
もしかして、ダヴィッド・レクラパールの秀逸なシャンパーニュに不足しているかもしれないものが有るとするなら、それはきっと・・
「未完熟でのリリース」
に他ならないでしょう。シャンパーニュとするとまだ若い状態でリリースせざるを得ず、それが代理店やワイン屋、そしてお客様の負担になる可能性が有るからです。
そしてもう一つ・・そんな彼の純粋無垢なシャンパーニュに対する向き合い方も有るかもしれません。
例えば、これ以上無い位にキンキンに冷やして、
「さぁ、飲もう!」
なんて飲み始めたとしたら、そして、それでも足りずにシャンパン・クーラーに氷を足して、温度が上がらないようにして・・なんて、非常に良くあるシュチュエーションでは有りますが、
「そんなことをしたら台無し!」
なことは判っていたとしても、
「ソムリエさんがそうしちゃうからな~・・」
と、ただただ酸っぱいだけになってしまったレクラパールのシャンパーニュの印象を貶めることになってしまうのです。
基本的にレストランさんは、ほとんどの場合・・冷やし過ぎです。ドザージュをしっかりした・・例えば、クリスタルとか・・だったらまだ良いでしょう。でも、リリースされたばかりのサロンにそんなことをしたら、美味しいと思えないに決まっているでしょう?
だから、こんなに純粋無垢で、しかも少し若目だとは言え、2011年ミレジムのノンドゼのブラン・ド・ブランを、ビール並みに冷やしてサービスしちゃいけないんですね。巷では税込みで10万円もするサロンは、一部ではガンガン開けられているようですが、きっと美味しくは飲まれていないに違い在りません・・いや、しばらく飲み残していて、品温が上がって、しかもしっかり酸素を供給され、泡も何も感じなくなったころに、
「ん?・・サロンって、泡が無い方が美味しい・・かな?・・」
などと思われているかもしれません。
2011年のラマチュールです。シャルドネですが、一見、ピノ・ノワールのように思われるかもしれませんね。結構に色は有ります・・が、濃い目だと言うだけで、良く良く見るとピノでは無いと判るでしょう。
酸はもう・・サロン並みにしっかりしています。持ち帰ってすぐに開けるしかないので、若干泡の粒はそろっていませんが、質感は良いです。もう少ししっかり休ませると肌理も細かくなり、持続時間も長くなるでしょう。
そして、5~15分もして品温が上がってくると・・実に旨いですね~~!サロン系の味わいですが、サロンよりも少し粘土由来のニュアンスを感じます。この辺が「トレパイユ」の個性なんでしょうね。ミネラリティも複雑でしっかり有ります。
14度位から飲み始めましたが、一旦栓を開けてからもう少し締める(冷やす)と言うようなテクニックも使えます・・が、この場合は「泡」の関与は少なくなります。でも、シャンパーニュとて白ワインですからね。シャルドネの持つ高貴な味わいをワインとしても充分に楽しめるポテンシャルが有ります。
何より、「何も足さない-->ノン・ドザージュ」ですから、時に甘ったるく、しつこく感じてしまう「ドザージュの量」の味わいへの関与を、最初から気にしなくて良い気楽さも有ります。
飲まれた方はご存じかもしれませんが、レクラパールの、あの物凄いトレパイユ・ルージュ(ピノ・ノワール)の純度の高さを、このベースのシャンパーニュでも感じることが出来るのは素晴らしいことだと思います。是非一度、しっかり休めて・・直前の移動はほどほどにしていただいて・・(^^;; お楽しみくださいませ。サロンの8%くらいの価格・・消費税にも満たない素晴らしいシャンパーニュです!
【正に純粋無垢!ピュア一直線!美しさの究極です!!】 先鋭的な、むしろジャック・セロスのシャンパーニュのフレッシュな面を追い求めているかのような、清冽な味わいを見せているレクラパールです。
元はラシーヌさんのアイテムでしたが、現在は立野さんのヴォルテックスさん扱いです。なかなかに素晴らしい面を持ったシャンパーニュで、まあ、確かに到着したては厳しい酸にたじろぐ・・にせよ、少し置くと、ギラギラしつつもエキセントリックな味わい、煌きを見せてくれます。
まあ・・・ホント、味わいを見ると造り手の性格も判るようでして・・・いや、noisyは会った事は無いのでウカツな事は言えませんが、どちらかというと、
「どう?おいらのシャンパン、旨いだろう!」
と、とても外交的だし、さらには、それだけの資質も有ります。ただ、いかんせん、ユーロも高かったし、蔵出しの価格がどんどん上がってしまって・・・合田さんの困り果てた顔を・・ちょっと覚えてます・・。まあ、それだけ続けたかったポテンシャル高い・・もしくは、将来性豊かな造り手だったということですね。
現在は、日本にはほんの少量しか入ってきていませんし、意外に知らない方も多いと思います。出来るならタイミングを計りつつ・・・飲んだ方が良いですが、買うのにタイミングを見ていると無くなってしまう・・という・・そんなシャンパーニュです。でもそろそろ何とか飲めるようになってきたタイミングでしょう。
ラマテュールは比較的若い樹から造るブラン・ド・ブランです。今回は2013年で、日本ですでに2年近く熟成させられています。アマチュア・・と自身から名付けているので、
「少し瓶熟させてください・・」
と、暗に仄めかしているかのようですが、すでに立野さんがやってくれています・・(^^;;。レクラパールの、清冽な清水のような純粋さと、鬼のようにドライな味わいが生む微妙子細な旨みはそのままです。タイミングを見て是非飲んでみてください。
ラルティストはアーティスト・・・アマチュアから芸術家へと転身、変貌を意味しているのでしょうか。今回のロットは2010年で、やはり約3年弱ほど熟成されています。レクラパールは研ぎ澄まされた刀の冷たさを感じられるんじゃないかと思います・・が、当然未試飲です。こちらのラルティストは、少し休めたらOKでしょう。
トップ・キュヴェのラポートルは「伝道者」。自身のワインに対する姿勢を例えたのでしょう。2010年ですが、やはり2年弱ほど置かれてすでに飲めるバランスで出してきているはずです。ソリッドでハードな清冽さに純真さと一途さが感じられれば、まさにラポートル・・なのでしょう。これはとても美味しいシャンパーニュでした(以前のものを飲んだときの感想です)。ご検討ください。
そして前回より2回目になりますが「ブラン・ド・ノワール・ラストル」が入荷です。2011年もので、3年弱ほど寝かされていますので、おそらくですが飲める状態かと思います。非常に希少なキュヴェですので、飲めてはいません。非常に・・美しい色をしています!ノン・ドザージュでどんな姿に仕上げたのか・・まぁダヴィッドですから想像が付きますよね。
さらには、初登場のN.V.2012年のラフロディジアク。2012年のすべての区画の葡萄・・・と言うことですんで、シャルドネとピノ・ノワールによるセパージュです。こちらはラフロディジアクのコラムにも記載していますので是非ご覧ください。
と言う訳ですが、レクラパールを以前扱われていたラシーヌさんもユーロ高の折、蔵出し価格を毎年大きく上げたがるダヴィッドの姿勢に、才能を認めつつ、経営を案じつつも、とても困っていました。noisyも良く知っています。ある意味、今までの円高ユーロ安が、手ごろな価格で押さえてくれていたんです。これからはどう転ぶのか判りませんので、今が買いどきだと思いますし、これほどまでの清冽なシャンパーニュを造るのは基本ブラン・ド・ブラン系ではこのレクラパールが第一人者、ブラン・ド・ノワールではジェローム・プレヴォーでしょう(御大は取り合えず対象にはしてませんよ)。そこに割り込むべくの「ブラン・ド・ノワール・ラストル」とともに是非、ご検討いただき、シャンパーニュのレコルタン・マニピュランの現状とともに感じていただけたらと思います。