
2020年もののクロ・デ・フォレは濃密でとても美味しいけれど・・クロ・デ・フォレと言う畑のテロワールや、ドメーヌ・ド・ラルロ的なものの表情は、その濃密さの中に埋没していたと・・
「今ならそう言える」
と感じます。
この2枚ずつの2020年もの、2021年もののグラス写真を見比べて、自分はどっちが好きだろうか・・どっちを素晴らしいと差を付けて感じるか・・そんなところに興味が生まれて来ないでしょうか。
noisy もこの・・何とも不遇な?ワイン屋商売を志して勉強にふけっていた頃はまだ幾分の若さも有り、その無知な自身でも何とかモノになるようにならないといけない・・と言うような切迫感から、様々なワインを飲んで来ました。
過熟気味に濃いピノ・ノワールも出始め・・確かにそれは迫力が有ってゴージャスで・・他を圧倒するポテンシャルを感じました。
しかし、それらもとても美味しいけれど、何か足りないんじゃないか?とも感じていました。ブルゴーニュ・ピノ・ノワールが持つ美しさ・・が損なわれているんじゃないか?・・と。
ですから1998年からネット販売を始め、単に品物を並べるだけのショップにはなりたくは無いと思っていましたから、常にテイスティングをし、自身こそが売りにならなければ将来は無いぞと・・思っていましたら、リアルワインガイドのテイスターとして拾われたんですね。
まぁ・・それからも、他人様とは違う切り口で「物申す」を続けましたから、色々と衝突も有った訳です。それでもやはり、美しいブルゴーニュ・ピノ・ノワールは素晴らしいと・・ご紹介を続けて今に至ります。
そんな頃に出会ったのがド・ラルロのエレガントなワインでした。

これほどに・・違う訳ですよ。目に映る景色が、本当に違います。
「・・ん?・・濃度は数分の一ほど?」
と思ってしまうかもしれません。
しかしながらエキスは滅茶濃い・・と言うか、フルです。そこから香ってくるアロマの質の高さ・・クラクラしてしまいます。
まぁ・・コート・ド・ニュイ=ヴィラージュのクロ・デュ・シャポー2021ほど、現時点では仕上がってはいないものの、飲み始めて10分ほどで・・このワインが持つ素晴らしいポテンシャルに・・誰もが気付くはずです。
まるでミュジニーのような超高域に伸び行く香水的なアロマ、グラン=ゼシェゾーやクロ=ヴージョにも感じられるエレガンスと重厚さまは高域~低域まで存在しているかのようです。
そしてクロ・デュ・シャポーにも感じる、超小粒のピノ・ノワールの見事な甘美さ、妖艶さが・・ほんのりと出てくる訳ですから・・もう・・
「ブルゴーニュ・ピノ・ノワールファンには堪らない!」
・・んですね。
リアルワインガイド第82号では、徳丸編集長も、
「高いけどマジに安い!」
と・・ちょっと意味不明では有りますが、その気持ちは伝わって来ます。
「ブルゴーニュファンなら飲まなきゃ損、損!」
な素晴らしい仕上がりの2021年クロ・デ・フォレです。美しく仕上がったエキスこそ命!・・それを素直に感じられます。是非飲んでみてください。今飲んでも素晴らしい時間を得られるでしょう。エレガンス万歳!のピノ・ノワールです。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【これを見れば一目瞭然!?・・ジェラルディンヌさんも2020年は濃密なクロ・デ・フォレに仕上げた!・・その訳は??・・】
決して「力任せに濃度を上げた」訳じゃぁ・・在りません。おそらくですが、これは収穫のタイミングが・・
「今!」
しかない・・ワンポイントでしか収穫できなかったためだと感じます。
このところは2020年もののブルゴーニュワインを結構に飲んでいますが、
「白ワインは2019年同様にいつ飲んでも行ける!」
感じがしますが、赤ワインは・・
「少し熟成させて方が良い・・が、ポテンシャルは2019年と同様か、超えることも有り得る」
と感じるんですね。
もう・・このグラスの色合いをご覧いただくしかないでしょう。2019年ものが「赤」を見せる「幅」と2020年のそれは結構に異なりますよね?・・2020年ものは、
「果皮が健康的で厚みが有った」
か、
「果汁が少なかった」
かの、どちらかしかない・・(^^;; そう思います。

果皮の割合の多い、濃密で強めのアロマを放出して来ます。とても健康的でピュア・・樽を使用しているはずですが、その樽の影響、余波を完全に飲み込んでいる元果汁の素晴らしさを感じます。滅茶複雑性が高く、起伏を感じる舌触りです。
出来栄えは・・造っている方とすれば・・もう今までで最高!・・と言うに違いないでしょう。エレガントな味わいが好きな noisy としては、現在のバランスはまだ仕上がり切っていないだろう・・と言わざるを得ませんが、それでもこの酸もしっかり有り、要素が抜群に多い味わいは、
「この先、枯れることが有り得るのか?」
とさえ思ってしまいます。・・まぁ、少なくともnoisy が生きている間に枯れることは無いでしょうし、5~10年後の味わいは素晴らしいに違い在りません。
リアルワインガイド第78号は、ポテンシャルで96ポイント付けました。今飲んで・・点は93+ポイントですから・・・そういうことなんですよ。
つまり、今飲んだら93+ だけれど、3年待てれば 96 ポイントまで伸びるよ・・と言うことですよね?
noisy 的には、3年で・・行けるかな?・・5年位、掛かりそうだけど・・とは思いますが、その辺は人それぞれですから・・。しかも、96ポイントは完全にグラン・クリュ並みです。ファルスタッフも95ポイントです。なので、
「今飲んだら1級最高峰、3年以上待てればグラン・クリュ並み!」
と思ってください・・(^^;;
何としても2万円を超えない価格を付けさせていただきました!・・厳しいですが・・おそらく1万円台のクロ・デ・フォレはこれが最後になるかと思います。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【彼女のキュヴェの中ではパワフルだが、ニュイ的なエレガントさとボディの素晴らしさを、最も表現出来た2019年は出色です!】
2019年もののド・ラルロのワインは今までとがちょっと・・
「色彩そのものが異なる」
ものですから、それを何とかお伝えしたいと、何度も写真を撮るものの・・結局気に入った写真が撮れていないことに後になって気付く訳ですね。
それでもこの一枚は、まだマシな方で・・す。
このグラスの写真の、「純粋な赤紫系の色合い」を、以前の写真と比較してみてください。2018年ものの写真がニュイ=サン=ジョルジュだとするなら、2019年ものは・・どう思われるでしょうか?・・ちょっとシャンボール、入って無いですか?
例えば、最近のメオ=カミュゼの素晴らしいニュイを飲めば、誰でも気付くはずなんですね。ニュイ=サン=ジョルジュやヴォーヌ=ロマネの近辺にも、まるでシャンボールのような花の集合体のような素晴らしいアロマを表現できる・・と言うことを。
その良い代表が、ド・ラルロでしたらクロ・ド・ラルロです。
でも実は・・クロ・デ・フォレにもそれは有るんですね・・。しかしそれは今は完全に裏に回っています。熟を経て、良い状態になったクロ・デ・フォレにこそ、それは現れてくるんです。
今飲んでも美味しいですよ。彼女のワインの中では力強い方です。少し噛めるような肉的ニュアンスが有り、非常に深い・・底辺から湧き上がってくるようなエナジーを感じるワインです。2018年も美味しかったですが、2019年はそれさえも超えたんじゃないかと思います。
あの、ブルゴーニュに厳しいブルゴーニュ専門家?のアレン・メドゥズさんも、上値94ポイントでは有りますが、「heart」のマークを付けています。素晴らしいですが、出来ることなら少し置いて、
「ニュイにもある香水のような素晴らしいアロマ!」
を表に引っ張り出して楽しんで欲しいですね・・きっと出るはずです!超お勧め!・・是非飲んでみて下さい。お勧めします!
以下は以前のレヴュー
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【ものの見事なしなやかさ!そして果実の清楚さ!・・この20年で最もエレガントで、しかも欠損部分がまるで無いと言える素晴らしい味わいでした!】

こんな物言いをすると自信過剰だとか、他人の言葉を頭から聞かない・・などと揶揄されることになるかもしれない訳ですが、やはり自分にとっては、自分のテイスティングコメントや評価が一番しっくり来る・・と思っています。まぁ、どこにも間違いや書き損じ、形容詞の使い方が良く無い・・なども在るとしても、やはり嘘を言わない・・心にも無いことを絶対に書かないと決めているので、後になってから自分の書いたものを読み返したとしても、
「・・あぁ・・そうだった!」
と、素直に思えるんですね。そこだけかな・・少々でも誇れるのは・・。
そして、ド・ラルロのワインはもう、少なくとも四半世紀以上に渡って飲み続けているワインです。それなのに、
「毎年味わいの傾向が違う!」
のには驚かされますし、
「醸造家が変わると路線がかなり変更される!」
のも有りますし、
「醸造家が成長したり、ドメーヌに慣れてくるとまた変わる!」
ことにもしばしば気付かされる訳ですね。
で・・長くなってしまうと、
「そんな・・長い文章なんて、読みたくない」
と言われてしまいそうなので端折りますが、
「今のド・ラルロの味わいは、ド・ラルロの歴史の中で一番好きかもしれない・・」
とさえ感じさせてくれたのが2018年のこのクロ・デ・フォレ・サン=ジョルジュでした・・本当ですよ。
勿論、ジャック・ドゥヴォージュさんの、本当にまんまるでたっぷりなクロ・デ・フォレ・サン=ジョルジュも美味しかった!・・完璧だと・・思わされましたし、背筋がゾクっとしたのを覚えています。
でも、それが好きな味わいなのか?・・と聞かれますと・・そんなに単純な話しでは無いんですよね。
まぁ、ワイン屋ですから、どうしても二面性を持った飲み方をしてしまいます。自分の好みを抑え込んでテイスティングしている訳です。
でも、そうしつつも・・「我」や「素」を思い出させられてしまう局面に出会うことも有ります。そんな1本だったのがこのワインです。
決して濃くないです。クロ・デ・フォレ・サン=ジョルジュは・・パワフルでしたでしょう?・・いや~・・2018年ものは、そんな面は無いですよ。
とても充実しているけれど過剰じゃ無いんです。過剰さがまるで無い・・と言った方が良いかもしれません。
以前は、
「クロ・デ・フォレは丸さとまとまりが出る5年ほどの期間を置くのがベスト!」
と感じていました。なので、お客様にも、「飲めるけれど・・それは覚えておいてね」と伝えていました。
ところがです。この2018年クロ・デ・フォレ・サン=ジョルジュは・・美味しく飲めてしまうんですね。タンニンの突出などまるでなく、酸はヴォーヌ=ロマネ村のピノ・ノワールのように柔らかい・・です。
果実の感がとても精緻で美しいので、食の邪魔をすることが無いし、まるでヴォーヌ=ロマネのワインのような振る舞いをするかと思えば、最上質のニュイ=サン=ジョルジュが持つ、稀にしか出会えない「超エレガンス」に育って行くだろう・・と思えるような要素も見えます。
言ってみれば、「尖った部分のないやわらかさ」に加え、「ピノが持つ美しさ」が、このワインを今現在でも美味しく飲ませてくれる要素なのだろうと・・・勝手に結論付けていました。
この見事な味わいを造り出したのは「ジェラルディンヌ・ゴドー」さん・・でした。
確かに、あのジャック・セイスを彷彿させた90年代のド・ラルロの味わいも捨てがたいし、今のこの清楚で淑な・・もう少し90年代の味わいを上手に膨らませて来たかのような味わいも・・素晴らしいと思います。
これは是非とも!・・飲んでいただきたい見事なピノ・ノワールです。
因みにティム・アトキン氏も、ヴィノスのガローニさんも94ポイントで揃ってます。おそらくですが、
「パワフルさが少ない・・少し大人しい感じ」
をそのように評価したと思われますが、それはそれで正しいのかもしれない・・。でも飲んでいておいしいのはこんなワインに違い無いと感じています。
素晴らしい出来でした。是非飲んでみて下さい。超お勧めです!
以下は以前のレヴューです。
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【この20年で最高の仕上がり!・・「韋駄天」的に言うと、「とつけむにゃ~出来」。極一部の極上クリマにしか出ない見事な「香水」のアロマに触れてみてください!】

大変身です!・・90年代のド・ラルロの繊細かつ薫り高いニュイ=サン=ジョルジュが帰って来ました~~!これは嬉しい!・・滅茶苦茶旨いです!
確かに、前年までのこのワインも非常に美味しかったです。それは間違いない。でも2016年までのクロ・デ・フォレとは全然違うんですね。
2016年までは、「濃度を出したい」と言うような思いがどこかに感じられました。特にオリヴィエ・ルリッシュ時代はその意思が強かったと感じています。
ジャック・ドゥヴォージュになり、より分られた区画で醸造するようになり、また、プレスもより柔らかになったと思います。
そしてジェラルディーヌさんの時代になり、1990年台の、ある意味「そっけない」とさえ感じられるほどの「リキミの無い抽出」によるエレガントさが見えるようになって来ていました。それでも2016年はまだ「濃かった」と言えると思います。
その、濃度を出してしまう・・もしくは出てしまう造りは、ニュイ=サン=ジョルジュの持つ「エレガントな部分」「香り高いワインに仕上がるべくのミネラリティ・バランス」を崩してしまっていた・・と感じます。勿論それはある程度、熟成が受け持つ部分でも有った訳ですが、その「リキミ」が「香水的アロマ」をバラバラにしてしまっていた・・と言えます。
メオ=カミュゼの昨今のニュイ=サン=ジョルジュ1級を飲めば、それは充分に伝わって来ます。
「まるでロマネ=サン=ヴィヴァンか!?」
と思えるような甘美なアロマが荘厳に香るんです。
しかし、多くのニュイ=サン=ジョルジュのワインはそうはならない・・。ド・ラルロのワインもそのうちの一つであったはずです。
2017年のクロ・デ・フォレは、抜栓直後からナチュラルで甘美なアロマと果実の風味に溢れています。僅かに終盤に粉っぽさを感じる程度で、5分もすると完全に溶け込んで判らなくなるような現在の状況です。肉っぽい艶を感じるアロマにやや濃いめの果実の風味、エキスがキッチリと出た甘美な味わいです。
そして10~15分ほどしたら、グラスをスワリングしてみてください。背筋が「ゾクゾクッ」とするような、沢山の花びらから抽出した香水を思わせるようなアロマが飛び出してきます。
それは、メオ=カミュゼのニュイ1級のような、ロマネ=サン=ヴィヴァンを彷彿させるものと言うよりも、ミュジニー1/3とレ・ザムルーズ2/3を足したかのような・・いや、それを幾分おとなしくしたかのような、シャンボール的な素晴らしいアロマです。中盤から余韻まで、コート=ドールのピノ・ノワールにしか表現できない繊細な表情です。見事にピュアで、見事にナチュラル、まったくアヴァンギャルドさは無く、派手過ぎてケバくて辟易するような主張の強いタイプでは決してありません。
そうは言っても、このクロ・デ・フォレはド・ラルロの中では最も濃く仕上がるタイプなんですね。それでも、
「こんな色合い」
です。
「1990年台のエレガントで美しいド・ラルロが復活!」
と言いたいと思います。
「こんな香水的ニュイ=サン=ジョルジュを造れるのはド・ラルロだけ!」
でもあります。
2017年のド・ラルロ、是非飲んでみて欲しいと思います。絶妙に美味しいと感じていただけるでしょう。超お勧めです!
以下は以前のレヴューです。
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【何と素晴らしかった2015年ものを凌ぐかもしれない大きなワインでした!素晴らしい!今飲んでも美味しさを堪能できます。】
深いですね~・・濃密ですね~しなやかですね~・・美味しいです。
2016年ものはこうやって仕上げろ!・・と言う見本が有るとするなら、このクロ・デ・フォレが正にその見本と言えます。
やや黒く良く熟していて、凝縮感が有り、深い色合いの果実がたっぷり、中域の分厚さが特徴かと思います。凝縮感はアロマにも現れていますが、
「シツコイな~・・」
と思うようなものでは無く、端正さを保っています。
果実は色の濃い目のスグリ、ベリー、そしてカカオまで揃っています。驚くべきは今飲んでも非常に旨い・・ピュアでアロマの速さからナチュラルさもほんのり漂います。非常に良い出来でした。
アドヴォケイトもアラン・メドーも2015年ものと全く同じ評価ポイントでした。確かに非常に良く似ています。
しかしながら、グラスの写真をご覧いただけますと・・違いますよね。より濃い目の仕上がりが見て取れます。2016年に素晴らしいワインに仕上げた造り手には、多くの場合こんな共通点が出てくるんじゃないかと思います。
数は有りませんので、ぜひお早めにご検討くださいませ。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【ジェラルディーヌ・ゴドーの実質初ヴィンテージはとても嬉しい仕上がり!ちょっと意外でした!・・これは買うしかないぞ・・と!】
まずはド・ラルロー2015年の量的なことから・・お伝えしましょう。
非常に・・少ないです。前年の2014年ものの半分以下・・です。ほとんどのキュヴェがバラでの入荷ですので、例年のようにのんびりしていると購入できないことになるかと思います。
価格は7~8%位上昇しています。またクロ・ド・ラルロの若木から造られていたル・プティ・タルロは樹齢の上昇と共に1級にふさわしい質になったと判断され、「モン・デ・ゾワゾー」と名称が変更されています。
それに加え、クロ・デ・フォレ・サンジョルジュの中の下側の葡萄で造られていた「レ・プティ・プレ」は、クロ・デ・フォレ・サンジョルジュとの差が無くなったという判断から、クロ・デ・フォレ・サンジョルジュに統合されましたので、2014年ものが最後になり、2015年のリリースは有りません。
2014年ものまでは上級キュヴェのロマネ=サン=ヴィヴァン、ヴォーヌ=ロマネ・レ・スショを除き、少なくとも12本は入って来ていましたので1/2~1/3の数量になっており、都合・・noisy のところに入ったのは半分と言うことになります。
なので、ジェラルディーヌ・ゴドー女史の力量をすべて確かめたいところだったのですが、とにかく一番数量の多かったクロ・デ・フォレ・サンジョルジュをテイスティングさせていただきました。
ですが・・そもそも2014年は結構抜栓して飲んでいましたので、
「・・・ジャック・ドゥヴォージュさんとあまり変わらないんじゃないかな?」
と思っていただけに、この質感に驚きは隠せませんでした。
まぁ・・この下の以前のコラムや、ラルロのコラムをお読みになられますと判るかと思いますが、個人的にはジャン・ピエール・ド・スメ時代の薄旨系ワイン・・・大昔のジャック・セイス率いるデュジャック系の味わいが好きなので、オリヴィエ・ルリッシュさんには悪いですが彼はちょっと及ばなかったかな?・・と言う印象、それをジャック・ドゥヴォージュさんが薄旨系ではないにせよ、しなやかなエキス系の味わいに持ってきてくれたので、
「・・あぁ・・良かった・・」
などと思っていたのもつかの間、すぐにクロ・ド・タールに行ってしまったのが2014年ものの時・・と言うような流れなんですね。
ジェラルディーヌ女史も2014年ものは瓶詰めはしたものの、醸造には完全にはタッチしておらず、良いとこエルヴァージュに間に合ったくらいでしょうから、彼女の造る「ド・ラルロ」の味わいは、ほとんど判らなかった次第です。

色合いを見てみましょう・・まぁ、2014年ものの写真も有りますんで一目瞭然ですね。
「やや黒味が入っているかな?」
と言うようなニュアンスが見て取れるかと思います。・・・そうなんです。ヴィンテージによる差異もあると思いますが、2014年ものよりは良く熟している・・収穫のタイミングは2014年ほどは早くは無いのかな?・・と思えます。
しかし、とても熟していますが酸も綺麗に出ていて、マロもしっかり掛かっていますのでとても滑らかです。2015年の健康的なヴィンテージがそうさせた・・とも言えそうです。
そして、ド・ラルロらしいナチュラルなニュアンスはそのままに、そのまろやかで美しい酸が感じられるんですね。
「ニュイ=サン=ジョルジュらしいけれど粗野にはならない」
ド・ラルロの良さが感じられます。
中域は非常にふっくらとしており、痩せ気味のスタイリッシュな女性と言うよりは、適度に柔らかさの有るベスト体重の女性のような・・感じです。色合いの透明度、照り、美しさから、非常に健康的だということは伝わってくるかと思います。
余韻も滑らかで、時折・・と言うか、開けるタイミングによっては「雑然」したテクスチュアを見せるクロ・デ・フォレ・サンジョルジュは、そこにはいませんでした。精緻で整然とした複雑性とスパイシーさを見せる魅力的な味わいと香りでした。
ついつい・・進み、結構・・飲んでしまいました。2014年ものもとても美味しかったんですが、これほどの安定感は無かったように思います。アドヴォケイトは93~95ポイントと、かなりの高評価をしていますが、それも理解できる味わいです。アラン・メドーはいつものとおり落ち着いた気持ちでの評価でしょうが、それでも91~94ポイントと高く振れています。
2014年のこのワインにアドヴォケイトは89~91Pointsとしか評価しておりませんので、2015年ものの93~95Pointsとは物凄い差になっています。「・・一体どうしちゃったの?」と言いたくなるような差ですが、
noisy 的には、さすがにそこまでの差は付けられないにせよ、2014年ものは優しいマロの酸のシャキッとした味わいが、アドヴォケイト的には評価できなかったのかな?と感じています。
2015年もののブルゴーニュは健康で熟した葡萄が量的には少なくともそれなりに取れたことも有り、完全発酵に持ってゆくとその潜在アルコール分の高さから、「ヴァン・ド・ガルド」的なものになる可能性が多いかと思いますが、超熟さと若飲み時の美味しさの両立を果たしたジェラルディーヌ・ゴドーの手腕は凄いぞと・・思わせてくれました。ぜひ素晴らしい仕上がりの2015年もの、ご検討くださいませ。
また、その他のワインは少な過ぎてとても飲めませんでしたが、リアルワインガイドの次号には評価が掲載されるかな・・と思います。それまではとても持たない可能性が大ですが、そちらもぜひご参考にされてください。
以下は以前のヴィンテージのコメントです。
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【チェックしました!しっかりドゥヴォージュ味の濡れてふっくらふくよかなクロ・デ・フォレでした!】
何だかんだ言っても毎年何かしらはテイスティングしてチェックしないと気が済まないので、飲んでないと言いつつも、結局最後は飲んでいたりするので・・まぁ、どうしても最初のご案内の時に、全てチェックが終わってからご紹介するべきなのでしょうが、そんなことをやっていると入荷から2カ月も経ってからご案内するようになってしまうのと、結局は数量を確保出来ないので沢山のアイテムのテイスティングが出来ない・・と言う堂々巡りになってしまうんですね。
2013年の瓶詰めはジャルディーヌさんがやったとは言え、ドゥヴォージュ味の深くたっぷり柔らかくしなやかな味わいだったと思いますので、2014年も・・
「このところは低クラスのテイスティングしかしてないし、ラルロも熟したものしか飲んでないから・・クロ・デ・フォレ、飲んじゃおう!」
と・・結局は看板のクロ・デ・フォレをさっさと開けることにしました。何せこの6月から7月に掛けては、ブルゴーニュのワインの到着が目白押し・・言い方が古い?、じゃ、行列待ち、テイスティングも何かと多く、大変な期間では有るんですね。
で、到着間もないクロ・デ・フォレを飲んでみました。透明感のある美しい色合いですね~。香りもコルクを抜くともう・・やや官能さの有る色っぽいアロマが漂ってきます。鋭角では無く鈍角の優しい感じです。
コルクも・・まぁ・・良く見たら仰天です。隙間が無いほど焼印で文字が書かれていて、
「ん~・・これなら絶対に間違えることは無いぞ・・」
と思えるほど・・。最も、コルクトップの平面には文字は有りませんが、本当に目一杯、書かれていました。
非常にピュアでナチュラルさの有る暖かいアロマです。紫の小果実が群生しています。まだまだ開きはしない要素の粒がたっぷり有りますが、すでに漏れてきている分だけで充分に旨いです。もっとも・・クロ・デ・フォレが熟したらこんなもんじゃぁありません。
やや肉の有る、構成豊かで、非常にドライな味わいです。中域はしっかり存在していますが、まだなかなか膨れ上がっては来ません。シルキーなテクスチュアで柔らかなタッチ、少し濡れたようなイメージを持つ辺りは、ジャック・ドゥヴォージュが担当だった頃とほとんど変わり無いと感じました。
違うとするならやはり2014年のヴィンテージの豊かさでしょうか。2014年ものは、リリース時から好ましいひとつのレベルのバランスを持っていた2013年と異なり、樽熟、瓶熟を長く取らないタイプのドメーヌのワインは、9月以降の涼しくなってくる頃が、それなりのバランスに仕上がる時期かと感じます。
もっともクロ・デ・フォレをチェックの為ならいざ知らず、美味しく飲もうと思って6月中に開ける方は極少数派でしょうから、やはりこのドメーヌの看板ワインは5年以上、出来れば10年と言うスタンスを持つべきでしょう。
反対に、植え替えのため数は非常に少ないクロ・ド・ラルロは5年で結構熟しますので・・、それにフォレと違いやや細身の姿が美しい・・そこが美味しさですから、早めに飲みたい方はスタイリッシュなピノでは有りますがクロ・ド・ラルロを選ぶと良いです。
また、セカンドワインとして若木のワインがクロ・デ・フォレ、クロ・ド・ラルロそれぞれに有りますが、
「若木だし、セカンドだから早熟でしょ?」
と思われるかもしれませんが・・意外にもそうじゃなくて・・ファーストと同じような傾向を持っているとお考え戴くのが良いかと思います。
良いヴィンテージになった2014年を感じさせてくれる素晴らしいピノでした。熟を待ちましょう!お奨めいたします。是非ご検討くださいませ!