● フィネスさんもののディディエ・ダグノーです。(造り手別ページには、違うエージェントさん輸入のダグノーも一緒に掲載されます。ご注意ください。)
2017年のダグノーは、今のところは定番の「ブラン・フュメ」のみのテイスティングですが・・いや~・・ぶっ飛びました!・・近年稀に見る出来栄えです!
と言うよりも、ドメーヌ・ディディエ・ダグノの先代の時代から、始まって以来かもしれないと感じています。
何せ、あの滅茶滑らかなクリスタル風テクスチュアと膨大なミネラリティはそのままに、
「果肉を思わせるかのような柔らかさと起伏」
まで、感じさせてくれるんですね。
そして、超高質なソーヴィニヨン・ブランのアロマティックなアロマに・・ノックアウトされてしまいます。
ところが皆さん・・事件です。ディディエ・ダグノーならではの昔風のA.O.C.(A.O.P.)表記、「ブラン・フュメ・ド・プイィ」が無くなりました。その理由は・・まぁ、裏に貼られているエチケットにも何やら書いてあるようですが・・エージェントさんの資料はこんなようになっています。
2017年は春から日照量が多く暖かかったが、4月末に降りた霜で大きな被害が出てしまった。夏は暑く乾燥したので葡萄の出来自体は素晴らしかったが、霜害の影響で収穫量は約60%減となり、特に被害が甚大だったビュイソンルナールはワイン自体が造れなかった。
ワインの出来は素晴らしく分析上も完璧に近かったが、アペラシオン認証を得るための試飲で揮発酸が多いという指摘を受けた。もちろん分析上はリミットを超えてはおらず問題のない数値だったがそれでも認証が得られなかったので、サンセール以外はAOPを放棄してVindeFrance(ヴァンドフランス)としてリリースすることにした。馬鹿げたルールと固定観念に囚われた一部の人間の偏見はプイィフュメのアペラシオンのレベルを下げると感じ、このような制度に縛られていてはドメーヌのオリジナリティや信念、哲学を表現する本物のワインを造ることは難しいのでAOPから離れる決意をした。「はぁ?・・揮発酸?・・そんなもん、検出限界でしょ!」
ブラン・フュメからは全くそんなニュアンスは判りませんでした。仲間に揮発酸検知器とまで揶揄される noisy が言うのですから、それを嗅ぎ取ろうと思っても無駄な努力かと思います。
原因は・・
「So2 の量を相当少ない限界まで減らした!」
ことに有ると思っています。
心地良い幅のあるリアルなアロマが「すっ」と立ち昇り、そしてこの肉感的な柔らかさを硬質なミネラリティが物凄い量存在する中から感じさせてくれる訳です。
これは正にSo2の少なさから感じさせる「全くネガティヴな要素の無い」表情です。
2017年のダグノーの、他のキュヴェのテイスティングが非常な楽しみになっています。これは皆さん、ビックリすると思いますよ。リアルで柔らかな表情のダグノー2017年に乾杯!・・恐ろしいほど深い表情を是非ご堪能くださいませ。

2008年に飛行機事故で早世した故ディディエ氏の跡を継いだ息子のベンジャマン氏は、葡萄の成熟を重視しながらヴィンテージごとの個性やテロワールをしっかり表現するワイン造りを行っています。畑の広さは約12haで土壌と環境を尊重し、父の故ディディエ氏が1989年から続けてきたビオディナミを引き継いでいます。畑の区画によっては馬で耕作を行い、出来る限り機械は使わないような栽培方法が採られています。
葡萄は畑で選別作業を行いながら手摘みで収穫されます。醸造所の2階にある除梗機で100%除梗され、1階にある空圧式圧搾機でプレスし、地下のタンクへ葡萄果汁が運ばれます。この間の葡萄の移送はすべて重力によって行われます。そして醗酵前に果汁を冷やし、不純物を取り除くための澱引きを密に行います。樽でのアルコール醗酵には純正培養酵母が使われ、新樽と1~3年樽をそれぞれ25%ずつ使用。樽の種類も特注のシガールと呼ばれる300Lの樽とドゥミムイと呼ばれる600Lの樽を主に使用し、澱に触れる面積の違いによって味わいにも違いが出るようにしています。12ヵ月の醗酵、熟成後にステンレスタンクでアサンブラージュをしてさらに8ヵ月熟成させます。プイィフュメのすべてのワインにおいて同様の醸造が行われているので、各アイテムの違いはテロワールのみになります。








