【19年もののムルソー・ル・クロマン!!最近?・・順子さんが残っているものをリリースしたようですが、こちらは noisy のセラーで熟成させたものです!・・これが何とも・・良いんですね・・】

随分と掛かりました。約17年間、Noisy wine のセラーで大人しくしておいていただきました。まぁ・・そうは言っても、これよりも下のキュヴェや幾つかのアイテムには、
「リリース当時から何の問題も無し」
だったので、リリース当時、そして7~8年経過してから販売させていただいたように思います。
「何が問題だったの?」
と言われると思いますし、ご存じない方もいらっしゃると思いますので簡単に説明させていただきます。
2008年(だったと思います)にフレデリック・コサールさんが来日されると言うことで、メゾンものを初めて造った2006年ものを都内でお披露目がなされたんですが、そこで・・フレッドもいるワインバーさんで、
「・・これ、大丈夫か?」
と・・大勢集まった(50名くらい?)ワイン屋や飲食さんの間で、ヒソヒソと相談がなされていたんですね。noisy は少し遅れて行ったんですが、
「・・お、ようやっと来た・・おい、これ、どう思うよ?」
と・・目の前のボトルから注がれた白ワインを数アイテム、
「(さあ・・飲め!)」
とばかりに出されたんですね。
長くなるので端折りますが、そのワインはムルソーやペリエール、そしてシャサーニュ・モルジョと言った上級ワインでした。そして、
「かなりの酢酸が出ていた!」
んですね。まぁ・・揮発酸が超臭いと・・ムルソー、いや、ペリエールがそんなんで良いのか?・・と言うことです。価格も高いし、品格も備わるキュヴェに、揮発酸がめちゃ出ていた・・大丈夫か?・・と言うことなんです。

ですから、しばらく真剣に向き合いました。フレッドも上機嫌で赤い顔をしながらワイワイやってました。
結論から言いますと、余りに揮発酸が高いと言うことで話し合いになり、揮発酸値も調べたり・・大変でしたが、返品希望を受けてもらえることになったんですね。
まぁ・・ムルソー=ペリエールが揮発酸ムンムン・・まだようやっと自然派ワインが根付き始めた頃でしたから、
「こりゃ・・どうやって販売するの?・・そもそも売れるの?」
と思ってしまって尻込みしても仕方が無かったでしょう。
noisy 的には、
「(・・面倒なことになったなぁ・・まぁ、少し寝かせれば一体化して一つの形になるとは思うが、これほどに出ているとなると、いつになるか想像もつかない)」
と言うことで、仕入れたものに関しては引き受け、仕入れていなかった未着のものはキャンセルした・・ように思い出します。
で、それから17年ほど経過する中で、何本も開けさせていただき、チェックを繰り返したと言うことになります。
果たして何本目かのル・クロマン2006です。サントノ・デュ・ミリューもすぐソコに見える、ヴォルネイにほど近い粘土の混ざった石灰土壌です。
開けた途端に凄いアロマが出て来ました。完熟したネクター、マーマレードかオレンジのコンフィか、ビワやマンゴー・・凄い香りです。口に含むとそれらの果実や柑橘を含み、マッタリとした味わいが長く続く・・適度な膨らみと長い余韻・・
「・・お、これ・・残念ながら・・旨いじゃん・・(^^;;」
そう・・残念ながら・・と言う言葉には様々な感情が混じってはいますが・・
「最後の最後に・・まだ酢酸系の、シュッと一瞬で切れ上がる酸の味わい・・残渣が感じられる」
んですね・・。
で、翌日もう一度、飲みなおした訳ですが・・いやはや・・その酢酸系の成分は、ほぼ99%ほどの還元熟成から解放された勢いで酸素を一生懸命に取り入れた性でしょうか・・
「完全に一体化してどこかに消えたか・・内部に溶け込んだ!」
と感じました!・・
まぁ・・愚息にも意見を聞きましたが、
「ん~・・何か・・凄く美味しいんだよなぁ・・」
とのことでした。
フレデリック・コサールですから・・So2 は使いたくないんですね。で、noisy も散々今まで申し上げて来たはずなんですが、彼は・・
「マロラクティックで帳尻を合わせて仕上げるスタイル」
だと。
なので、2006年ものは結果的にマロラクティックに長い時間を取れなかった・・その性で、上級キュヴェの白が揮発酸ぷんぷんな状況になったと・・あくまで推測ですが、そんな感じなのかと思っています。
そして、欲を言うなら・・
「ル・クロマンはあと1年!」
寝かせますとバッチリ仕上がるんじゃないかと思います。なので、
「収穫からちょうど20年!」
と言うことです。
このフルーツの表情は半端無いです。けっして揮発酸臭くはないです。そして、翌日には・・
「我はムルソー・ル・クロマンなり!」
と、その素性をしっかりアピールしてくれます。
前日は、
「ムルソー・ル・クロマンたる素性を隠している表情が存在する・・しかし、それは飲まれる方によって異なる」
とも思います。
いや~~・・ワインって、ホント凄いですね。フレデリック・コサールも、ヤン・ドゥリューも・・根っこは同じだったと・・考えさせられました。もっとも現在のフレッドのワインは、
「とんでもなく美しい!」
方向へと向かっているとも感じます。
是非飲んでみてください。まったく儲かりません・・と言うか、完全に大赤字はとっくに確定していますが、リリース当時のほぼ定価でご案内させていただきます。
「・・ムルソー村名でこれかよ!」
と、良い意味で驚かれると思います。お薦めです。
以下は2008年ものの「ムルソー」(区画名無し)のレヴューです。
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【これぞムルソー!】 区画は、ナルヴォーに隣接する、地元では「Petit Narvaux(プティ・ナルヴォー)」と呼ばれるところの買いブドウ!畑は0.25ha。収穫日は2008年9月29日。樽は2~3年樽を使用。
とても低い重心の位置から「ぐわっ」と湧き上がってくるマグマのように、漲るパワーを感じる事が出来る素晴らしいムルソーです。蜜、黄色の果実のアロマ、酸の構造がかなり深い。上質さと濃密さ、味わいの構造が多重だ。素晴らしい。ミネラルの芯のエッジがしっかり感じられる現在では珍しくなった真のムルソー。現在飲んでも良い。
あっけに取られるような、迫力を持ったムルソーです。それでいて少しも野暮な部分を持たないのが素晴らしい!真のムルソーとは、プルミエ級のポテンシャルを持っており、ただAOCとして村名の格付けをされているだけ・・ということを理解できるでしょう。これもお奨め・・・是非飲んでみてください!