◆ドメ ーヌ・ド・シャソルネイ 2011年(不)完全ガイド!◆
2011年、ド・シャソルネイ、フレデリック・コサールは、ブルゴーニュで今最も熱いワインと言えるでしょう!すぐに飲んでも美味しい・・・と言うことは・・・? ● 大変お待たせいたしました。2011年のドメ ーヌ・ド・シャソルネイとネゴスのフレデリック・コサールをご紹介いたします。毎年リリースのたびにほぼ全てのテイスティングを続けていますが、2011年ものの24アイテム中、マグナムを除いてテイスティングをさせていただきました。
2011年の9月頃、フランス・ブルゴーニュ現地から漏れ聞こえてくる声は、余り芳しいものでは無く、どうなってしまうのか、とても心配でした。先日のパカレの2011年のテイスティングは、白がほとんどでしたが、中~下級クラスは中々の出来だったものの、上のクラスはポテンシャル不足、パカレ自身のアナウンスと思われる
「2011年エレガントなヴィンテージ!」
の声も、何とかの遠吠えのように聞こえてなりませんでした。
脱線しますが大体にしてワイン屋などというのは、調子が良いとガンガン仕入れて良い気になり、在庫が膨らんで売上がイマイチだったりすると急に消極的になったりするもの・・。おまけに仕入れた(購入した)ワインが滅茶苦茶美味しいと凄くご機嫌になるものの、予想と違ってイマイチだったりすると、精神的にかなり落ち込んでしまったり・・ね。もっともまぁ、自分で購入した商品には決して手を出さない方々が大勢いらっしゃるから、それは少数派なのかもしれないが・・。
ところが、いつもリーズナブルで美味しいユドロ=バイエの下級クラスなどが入荷し飲んでみると、
「・・・あれ?・・旨かった2010年とちっとも変らないじゃん・・」 で、ド・シャソルネイ、フレデリック・コサールの20アイテム程のテイスティングに望んだわけです。・・まぁ、ある意味、とても痺れますよ。
そして、テイスティング終了・・・。結果は・・
「2011年のド・シャソルネイ、フレデリック・コサールは、2009~2010年と変らない、凄い仕上がり!」 と判断しました。
何しろ、赤のヴォルネイ、ヴォルネイ1級、ポマール1級を含むドメ ーヌもの(ド・シャソルネイ)は滅茶苦茶美味しく、ヴォーヌ=ロマネ・シャン・ペルドリ、シャンボール、モレ・モン・リュイザン1級はそれを凌ぐような仕上がりです!
そして、白ワインは、どのキュヴェを飲んでも思わず顔が綻んでしまう・・・にっこにっこしてしまうような旨さ!もう大満足なテイスティングでした!
2008年までのネゴスのワインには、どこか「借りてきた猫」のような、よそ者感が漂っていましたが、
2011年では、完全に「コサール節」の表現そのものとなっています。これほどまでに柔らかく、しなやかに、バランス良く絶妙な香りと味わいに仕上げられる生産者は・・・他にはいない・・でしょう。 こうなってしまうと、ネゴスものの数の少なさが悔やまれてくるんですが、それでも最大限の数量をいただいています。
2011年赤2011年赤の白眉は、何と言ってもモレ・サン=ドニ・モン・リュイザンでしょう。まさにグラン・クリュ・クロ・ド・ラ・ロシュの面影がバッチリです。
次いではヴォーヌ=ロマネ・レ・シャン・ペルドリ。グラン・クリュの狭間で咲く美しい花!・・(鳥かな?)もう、これに関しては瓶を抱えて飲みたいです。
そしてシャンボール。1級にならないデリエール・ラ・グランジュですが、むしろ早くから美味しいと思われます。テクニカルを見る限り極端な収量制限もしないのに、これほどまでに素晴らしく柔らかく官能的な味わいに仕上げられるのは、フレデリック・コサールを置いてはいないと言っても過言では無いです。
そしてポマール・ペズロール!真っ赤な果実が群生しています!土っぽいポマールでは有りませんよ。これも素晴らしい!
ニュイのダモードは、ニュイの粗さを全く感じさせない素晴らしい仕上がりでした。むしろヴォーヌ=ロマネを連想させるような感じで、香しいスパイスや野生的なニュアンスバッチリです。そして何より綺麗!
ヴォルネイ1級のロンスレとリュレは、とても美味しいですが、結構スタイルが違います。ロンスレはスグリ系でジューシー、深い構造とエレガンスの両立・・・きれい系です。リュレはむしろロンスレよりも濃厚で果実には黒味が入ります。官能感が高く、ちょっとエロいです!
村名ヴォルネイは黒っぽい赤果実。集中していて、ヴォルネイらしいあっけらかんとしたスムースで真ん丸なピノ!旨いです。
サヴィニー・ゴラルドは、何故かドメ ーヌもので有りながら、人気的にはオーセ・デュレッスに押されているのが理解できませんが、いつものとおり、やや濃い目、端正な赤い深み、綺麗に出たエキスでとても旨い!・・2008年以前のドメ ーヌラインナップから観れば、価格通り・・・白眉です!
オーセの赤は、メロンとかスイカとか、瑞々しい果物が連想されるような、少し硬質な味わい。元々ミネラルの多いワインだけに、流通の疲れが消えてない感じですが、いつも通りの素晴らしいオーセでした。
サン=ロマン赤はさすがにドメ ーヌの中心アイテムだけあって、いつも通りの美味しさです。4年ほど寝かすと、
「あれ?ヴォーヌ=ロマネ?」
と勘違いしそうになると・・思います。
2011年のブドーは、
「あれ?昔のパカレみたい?」
と思ってしまいそうな仕上がり具合で、梅かつを風味のエレガント+妖艶なワインです。もっと判りやすく言えばコサールにしては仕上がりがドライ。しかし、この方が好きな方は多いだろうと思えるものでした!
○2011年白
2011年の白の白眉は、ピュリニー・フォラティエールとムルソー・ジュヌヴリエールです。フォラティエールは、色を見ただけでも「わ~お!」です。・・・飲んだら「うわ~!」です。今飲むのが勿体無いけど、もう頬っぺたが落ちそうな美味しさ!凄いワインでした!
ジュヌヴリエールは、もう唖然とするような深いアロマ!目茶凝縮しています。開きはしないのに別世界の集中感美味しく飲めて仕舞います!圧巻です。
そしてピュリニー=モンラッシェ。この柔らかさ、球体な超絶バランス。是非ともルフレーヴさんに飲ませてほしい!カッチンコチンのテクスチュアも悪くは無いのでしょうが、このピュリニーを飲んだら考えも変ると思いますよ。・・まぁ、安全性を考えると、そんな冒険は出来ないのかもしれませんけど。兎に角、この柔らかさと表情の多彩さは、フレデリック・コサールにしか表現できないのかもしれません。ホント、見習って欲しいな~!
そして、価格が安いのにとても素晴らしかったのがボーヌ・ブレッサンド!蜜や白・黄色の果実が実にリアル!そして美しい雅なやや硬質な石灰系ミネラリティ!これに粘性をプラスしたら、ムルソー・ペリエールじゃないの?と言う声も出たほどです!
オーセの白はいつも通りのプティ・コルトン=シャルルマーニュ。それでもコサールだからこの硬さで仕上がっているのでしょう。普通のオーセと比べるととても柔和で表情豊かです!
何時も美味しいサン=ロマンはいつもよりややスタイリッシュでミネラルが豊かです。リンゴや梨のアロマ、ドライ目の仕上がりで中域もしっかり。中盤以降はいつものサン=ロマンでどっしり感も有って旨いです。
人気の高いビゴットは、熟し気味の柑橘果実、酸もしっかりしているのに良く熟している・・・どこかのPPさんに飲ませたいもの・・。こちらはちゃんと熟して、ちゃんと酸も有る。酸だけだったり熟度だけだったりする方とは大違い。ベースのワインでこの仕上がりはさすがです!
そして初登場のアリゴテは美しく張りのあるブルゴーニュのアリゴテらしいキビキビとした比較軽量級の味わいです。軽量級と言っても、コサールの中での話しで、他に持っていけば、格上クラスを喰ってしまうでしょう。華やかで軽過ぎず外向的。ブルゴーニュの気高さを持ったアリゴテでした。
なお、サン=ロマンのスール・シャトーだけはマグナムにつき飲めていません。そして、フラン・ド・ピエの樹によるこのワインは2011年が最後です。
●総評
ほとんど手放し状態で褒められます・・ので、ご安心してください。そして、もしお客様の景気が良かったら?・・是非早いうちに飲んでみて欲しいと思います。
「これほどまでに柔和で複雑性がありバランスの良いブルゴーニュワインは、他に誰が造れるのだろうか?」 と問うて見て欲しいんです。
テクニカルを見ても、必要以上に収量は落として居らず、それでも、この難しかったはずの2011年のワインを、ここまで持ってくるとは思いもよりませんでした。飲んでいただければ、きっとご理解いただけるでしょう。そして、造り手に必要なものは情熱と感性だと、思われるに違い有りません。素晴らしいフレッドの2011年。心よりお奨めいたします。
エージェント情報 ◆2010 年ワインについて 当主フレデリック・コサールのコメント フレッド曰く、2011年は2010年のスタイルに近いが、よりフレッシュで軽やか!白はフェノールがしっかりと熟していた分、ワインはとても香り高い!2010年よりも一層果実味と酸がフレッシュで、今飲んで最高に美味しい状態にある。赤は、全体的に果実味がチャーミングでエレガント!今飲んでも美味しいが、まだ詰めたてで、若干閉じ気味なので、あと数か月瓶熟させれば、本領を発揮する。2011年はブドウの皮が薄く、発酵中色の抽出が早くスムーズだったので、マセラシオンの期間はいつもより短く済んだようだ。ポリフェノールが例年よりも少ない分、どのワインも果実味と酸が前面に出ている!まさに自然派らしい早くから楽しめるワインに仕上がっている!
畑・収穫情報ドメ ーヌにとっては豊作年!白は平均42hl/ha、赤は38hl/haの収量があった!ミレジム的には、春の気温が初夏並みに高い日が続いたため、ブドウの成長サイクルが早まり、収穫スタートが8月25日と例年よりも3週間ほど早かった。粒単位の選果と、スピードを求め、25人の大人数で一気に行った。ブドウの特徴成長サイクルが早まったおかげで、早い時期にフェノールが熟した!だが、途中6月から8月後半まで天候が不安定だったため、ブドウの糖度はそれほど上がらなかった。醸造情報白はphとアルコール度数が低く、醗酵は比較的スムーズだった!しかし、赤は発酵中ボラティルの上がるリスクが常にあり、いつも以上に徹底したコントロールと衛生管理が必要だった。各タンクの発酵状況は3時間おきにチェックし、ルモンタージュやフラージュは発酵の勢いを確認しながら随時対応した。収穫から発酵が終了するまで、いつも以上に気が抜けない緊張の連続。。しかし結果的に、ボラティルの問題はみごと克服し、芳醇でエレガントな素晴らしいワインに仕上がった! ちょっと一言、独り言 フレデリック・コサールが私とワインを試飲する時、よく口に含んだ後「ブルルルル」と体を震わせたり、あるいは「ン…」と深くうなずきながら、後で「ウマイ!」と叫ぶことがある。「ウマイ!」と日本語で叫ぶのは我々日本人に対する愛嬌だとしても、そ の前の感動の動作は、ま さに彼が美味しいワインに出会った時のリアクションそのもので、こ れが彼の提潤Eする[VinVivant]すなわち活きたワインのエネルギーなのだ! 「たとえクランヴァンであっても、口にした瞬間心の底からこみ上げてくるような波動がなければ、それはワインが死んだも同然だ!」 と語るフレデリック。確かに、彼のワインは試飲を進めていく度に互いのヴォルテージが上がっていくので、思わず私も 「おぉ…」 と知らず知らずのうちにうなり声を上げてしまう…非の打ち所のないすばらしいワインだ。 Vin Vivant という言葉は、初めてフレデリックから耳にしたのだが、最初に聞いた時は妙に納得し感動してしまった。なるほど、確かに美味しいワインにはしびれるような感動がある。Vin Vivant とは、すなわち、美しいワインには必ず良い波動やエネルギーがあり、たとえワインが無名であっても、そのワインを味わったときに心揺さぶられるような感動ある。そして、その震えるような振動が伝われば、それは紛れもなくすばらしいワインだということだ。 彼は言う、「ワインは頭で考えるな!良いワインは口に含んだ瞬間必ず魂が揺さぶられるような感動がある!それは、テロワールやミネラルの波動がブドウに変化し、そのブドウの波動がワインに変化し、そしてワインの波動が人間に伝わっている証拠だ!」 と。 ワインを飲むときは頭で飲むのではなく感覚を信じて飲め!と彼は提潤Eする。彼が Vin Vivant という考えに行き着いたのは決して偶然ではなく、その境地にたどり着くまでには長い経験と下積みがあった。ドメ ーヌを立ち上げる前に 10 年間ワインのクルティエとしてブルゴーニュ中を奔走し、そのクルティエ時代にブルゴーニュのワイン全てを飲み尽くし、ノートに書いて頭に叩き込んだそうだ。ワイナリーの家系でもない、醸造の輝かしいディプロムを持っていたわけでもない彼にとって、頼りは彼独自のワイン分析と経験だけであった。 「たとえばルイ・ジャドはフィネス、ドルーアンは少し樽を利かせた熟成タイプ、ボワセはまず値段…等々、自分の感覚でワインを分析し、ドメ ーヌや畑に足蹴く通いテイスティングしながら 10 年かけて自分の理想のワイン像を収斂していった」 と彼は言う。 そして、経験の中でたどり着いたひとつの結論はブドウの品質だった。すなわち、ブドウがテロワールやミネラルの波動をワインに集約し、私たちに伝えるということだった。「ブドウが全てを包み隠さずに伝える。だから、我々は、ブドウがその土地のエネルギーを 100%集約できるような環境を用意してあげなければならない」。彼が土を耕すのも、散布剤を減らしてホメオパシー(※フレデリック・コサールの+α情報に説明あり)に説明あり)を取り入れるのも、全てはテロワールのエネルギーをブドウに最大限吸収させるためだ。醸造も同様に、ブドウのエネルギーを壊さずに如何にワインに集約するかというその一点に全神経を注ぐ。彼にとっては、たとえ健全なブドウでも、醸造で酵母や酵素添加、SO2、補糖、捕酸、逆浸透膜フィルター、ミクロオキシジェナシオン等々、下手に人が手を加えることは、ブドウのエネルギーの遮断につながり、結果、波動が伝わらない死んだワインと同然なのだ。 「私は、クルティエ時代にこのようなワインをたくさん口にした。名のあるグランヴァンでさえ波動の伝わらないワインがたくさんある…。これらワインは最終的にいつも味わいが似たり寄ったりで、感動が全くない…」 と本当に残念がるフレデリック。 それもそのはず、彼の将来の目標は、ブルゴーニュワインの救世主たるべく、グランヴァンで Vin Vivant を仕込むことだからだ。自分のやり方で畑を甦らせ、自分の手でブドウを摘み、そして仕込む。この目標に向かって彼は今着々とまい進している。2 009年 10月に長男シャルルが誕生してますます気合いの入ったフレデリック。彼がいたずらな子供のような顔をして 「どうして長男にシャルルと名付けたか教えてやろうか?」 と私に問いかけてきた。さっそく理由を聞くと「それはな、俺の尊敬するおじいちゃんがシャルルという名前で、俺がまだ幼少の時に親に内緒でこっそりとワインを教えてくれたのが彼なんだよ!おじいちゃんがいつも内緒で俺をカーヴに連れて行き、自分のつくったどぶろくワインを飲ませてくれていた!今の自分があるのはおじいちゃんのおかげで、俺 も息子のシャルルが大きくなった時に、シャルルおじいちゃんのようでありたい!」 と笑顔で語ってくれた。 |