
2014年のACブルゴーニュ・ブランです。今回はかなり頑張ってドミニク・ラフォンのワインを数少ないながらもテイスティングし、理解出来たと思っています。お勧めするからにはある程度個性を掴んだ上で色々と判っていないとできませんからね。
それでもドミニク・ラフォンと言えば、ドメーヌ・コント・ラフォンのご当主さんですから、一般的には偉大なムルソーと言えば、
「コシュ=デュリ、コント・ラフォン」
で有って、また暗黙にはドーヴネもそうでしょう。
いずれにしても高額で、少し前まではドーヴネのムルソー・リューディ名でもちょっと頑張れば手が出せる位でしたし、数は無いもののコシュ=デュリのムルソー正規もさほどは高くは無かったと記憶しています。
ドーヴネやルロワは正規の品質に少々疑いが有り、またコルクが細く、到着直後は大丈夫なのにちゃんと保存していても何故か蝋封のトップから漏れてくると言う・・何だかな~・・な感じです。コシュ=デュリはその人気からか正規も、物凄いアソートをこなさないとそのご尊顔を拝することさえできません。コント・ラフォンも、正規の品質も、またその販売方法にも違和感が有り、これまた中々表には出て来ないと言う状況です。まぁ、皆さんはそんなことは考えたことも無いかもしれません。
そんな中で、よりリーズナブルにコント・ラフォンのスタイルを判ってもらいたい、もしくは様々な束縛から離れて、新しい自分の自由な表現がしたいと始めたのがこの「ドミニク・ラフォン」なのでしょう。
2014年ものは4アイテム開けましたが、そのすべてが「合成(集成)コルク」で、見た感じは高級感も有る滑らかな表面をしています。
香りの上りは比較的早く、自然派であることはすぐに分かります。透明なミネラリティが多分に有り、柑橘系果実、ナッツ類、ほんの少し色付いた果実や花、やや大振りの石のニュアンスが有ります。
甘さはほとんど無く、やや内向的なベクトルを持ち、ほんのりオイリーさを感じさせつつの中域で、丸みと潜在的な膨張力を感じさせます。余韻はマッタリと長く、それでもまだやや内向的です。樽のニュアンスは2013年ほどは無く、特筆するべきものでも無い感じです。
非常にピュアで、奥にナチュラルさが隠れています。「出るぞ・・出るぞ!」と・・、幽霊話のように雰囲気はたっぷり有ります。ムルソー的と言うよりは、やはりムルソーとピュリニーの両方のニュアンスを内包していて、よりクリスタル的な透明さの有る硬いミネラリティはピュリニー的で有り、白や黄色の柑橘系果実が非常に締まった形になっている辺りは、ムルソー=シャルム的なニュアンスで有ると言えます。

出来自体は2013年を凌ぐでしょう。半面、しっかりしているのでやや硬め・・と言うことになります。3~5年の間にかなり開くようになり、10年を超えると完熟か・・と言うところで、この後20年の長きに渡って楽しめるワインです。
もし、非常に熟したコント・ラフォンのムルソー辺りを飲む機会が有れば、やはりドミニク・ラフォンのワインはその血を受け継いでいること、そしてその美味しさをさらにアップさせてくれること、間違い無いです。
さっさと飲んで美味しい・・そういう安易なスタイルでは有りませんが、今飲んでもその良さはたっぷり伝わって来ます。今回は「オイル・サバディーン」の「ブラックペッパー」と「ガーリック」に合わせてみましたが、全く料理せず、そのまんまで相性抜群でした!・・美味しかったです。やはりラフォンは好きだなぁ・・と。ユベール・ラミー2014年の様なベクトルが内にも外にも向いているようなタイプでは無くて、あくまで内を向いた内向的ムルソータイプなんですね。それが徐々に耐えられなくなってくる・・要素を漏らしてしまうようになる・・その姿が何ともエロティックでシャルドネの美味しさの一つかな・・と感じています。是非とも飲んで見て欲しいと思います。価格も今回は頑張りました!お勧めします!
以下は2013年もののレヴューです。
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【2013年のドミニク・ラフォンは、より昔のコント・ラフォン風に!大きな構造の素晴らしいシャルドネです!旨い!】
待望のドミニク・ラフォン2013年です。今回はシャルドネのみをご案内させていただきます。
まぁ・・最も・・コント・ラフォンやドミニク・ラフォンのオファーだと言っても、皆さんが喜ぶかどうかは・・微妙ですよね。コント・ラフォンのムルソーは目茶高いですから、それだけでも手を出し辛いところに持ってきて、数年前にエージェント権を入手したところが、まともに卸さないようになってしまいましたんで・・溜め込んでいるんでしょうかね・・。ガゼネタかもしれませんが、どうも東北にあるセラーにたんまりと貯蔵してあるようです。
知らない方のために少しだけ・・説明しますと、2000年頃を境にコント・ラフォンは当主のドミニクにより、ビオディナミへと栽培方法を変えます。非常にファンの多いコント・ラフォンですが、どうもやはり1990年代までの
「樽の効いたスケールの大きいワイン」
の評判が良かったんだと思います。樽の風味はほぼ無くなり、よりピュアさが際立つ方向へと向かった訳ですね。
ですがファンも、昔のラフォンの「大きなワイン」が好きだったようで・・いや、noisy もそんな部分も持ち合わせています・・また、ワインの価格の上昇、そして市中在庫がほぼ無い状況が10年も続きますと、
「ラフォン・・?・・それって・・ボルドーの??」
みたいな笑えない話しも生まれてしまうようになってしまったと言えるかと思います。
そんな中で、ドミニクはブルゴーニュ南部のマコネーに進出し、ピュアで、よりリーズナブルなシャルドネを世に送り出しますが・・やはり最初のうちは、樹が若いですから、
「凝縮感不足」
↓
「新樽も少なめ」
と言う流れになり、今までのファンを取り込めずにいた・・と思うんですね。
まあ、そんな感じでnoisy は分析していますが、皆さんは美味しければ、そしてリーズナブルなら良い訳ですから・・。
で、今回は2013年のドミニクの方・・個人のドメーヌの方のご紹介になります。2013年ものは早速!・・ACブルゴーニュもムルソーも飲んでしまいました!・・そして、感じてしまったんですね・・1990年代のコント・ラフォンに確実に通じるものを。

ACブルゴーニュは、樹齢が上がってきた性でしょうか。もしくは選別を厳しくした性かもしれません・・2012年ものより、より凝縮度が上がっていて、少々オイリー、滑らかでテクスチュアも良く、高級シャルドネの王道を行くような味わいです。
ミネラリティは「まるで滑らかなガラスのよう・・」です。ガラスと言えば、諸説有るようですが、以下のような感じだそうです。
アモルファス構造をとった二酸化ケイ素が骨格となり、ナトリウム・イオン(薄緑色)、カルシウム・イオン(緑色)を含む。桃色はイオン化した酸素。アルミニウム原子(灰色)が安定剤として働いている。
(WIKIから抜粋させていただきました。)
そうなんですよ・・透明感を感じさせる見事な構成です。ツルツルしたテクスチュアからもそう・・感じます。そこにややオイリーなムルソーっぽいニュアンスと黄色い柑橘系フルーツが混じり、わずかなビターさが味わいの幅を感じさせてくれる・・というようなバランスなんですね。
そんじょそこらのACブルでは出せない、ポテンシャルの高い味わいかと思います。とっても美味しいので是非飲んでみてください。2013年ものはいつもよりいただきましたので!・・因みにこちらは・・樽のニュアンスはさほど無いです。
で、ムルソー村名です。ムルソーっぽさは有るものの、やはりムルソーっぽい「大きめの石のニュアンス」は無く、ガラスっぽいミネラリティが特徴のACブルとは・・かなり違いました。それは、
「新樽のニュアンス!」
です。
そうなんですよ・・樽をそれなりに使ったと言うことが判る仕上がりでして、新酒の時にこんなバランスだと10年後はこんな感じ、15年後は・・などと言うようなイメージがほぼ出来上がってしまっているnoisyとしては、
「おっ!・・昔のラフォン・・復活か!?」
などと思ってしまいました。
オイリーさ、白、黄色のフルーツに大理石、スパイス、奥に蜜・・ネットリと粘るテクスチュアに・・そして樽・・。
これじゃぁ・・舞い上がらずにはいられない訳ですね!・・まぁ・・旨いったら無い訳です。
ですが昨今は、noisy と、カミサンと、店を手伝い始めた息子の3人で飲みますから・・割り当てが少なくなってるんですよ。翌日、翌々日も様子を見たい・・まぁ、結果は判っているとして、そんな暮らしを延々としてきた訳ですから、つい、クセで・・。
カミサンも・・美味しいとか美味しくないとかは言わないし、高級だとか安いとかも全然気にしない人なんですが、
「飲みやすい~!」
とか言いながら結構飲んじゃったんですね~・・。
「(・・飲みやすいか~?)」
「(・・もっとゆっくり味わって飲んでくれ~!)」
とか・・思いつつも、2杯目をちゃんと注ぐと無くなっちゃうんですね~・・。
ある意味、非常に懐かしく、そして嬉しいような気持ちでした。勿論ですが昨今のラフォンのように、非常にピュアです。そしてとても大きな構造をしています。ムルソーの味わいとは・・こんなイメージだったよな?・・と思っていただける、素晴らしい仕上がりだと思います。是非ご検討くださいませ。
それに・・2012年のムルソーも飲んでますが、それとも大きく違って感じられました。