【僅かな粘土の存在が、柔らかさと粘性と複雑性を見せた2019年ものは、今までに無く滅茶旨いです!】---Vinous ではシレックス超えの高い評価です。---以前のレヴューを掲載しています。

すみません・・まだこのカメラの撮り方に慣れていない時の写真なので、暗く仕上がったのを明るさ調整しましたが、どうも上手く行かない・・もっと綺麗な薄緑が有るんですが・・。
しかし・・もしかしたらこの2019年ものが今までで一番、「グッとくる」ピュル・サンになったんじゃないかと・・感じてしまいました。
ワインの中に、どこかムルソーを見つけながら高原の何とも冷ややかで美味しい空気と、乾いた草原を渡って来た風を感じるような・・そんなイメージが湧きました。
ディディエ・ダグノーは「ワイルド・マン」などと揶揄され、「野生の男」そのまんまの風貌をしていながらも、こんなに精緻なミネラリティたっぷりの素晴らしいブラン・フュメを造っていた訳です。
言ってみれば・・
「何も変わっていないようだけれど、テクスチュアは核の表面に表情を造り出している」
ただその部分だけが、この十年ほどで進化して来ていると感じます。

その上で、2019年もののピュル・サンは・・
「今までで一番美味しいと思う!」
と言うのが本音です。
まぁ・・あの「かっちんこっちん」に硬質なピュル・サンが徐々に表情を得て行くのを見るのも実に素晴らしいんですが、このように抜栓直後、2~3日後でも、素晴らしい柑橘とミネラリティ、静置さの中にある半端無い複雑性を早い段階で掴めることは、気の短い日本人にはうってつけのスタイルになって来たと思います。
なんとも瑞々しく、さらりとしつつドライで、しかもどこかネットリとした粘性の中に・・まだ潜んでいるカプセルをこじ開ける楽しみが有ります。是非飲んでみて下さい!アペラシオンは有りませんが素晴らしい真実のブラン・フュメ・ド・プイィです!
以下は以前のレヴューです。
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【シレックスに粘土を加えた土壌由来・・そのまんまの姿が伝わります。「これで充分!」だと心が言ってます・・】
美味しいです!・・以前よりも確実にソフトさが加わったピュル・サンです。昔の「ガチガチ」な姿もじゃじゃ馬馴らし的楽しみが有って嫌いじゃなかったですが、ここまでふんわり感が有ると・・また伝わり方が変わって来ていると感じます。
一般にはシャルドネなどの白葡萄は石灰の強い土地、ピノ・ノワールなどの黒葡萄には石灰+粘土質と言われます。このピュル・サンの畑に
「ピノ・ノワールを植えても面白いんじゃないか・・?」
とも思えます。
「いや、それにしては粘土は少ないかも?」
とも考えてしまいます。
でも、シレックスやピュイッソン・ルナールを一緒に比較してみますと、それぞれの個性がハッキリ異なるのが判るんですね。ピュル・サンはやはりシレックス+粘土で、粘土由来の細やかな表情が加わっているのが良く伝わって来ます。
なので、どこか黒葡萄っぽいイメージも同じように連れて来る感じで、よりコクが有り、より柔らかさ・・と言うか、包容力みたいなものを感じます。色も濃い目でしょう?・・ビュイッソン・ルナール2018は今までに無く、
「超繊細」
だと感じました。
こちらも1週間以内のどこかで一旦解放に向かうと思います。noisy が飲んだ感じだと3日目位でしょうか・・保存温度にも寄ると思いますので、やはり最初の1週間は毎日少しずつだけ・・その後の3週間は2日置きに飲み、「今、とても美味しい!」と思ったらボトルアップするまで飲む・・みたいなパターンも良いですよ。
だって、最初に白ワインを一口飲むのもマリアージュには良いでしょう?・・テイスティングだと最初に酸のしっかりした、ミネラリティがマンモスなものを飲んでしまうと、後の赤ワインが厳しいことも有りますが、お食事でしたら是非やってみてください。
2018年、柔らかい起伏を手に入れたピュル・サンです。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【美しい淡い黄緑色をした気品高い絶ピュアな味わいです!】--以前のレヴューを使用しています。
ダグノーのテイスティングは実に楽しい・・。
「超美味しい!」
としか思えない凄い味わいとアロマがノーズから、口蓋を通り抜けて脳髄までストレートに感じさせてくれます。
皆さんはどうしても欲しい、飲みたいのはシレックスだと・・言いたいのでしょうが、noisy 的には、このピュル・サンの、「プイィ=フュメ」と言うアペラシオンをモリモリと感じさせてくれるのはむしろこっち・・と言う印象が有りますし、大好きなんですね。
だって・・シレックスは確かに物凄いですよ。でも、「プイィ=フュメ」を感じさせてくれるまでには、物凄く時間が掛かるんですよ。若けりゃ2~3週間掛かっちゃいます。そして出てくる香りも物凄いんですが、やはりハードタイプでクリスタルなニュアンスです。
しかしながらピュル・サンは、粘土の混ざった石灰土壌・・とは言ってもかなり石灰がキツイんですが、粘土のニュアンスがまた何ともエロティックなんですね。そして、
「物凄いソーヴィニヨン!」
と言うことに気付くまでの時間は、シレックスほどには長くは掛からないんです。それでいて、ポテンシャルがシレックスに劣るか?・・と尋ねられるとするなら、
「・・そう言い切ることはできない」
と答えるしか無いでしょう。
例えば、テイスティング会などで、こんな若いダグノーをほんのちょっとだけ・・スプーン3杯ほどだけグラスに入れていただいたとしても、そのポテンシャルの高さゆえに充分に楽しめるはずですが、
「これをグラス1杯、2杯と重ねての食事は・・辛いよなぁ・・」
と想像してしまいがちです。10年ほど前までのnoisy なら、そう言ったと思います。
しかし、今は結構に違います。美味しく飲む方法はいくらでも在ると。
現に、この2016年のピュル・サンを開けた時、確かに開けたては、
「若いな~・・硬いし・・」
と言うような言葉が付いて出てしまいます。
でも、たまたま夕食に出ていた季節ものの「瓜の漬物」にヴァレンティーニのエクストラ・ヴァージンを掛けて、ピュル・サンをいただくとどうでしょう。ま~・・最高に旨いですよ。
瓜はまるで高貴なフルーツになってしまいますし、まだ幾分か残っている非常に細やかな渋みが消え甘みへと変化し、超絶に繊細な絹ごしのテクスチュアと甘美な白ワインの世界に大変貌してしまいました。
いや~・・これはやってみて欲しいな~・・と思いますよ。そこに鶏肉かなんかを何とかしたものを添えて出されたら・・もう参ってしまいますね。大満足の世界を感じていただけると思います。
えっ?・・なんかを何とかしたものって何だって?・・何でもやってみてください。noisy が言っている意味が良く判ると思いますよ。素晴らしいワインは、やはり食事をも引き立てるものです。それがマリアージュ・・。きっと、
「素晴らしいエクストラ・ヴァージンを掛けた季節の瓜は、ピュル・サンと似た構成をもしている」
と言えるのかもしれません。
まぁ、キュウリじゃそこまで行かないと思いますが、色々試してみてください。お勧めします!少ないです。
以下は以前のレヴューです。
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【2015年ものも非常に素晴らしいです!すでに親父を超えたかもしれません!是非とも飲んでみていただきたい、シレックスとも違うマール土壌由来の旨さです!】

このマンモスなミネラリティの量、そしてその質の良さを、どれだけの方がご理解いただけているのかと思うと、涙がチョチョ切れそうになるnoisyです。
そりゃぁ確かにシレックスは素晴らしい・・あのカッチカチのクリスタルなミネラリティ由来の目の詰まった味わいを一度知ってしまうと、その魔力に憑りつかれてしまうかもしれませんしね。
20年近いもののシレックスの味わいは、さらにその上を行きますし、何より、リリース仕立てのシレックスを飲まれたとして、そのポテンシャルを感じていただけているかどうか・・いや、そんなことは飲まれる方の勝手ですからどうでも良いんですが、
「全体として綺麗なものほど、要素としての綺麗なものを隠してしまう」
ものですので、是非判って欲しいなぁ・・と思う次第です。
同じようにこのピュール・サンもしかりです。ミネラリティの組成・出方はまるで違うようにも見えますが、ヨクヨク見てみると、肉がしっかり感じられるのがこのピュール・サンなんですね。
以前にも「1カ月掛けて飲んでみて!」などと書いていましたが、若いピュール・サンは抜栓後1週間で、もしくは2週間でかなり変化して来ます。これがまた非常に美味い・・訳ですね。
「・・えっ?・・毎日とか、一日置きとかで飲んでてワイン、悪くならないんですか?」
と、随分聞かれました。
まぁ、強制的に酸化させる行為ですから、決して褒められたものでは無いんですが、少なくとも美味しさは判りますし、続いてそのポテンシャルにも気付かされる訳です。
そうなって来ますと、ワインに対する感じ方も大きく変化するんですね。なので、そんな飲み方を提唱したんですね。
今回のピュール・サンは、ほぼ1週間掛けて楽しませていただきました。5日目位からは表情も豊かになり、旨味も増え、非常に美味いです。親父を超えたかも・・しれません。
また今回は珍しい「マグナム」もいただきました。是非ご検討くださいませ!素晴らしいピュール・サン2015年です!
以下は以前のレヴューです。
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【マール土壌のピュル・サン!非常に旨いです!】
noisy も大好きなピュル・サンです。でも何故か人気はイマイチのようで・・非常に残念です。今回はしっかりテイスティングさせていただき、写真も撮りましたのでご覧くださいませ。
本当にもう大分前になりますが、このピュル・サンも1カ月掛けて飲んだことが有ります。抜栓直後はもうパッキパキに硬質で、ミネラリティは超マンモス級、美しい伸びやかな大量の酸が、このワインのハイポテンシャルを物語っていました。
しかしながらちょうどインターネット時代の幕開けで、ブログと言うものが流行り出した頃、ワインファンの方々が、
「こんなワインを飲んだ」
とブログにアップし、飲まれた感想を書かれていたんですね。
勿論それまでもコンピュータ通信(古っ!)の会議室で・・そう、ニフティサーブとか・・NECは何だっけか・・忘れちゃいましたが、このワインはどうだ、あそこの店は安いがコンディションが・・とか、ワインファン同士のつながりや情報交換は有ったんです。
でも、ブログはどちらかと言うと、まずブログ主の一方的な主張から始まりますから、それに対して意見が有れば書き込めば良いにせよ、書き込んだ情報はさほどは目立たないものです。
で、ディディエ・ダグノーに関してもそのようなブログで紹介され、
「世の中で言われるほどは凄く無い」
とか、
「余り美味しく無かった」
と言うような情報が氾濫し、定説となりつつ有ったんですね。
まぁ、それは違うだろう・・とは感じていたものの、ワインの保存環境とか、どこで購入されたかなどにも寄る訳ですから、頭からの否定も困難・・これはどうしたものかと思っていた訳で・・
やはりワイン屋とすれば、正確な情報を提供しないといけないと・・それにはやはり、しっかりしたテイスティング能力を持ち、伝える相手に判ってもらえるような表現力も無いといかんと・・その上でのお客様へのエデュケーションも必要だろうと・・感じた訳です。
まぁ、そうは言ってもニッチな商売のニッチな店ですから、全ての方に対して満足できるようなワークは出来ないので、少なくとも自身のお客様向けには正しい情報を持って、共に成長できるようなつながりを持ちたいと思ったんですね。
で、そんな一環の中で、
「ピュル・サン1カ月掛けてテイスティング」
を実行した訳です。

空けて2週間もすると、だいぶ状況が変化してきました。驚くのは、酸化に対しての耐性の強さです。ほとんど酸化した臭いが無いんですね・・。石灰系ミネラリティが大量にあることが、そのポイントなのかと思います。
そして4週間の間に、どんどんと要素が出て来ました。非常に細やかな表情には果実感がしっかり有り・・と言うよりも、その一粒一粒の粒子がそれぞれ果実のニュアンスを持っているので、群生しているようにも感じられる訳です。素晴らしい!・・の一言でした。
4週間後には液体は無くなってしまいましたが、その後2~3カ月の間、コルクを逆刺ししたボトルの中の香りは、果実感がしっかり有り、素晴らしいアロマを放っていたものです。
そんなことを書いたコラムもどこかにあるかとは思いますが・・もう探しきれません・・(^^;; ワイン屋と言うより駄文筆業に近い何でも屋が本業です。
で、他のコラムにも書きましたが、以前より確実にテクスチュアはソフトになり、頑なさは引っ込んでいますので、今飲んでも非常に旨い・・です。
勿論、こんなもんじゃぁ無いんですよ。とんでもないほどのポテンシャルを感じます。
このピュル・サンは泥灰土土壌・・ワインジャーナリズム的には「マール」なんて言ったります。粘土質の土壌に方解石が混じったものですね。方解石は河などで流され堆積した石灰質です。ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌに良く見られ、シャルドネの生育に最適と言われています。
しかし、この石灰の量的ニュアンスは「モンラッシェ級」で有って、単に「コート・ド・ボーヌ」と言ってしまうと間違いかと思います。少なくともグラン・クリュ並みと形容すべきでしょう。
その量もさることながら、高質さも同様にグラン・クリュ並みです。マール土壌には小振りな「シレックス」が多く堆積していますんで、そのミネラリティと取り込んでいるのかもしれません。
柑橘系の果実がたんまり有り、中域も適度な膨らみ、余韻には石灰系ミネラリティと、ナトリウム系のわずかに塩っぽいニュアンスが崩壊しているかのような感覚を伝えながらの長い収束が有ります。非常に・・旨いです!
「ダグノーは大したことは無い」
なんて安易には言わせませんよ・・。それは間違いだと。その方の感覚に間違いが無いとするならワインのコンディションが良くないことを感覚的に認識すべきかとも思います。素晴らしいワインでした。飲むべき、そしてどんな赤ワイン以上にとても楽しめるワインです。超お勧めします!・・数は有りません。