[ oisy wrote ]●ロワール・アンジュー地区の新星をご紹介します。持ってくるのは、新進気鋭の20代インポーター、ヴァン・アミさんです。
昨年立ち上がったばかりのヴァン・アミさんですが、今どきのなんちゃってナチュラルワインではなく、しっかりと安定した造りの基盤のある生産者をピックアップしてきます。
その上でピュアなワインを選んでくる彼らのセレクションは、どんどん玄人好みになっていき、いまや即完売してしまうアイテムばかりです。
とは言え彼らもまだ立ち上がったばかりですので、インポーター業務だけでは食っていけず、タイミーでバイトしたりして食いつなぎながら、涙ぐましい努力をして自らセレクションしたワインを持ってきています。
お客様からみたらoisyも若者かと思いますが、そのさらにその下の世代が自分たちの舌を信じて・・・全身全霊で持ってきているわけです。
まあだからと言って、若者が頑張ってるからってだけで取り扱いでもした日には、noisyから何を言われるか・・・わかったもんじゃありません。
そんな折り、試飲会で「・・・こりゃ旨い」とoisyが唸ったのがレミ・ピヴェールが率いるシャトー・ペレ=ジュアネ。ロワール・アンジュー地区の新星です。
なんと彼らは
「どんどん規模を縮小しているワイナリー」
です。
所有する20haのうち、15haは外売り、残りの5haで自分たちのワインをリリースしています。その心は、
「自分たちで管理できる以上はやりたくない」
という至極まっとうなヴィニュロン魂に基づいたもので、現在も畑の売却を進めているそうです。
まあそんな思想のもとに産まれるワインですから、エントリーラインであっても全く手抜き感はありません。
ポテンシャルを最大限引き出せるように、ダメージレスで、丁寧で、ピュアで、畑の色彩を感じ取れるエレガントスタイルのワインばかりです。
こりゃあきっとnoisywineのお客様にも刺さるはず・・・と品切れしないように入港前から抑えてもらいました・・!
別に若者が頑張ってるから・・・と慈悲の心はいりません!コラムを読み、興味を持っていただきましたら、ぜひ手に取っていただけると幸いです。きっとご満足いただけると信じています。どうぞよろしくお願いいたします!

■エージェント情報
「自分たちで管理できる以上はやりたくない」
理想のワインを造るために、規模の縮小へ。クオーツ土壌から生み出される高品質シュナン・ブラン。
■ワイナリーの5代目を辞め、自らのワイン造りへ
フランス、ロワール地方アンジュー地区に位置するシャヴァーニュという村でワイン生産者の5代目として生まれたレミ。
幼いころからワイン造りが身近にあった彼は、大学でブドウ栽培やワイン造りを学び、卒業後は、より広範囲にワインのことを学ぶため、ボルドーの著名なネゴシアン、ユリス・カザボンヌで働く。
「ボルドーの巨大シャトーは、自分が生まれ育った地域やワイナリーとは全く違う世界だった。彼らと直接コミュニケーションを取り、テイスティングをし、栽培や醸造、ワイン市場やマーケティングについて話したのは自分にとってとても貴重な体験だった」
とレミは語る。
2018年、家族のワイナリーに戻りワイン造りに参加する。しかし、家族間での意見の相違があり、レミは奥さんのティフェンとともに家族のワイナリーを出ることを決意。
縁あって家族のワイナリーから200メートルほど離れたワイナリー、シャトー・ペレ・ジュアネを購入し引き継ぐこととなる。
そして、すぐにすべての畑をオーガニック栽培に転換。2020年ヴィンテージからシャトー・ペレ・ジュアネとしてワインをリリースしている。

■理想のワインを造るために選んだ規模の縮小
彼らは良いワインを造るため、ブドウを完璧な状態で収穫することを大切にしている。
「一生懸命手をかけてきたブドウを最良の状態で収穫する。ここでようやく畑での厳密で丁寧な作業が実を結ぶんだ。
しっかりと熟したブドウを、ちょうどアロマがピークに達し、白ワインでは糖と酸、アロマのバランスが取れ、赤ワインでは皮と種がしっかりと成熟した状態で収穫することが重要なんだ。」
彼らはブドウの熟度が分かりやすいように短梢剪定を行い、同じ区画でも熟度に応じて4-5回に分けて収穫を行う。シュナン・ブランだけでも収穫は1カ月以上に及ぶという。
彼らのこだわりは畑にとどまらない。
所有する20 haの畑のうち、彼らのワインに使用するのは最良のブドウ5 ha分のみで残りは他の生産者に売却している。
「私たちがワインに求めるのは、アロマの純粋さとテロワールの表現。そのために、素材であるブドウをできる限り尊重し、それが最大限に表現されるように最小限の介入で作業を行う。
私たちが理想とするワイン造りをできるのは5 haが限界なんだ」
たしかに彼らの理想のワイン造りを行おうとすると5 ha分でも大変だと感じる。
それを伝えると、
「本当にそうなんだ。だから私たちはさらに畑を売却し、規模を縮小したいと思っているんだ」
売却しすぎてワイナリーがなくならないことを願う。

■高品質なシュナン・ブランを生み出すクオーツ土壌
2020年にシャトー・ペレ・ジュアネを購入したレミとティフェン。畑は細かく細分化され、どれも1 ha以上になることはない。
「私たちは小さな区画を大切にし、常に生物多様性が豊かな環境(樹木や生垣、果樹、羊、花畑)を確保するよう心がけている。そしてワイン造りにおいてはワインがその土地を表現することを大切にしている」
オーガニック栽培への転換と同時に行ったのが、徹底的な土壌の調査だった。ペレ・ジュアネのシュナン・ブランを特徴づけるのは、この地域でも限られたエリアでしか見ることのできないクオーツ(石英)土壌。
隣接するボンヌゾーでは黒いシスト土壌が特徴的で、土壌が熱を蓄えるためにブドウの糖度が上がることで上質な甘口ワインが生産されている。
一方で、白色のクオーツ土壌は太陽光を反射し熱を蓄えないため、ブドウは酸を保ちながらゆっくりと成熟する。それによりペレ・ジュアネのクオーツ土壌からはブドウの熟度と果実由来の酸のバランスに優れた高品質のシュナン・ブランが生み出される。
■地場品種グロローに光を
レミはシュナン・ブラン同様に、この地域の地場品種であるグロローを大切にしている。「グロローは収量が多く(通常60 hL/ha以上)、ロゼ・ダンジューなどに使われているため凡庸な印象の強い品種だが、収量を制限すれば素晴らしいワインができることを証明したい」
ペレ・ジュアネでは軽いシスト土壌でグロローを栽培。グリーンハーベストを行い、30-35 hL/haにまで制限している。その結果、凝縮感とこの品種独特のスパイシーな風味が綺麗に表現されている。
また、ワイナリーから約10キロメートル離れたエリアでは粘土石灰質土壌が見られ、ここではカベルネ・フランが栽培されている。粘土と石灰岩は、この品種に必要な安定した水分供給を保証し、細やかでエレガントな風味を引き出す。
■ブドウを活かすワイン造り
素材としてのワインを活かすことを最重要視する2人。ブドウが潰れ酸化が進むのを防ぐため、収穫はすべて20kgの箱を使用。ブドウの圧送ポンプは使用せず、セラーでは重力のみを使用してワイン造りを行う。
また、長い熟成期間を経ることで自然な清澄が起こり、無濾過・無清澄でもクリアで透明感のあるワインが生まれる。