ドメーヌ・エ・ドミニク・ローラン
エ・メゾン・ドミニク・ローラン
フランス Domaine et Maison Dominique Laurent ブルゴーニュ
● 今ではついに自分のドメーヌまで持ってしまった元パティシエ、ドミニク・ローランです。
まあ、ドミニク・ローランがXXXXXから葡萄を買った・・・という噂が流れると、そのXXXXXの評価が急上昇するとさえ言われるほど、葡萄の出来、選択眼に定評の有るドミニク・ローランです。ミュジニーなどと云う、ロマネ=コンティ、ラ・ターシュに並ぶクラスの葡萄が手に入ること自体、凄いことです。誰だって素晴らしい出来だった葡萄は、自分で使いたいはずですしね。
●1996 Charmes Chambertin Grand Cru Grande Cuvee Vieilles Vignes
シャルム=シャンベルタン・グラン・クリュ・グランド・キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
【1990年台、ワイン界を震わせた物凄いピノ・ノワールです。昔と余り変わらない価格・・・でもエチケット表記は変わっていますね!】
ドミニク・ローランのワインが初めて日本に入ってきた頃・・ですが、noisy の記憶が正しければ、そのエチケットには、
「D.Laurent」
と書かれていて、今のように情報が過剰に手軽に入手できる時代では無かったのも有って、
「・・ん?・・ドメーヌ・ローラン・・か~?・・でもリストにはドミニク・ローランって書いてあったし・・」
と、ドメーヌなのかネゴスなのかもはっきりせず、その D.Laurent の意味さえも良く判らず、ただ海外筋の情報では、
「とんでもなく凄い造り手が現れ、海外では大評判になっている!」
と言うようなことだけは判っている・・しかも入手するのは至難の業、さらにはワインはその頃からめっちゃ高価で、上級の畑ものしかリストに載っていない・・など、ワイン販売を志し、でもまださしては売れない noisy にとっては、非常に難物だった訳ですね。
そうこうしている内に注文したワインが届いたのは良いが、数が無くて飲む訳にも中々いかず、困り果てていた訳です。そんな曰くの有る「ドミニク・ローラン」です。
グランド・キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・シリーズは、ドミニク・ローランの最上級キュヴェだったと理解していますが、1980年台~1990年台に掛けての彼のワインは、
「新樽200%」
と言う、ハッキリ言ってその頃は意味が良く判らなかった訳で、謎の術式のような、魔術のようなイメージでした。
まぁ、それだけバリックを使用すれば・・と言うか、おそらく何度かバリックを替えるからそうなるんだろうと想像していましたので、
「・・ただでさえ新樽100%だと、弱いヴィンテージじゃ樽負けしてしまうのに・・?」
と思っていたところ、
「滅茶出来の良い手摘みの葡萄による新樽100%のキュヴェしか買わない・・が、よそのネゴスよりかなり高く購入する」
と言うような情報が流れて来て、
「ドミニク・ローランが買った・・と言う噂が流れると、その生産者のワインが値上がりする」
とまで言われていることも判って来ました。ただただ・・「凄いなぁ・・」と言う感情が支配していましたね。ようやくドミニク・ローランのワインが飲めたのもその頃です。今現在に似た存在がいるとするならば、オリヴィエ・バーンスタインでしょうか。
よっぽど濃いんだろう・・と思ってテイスティングに臨むと、まるで肩透かしのように「しなやか」だったのを覚えています。しかし非常に大柄で、エレガンスもしっかり、ジャイエよりもやや果実の風味が強いかな?・・と言うような感覚でした。兎に角・・旨かったです。たしか・・マジ=シャンだったと思います。
まぁ、今回ご紹介のグランド・キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュの2アイテムなどは、本当に高くて・・買えなかったんじゃないかな?・・と思いますが、今回のご紹介分は、その頃と全然変わらないんじゃないかとさえ思ってしまいます。
1992年のシャンベルタンは評価は全く見当たらず・・まぁ、今頃になって良く出て来たよなぁ・・と言う印象では有りますが、何かないかとネットを検索してみると、ワインが大好きな方のブログでその詳細が語られていて、その素晴らしさに感動した旨が掛かれていました。その方は他に92年クロ・ド・ラ・ロシュなども一緒に飲まれていましたので、もし気になるようでしたらネット検索してみてください。さすがにnoisy も今回分は少量ですから開けちゃう訳にも行きませんので・・。
1996年のシャルム=シャンベルタンは、タンザーさんが何と92~95Pointsと言う高い評価でした。しかし当時は価格も高かったと思いますよ。1996年は前年物より30%も仕入れ値が上昇した年でした。
「・・もう・・ブルゴーニュは売れなくなるんじゃないか?」
と本気で心配したものです。笑い話じゃ無くて・・その頃は、本当にどうしよう・・と・・(^^;;
こちらもグランド・キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・シリーズですので、ヘンテコな出来のものをドミニク・ローランがリリースする訳が無く、かなり期待して良いじゃないかな?・・と思っています。
まぁ、その頃のことを余りご存知無く、「新樽200%」と言う言葉だけが独り歩きしていましたから、
「濃厚で・・今のペロ=ミノのようなワイン」
と言うようなイメージが有るかもしれませんが、決してそんなことは無いんですよ。「元々の原酒はかなり濃かった」と言うことは言えると思いますが、バリックを2回掛けることによって、その濃密さ、無駄な贅肉はそぎ落とされ、結果的にエレガントさを失わない・・と言うことだった訳ですね。その頃はワイン屋でも中々テイスティング用に手の出るワインじゃ無かったですから、ドミニク・ローランのワインの真実は、陽の目を出たのは遅くなった訳でして、そうこうしている内にインターネットが日本でも始まり、いつの間にか正規エージェントが出来・・と言うような流れになったんですね。そして、いつの間にか、いや、今でも覚えていますが2000年からです・・ドミニク・ローランもアンリ・ジャイエ系のワインを止め、エキスの美しいタイプへと変貌したんですね・・。
その頃は正規からそれなりに仕入れていましたので、2000年のヴォーヌ=ロマネなど・・滅茶苦茶美味しくて、しかも果実味系からエキス系へと変貌していたのでビックリしたんですね・・。
果実がたっぷりのワインも、年を経ると結局はエキス系に向かっていきますから、最後はけっこう似たような感じまで行きます。低温である程度の期間以上漬け込んだ時のニュアンスは消えませんけどね。
ある種、もう20年以上も経過した、非常にレアな古酒です。一世風靡した果実味重視のワインも、かなりエキス系へと向かっているでしょう。もう、さすがにドミニク・ローラン自身が仕上げをした90年台のワインは、底を付いているはずです。是非古き良き時代の最高のピノ・ノワールの一つをご賞味くださいませ。
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