● ドメーヌ・バローの2019年をご紹介させていただきます。年を追う毎に美しさ、健康美、ピュアさ、ナチュラルな風味を身に着けて来たこの数年ですが、2019年ものは「さらに・・」と言って良いと思います。素晴らしく健康的でピュア、そしてナチュラルな柔らかさを見せつけてくれますが、noisy もバローのワインを非常に長く扱って来ましたので、ある意味・・
「その変化には相当驚いている」
訳ですね。
1990年代はル・テロワールさんの輸入(ノースバークレイのスペシャル・キュヴェ)だったと思いますが、もっと樽っぽく凝縮感が目立ち、ポテンシャルは非常に高いものの、現在のような健康美・・と言うか、ナチュラルな柔らかさとは程遠い存在でした。もっと素直にポテンシャル感は高く、
「お~・・すげ~なぁ・・アン・ピュランやクレイは、熟したら本当に凄いぞ!」
と・・感じさせてくれたものです。そんなパワフルな味わいが受ける時代でも有ったと思います。
今はジュリアンがダニエルに代わり指揮を執っている性かもしれませんが、とても自然な味わいが全体を包んでいますので、むしろ、
「美しすぎてポテンシャルそのものを取るのは、以前より難しい」
とも言えます。
その辺りはビオ転向組のメディア評価の経緯、移り変わりを見ればお判りかと思いますが、それでもnoisy 的には、
「ポテンシャルは以前と全く変わらない」
と感じますし、
「リリース直後の膨らみ、伸び、美しさは以前より増している」
と感じます。
まぁ、ベースキュヴェのマコン=シェントレで充分美味しいので・・ある意味、ワイン屋泣かせな存在かもしれません。
2019年は2015年ものにも似た健康美に加え、そのナチュラルな膨らみ、柔らかさが以前のものよりも増している点で、より高い評価をすべきじゃないかと思います。是非ご検討くださいませ。

■生産者情報
ヴェルジッソンの岩の近くに位置するバロー・エステートは、ワインへの情熱を受け継いでいます。世代を超えて受け継がれてきた共通の目標は、常に独自のノウハウとテロワールを促進することでした。「うまく働くために、あなたはあなたの時間を節約する」というモットーで、不動産はそのルーツを維持しながらそれ自身を更新することができました。
テロワール
ソルトレとヴェルジッソンの象徴的な岩に囲まれたバローエステートは、フランスのグランドサイトに分類される村にあります。モルヴァンに裏打ちされた古いラグーンに囲まれたこの場所で提供される岩は、古代のサンゴ礁で構成されています。土壌には、石灰岩のガラ場、アグリフォイド石灰岩、斑入りの粘土の3つの主要なタイプがあります。それぞれの土壌は特別な注意と特定の文化を誘発します。バローエステートは、その豊かさと多様性を最もよく表現するために、このテロワールを維持しています。
ぶどうの木
有機農法からインスピレーションを得て職人技で栽培されたこのエステートのブドウの木は、丁寧に作られています。彼らのGuyot-Pushardサイズは、植物の樹液の流れを尊重します。
ブドウ園と土壌を尊重するために、実行される処理は硫黄と硫酸銅のみに基づいています。最近の古いブドウの木では、機械化せずに作業が行われています。可能な限り完全で健康的なブドウを得るために、収穫も手動で行われるため、酸化が制限されます。
ドメーヌ・バローの歴史
1905年
ジャンマリーとマリー・バロー
バロー家のワインの歴史は1905年に始まりました。読み方と数え方を知っていたジャンマリーバローは、小作人として良い場所を見つけ、ヴェルジッソンに定住しました。彼の安定した収入により、彼はお金を節約し、1912年にバロー邸の最初の区画である妻のマリーと一緒に買収することができました。
1922年
ジョセフとマーガレット・バロー
10年後、ジョセフとマーガレットバローが引き継ぎます。大胆な男であり、真の先見の明があるジョセフは、作付けの良い区画を見つける方法を知っているため、ブドウの木を植えるために多数の牧草地を取得します。優れた起業家として、彼はカフェやレストランに売ることの価値をすぐに理解しました。1930年代の終わりに、彼はこの地所でワインを瓶詰めすることを最初に決めた人の1人でした。最初のキュヴェ「LesCrays」は1947年に登場しました。
1959年
アンリとモニーク・バロー
1959年、アンリバローは、フュイセ出身の妻モニークと一緒に家族の邸宅で働き始めました。「うまく働くために、あなたはあなたの時間を節約する」という不動産のモットーの起源で、良い地主であり思慮深い人であるアンリは、彼の努力を数えずに不動産を維持します。1971年、AOCサンヴェランが創設されました。アペラシオン「lesPommards」の区画は、1978年に最初の瓶詰めになります。
1979年
ダニエルとマーティン・バロー
バロー家の第4世代は、1979年に定住し、不動産の一部を相続しました。ダニエルと妻のマルティーヌは、祖父と同じ意志と現代性を持って不動産を開発し、マコンヴェルジッソンとサンヴェラン「エンクレッシュ」と一緒にボトルでのマーケティングを開始しました。1990年に、彼らは家とClosdelaVerchereを買収しました。略語DBがラベルに表示されます。
ワインと環境に情熱を注ぐダニエル・バローは、テロワールの保護に取り組むGEST deBeaune協会の会員です。
2006年と2015年
ジュリアンとアナイス・バロー
彼らの息子であるジュリアンは、2006年に不動産の仕事を始め、家族の技術を習得しました。ジュリアンは、たとえばすべての区画を耕すことで、不動産の職人文化を強調することにしました。現在、ワイン造りは彼の独占的な領域であり、彼も家族のノウハウに従って運営していますが、彼はそれを開発することもできました(偉大なヴィンテージのより長い醸造)。アナイスは2015年に兄に加わり、不動産のすべての管理および商業部分を管理しました。
彼らは一緒に、将来が彼らに要求するかもしれない変化を心に留めながら、テロワールの伝統と尊敬を永続させたいと思っています。
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「2018年のダニエル・エ・ジュリアン・バローは、ディディエ・ダグノー風のクリスタルなミネラリティを手に入れた!」 このところのダニエル・バローのナチュラル化は止まりません。年を追う毎に・・美しくなって行きます。
親父さんの頃は素晴らしい果実の風味で、シャルドネの美味しさを見事に表現していました。かのPKさんも、ブルゴーニュ・シャルドネのTOP100に、ダニエル・バローのプイィ=フュイッセを2アイテムも入れていたほどです。
Julien et Anais Barraud
2018年もののバローは、そんな素晴らしい果実の風味も・・実はたっぷりあるんですが、それよりも特筆すべきは、クリスタルのようなミネラリティが膨大な果実の風味を分厚くコーティングしていることでしょう。・・そう、
「もしかして・・ディディエ・ダグノーを目指してる?」
んじゃないか?・・と思えるほど、ミネラリティのクオリティ、量が半端無く増えているんですね。
ですので・・そういう意味においては、メディア評価はむしろ下がっています。物凄い出来の2018年アン・ビュランV.V.でさえ、93点だそうです・・。まぁ、noisy としましては、ハッキリ・・否定させていただきます。「そんな訳は無いす」・・ちゃんと評価してください。
珠玉の「スュール・ラ・ロシュ」は、白眉アン・ビュランに次ぐ仕上がりです。この位のミネラリティの方がむしろ判りやすいでしょう。
そしてまぁ・・それなりの点が付いているアリアンスV.はティム・アトキンさんが91ポイントです。でももう、これで充分!と言えるほどに素晴らしいですし、サン=ヴェラン・アン・クレシェとマコン・シェントレに至っては、
「プイィ=フュイッセ群にそんな低い点を付けちゃったら・・この2アイテム、どう評価するの?」
と思えるほどです。案の定、ネットを検索してみても出て来ません・・。
ですが、2018年もののバローは、どのワインも物凄いミネラリティが豊富な果実をコーティングしていますから、
「つやつや、すべすべのテクスチュアからピュアでナチュラルな果実が漏れてくる、素晴らしいスタイル!」
に仕上がっています。どんどん・・ディディエ・ダグノーに近寄って来ていると感じています。素晴らしい出来でした!
勿論ですが、アン・ビュラン2018は、そんなレベルでは有りません。今回は非常にリーズナブルなので・・いや、少し早いですけど飲んでみていただけたら、noisy の言っている意味が判ると思いますよ。マコン=シェントレでも充分納得の美味しさと美しさを感じていただけるでしょう。超お勧めします!
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● 何しろ昨今は、あの・・「赤ワインが基本」だったリアルワインガイドも、だいぶ白ワインを掲載するようになったので、あれだけ
「ダニエル・バローは旨くて安くて素晴らしい!」
と20年近くにも渡って公言し続けてようやっと・・今の状況なんですが、リアルがバローを掲載し始め、今までブルゴーニュ・ピノにしか興味の無かった方々もシャルドネの旨さに気付き始めたのか、
「ダニエル・バローは・・・ラシーヌさんのはいつ入りますか?」
などとお尋ねの電話やメールをいただくようになりました。(基本、電話はお断りしてるんですが・・全ての仕事が中断になっちゃいますんで・・)
で、高い評価がリアルに載ったりすると・・・それも2013年のように極端に収量が低い年だと・・本当に困っちゃいます。
何しろ、アン・ビュランV.V.の入荷ががこんなに少なかったことは今まで有ったでしょうか・・アン・ビュランだけじゃなく、レ・クレもラ・ロシュも全てバラでしか入ってません。
なので、申し訳有りませんが、ダニエル・バロー今までずっと毎年ご購入になられていらっしゃるお客様にも渡らないかもしれません。ご容赦ください。
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毎年のように全アイテムをテイスティングしてきましたが、一昨年などはとても少量でしたので、テイスティングを断念せざるを得ない状況でした。
ですが2012年もの・・・価格はそれなりに上がった・・・いや、昔に戻っただけ・・・とも言えますが、数量は結構戴けたんですね。なので、2012年は全アイテムのテイスティングをさせていただきました!そしてもう・・・ビックリです!
全アイテムのテイスティングは出来なくとも、幾つかのワインは飲んできましたので、その傾向は理解しているつもりです。しかも90年代前半から連続して飲んでおりますので・・・そんなnoisy が2012年のバローのワインに感じたことは・・
「
近年、経験したことの無い凄い仕上がり!もしかするとダニエル・バローの史上最高のワインになった!」
まず、低価格~ボリュームラインクラスの格上げの美味しさ・・が言えると思います。マコン、サン=ヴェランとも・・今までに無いようなポテンシャルの高さを感じました。そして、マコンはサン=ヴェランを、サン=ヴェランはプイィ=フイッセを喰ってしまいそうなアイテムが有り、完全にクラス越えをしているんです。
そしてフラッグ・シップのアン・ビュランは・・・モンラッシェクラスのビロードのテクスチュアを持つミネラリティでした・・・どれだけ伸ばしても伸ばしきれない・・どこまでも伸張して行くだけの目の細かさを持っていました。
勿論、各アイテム・・・素晴らしいです!ダニエル・バロー史上、きっと最高の仕上がりになったと思える2012年は、必ず飲んでいただきたいと思います。皆さんの・・
「えっ?・・・」
と驚く顔が見たい・・・(^^;; ではどうぞよろしくお願いいたします。
以前ののコラムより転載です。
● 2009年ダニエル・バロー(不)完全ガイド
・・・(不)と入っているのは、幾つかのキュヴェのテイスティングが量的に考えて不可能だったからです。また、プイィ=フュイッセ・ラ・ロシュの入荷は有りませんでした。
結論
良いとアナウンスされた2009年ですが、バローにとっては・・・いや、マコネーの生産者にとっては、普通のヴィンテージなのかもしれません。むしろ、余り良くなかったのかもしれないとさえ思えます。その中で、バローは最善の策を講じ、素晴らしい品質になったのだと理解しています。
2009年のダニエル・バローは全くの贅肉無し、残糖分無し、実に筋肉質でエレガントなマコネーに仕上がっている!・・と言えます。
すなわち、マッチョでは無い、エレガントなムルソーのようなワインで、甘みと云う、人間で言えば「脂肪」のようなものを全く持っていません。これは全てのキュヴェに言えることです。本来は豪奢で、少し残った残糖分が、こってりとした、もしくは甘みの有るフルーツを連想させるものです。ところが、2009年はそうではない・・んです。すべてはエキスへと転化されていますので、今までのような、簡単にいつでも開けて美味しいマコネーでは無いです。きちんと休養させ、揺らさないように抜栓し、エキスを開かせるような飲み方が要求されるかと思います。
それでも、一連のバローのワインは、その隠し事の無いエレガントさが素晴らしいです。贅肉無し、甘み無しのプイィ=フュイッセですが、2008年の仕上がりを考えても、
「ダニエル・バローもエレガント路線に変更か?」
との思いを強くせざるを得ません。まあ、コント・ラフォンのように・・・そっちに行くのかもしれませんよ。
実は昨年、2008年のバローでは、こんなことを書いていました。
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ある意味、2008年は、ダニエル・バローの転換となるヴィンテージになったかもしれません。それは、マイナスの方向に働くことはまず考えられず、さらに偉大なシャルドネを目指しての転換期です。本当に素晴らしい辛口のシャルドネに、実は余分な肉は必要無いのです。しかし、本当に素晴らしい辛口のシャルドネは、本当は甘いのです。でも、その甘さは・・・糖分によるものでは無い。エキスによるものです。その意味においては、2008年のダニエル・バローは、自身の過去に有り得なかったバランスのシャルドネを造り出したのです。
最低5年・・・待ってください。3~6千円のシャルドネに5年待てとは・・・なかなか言い辛いです。しかし、途方も無い可能性を秘めたワインで有る事に目を背ける訳には行かないんです。素晴らしい辛口のシャルドネとは、糖分に頼らないポテンシャルを持った甘いワインなんだと・・・理解していれば、この2008年のバローに挑戦してみることに異論は無いはずです。
やはり、アン・ビュランは凄いですし、ラ・ロシュ(プイィ=フュイッセ)もポテンシャルがビシビシ来ます。しかし、やはり今はちょっと厳しい・・・。本当のことを言うならば、あと1~3ケ月、瓶による熟成をしてから出荷すべきでした。そうすれば新酒由来の渋みも消え、綺麗な状態になったはずです。しかし、バローさんとしてみれば、そんな経験は今までにほぼ無かったはず・・・。まあ、我々が判っていれば良いんですが、人によっては、
「駄目・・」
と、早い結論をしてしまうかもしれません。
でもこのバロー2008年、ポテンシャルに掛けて欲しいと思います。2015年にはきっとそれなりの結論が出ているでしょう。焦らず、飲めるものから試し、上級キュヴェは寝かせてください。是非ともご検討くださいね。
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自分でこんなことを書いていたとは・・・すっかり忘れてました・・・(^^;;
でも、2009年のダニエル・バローは、お手軽さは無くなりましたが、ワイン本来の美しさが見えてきたとも言えます。是非ともしっかり休めてお楽しみください!お奨めします!

エージェント情報
マコン・ヴィラージュ、サン・ヴェラン、プュイ・フィッセの3つの地区でワインを造っている、コート・シャロネーズを代表する造り手・ダニエル・エ・マルティーヌ・バロー。ロバート・パーカーも「コート・ドゥ・ボーヌのグラン・クリュの最も優れたワインと同等か、それを凌ぐ、最上級のワインをつくっている。」と高く評価している。
栽培 ビオロジック
自社畑面積6.7ha
醸造完熟したブドウを収穫した後、澱の上に15ヶ月間そのままにしておき、清澄も濾過もせず、豊かな味わいのワインに仕上げている。