていただきました。
このところのシャンパーニュは南の地区を中心に、大きな変革が起きています。元はと言えばグラン・クリュであったとしてもブラン・ド・ブランの生産地だったコート・デ・ブランが、黒葡萄が栽培出来ないと言う点において今一つの訴求力だったものが、RMの力で・・まぁ、ジャック・セロスの台頭の影響でしょうか、今や物凄いことになっています。
そこにさらに南のオーブの若い生産者さんが、ジャック・セロスの弟子として学び、自身のシャンパーニュを創り出し、大いに人々に受けるシャンパーニュになっています。もちろん、価格も上昇しています。ユリス・コランやセドリック・ブシャールは、セロス同様に数千円からのスタートでしたが、
「いまや・・一体いくら?・・そもそも売ってるの?」
と言うような状況です。
そんなこんなで今度はシャンパーニュ全体にその影響が回っているんじゃないかと思えるようになってきまして、このトリスタン・イエストもまた、本場の生産者さんではありますが、
「まさにRMの細やかな仕事で素晴らしいシャンパーニュを創り出した!」
と言えるのかな・・と感じています。
今回飲めたのは、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエをセパージュした2019年ものがベースのレ・コート・カルケール・ブリュット・ナチュール・ノン・ドゼです。
硬質で細やかな石灰を感じさせつつ、北の産地ならではの美しい酸・・その酸の味わいが実に繊細で旨い・・そして美しい収束を見せてくれます。
まぁ・・エージェントさんは「アルティザン」と評していますが、noisy 的には余り良い言葉では無いように感じていまして、
「非常に優れた職人だが芸術的では無い」
と言うような意味じゃなかったかな?・・違いますか?・・決して芸術的では無い訳では無く、伝統的な部分をご自身で解釈し、創り出しているシャンパーニュに反映させていると感じます。
飲めないキュヴェが4アイテムも有りますが申し訳ありません。いずれ少しずつご紹介できればと思っています。ご検討くださいませ。
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■⾧期熟成のテロワールキュヴェを手掛けるマルヌのアルティザン・グローワー◇ 細分化されたリュー・ディから少量生産キュヴェをリリース
ヴァレ・ド・ラ・マルヌのトレルー・シュール・マルヌに本拠を置くグローワー、トリスタン・イエストは家業に参画した2003 年から自身の名義でシャンパーニュ造りを始めました。現在も収穫ブドウの6 割をネゴシアンに売却している彼のシャンパーニュは驚くほど玄人向けです。30の異なる区画で栽培されたブドウをリュー・ディごと、品種ごと、別々に醸造してそれぞれのテロワールを表現するキュヴを造っているからです。このため、生産量1.000 本以下の小ロットのキュヴェが実に10 種類以上もあるのです。
◇ デゴルジュ違いで楽しめる熟成したシャンパーニュ
また、大部分のキュヴェが6年から12年の⾧期の瓶内熟成を経てデゴルジュされているため、ドザージュはゼロもしくは最低限の量で、結果としてワインの味わいに明確なテロワールが反映されています。トリスタン・イエストのシャンパーニュは、成熟してふくよかで広がりのあるたっぷりとした味わいが特徴です。また、ドメーヌのシャンパーニュはキュヴェによって、デゴルジュの時期が異なり、熟成の違いも楽しめるようになっています。シャンパーニュ愛好家に
とっては非常に魅力的なドメーヌと言えます。
◇ ドメーヌの概要
ドメーヌは現当主トリスタン・イエストの両親によって1981年に創設されました。全くのゼロからのスタートでしたが、畑を借りたり、購入したりして1992年からドメーヌ元詰めを始めました。ドメーヌはヴァレ・ド・ラ・マルヌの Trélou-sur-Marne トレルー・シュール・マルヌに本拠を置いています。所有畑は30 の区画に分かれており、総栽培面積は9.78ヘクタールで、シャルドネとピノ・ノワール、ピノ・ムニエを栽培しています。栽培比率はピノ・ノワール2.32ha、シャルドネ2.55ha、ピノ・ムニエ4.91ha となっています。大部分の畑がトレルー・シュール・マルヌにあり、一部の畑は隣村のPassy sur Marne パシー・シュール・マルヌにあります。
ピノ・ムニエは主に粘土砂岩土壌に、シャルドネは白亜の石灰質の急斜面で栽培されています。1980年代に植樹されたブドウ木が主で、一部には1970年代に植樹された古木の区画もあります。
1978年生まれのトリスタンは20歳の時から様々なワインを味わって、ワインに対する知見を深めてきました。栽培と醸造を学んだ後は、シャンパーニュの複数のドメーヌで研鑽し、2001年に家業のドメーヌに参画しました。そして、2003年から自身のブランド『トリスタン・イエスト』のシャンパーニュを造っています。しかし、現在でも収穫ブドウの6割をネゴシアンに売却しています。栽培方法は実質ビオの厳格なリュット・レソで、数年後にHVE(HauteValeur Environnementale オート・ヴァルー・アンヴィロンヌモンタル)の認証を受ける予定です。
畑では春先に耕耘を行い、その後の生育期には、ワインにテロワールを反映させるために、畝の間の2 畝ごとに下草を生やしています。

◇ 栽培と醸造について
トリスタンは30の異なる区画のテロワールを理解し、その価値を高めるために、栽培されたブドウをリュー・ディと品種ごと別々に醸造し、テロワー
ルとリュー・ディを表現するキュヴェを造っています。このため、ドメーヌには多くのキュヴェ(10種類以上)があり、1 つのキュヴェの生産量は1.000
本以下の小ロットのものが殆どです。
シャンパーニュはマロ発酵を終えた後、最低でも4~5年、大部分のキュヴェが8年から12年の瓶内熟成を経てデゴルジュされています。この⾧期熟成によって、ドザージュはゼロもしくは最低限の量で済み、結果としてワインの味わいに明確なテロワールが反映されるのです。ドメーヌのシャンパーニュは、成熟してふくよかで広がりのあるたっぷりとした味わいが特徴です。料理に合わせるのにもピッタリです。
熟成を経て飲み頃になったものから段階的にリリースするため、1年間にリリースされるシャンパーニュは平均1万本程度しかありません。評論家などにサンプルワインを送らないため、ドメーヌのシャンパーニュはガイド等には全く掲載されていませんが、既にドイツやベルギー、スイスなどに輸出されて高く評価されています。
ベースとなる原酒は、リュー・ディごと、品種ごと別々に醸造し、ステンレスタンクで発酵させて、引き続き7ヶ月間熟成させます。この間にマロ発酵を完全に実施します。ティラージュの前にアッサンブラージュを行い、例年、収穫翌年の4月から5月にかけてティラージュを行います。
その後、瓶内二次発酵とマチュラション・シュール・リー。リュミュアージュはブラン・ド・ノワールとミレジメを呼称するキュヴェは全て手作業で、その他のキュヴェはジャイロパレットで行います。リザーブワインは、各品種毎ソレラでストックしたものを、ティラージュとドザージュには、ベースワインに使用したブドウ品種の果汁とショ糖を使っています。
【ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエを平均的にセパージュした、「トリスタン・イエストの名刺代わり?」のキュヴェ!・・本格派ながら超繊細な酸の美味しさを今すぐ感じさせてくれます!】

シャンパーニュと言えば、最大最高の産地とされるモンターニュ・ド・ランスを筆頭に、その南西のヴァレ・ド・ラ・マルヌ、その南のコート・デ・ブランが主要産地・・が常識でした。
ランスは最も北でエペルネから50キロほど北の街で、その東側にモンターニュ・ド・ランスの産地が拡がります。
エペルネ近辺はヴァレ・ド・ラ・マルヌで東西に拡がります。ここはエペルネのすぐ北にグラン・クリュの「アイ」が有ります。エペルネから南にはコート・デ・ブランが南に延びるように拡がります。(あ、アイですが、街の名前がいつの間にやら・・「アイ=シャンパーニュ」に変わってました・・。)
このトリスタン・イエストのトレルー・シュル・マルヌはエペルネの90キロほど西にあり、エペルネの東にある皆さんが良くご存じの「アンボネイ」は40キロほどです。なので、トリスタン・イエストの場所は、パリからさほど離れていないんじゃないかと思って調べてみますと、それでも180キロほどの距離でした。
1枚目の写真はいつものテイストと違ってしまいまして・・申し訳ありません。撮影にはihoneを使用しているんですが、何故かビデオで撮り始めてしまい・・なにせ、
「泡の写真を撮りたい!」
と思っているところにビデオで始まってしまったので焦りまくりました。
で、ビデオを止めて・・仕方が無いのでグラスを変え、もう一度撮り始めましたらなんと、
「ビデオの最後に写真が追加される」
形になってしまいまして、.mov の中に写真が数枚入ってしまって・・どうにもならず、かなり焦りまして・・泡の近接写真だけは .mov ファイルからキャプチャーしたので・・ちょっとボケてしまいました。申し訳ありません。

結局、最初に注いだグラスからのキャプチャー写真ですが、意外にも・・
「赤く無い」
感じが取れると思います。下手をするとブラン・ド・ブランと言ってしまいそうになりますが、味わいはコクが有って・・ブラン・ド・ブランでは無いことは判ると思います。
ですが、非常にドライで「ふんわり」としています。厳格なビオ・ロジックと言うことも伝わって来ます。造り手紹介の写真には「ロバ」(だと思う)も映っていますが、一仕事した後でしょうか。ロバも頑張っているんですね・・
で、特徴的なのはこの色彩からも判るように、
「白い石灰分が多い」
と言うことです。黒葡萄が2/3入っていながらのこの色彩ですから、ミネラリティが影響しているかと・・。そして、その石灰分は非常に肌理が細やかです。
もうひとつは・・
「酸が滅茶旨い!」
です。繊細です・・そしてその酸バランスの素晴らしいこと!・・北の産地のシャンパーニュは、酸がキツく感じることが有りますが、そこまで行かずに滑らかに、口内でホロホロっと美しく砕けてくれるようなニュアンスで、このレベルの出来・・表情にはそうは出会えないんじゃないかと感じます。
もちろん、泡質も滅茶良いです・・長く持続しますが、超長くは無く、南の産地のシャンパーニュのように決して短くはありません。そして味わいはドライで冷ややか!もちろん、柔らかなテクスチュアで、微細な表情が生き生きと伝わって来ます。
素晴らしい出来です。本格的でもあり、キツイと感じる前の段階で良いバランスをしています。もちろん、ある程度の熟を経た方がよりベターだと思いますが、このバランスでほぼ仕上がっていると言って良いでしょう。飲んでみて下さい。貴重なシャンーパーニュです!