
アルディッシュのマゼル、ジェラルド・ウストリックと言えば、フランス南部における現在のビオディナミの教祖・・と言っても良いかもしれません。例えばあのジェローム・ジュレも、マゼルの教え子的存在です。

noisy のところでも何度かご案内させていただいたマゼルでは有りますが、このところはちょっと販売ルート変更が有ったようでご無沙汰です。
マゼルのジェラルドも、現在もワインを造っているのでしょうが、どちらかと言うとヴィニュロンやドメーヌの「ビオの先生役」としての立場が大きくなっているようです。
そんなアルディッシュのマゼルから「ヴィオニエ」を分けて貰って、ブルゴーニュの北の端のシャブリまでヴィオニエを持ち込み、ド・ムールの繊細な仕込み技術で仕込んだのがこの「Caravan」。まさに隊商を組んでシャブリに凱旋したような気持ちだったのでは・・と推測しますが・・違うかな?
2013年は3本しかいただけなかったので、どんなワインかも判らず・・今回はやっと12本!・・でも12本じゃぁ普通は飲めないんですけどね・・。ラシーヌさんにも数は入ってないのでしょう。ネットで「カラヴァン・ブラン」で検索しても、noisy を含め4件しかヒットせず、少なさを想像させてくれます。なので、
「とにかく1本は飲んでみないと・・」
と言う思いだけでテイスティングしてみました。
このワインの印象の前に、このカラヴァンとシャブリ・ベレール・エ・クラルディの2014年の総体としての印象をお伝えしたいと思います。
「2014年のアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールは物凄い出来!」
と言うことを感じてしまいました!・・今まで長きに渡ってアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールを扱い、様々なシュチュエーションで飲んできましたが、これほどまでにピュアで一点のシミも無く、しかもソフトなテクスチュアと大きな構造を持っている、しかもナチュラルで有るのは、初めて・・もしくは2度目です。
上記の造り手ご紹介欄でも書きましたが、大昔です・・今のようにこんなに垢抜けたエチケットでは無い頃、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールは手書きで、「サン・スフル」と入れたワインを、極稀にリリースしていました。そのワインは異常に滑らかで、身体への浸透が速く優しく、非常にスムースなのに、美しい果実香をふんわりふっくらと感じさせてくれる凄いワインでした。そのときのイメージがそのままに思い返された訳です。
柑橘系のアロマは豊かで丸く、滑らかで非常に美味しいです。
このカラヴァンも全く同じで、
「えっ?・・これがヴィオニエかよ!」
と、ビックリされるでしょう。
何せ、ローヌと言う暑い地域の葡萄であるはずなのに、ひんやりさを感じさせる柑橘系フルーツと、とてもとても優しい穏やかなスパイス、そしてしっとりと品格高いミネラリティが香るんです。
味わいも香りそのままです。そしてふっくらと自然な膨らみを見せつつ、実に美しく長い余韻を感じさせてくれます。
果実も実に質が高いです・・スーパーの果物売り場じゃない・・某千x屋さんとかで販売されてるもののような、でも「みかん」とか「新鮮な苺のアロマ」とかの身の回りに有りそうなアイテムなんですね。なので非常に近しく、でも高級な質感が有り、新鮮さを現していると思います。
マゼルの葡萄で造ってはいるけれど、とてもじゃないがマゼルを連想するのは難しい・・綺麗過ぎるワインでした。とても美味しいと思います。身体に優しいビオ、そしておそらくSo2は非常に少ないはずのヴィオニエです。お奨めします!