
ちょっとグラスが汚れていて申し訳ありません。何せ飲まなきゃならないアイテムが多く、一晩で3本開けることも珍しく無いので、一時的にグラスが不足したり(3人いるので・・)、何らかの焦りがこんな絵を生んでしまいます。
ですが、2019年のクロード・デュガ、とても良かったです。何よりも良かったのは、
「迷い道を抜けた感じ」
を受けたことです。
2019年のA.C.ブルは、少しタイト、僅かにタンニンの暴れが見えるものの、その質はとても良く、ドライで滑らかで、エキスに完全に昇華されているのが高評価のポイントです。
ですが、じゃぁ・・すぐに飲んで美味しいか?・・と聞かれますと・・
「いんや・・少し置いた方が良いね。」
と答えざるを得ません。2018年ものはA.C.ブルが到着後すぐに超美味しかったんですが、2019年ものは村名ジュヴレにその役目を渡しています。なので、2019年ジュヴレ=シャンベルタンは、
「・・これ・・デュガだよね・・?」
と疑問符を付けて思わず言っちゃうと思いますよ。
こちらのA.C.ブルは、この何年かのデュガをお飲みの方なら・・
「これはデュガですね。」
と疑問符は付かないと思います。出来はとても良く、迷いはほとんど見えません。是非飲んでみて下さい。お勧めします。
以下は以前のレヴューです。
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【何と、2018年もののA.C.ブルゴーニュは、今から飲んでも滅茶美味しいです!・・「エレガント系」です・・しかもしっかり「エキス系」!】
この何年かのクロード・デュガは、エレガント系への転身を図っているのが目に見えて判っていました。誰でも飲めば・・
「・・あれ?・・これって・・クロード・デュガなの?・・めちゃ綺麗系じゃん・・」
って・・なりますよね?
だから未だに「濃密でガッシリしたピノ」なんて書いて最新ヴィンテージものをご紹介しているワイン屋さんは、全く飲んでいないか、飲んでもそう思わなかったか、飲んで変わり始めたと思ったけれど面倒なので以前の文章をコピー、貼り付けしてるだけか・・と言うことなのでしょう。
少なくとも「濃くはない」ですよ・・この数年は・・。そして2018年ものは、そのエレガント系ピノ・ノワールとしての仕上がりが非常に高レベルです。
「・・でもnoisy さん・・写真を見ると、2018年ものの方が濃く見えるけど・・」
そう・・そうなんですね。色は以前より濃い目に出ていると思います。2012~2013年なんて、A.C.ブルはとても淡いですから。出来がとても良い2018年の方が、色はしっかりしています。
ただし・・お判りの通り、「色が濃い」=「ワインが濃い」ではありません。色が濃くてもエレガントなワインは幾らでも有ります。
やはりこの数年間、デュガさんちは相当に迷走したと思うんですね。物凄く素晴らしいグリオット=シャンベルタンは造れても、残念ながら物凄く素晴らしいA.C.ブルは造れなかったんです。ですが、2018年ものは、
「何と、今飲んでも滅茶美味しい!・・ドメーヌ・クロード・デュガ史上、最高のA.C.ブル!」
と言えるでしょう。
2017年もののA.C.ブルも、それまでで最高でしたが、やはり、
「村名ジュヴレのセカンド」
みたいなワインだったんですね。抽出の強さも感じましたし、終盤にかけての渋みに上品さが無かった。なので、2年ほどは瓶熟させないと少しエグミを感じるような部分が有ったものが、2017年ものでは大方改善されたものの、タンニンの硬さとエッジがまだ気になりますので・・少し先の飲み頃を書いていたはずです。
因みに海外メディアは、ティム・アトキンさんが何と
「91 Points」・・も付けています。ヴィノスは87 Pointsでした。勿論正しいのはティム・アトキンさんです。飲み頃を2020~2025年までとしていまして、飲み頃の始まりは合ってますが、結局ヴィノスは何もまともに見ていない・・感じがします。noisy 的には「今飲んで90+ ポテンシャル91+」飲み頃は今~2038 です。ただし途中で一旦締まる時期が1年ほどあると思います。
濃密な・・とは言えず、「充分な濃度の」見事な味わいです。ナチュラル感が出て来まして、So2 使用量も減っているはずです。その分、中心点は僅かにぼやけていますが、これは自然派系のピノには良く有る・・「中心円の広い中心点」です。滑らかでエレガントで精緻な果実感のあるもの、ミネラリティもたっぷり有って・・
「これは美味しい・・デュガじゃないみたい!」
と言っていただけるはずです。
今飲んでも美味しい・・素晴らしい出来だと思います。是非飲んでみて下さい!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【近年で最も成功したと言えるA.C.ブルです!・・】
リアルワインガイド第67号はポテンシャル 89+点 と、比較的高い評価をしています。飲み頃予想は「今から2035」としており、その辺はnoisy とは意見の異なる部分です。
どうでしょう?・・この素晴らしい色合い・・。2016年もそこそこ良かったですが、2017年ほどでは有りません。何とも・・
「・・まだ迷ってるの?」
みたいなニュアンスがビシバシ伝わって来ました。
もっともそんな2016年ものA.C.ブルも、5年もすればそんなニュアンスなど吹っ飛んでしまうことは間違い在りませんが、エキス系への転身に際し、まだ手探り状態な部分が垣間見えると感じました。
ですが2017年ものには、そのような気配は在りません。ジュヴレ村名・・めっちゃ美味しいですしね。この、村の東側で造るA.C.ブルも、非常に良く出来ています。
今までの「黒」が半分以上「赤」になって来ています。エキスもきっちり・・出ています。そして非常にドライながら、エキスの旨味が良い感じにまとめ上げています。
村名ジュヴレの、見事なまでに見えない・・美しいタンニン・・。これがA.C.ブルでは、そこまで上質には仕上げられない・・と言うことで有りまして、少しエッジのある、少し滑らかさに欠けるものになっています。
そんな訳で、noisy 的には、
「そのタンニンが丸みを帯びてくるか、完全に溶け込むまで」
と言うことで、3~5年ほど置くのが良い・・と思っています。
すぐに飲むのでしたらむしろ非常に上質でなめらかな「村名ジュヴレ」をお薦めします。3~5年で飲むならA.C.ブルが良いでしょう。10年なら村名以上のクラスを!
生まれ変わった新生クロード・デュガ!お楽しみくださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【このA.C.ブルのキュヴェは正にジュヴレ=シャンベルタンそのものです。】
今のところはまだ余り海外の評価が揃っていない・・と言うか、信頼に値する機関からのものが余り見当たらないんですが、毎年のように90Points 辺りの評価で落ち着くと思われるクロード・デュガさんのACブルゴーニュ・ルージュです。
仮に彼のジュヴレ=シャンベルタンとACブルゴーニュを比較するならば、リリース直後により美味しいのは村名のジュヴレ=シャンベルタンです。ACブルゴーニュの方はややタイトでより内向的な感じです。エキシーですがパレットにややエッジを感じさせる分、ハードだと思わせるでしょう。
しかしながら3年ほど経過しますと、おそらくですが逆転します。村名ジュヴレ=シャンベルタンの方はややタイトに締まっているでしょうが、ACブルゴーニュ・ルージュは柔らかく成り始める・・今だと2011年や2012年ものが美味しくなって来ているという感じだと思います。
デュガさんのワインは、長く正規品を扱って来ませんでしたが、それでもかなり気にしていまして・・
「未だに1990年代のクロード・デュガさんのワインをストック」
しています。
多分、1996年、1997年、1999年辺りのジュヴレはどこかに有るはずで、
「いつか飲んでやろう・・」
と虎視眈々とその機会を狙っている訳です。1998年は飲んじゃったような気がします・・。
で、1999年のジュヴレは何度か飲んでいるんですが、若い時はやはりパワフルだったものが熟すと落ち着きと柔らかさを得て、美しさまで見せてくれます。
このACブルも、むしろそんな感じで、ややスケールを小さくしたものに近いと思います。やはり3年必要かな?・・と感じています。早めに飲みたいのでしたら、少し価格は上がってしまいますが村名ジュヴレをお勧めします。3年待てるようでしたらこちらのACブルを。ACブルのクラスを超えた味わいになっていると思います。
また、2014年と2015年の差は、村名ジュヴレのコラムにも書きましたが僅少です。2015年の方がポテンシャル自体は僅かに高いと感じるものの、その分、現在はタイトです。良いワインだと思います。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【クロード・デュガのスタイル確定!凝縮感は以前のままに、濃度を無理に出さず、エレガントで美しさを表現するように!】
2013年ものに続き、2014年ものをフィネスさんから分けていただきました。クロード・デュガについてはもう、皆さんの方が詳しい位かとは思いますが、2014年の仕上がりはどうかと、A.C.ブルゴーニュとA.C.ジュヴレ=シャンベルタンを飲んでみました。傾向は2013年と同様でしたね。
しかし、濃密さは2014年に分が有りますし、このスタイルでデュガさんは固まるのかな?・・と、noisy 的判断の一応の結論を見ましたので、それを少しお話しましょう。
クロード・デュガさんと言えば、濃密でバリック派でしたよね。90年代のデュガさんの日本での評価は非常に高く、今も上級キュヴェは・・高いですが、非常に人気が有ります。
しかし、1999~2000年頃に入ると希少だったクロード・デュガさんのワインが高騰したんですね。某**店さん(フィネスさんじゃないですよ)が、
「デュガさんのワインは日本ではプレミアが付いて売られてますよ・・」
等とお伝えしたらしいです。あくまで聞いた話ですけど。それで蔵出しが上がったとかなんとか・・。
で、さらに高騰したことも有って、ネットのワイン屋が目玉商品にしてしまい、価格競争で日々値が下がり、結局原価販売をするようになってしまいまして・・今の状況です。でもフィネスさんは決してそんな事に足を突っ込まず、ドメーヌとのパートナーシップを重要に販売していたと記憶しています。
また、時代もPKさんに踊らされた90年代を反省してか、濃いピノに飽きたか・・、ブルゴーニュらしいエレガントなワインに回帰して行って、現在に至るんですね。
デュガさんも2010年くらいまでは、それでも濃密、凝縮感たっぷりなワインにしていたと・・思います。しかしながらその凝縮感は衰えないまでも「濃密・濃厚」と言う部分に関しては、
「今では決してそのようなスタンスでは無い。」
と言えると思います。エレガント系だが凝縮感はちゃんと有りますし、テロワールをしっかり現していると思います。
しかしながら、そうなってくると・・若いうちには「濃さ」で飲ませていた部分が欠如しますよね?・・そうなると、ACブルクラスはどうしてもリリース直後は「硬い」感じになっちゃうんですね・・。
バリック派は辞めてないようですから、緩やかな酸化を促すバリックの多量の使用は、リリース直後の抜栓では、酸素と出会った時の急激な変化は望めず、すでに総量的に飽和している酸素含有率を持っていますんでそのようになっちゃうんでしょう。
2014年もののこのACブルゴーニュは、2013年と同様、ACジュヴレと比較するとやや硬いです。しかも、彼のワインは・・
「3~15年経過して初めて本性を発揮する」
タイプが多いので、若い時の濃度を捨てたクロード・デュガさんのワインは、決して外向きのベクトルに向かず、内向きなベクトルを持っていると言えます。それが熟成・・時間の経過で徐々にベクトルの向きが外向きになってきまして、開いて来ると・・
「滅茶官能的!まるで右岸のボルドーが熟したんじゃないかと思えるほどのパフォーマンスを見せる」
ことになります。以前、古いデュガさんのジュヴレを、あるワイン会で・・まぁ、ずいぶん前に抜栓されていたのを遅刻して行ったのも有りますが、「ポムロル」と言ったのを覚えてます。あ・・、思い出した・・そのデュガを出したが今のオルヴォーの社長さんですよ。
で、今でもその方向性はしっかりみえます。飲めなくは無いですがやや硬いのを感じつつ、男っぽい、ドライでタイトなやや黒い果実と出会うことになるでしょう。ワインは美しいですし、ミネラリティもたっぷりです。色合いも非常に綺麗ですよね?
それに、何と言ってもこのプライスです。随分安くなりましたよね。かなりお得になったと思います。是非セラーで少し寝かせつつ、タイミングを見てお楽しみくださいませ。
以下は2013年のこのワインのレヴューです。
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【悩んでいたか?・・のクロード・デュガ復活の年!この凄い味わいは確認しておくべきではないでしょうか!】
え~・・ACブルの写真が見当たらないので掲載していませんが、2013年はもう2度ほど飲んでますんで・・はい・・ほぼ完璧に理解したつもりです。
で、価格の安いACブルをお奨めしたいところなんですが、残念ながら「今飲んで」の評価を無理して上げることなど出来ませんで、残念ながら3年後を目処にとさせていただきました。
しかし村名ジュヴレの素晴らしさにはビックリです。フィネスさんの扱いの良さを感じることも出来るかと思います。
上記では、「クロード・デュガはしばらく扱って無かった」と書きましたが、定期的では無いにせよ、ちょくちょく飲んでいましたので、彼のワインの変化も気付いていました。
昨年も2000年のグリオットを開けたりして・・良かったですよ。
そして2008年もの位から、ブローカーものを中心に時折ご紹介させていただいています。現在もブローカーものの2011年村名ジュヴレを新着に掲載しています。・・まぁ、価格差は見ないでくださいね・・別に「ボッてる」訳じゃぁ無いんです。本当に仕入れの価格がね・・違うんですよ。
で、2008年ものの記事の時にはしっかり書いた記憶が有るんですが、
「もしかしたらデュガは迷っている?・・悩んでいる?」
みたいな記事です。
それまで、まるでメルロかと思えるような重厚さのある味筋だったものが、エキス系の綺麗なものに変化していたんですね。ただし、受け取る側の印象が予定調和で終わらなかった性も有るとは言え、余りの変化、そして何となくの「中途半端感」が有ったのは事実です。
綺麗なのは綺麗なんだが、何か途中で途切れてしまうような・・例えば余韻ですね・・。続いていて、長くない・・とは言わないものの、何となく途中で途切れ・・弱弱しく復活・・で途切れ・・みたいな感じでしょうか。中域も何となく「イビツ」な形状で、素直に丸みがあるとも言えないような・・です。
ところがですね・・この2013年の村名ジュヴレ・・エライ美しいじゃないですか!・・エキスがたっぷりで、しかも美しいパレットを描きます。いつものデュガさんのように、やや遅い収穫を思わせる「黒味」を持ち、「赤味」も当然ながら有るんですが、黒味から赤味に向かう部分に途切れは無く、何層にも自然なグラデュエーションが有るんですよ。滑らかで深く、非常にドライです。
それに加え、ジュヴレらしい質のミネラリティもしっかり持ち、濡れたような質感、アロマの上がりのスピードはまるで自然派並みでしかも美しいです。「す~っ」と入って来ておだやかに質感を見せ、中盤以降から消えるまでの間に様々な表現をしてくれます。
例えばフーリエはもっと赤く、若々しい部分の高い周波数領域の表現がちゃんとしていますが、デュガさんはその部分はやや黒味で覆われ、より低い周波数領域での表現になります。
しかし、この厳冬期のように品温が下がりやすい時期には、フーリエのような全域にバランスの良い、赤い味わい中心のブルゴーニュは、中域と低域のパフォーマンスをやや落とします。デュガさんは高い周波数領域は黒で置換していますから、フレッシュな部分を持たず、中高域、中域、低域をしっかり持ち、品温度が下がってもバランスを崩さないんですね。
なので、13度~14度で飲み始めても・・重厚で香りも上がり、全体のバランスも素晴らしいんです。調子に乗って随分と飲んでしまいました。
反面、ACブルは、確かに村名ジュヴレにそっくりなんですが・・残念ながら村名ほどのポテンシャルが不足しています。美味しく飲めますが15度ほどまでに上げないと厳しいですし、その表情はやや硬く、内向的です。しかし3年ほど置きますと持っているポテンシャルを発揮しはじめ、村名と同様なパフォーマンスを見せるでしょう。
つまりよりタイトに薄く仕上がって居るわけですね。なので熟成に時間が掛かっちゃう訳です。
それにしても村名ジュヴレはビックリするほど旨かった!・・質も素晴らしいです。このプライスはこの質なら仕方が無いと確認できるでしょう!コンディションも素晴らしいです。是非飲んで欲しい・・です!ご検討くださいませ。