● 2020年のクロード・デュガです。順調に値上がっていますが、周りの生産者のワインの余りの高騰に、余り高くなったようには見えません・・(^^;;
この何年かのクロード・デュガのワインを飲めば、1990~2000年代の黒くて濃い、若い時分は果実が主体のワインだったものが、エキス系の美しさ、エレガンス主体の優雅に香るワインに大きく変わっていることに気付きます。
そして徐々に自然派ワインのようなナチュラルなニュアンスがし始めているのにも気付かれるでしょう。ですので現在は、エレガント系、ちょっと自然派系のピュアなエキス系の見事な味わいです。
2019年ものには、それまでやや迷っていた感が有ったものが消えうせ、高温発酵系の不作為な・・いや、ワインが自由になりたいようになることを許容したかのような、伸び伸びとした作風へと変化し、2020年ものはその延長上・・さらに高いポテンシャルのワインを目指しているのが判ります。
上級キュヴェはいつものように飲めなかったんですが、いや・・A.C.ブルで充分に素晴らしいです。A.C.ブルと言うよりも優れた村名ジュヴレと言いたくなる見事な出来栄えで、例えば、
「赤い果実中心の誰が飲んでも納得するような素晴らしい出来栄え!」
であったフーリエのA.C.ブルとは、余りに見事に異なります。フーリエはおそらく、2020年もののA.C.ブルの葡萄を得て果実主体のワインに持って行ったはずですが、ベルトランはしっかりエキス系の村名ジュヴレ的な方向へ誘導したのでしょう。これは今でも滅茶苦茶旨いです。
村名ジュヴレは柔らかな酸を持ち丸いパレットを美しく描きますが、まだ完全にはこなれておらず、少しの生育が必要です。
この2つのことからも2020年と言うヴィンテージが、
「いつもと異なる」
ことが判るでしょう。2019年以前は、明らかに村名ジュヴレが早く仕上がっていて、
「A.C.ブルは村名ジュヴレのセカンド」
と言った印象を与えていました。
しかし2020年ものは明らかにA.C.ブルの仕上がりがより早く、しかも高いポテンシャルを持ち発揮し始めています。村名ジュヴレは仕上がりはまだで、少し時間が必要・・と言うことは、上級キュヴェはこれから時間を得て仕上がって行くものと思われます(想像です)。
2020年もののクロード・デュガのワインは、下のクラスから順に飲まれることをお勧めします。ですが、
「A.C.ブルの余りの美しさと出来の良さを知ってしまうとすぐに上級キュヴェに手を出したくなる!」
そんな気持ちになってしまう可能性がありますので、そこはグッと堪えて・・少なくとも来春までは手を出さないよう・・お願いします。
ドメーヌ・クロード・デュガも世代交代時期です。今は息子さんのベルトランが頑張っているのでしょう。伸びて来ているのが判ります。海外メディアの2020年A.C.ブルの評価は低すぎると思ってください。お勧めします。
■ドメーヌによる2020年ヴィンテージの感想
2020年は冬から温暖で湿度も高く、春も暑くて日照量が多かった。葡萄の成長はとても早く、冬に降った雨による地中の水分量が適度にあり、畑のコンディションは非常に良かった。開花期もあっという間に過ぎ、一部で花ぶるいやミルランダージュはあったものの、全体的に見れば葡萄の状態は素晴らしい。夏はとても暑く、時々雨は降るものの空気は乾燥していて葡萄の健康状態も良好。収穫は2003年と同じ8月29日から始めるほど早熟だった。しかし酷暑の影響はやはり大きく、葡萄のクオリティは素晴らしいが葡萄の粒も小さいので収穫量はとても少ない。
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2019年のクロード・デュガをご紹介させていただきます。2000年以降、道を迷いに迷って迷走を続けているかのようなクロ・ド・デュガですが、出口が見えた2018年に続き、2019年は、
「エキス系のピノ・ノワール本来のしなやかな味わい」
を目指し、邁進している姿を見ることが出来、世代交代と共に、一時代を気付き上げたクロード・デュガの大変革が、今の世界の状況を含んだものだと感じさせてくれました。
この、新型コロナウイルスが世界に蔓延している状況も、温暖化によると思われる異常気象も、薬漬けだった世代からの教訓を受け、ナチュラルで滑らかでエレガントなピノ・ノワールへの回帰を感じさせてくれます。
2019年もののクロード・デュガは、
「もう迷わない!」
と言っているように感じます。事実、A.C.ブルもA.C.ジュヴレもエキス系で、非常に良い出来です。
特にすぐに飲まれるのであれば、2019年ジュヴレ=シャンベルタンをお薦めします。A.C.ブルは3年経ってから。勿論、上級キュヴェは5年ほどでしょうか。是非ご検討くださいませ。
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あれだけ「濃密なブルゴーニュワイン」の代名詞的存在だったクロード・デュガですが・・とんでもない!・・エレガント系への華麗な転身は間違い無い・・と感じる、しかも相当に出来が良いと言える2018年ものをご紹介させていただきます。
この数年、
「どうしちゃったの?・・大丈夫?」
と声を掛けたくなってしまうほど、迷走を続けていたように思えるクロード・デュガですが、次世代へのバトンタッチで・・やはりナチュラルな方向へのシフトが待った無しだと言う気持ちの表れでは無いかな?・・と感じます。
親や祖父母、親類、友人たちが病気で倒れる、農薬でふらふらになるのを見て来た若い世代にとっては、全く他人事では無いと思います。
そして2018年もののリリースで、ドメーヌ・クロード・デュガが目指している方向性が確認出来る程に成熟してきたのをまざまざと見せつけられました。滅茶美味しいA.C.ブル、そしてその延長上で滅茶複雑性豊かな村名ジュヴレをテイスティングさせていただきました。是非ご検討ください。
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クロード・デュガです。こちらは正規の「フィネスさん」ものです。ようやくチェック・・テイスティング終了しました。・・いや~・・村名ジュヴレの2017年がかなり旨いです!
濃厚な黒系ピノとして、長く愛されてきたクロード・デュガですが、昨今の「綺麗系」「エキス系」への転身は、目に見えて成就してきました。
明らかに美しいエキスがほとばしるドライな液体の村名ジュヴレ=シャンベルタンを基本として、村名のセカンドワイン的存在のA.C.ブルゴーニュ、そして繊細で緻密な1級、精妙なグラン・クリュと言うラインナップになっています。
流石にテイスティングで上級キュヴェまでは手が出せない状況ですが、「綺麗系」「エキス系」ブルゴーニュワインとして、年々成長しているのが手に取るように判ります。
2017年はまず村名が滅茶美味しいので、早めに手をつけるならこれです。A.C.ブルゴーニュは3~5年は寝かせてください。要素の複雑性、美しさから言えば村名には及ばないとしても、大きさはジュヴレに勝るかもしれません。
1級以上は流石の評価が出ています。ご検討くださいませ。

2017年は2016年同様、霜のリスクがあったが結果的には大きな被害はなく、夏は暑くて雨も降って欲しいときに降ってくれたので、近年では安定したヴィンテージと言える。収穫量も十分でチャーミングな果実味と適度な酸味のある飲みやすいヴィンテージ。凝縮感はあるが重い印象はなく、とてもエレガントなのでボトル1本飲めてしまえるような味わいになっている。2016年よりも早くから楽しむことができるが10~15年くらいの熟成もできるだろう。
13世紀に建てられた教会をそのままカーヴとしている当家は現在約6haの葡萄畑を所有しています。物腰静かで高貴な印象の現当主クロードデュガ氏は、良いワインができる条件は葡萄の品質の良さという考えに基づき、畑の手入れを入念に行い、化学肥料は使わずに健康な葡萄を育てています。
また、庭でJonquille(ジョンキーユ:黄水仙の花という意味)という名前の牝馬を飼っていて、小さな区画や古木の区画を耕させています。特に古木の畑は葡萄の根が地中に広く張り巡らされていてトラクターで根を傷つけたり、トラクターの重みで土を固くしてしまったりするのでこの牝馬が活躍しています。収穫された葡萄は温度調節の容易な、酒石がびっしり付着しているコンクリートタンクに運ばれ、アルコール発酵が行われます。新樽がズラリと並んだ地上のカーヴでは最新のヴィンテージのワインのマロラクティック醗酵が行われ、地下水が壁から染み出ている、砂利が敷き詰められた地下のカーヴではその前年のワインが熟成されています。瓶詰めの際にはフィルターもコラージュも行いませんが、ワインは非常に透明感があります。