● 圧巻!・・素晴らしいです!・・ついにドメーヌ・ド・ラルロが持つブルゴーニュならではの狂おしいエレガンスが復活した2021年ものをご紹介させていただきます!
いや~・・最高ですね・・思い起こせば1990年代に初めてド・ラルロの瑞々しくも淡く、しかしエキスの美しさに驚いたことを思い出します。ドメーヌ・デュジャックのジャック・セイスの弟子ジャン=ピエール・ド・スメから始まったドメーヌ・ド・ラルロは、オリヴィエ・ルリッシュ、ジャック・ドゥヴォージュ、そして現在のジェラルディンヌ・ゴドーと引き継がれていきました。

個人的にはややハードなオリヴィエ・ルリッシュ、濃度もありつつソフトで深いジャック・ドゥヴォージュ、そしてまだ確定出来ないジェラルディンヌさん・・で有った訳ですが、ジャン=ピエール・ド・スメほど淡くは無いものの、彼の時代の・・何とも言えないブルゴーニュならではの超絶なエレガンスと官能さをエキスから発する凄いアロマと味わいを、ジェラルディンヌさんがこの2021年もので復興したと・・思っています。
まぁ・・徳丸さんは「ルリッシュの頃」と言い換えるとは思いますが・・(^^;; noisy にとってはド・スメさんです。
ブルゴーニュファンなら・・悶絶しちゃいますよ。クロ・デュ・シャポー2021年、激旨です!これは絶対に外せないアイテムです。
他に飲めたのはクロ・デ・フォレだけですが、これもまた・・クロ・デュ・シャポーほどは仕上がり切ってはいないものの、すでにそのエロティックなアロマをエキスから放出しはじめており、素晴らしいこと、この上無い出来でした!
2021年のド・ラルロは、他のアイテムは全て1~3本の入荷です。上記2アイテム以外は飲めてはいませんが、淡いと言うほど淡くは無いものの、間違いなく・・ジャック・セイスの頃のディジャック的、ジャン=ピエール・ド・スメの頃のド・ラルロのエキスのエロさ、旨味を・・
「ジェラルディンヌ・ゴドーが復興した!」
と言って良いと思います。
こんなワインに出会えるとは・・本当に嬉しいですね。滅茶美味しい2021年のドメーヌ・ド・ラルロ、必ずや入手されてください。激推しです!
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2020年のド・ラルロをご紹介させていただきます。色々事情が有りましてだいぶ遅れてしまいまして申し訳在りませんでした。一時はどうなるかと・・言うようなところまで行きましたが結局は何とか揃いました。
ですが・・数はどうにもならないほど少なく、テイスティングアイテムも2本に留まってしまった・・と言う状況で、どうやら・・
「昨今のブルゴーニュワインと日本を取り巻く世界の状況」
が、この入荷数割り当ての少なさを生んでいるようです。
今回、開けることが出来たアイテムは、
・2020 コート・ド・ニュイ=ヴィラージュ・クロ・デュ・シャポー
・2020 ニュイ=サン=ジョルジュ・プルミエ・クリュ クロ・デ・フォレ・サン=ジョルジュ
になりました。
たった2アイテムですが、
「なるほど!」
と思える仕上がりです。
やはりこれは2020年もののブルゴーニュワインの特徴なのかな・・と思いますが、濃度はしっかり出ていて非常に複雑性の高い味わいです。早くから飲めなくは無いんですが、素晴らしかった2019年ものとはかなり異なる印象を受けました。
2019年ものは・・まぁ、アイテムにも寄りますが、早いうちからもう仕上がっているかのような美しいディテールとテクスチュア、深く優しい・・でも流れるようなシルエットを見ているかのような飲み心地の良い味わいでした。
2020年ものは、ポテンシャルは2019年と同様もしくは超えるほどか・・と思える出来栄えですが、2019年ものが持つ早くから美しく、いつ飲んでも凄く美味しいんじゃないか・・と言うようなイメージでは無く、
「濃密でとても美味しく飲めるもののまだ完全には仕上がってはおらず、今後3~5年を経て複雑性を持つ素晴らしいポテンシャルを開花させるヴィンテージ。」
だと言えるかと思います。
まぁ、これはやはり総体的に2020年ものブルゴーニュ・ピノ・ノワールの特徴とも言えるかと思いますが、ドメーヌ・メオ=カミュゼのニコラ・メオさんがおっしゃったように、
「2020年ものは歴史的なヴィンテージになる可能性が有り、2~3年で消費してしまうような飲み方はお勧めしない」
と言うのが大当たりなのでしょう。
また、
「2020年ものはあの素晴らしかった2019年ものを超えられるのか?」
と言う点につきましては、noisy 的には・・
「超えうる!」
と申し上げておきたいです。いつものヴィンテージだと、もう少しはっきりと「超えた!」と言えるんですが、何せたった2アイテムのテイスティングではそこまでは突っ込めないんですね。申し訳在りません。
ただしほぼほぼのメディアが2019年ものと同等か、プラス1ポイント..乗せた評価をしています。ファルスタッフ・マガジンは確実に「2020年もの推し」です。一方、重鎮のジャスパー・モリス氏はむしろ2019年もの推し・・上値で1ポイント、2019年ものに高い評価をしています。
ですので、
「2020年ものは育成に回し、2019年ものを先に楽しむ」
のが良いのかな・・と思います。
中々入手が難しくなって来たブルゴーニュワインですが、それでもドメーヌ・ド・ラルロのワインは古くより日本で輸入されていたからこそ、今でも多くのアロケーションが有るのかと思います。noisy ももう・・足掛け30年近い扱いです。どうぞご検討よろしくお願いいたします。
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2019年、ジェラルディーヌ・ゴドーさんによるド・ラルロの入荷です。noisy 的にはピエール・ド・スメさん以来のエレガント系に回帰したド・ラルロであり、女性ならでは?・・か、ジェラルディーヌさんならではの「しなやかで伸びの良いド・ラルロ」が「ほぼど真ん中!」な好みだと思い始めていました。
その上で2019年ものを待ちわびていた訳ですが、何かと忙しさにかまけてしまいまして8月になってからのご紹介になってしまったことをお詫び申し上げます。
素晴らしい出来になった2019年では有りますが、畑の改植やまだら模様な収穫量から、アイテムによりましては「結構に少ない」ものが有ります。そんな2019年もののド・ラルロは、
「エレガンスに磨きを掛け、薫り高くナチュラルさの漂い始めた滑らかで優しい味わい」
と感じさせてくれました。
また、驚いたのは、クロ・デ・フォレの充実度・・これは単に凝縮感が有ってどうのこうの・・と言うようなレベルでは無く、畑由来の表情を巧みに表現している完成度の高さが有りますし、最近は余りに少なくて飲めなくなってしまった、ドメーヌの名前そのものでもある「クロ・ド・ラルロ」の若木で造られる「2019年モン・デ・ゾワゾー」の素晴らしさ!
まるでシャンボールの秀逸な畑由来か、ロマネ=サン=ヴィヴァンか?・・みたいな、香水に例えられるような素晴らしいアロマと、非常に伸びやかな絹ごしのテクスチュアに、全く惚れ込んでしまいました・・。もう、若木でこの出来だとすると・・
「クロ・ド・ラルロはどうなっちゃってるんだろう・・どこまで行っちゃったんだろう?」
と、飲めない状況を恨めしく感じるほどでした。
その上で、ド・ラルロは元々、今で言うところの「自然派」でしたが、この十数年はその、「らしさ」を余り感じられませんでした・・ジェラルディーヌさんが指揮をとるまでは。
しかしながら、「アヴァンギャルドではなく節度をしっかりもちつつ自然派らしいナチュラルさ」を心地良さとして感じられる出来になっています。
凝縮感が弱った、無くなったのではなく、ナチュラルさが伸び伸びとした、畑本来の豊かなミネラリティによる表情を見せられるようになって来たからこその素晴らしいディテールが有ります。是非とも2019年のドメーヌ・ド・ラルロ、飲んでみていただきたいと思います。クロ・ド・ラルロが飲めなくても、モン・デ・ゾワゾーで充分です・・(・・いや、クロ・ド・ラルロもよろしくお願いいたします。)超お勧めいたします!
DOMAINE DE L'ARLOT / ドメーヌ ド・ラルロ
THE 2019 VINTAGE
Geraldine Godot. Technical Director
ジェラルディンヌ・ゴドー.テクニカルディレクター
2019年10月
9で終わる年の偉大なヴィンテージの伝説は、2019年にも当てはまるようです。この年は厳しい干ばつを含む悪天候に耐え、収量に格差が生じました。幸いなことに、適度な気温がブドウを十分に成熟させ、並外れた品質のブドウを収穫することができました。この2019年のヴィンテージは間違いなく素晴らしいものになるでしょう。
変化する季節
暖冬の後、ブドウの生育サイクルは早く始まり、4月初旬には中芽折れの段階に達しました。しかし、数回の霜の降りた夜を伴う気温の低下により、被害は区画によって大きく異なりました。この冷涼な春の影響で生育が悪く、生育が鈍化しました。この気象条件と粉病の発生しやすさを考慮し、シャルドネとピノ・ノワールの両方に最適な保護を維持するための処理が開始されました。開花は6 月に始まり、3 週間続きました。この期間の気温と降雨量に大きな変動があったため、ミルランダージュ(結実不良)とクリュール(花ぶるい)が発生し、その結果、房の発育にばらつきが生じました。平均よりも暖かい夏にもかかわらず、熱波が繰り返され、雨が降らなかったにもかかわらず、ブドウの木は持ちこたえ、7月下旬にはゆっくりとヴェレゾン(ブドウの果実の色付き(着色))が始まりました。8月には少しだけ雨が降り、非常に好天に恵まれて成熟が進みました。収穫は9月12日から17日まで、夏らしい天候の中で行われました。早期の天候と夏場の干ばつが収量に大きく影響しました。
収穫
涼しい朝の恩恵を受けるため、9月12日にシャルドネの収穫を開始しました。ピノ・ノワールの品質は明らかで、ブドウの健全性は素晴らしく、糖度と酸のバランスはほぼ完璧でした。
醸造と最初の印象
ピノ・ノワールの色とタンニンがすぐに現れ、果汁はフレッシュで果実味に満ち溢れていました。シャルドネは良い酸味を持ち、素晴らしい成熟度と調和していました。ワインは現在(2019年10月)、樽に入れられています。
私たちのヴォーヌ=ロマネの区画は、他の区画よりも悪天候に苦しみ、最終的には小さな収穫となりました。2019年の収量は、1ヘクタールあたり23ヘクトリットルと、ドメーヌ全体で減少しています。ワインはテクスチャー、エレガンス、バランスを持っています。明らかに2010年代を締めくくる9の付く年のもう一つの偉大なヴィンテージです。
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2016年11月3日訪問。
出迎えてくれたのは、2015年から新醸造責任者となったジェラルディンヌ・ゴド氏。クロ・ド・タールの醸造責任者にヘッドハントされたジャック・ドゥヴォージュ氏から2015年よりその任を受け継いだ女性醸造家だ。メゾンアレックス・ガンバルでマネージャーと醸造責任者を務め、成功に導いた。多くの後継候補の中から、一際輝く才能を備えた彼女がジャックやジェネラル・マネージャーであるクリスティアン・シーリーらによる厳しい選考で、彼女以外にドメーヌを今よりさらにステップアップできる人はいないとまで言わしめた才能あふれる女性なのだ。
ドメーヌ建物2階の庭が見渡せるサンルームで談笑し、隣の建物にあるセラーで試飲する事となり、まずは近況に関して話してくれた。
2016年はこのドメーヌに限らず、ブルゴーニュ全体でも難しい年となったと彼女は語った。ラルロでは2015年産と比べ、50%も収量減となったそうだ。
大きな要因は霜害だった。ドメーヌ近隣ではニュイサンジョルジュ村の隣、プレモープリセ村の被害が大きかったそうだ。普段は霜害のない村が被害を受けたそうで、ヴォーヌ・ロマネ村などのよく霜害のある村は影響がなかったそうだ。
雹害に比べ、一見、ブドウの樹はダメージが無さそうに見えても、根等にその影響があるせいで、実を全く付けない樹が多かったのは精神的にもかなり辛かったそうだ。共に働くスタッフ達とモチベーションをコントロールするのは難しかっただろう。
それに対し、彼女にとっての本当の意味でのファースト・ヴィンテージとなった2015年産は素晴らしい出来だったそうで、引き継ぎ早々、落差の激しい年となったようだ。
ドゥヴォージュとジェラルディンヌは2014年夏から引き継ぎの為、収穫から仕込みまで、共同で行った。これはとても稀な事で、彼の律儀な性格がうかがえる。
ジェラルディンヌ曰く、ドメーヌの理想的な収量は30-35hl/haだという。ただこれはあくまで理想だ。実際に彼女が関わった2014年は29hl/ha、そして2015年は24hl/ha、2016年は10-12hl/haだったというから、如何に2016年が厳しい状況なのかが分かる。収穫も通常なら35人必要な所、2016年は25人で済んでしまったそうだ。
2015年は、近年では最もブドウが早く熟した年だった。暖かい春の気候でブドウは順調に生育した。6月に関して言えば、ヨーロッパ全土で猛暑だった2003年以来の暑い月だったようだ。その後にウドンコ病の危険
性もあったが、問題なく生育したそうだ。

ブドウの成熟は気温が35度を超えた7月中旬から本格的に始まり、8月には必要な雨も降り、恵まれた環境の下で収穫を迎えたそうだ。
2015年の収穫は白が9月3日に開始し、9月4日に終え、赤は9月4日から9日までだった。通常、赤白全体で、フルで7日はかかるが、2015年は実際の労働時間としては例年より1日短い6日で終えたそうだ。
収穫時、畑での選別や収穫後の選別台での
不良果の選別の必要がほとんどなかったのが大きな要因のようだ。とても良質なブドウが採れたと皆で喜んだそうだ。健康でクリーンな房で梗も熟していたそうだが、全体的な収量は24hl/haで平均以下となったそうだ。
量はともかくとして、質的には彼女の門出を祝うような素晴らしい年となったが、翌年2016年には大きな試練が待っていたのだ。困難な年にどのようなワインを生み出すか、彼女の本当の真価が問われるだろう。