● お待ちかねの方も多いかと思います。2015年のベルトーが入荷し始めました。今回は上級キュヴェと、2015年の少ない作柄を埋めるべくのバックヴィンテージが少しだけ・・追加で有ります。
2015年よりドメーヌ・ベルトーとドメーヌ・ベルトー=ジェルベのラインを一本化、「ドメーヌ・ベルトー=ジェルベ」になっています。
2013年ものはそのヴィンテージを背景にしたものが出たのか超エレガント、生き生きとして一体感の有る見事なブルゴーニュワインでした。大人気でした。
2014年ものは2013年ものに比べやや大柄でしっかり、ポテンシャルとしては上回るものの、リリース時の味わいのバランスは2013年ものに及ばず、唯今成長中で現在、かなり良くなってきていると思います。
で、2015年ものなんですが、ジェルベ家のヴォーヌ=ロマネ系ワインが増えたのは喜ばしいものの、全体数量が激減しており、1本~数本しか入荷しないアイテムが多く、また、ACブルやフィサンなどの量が有る程度見込めるベースキュヴェの到着が後になった関係で、全体像を見切れる状況では有りません。
なので、今回はベルトー家のジュヴレ村名のクロ・デ・シェゾーと、ジェルベ家のヴォーヌ=ロマネ村名を飲ませていただきました。
が・・困りましたね・・凄いポテンシャルなんですよ。
「エキス系でエレガントで美しかった2013年のスタイルをそのまんま濃密にした香しい味わい」
です。
見切れないと言いつつも宣言してしまいましたが、これはもう・・早い者勝ちで・・すみません。詳細はコラムをご覧くださいね。
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2013年に衝撃的なデビューを飾ったアメリー・ベルトーによる「ドメーヌ・ベルトー」「ドメーヌ・ベルトー=ジェルベ」をご紹介します。すでにワイナート誌、リアルワインガイド誌にも取り上げられ、
「凄く変わった!」
と言われる「ドメーヌ・ドニ・ベルトー」の継承者・・それがアメリー・・愛らしく若い女性です。ワイナート誌に至っては、誰が取材したのかは判りませんが、
「正常な男性なら惚れてしまうほど美人!」
と言うような、ちょっと・・
「・・大丈夫かぁ?」
と言う気持ちにさせられるような形容をしています。
まぁ、そんなことよりもですね・・実際にワインがどうか?・・が重要なんです。
何てったって・・私らの世代で「ドニ・ベルトー」は知らない人はいないだろう・・と言うべきドメーヌです。最近はやっていませんが、「ドメーヌ・シェゾー」と言う造り手のワインは、ドニ・ベルトー始め、ルネ・ルクレールとポンソが造っていまして、各々シェゾーの畑を耕作、醸造し、製品の半分を自身のドメーヌで売り出し、残りの半分をドメーヌ・シェゾーに渡す・・と言うことをやっていたわけです。
なので、ポンソが造ったグリオット=シャンベルタンとか、ベルトーが造った「ソレ」とか・・、区別が付かなかったんですよね。なので、飲んでみて・・
「あ、これ・・ポンソ・・間違いない!」
とか、
「ん?・・いや、ルクレールでしょ!」
みたいなことをやってた訳です。
ドニ・ベルトーのワインは悪くは無いんですが、パワフルながらやや野暮ったく、リリース直後は手を出さない方が良い・・と言う判断をしていました。
しかし、色々な情報を精査してみると、
「アメリーのワインとてもエレガント」
「ソフトなタンニンに仕上げたいと本人も思っている」
ようなことが判りましたので・・
「こりゃぁ・・まず、何としても飲まなきゃならん!」
・・で・・早速・・4アイテム、飲んじゃいました!これだけの少量しか入らない中での4本は、結構厳しいんですが、リアルもワイナートも現地試飲ですからね・・。僅かとは言え、少なくとも2カ月ほどのタイミング差、熟成差が有りますし、現地のコンディション=輸入後のコンディションでは無いですし、また、同じ銘柄名だとしても、現地試飲のアイテム=日本輸入のアイテム・・とも限らない訳です。(・・樽寄せの問題が有りますんで・・でも、ベルトーではフードルに戻して樽寄せし、均一化はしているようです。)
それに、ヴォーヌ=ロマネの「ドメーヌ・フランソワ・ジェルベ」姉妹の娘がアメリーなので、何とジェルベのヴォーヌ=ロマネの珠玉のクリマを貰ってるんですね~!・・ヴォーヌ=ロマネ村名、1級プティ=モンに加え、なんと特級エシェゾーまで!
で・・結局これはもう・・・
「素晴らしいので買うしか絶対ない!」
と言う結論に達した訳ですね。
なので、上級キュヴェは非常に少ないので、限定条件を付けさせていただく・・ことにしました!・・初登場でこんなことは初めてかもしれません。素晴らしい味わいだと確信しました!・・是非各コラムをお読みいただき、必ずやお試しいただきたいと思います!購入して後悔することは無いでしょう。・・・でも買わないと後悔すると思います。

ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニー…人気のアペラシオンは必ずキラ星のような造り手を擁しています。
傑出した造り手を持たないがゆえに、やや知名度に乏しかったフィサン村にアペラシオンを牽引するスターが誕生しました。
ドメーヌ・ベルトーはマルサネ村とジュヴレ・シャンベルタン村に挟まれたフィサン村を本拠地に7世代続くドメーヌです。
その歴史は19世紀の終わり、数ヘクタールのフィサンから始まりました。1974年、ヴァンサンとドゥニ兄弟がベルトーを相続し、フィサン、フィサン1級の畑を拡大していきました。
2013年、ヴォーヌ・ロマネ村のドメーヌ・フランソワ・ジェルベを母に持つアメリー・ベルトーがボルドー、ニュージーランドでの研修を終え、7代目当主に就任しました。
母方のドメーヌ・ジェルベから一部の畑を相続しベルトー・ジェルベ(Berthaut-Gerbet)名義としてドメーヌ・ベルトーのラインナップに加えました。
今日ではフィサンを中心にジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネなど全て合わせて13ヘクタールの畑を所有しています。生産するワインの90%は赤ワインですが、フィサンの一部の区画にシャルドネを植樹しています。
栽培:ブドウは、ビオロジックの考えに基づいた理性的な方法で栽培します。
テロワールを尊重した安定した土壌のもとで栽培されています。
殺虫剤の使用は制限を設け、土には、化学薬品を使っていません。除葉、グリーンハーヴェストによりブドウの成熟が最適になるように風通しを良くしています。
醸造:厳しい選果の後、最小限の手数でコンクリートタンクで発酵させます。
約5日間の低温マセラシオン。天然酵母で発酵。
1日2回のルモンタージュ、発酵の最終段階でピジャージュして優しく抽出。
約5日間のポスト・マセラシオン(発酵後浸漬)
ほぼ全てのワインは1.500~3.000リットルの大樽(フードル)でマロラクティック発酵。春に樽に移します。
新樽はほとんど使用せず、最大で24か月と比較的長い熟成期間を要します。
【メディア情報】
アメリーは私が訪れた昨年7月以降、いくつかの変更を決断しました。
『2015年は私の祖母から新しい畑、シャンボール1級、クロ・ド・ヴージョ、そしてヴォーヌのスショを引き継ぎました。それに伴ってこの2015年から私たちのワインは祖父母の名前を残したベルトー=ジェルベ名義へと変更することにしました。』
2015年について
『とても素晴らしい経験になりました。収穫は長期にわたり、9月7日に始まり、10月21日に終えました。
最後の収穫となったブルゴーニュ オート=コート・ド・ニュイは雨が降り終わるのを待ちました。この年は雨の後のブドウの方がより良かったかもしれません。フィサンのレ・クレイは収穫を雨の前と後の二回に分けました。これがどのような違いとなるかとても楽しみにしています。
これらの赤ちゃんのようなワイン達は、早い段階から高い糖度だったにも関わらず、バランスが優れています。リンゴ酸が低いですが、バランスの良さが崩れることがありません。
私たちはルモンタージュやいくつかの全房発酵の比率を減らし、過剰な抽出を避けました。
残念ながら2015年は収穫量がとても少なく、畑によっては50%も収穫を減らしてしまいました。しかし、不幸中の幸いとして、葡萄は極めて健全だったために選果の必要がほとんどなかったのです。私たちは新しい選果台を準備していましたが、いらぬ心配でした。』
(ビル・ナンソン著Burgundy Report EXTRA! 2015-11より翻訳・加筆:オルヴォー村岡)
読者の皆様は、かつて私が著書の中で“ドメーヌ・ベルトーはフィサンのジャック・フレデリック・ミュニュエである”と熱烈に賛辞を贈ったことをご記憶いただいているだろう。牧歌的なエチケットのイメージとは程遠い、豪快で大胆な本質を持っている。このドメーヌは驚くようなスピードで変化しているのです。
ドゥニ・ベルトーの娘であるアメリが彼のドメーヌに加わった。ドゥニが畑を耕すため、伝統にのっとり、アメリに彼のトラクターを使用することを薦めたが、彼女はこれを拒否しました。アメリは自信の持つ自由な発想の元、蔵でワイン造りをすることを決めたのです。
一方でドゥニの妻は、ヴォーニュ・ロマネにドメーヌを持つジェルベ姉妹の一人である。経営と醸造とで担当を分けていたが、両者とも引退し、現在はアメリと、彼女の2人の従妹がその後を引き継ぐことになった。
現在、アメリはHautes Côtes de Nuits に1.5ヘクタール、ヴォーニュ・ロマネに1ヘクタールの畑を所有している。ヴォーニュ・ロマネの区画の中には、Vosne Romanée Petits Montsと、エシェゾーも1バレル(=1樽分)が含まれている。
私はアメリに、2013年の雹がどのくらいドメーヌに影響を及ぼしたのか聞いた。彼女は、「フィサンは収穫量の約25%を失ったわ。でもCôte de Beauneの被害に比べれば大した被害ではなかったもの。」
(ビル・ナンソン著Burgundy Report EXTRA! 2014-7より翻訳・抜粋)
ブルゴーニュの未来を担う10人のライジング・スター
ドメーヌ ドゥニ・ベルトーとして理解している読者もいるかと思います。2015年よりアメリー・ベルトーは父方のフィサンに加え、ヴォーヌ・ロマネの母方の畑もすべて継承することになりました。7代目ヴィニュロンとなるアメリーはボルドーやナパ・ヴァレーで研鑽を積み、堅牢なアペラシオンとして認知されていたフィサンに、寛容な柔らかさをもたらしたのです。例えば彼女の区画名入り村名となるフィサン レ・クロは冷涼感がありながらも新鮮な果実味がたっぷりとあります。(ヴォーヌ・ロマネには陰影があり、湿った土を思わせる一面もあり、このアペラシオンとして十分な表現を備えています。)
(PUNCH June 8.2016 Jon Bonné著 より 翻訳・加筆オルヴォー村岡)
Berthaut-Gerbet
ベルトー・ジェルベ 2016
アメリーちゃんがひと皮むけた。進化した。次のステージに上がった。
15年以上前に比べ明らかに中身がより詰まり、コア感が大充実してきた。
スタイルもエレガンスと力を融合させた、とても魅力的なもの。
毎日全力で畑仕事に取り組んでいる彼女は、RWGが訪問する時いつも決まってグッタリしている。
畑仕事を抜け出しで対応してくれるのだ。
申し訳ない気持ちで一杯になる
(なのでRWGは、「いつも畑に全力!」という人が対応してくれる場合はアポイントをその日の最後か早朝に取る)。
当日も18時のアポだったが、日の長い6月なので彼女は試飲後に畑に戻るのだ。
その努力が年々確実に実を結んでいる。そして、16年に素晴らしいワインを造り上げた。
ベルトー・ジェルベは現在畑を17haも持ち、20キュヴェも造っている。
彼女が満足する畑仕事に対してスタッフは足りない。本当に大変な思いをしながらワインを造っているが、
ボトルの中にその頑張りと情熱が美味しさとともに詰まっている。
17年からはあのニコラ・フォールが栽培長として加わった。これからもどんどん進化していくだろう。
アメリー曰く、「生産量はドメーヌ全体で5割減。所有している区画が広範囲に渡っていることが幸いして半減ですんだ。
果実がよく完熟していたのでいつもより全房発酵を多くでき、糖度、酸のバランスも申し分なし。
凝縮感は15年よりやや欠けるものの、典型的なピノ・ノワールらしいワインとなった。
出来上がったものに満足しているけれど精神的には辛く、まるで悪夢のようだった。
作れなかったキュヴェはジュヴレ・1er・カズティエとジュヴレ・クロ・デ・シェゾー(8割減だったのでジュヴレ村名に入れた)。
1er・ラヴォー・サン・ジャックは200本のみ、フィサン・1erザルヴレも壊滅的」。
リアルワインガイド63号より抜粋
リアルワインガイド63号の掲載は例年以上に反響がありました。
点数の高さよりも、造り手の姿勢にフォーカスして書いていただいたことが
とても嬉しかったです。
(どうしても美人ヴィニュロン的な記事ばかりで本質的なことを語られにくい)
2013年、代替わりした際の衝撃的なデビュー。
当初来日したアメリーと都内のアポイントすら、ひと苦労だったことを思い出します。
決して前評判の高い年では無かった2013年は、酒販店様のお力添えもあり
舌の肥えたブルゴーニュ愛好家の方々からも有難い反響をいただきました。
その後、国内外含めたメディアの高い評価もあり、
露出が高まるにつれ、都合の良い時代のスター的な存在として語られてしまい
名前が売れる代償として、彼女のヴィニュロンとしての才能と成長を
丁寧に掬い取って伝えることが難しくなってきておりました。
輸入元としての自戒を伴うジレンマを吹き飛ばしてくれる良い記事だったと思います。
RWG誌でも掲載されていますが2017年からは、
彼氏であるニコラ・フォール氏が栽培担当として参画しています。
ニコラ・フォール氏の経歴についてはここでは触れませんが、
彼女からも、ニコラ氏の才能の高さは聞いていましたので、更なる成長は間違いありません。
ヴィンテージの個性を越えて、年々、造り手の成長を一緒に追って行けるのは輸入元冥利に尽きます。
来日時、その愛らしいルックスを褒められても、全く関係ないと言わんばかりに
ニコリともせずワインの話を続けるアメリーの顔を思い出しました。