
ワインになる前には雹害で悲惨なヴィンテージと揶揄された2016年では有りますが、実際に蓋を開けてみるとどうでしょう?
やはり優れた生産者は、難しいヴィンテージも関係が無いようにも思えます。特に今回のメオ=カミュゼ・フレール・エ・スールのワインをテイスティングした結果においては、
「ん?・・キャラクターは2015年とは違うものの、ここまで仕上げてくるなんて・・。2015年とのポテンシャルの差は無い!」
と感じてしまいました。
どうです?・・この深い色合い。2013年ものからグラスの写真を掲載していますが、年を追う毎に深みが増しているように思えるんじゃないでしょうか?
実際、2016年もののこのACブルゴーニュは、ジュヴレ=シャンベルタン的な構成を感じることが出来、豊かでほんのり鉄っぽく、乾いた土と乾いたミネラリティが重なり合って絞り出したエキスの深い味わいをたっぷり堪能させていただきました。
2015年のこのACブルを飲まれた方は、
「げげっ・・メオ=カミュゼ、半端ない!」
と思われたに違い無いですが、骨格を支える見事に透明なミネラリティが細身に芯を構成したっぷりあり、そこに雅な表情をまとわせていたことと思います。
2016年は透明なミネラリティだけでは無く、カラフルだとも思えるような多彩なミネラリティに、そこそこに多くの肉をまとった、やや妖艶でほんのりと豊かな味わいです。
さすが、昨今のメオ=カミュゼは目が離せない存在になっています。是非飲んでみてください。リーズナブルです!お勧めです。
以下は以前のレヴューです。
━━━━━
【まさに「雅」と言う感じが似合うヴォーヌ=ロマネ的な味わいの飲むべきACブルゴーニュです!超お勧めです!】
人によってはショッキングな画像かもしれません。ご容赦ください。無農薬で・・と言うか、ほぼほったらかしなだけでは有りますが、それでもそこそこには気を張り巡らしつつ育てている noisyの家の庭の 「ピノ・ノワール」です。
7月までは天候に恵まれ、スクスクと立派な実を育んでいましたが、8月に入り雨が多くなり、日照も充分ではない状況の中、
「・・ん~・・まぁまぁの糖分とタンニンの成熟が得られたかな・・でももう少し糖分が欲しいなぁ・・」
などと思いつつ、
「収穫はいつにしようか・・雨が上がって2~3日晴れるか、風が出てくれれば可能かな・・」
と思っていたところ、左の写真のようなショッキングな映像が目に飛び込んできました。
「・・えっ?・・クワガタにカブト?・・葡萄の実ももう全然ダメじゃん・・」
そうなんです。根本付近には落ちてしまった実が沢山有り、茎に付いている実も穴だらけ、しかも色も変色してしまっています。
クワガタやカブトは、その角で実を落としたり、穴を開けて中の糖分を入手しているようで、またその匂いに誘われて、昆虫類が近くをウロウロ、蟻もたかっています。
「あ~あ・・全滅だ・・」
熟した第一世代の実はほぼ全滅、まだ青い第二世代以降の小ぶりの実だけがグリーンの色を保っています。
一体どこからこんなクワガタやカブトが集まって来たのか・・近くにいるなんて思ってもいませんでした。そして、ふと足元を見ると、見るも無残なカブトのカブトが転がっているじゃありませんか。そしてその脇には胴体や足も散乱していました。どうやら、クワガタと戦い敗れたカブトムシの牡のようです。

ま~・・葡萄を育てるのは容易なことじゃありません。最近のは人体に影響は少ないしすぐ効果は薄れるから殺虫剤を使えと・・葡萄農家の関係者の方は教えてくれますが、そんなことをするくらいなら葡萄など育てることも無い訳で・・ましてやワインを造るために葡萄を育てている訳じゃないのでなおさらです。noisy がたまに一粒二粒、口にするだけなんですから・・。
同じピノ・ノワールで造ったとは思えないような、自然派のACブルゴーニュです。非常に美しいルビー色です。濃くも無く薄くも無い・・しかし、
「とてもエキスがビッチリと出ていて焦点の定まった美しいピノ・ノワール!」
でした。
2014年のメオ=カミュゼ・フレール・エ・スールのACブルゴーニュも、その美味しさにクラクラしてしまいましたが、2015年は届いたばかりにも関わらず、ヴォーヌ=ロマネ的な柔らかい酸味とスパイス感、そしてビロードのテクスチュアで迎えてくれました。
この何年かのメオのワインの美しさは、飲んだものを魅了してしまうに充分のものです。ネゴスものと言う立場のワインですが、ドメーヌものとのイメージの差が全く無く、少し高くなったとは言え、4000円のACブルゴーニュは、今やリーズナブルなクラスとさえ言える状況です。

また、実はちょうどタイミングが良くて、ロベール・シリュグのACブルゴーニュも横に並べてのテイスティングになりました。こちらもヴォーヌ=ロマネの造り手です。
同様にソフトな・・鋭角さの無い優しい酸味を持ち、ややテクスチュアにふるふると襞の有る優しい感じのする素晴らしいACブルゴーニュでした。こちらもエキス系の美しいワインで、シリュグらしい、女性っぽい感触の味わいです。
カミュゼのスタイルは、「アンリ・ジャイエの教え子」と言うことも有り、ジャイエ系の味わい・・と伝わっているかもしれませんが、全然違います。決してジャイエ系の果実味重視系では有りません。むしろDRCやミュヌレ=ジブールなどに通じる完全エキス系と言えます。
ある意味においては、収穫する葡萄の潜在アルコール分に大いに関係が有り、糖分を完全に発酵させドライに仕上げるエキス系のワインは、温暖化の進む現在では収穫のタイミングを間違えるとブルゴーニュらしくないアルコール分の高いマッチョなワインになってしまいます。
勿論ですが、害虫にもやられて全滅・・などと言うことも、自然派の葡萄には起きる可能性も有ります。2014年からは「スズキ」と言う害虫にやられた生産地が沢山有りました。
「・・じゃぁ、日本から鈴木さんは産地に行っても本名を名乗れないねぇ・・」
などと揶揄されたものです。
そんな中で、このような「非常に美しい雅なACブルゴーニュ」を造っているんですね~・・非常に旨いです。是非飲んでみてください!超お勧めします!たっぷりの数量は・・有りません。
以下は2014年もののレヴューです。
━━━━━
【来てます!エレガンスの塊!ピノ・ノワールの真髄!】
いや~・・こんなことはしたことが無いんですね・・。既存のコラムには、時折、言葉の訂正や、
「飲みました!・・~~な感じで・・」
みたいには書き加えることは有っても、自分の言葉の検証にもなってしまうような二度に渡るテイスティングは無いんです。
まぁ、2016年6月後半の当時は、たしかにポテンシャルは高いものの、まだ仕上がっていない嫌いが有り、それでも良い感じで販売も伸びてはいたんですが、物凄い反響をいただいた2013年ものの売り上げ数には遠く及ばなかったこともあったんです。
何しろ、
「暑さが引いたころにはバランスしてくるだろ~・・」
みたいに書いちゃってますから、
「そんな予言めいたことを書いてて、しかも不要と思えるようなコストを掛けて再テイスティングして、ダメだったらど~すんのよ・・」
みたいな悪魔のささやきも聞こえなくは無かったんですが、やはりそこは自信を持って・・いや、フィネスさんのK君の手前、ちょっとヤケクソ気味に飲んじゃたんですね~・・。でも、やって良かったです。
「来た来た!来ましたよ!」
非常に繊細だがまだフラワリーな、甘味を含むアロマと、非常にち密な石灰の滑らかさ、ツヤツヤとしていて雅です。まるで極上シャンボールのテクスチュアです。中域のボリュームも出始め、いい感じにバランスしています。2013年ものが最初からヴィーヌ=ロマネっぽさを含んでいたのに対し、2014年の現状はシャンボール的で、むしろ6月時点の方がヴォーヌ=ロマネ的だったかもしれません。
しかし酸の柔らかさはヴォーヌっぽく、球体さは6月時点では全く感じられなかったものです。バランスも非常に良くなって来ていて、ボリューム感を感じつつ、精緻なチェリーを感じさせる余韻が素晴らしいです。
おそらくですが、この先来年の春ごろまでは上昇、維持をすると思います。そこから先は少し硬く締まってくる可能性が有るかなと・・
えっ?・・いや、もうやりませんよ・・また予言めいたことを書いたからって、3回目は無いでしょ。無理ですよ・・そんなに沢山品物が有る訳じゃぁ有りません。余りに旨いので、フィネスさんが持ってる内に、どんどん購入していただこう・・と言う魂胆です。なので、その辺はぜひ皆さんで検証されてください。
「いや・・硬い時に開けちゃうと勿体ないし・・」
・・そうですよね・・。でも非常に健康的でピュアですから、やや硬めだとしてもシャンボールっぽさが美味しさをアップしてくれると思いますよ。6月時点じゃ手を出して無い方も是非飲んでみてほしいと思います。超お勧めします・・まぁ、リアルワインガイドで高得点を出しちゃうと noisy に回ってくる量が減っちゃいますんで、
「徳さん、メオはやらないでね~・・」
と軽くプレッシャーを掛けておきます。是非飲んでみてください。お勧めします!!
以下は前回、2016年6月下旬のご紹介時のテイスティングレヴュー他です。
━━━━━

昨年の今頃から年末辺りまでに掛けて完売、そしてまた奇跡の再入荷を何度か繰り返し、そのたびに大きな反響をいただきました、メゾンのブルゴーニュ・ルージュの2014年が入荷しました。
2013年のこのワインの余りの美味しさに noisy もビックリしましたが、何より皆さんの「とても美味しかった!」が嬉しかったです。ですので待望の2014年ということになりますが、今のところはどの位いただけるかがハッキリはしていません。
で、はやる心を抑えつつ、早速飲んでみました。このコラムの下の方に2013年のコメント、また写真が有りますので比較してみてください。
色合いはどうでしょう・・やはりグレートイヤーの呼び声が高い2014年の豊かな色合いが見て取れるでしょうか。より目の詰まった、やや赤みが強いように見受けられます。
2013年は紫の透明感のある色合いで、より冷ややかに感じられるかと思います。でもこの冷ややかな色合いからのエレガンスがもの凄かったんですよね~!ただし、全体的な根っこはほとんど同じように見受けられます。
抜栓後からピュアなベリー、チェリーのアロマが気品高く、スピードも速く立ち上がります。篭ったような印象派全く有りません。中域には舌にチリチリと感じられる、まだ開かない要素の粒が沢山有ります。非常に目の細やかな優しいタンニンが存在しています。この辺はスムーズに流れて行った2013年とは少し違うところです。
中盤以降はブラック系の小果実、優しいスパイスを感じさせながら、ややふっくらとした帯域を感じさせながら長く美しい余韻を現しつつ消えて行きます。
全体像は2013年とほぼ同様ながらもポテンシャル的には確実に上、よりシッカリした、でも現状はわずかにより強い味わいを見せる・・2014年かと思います。非常に素晴らしい仕上がりだと感じました。
現状でもかなり美味しく飲めますが、リリース時にバランスしていた2013年のような完璧さには届いていません。この2016年の夏の気温が下がり始めた頃に一端バランスすると思われ、それ以降は2013年を凌ぐ味わいを見せてくれるでしょう。今からガンガン飲む・・と言うより、この2~3カ月の間にバランスするはず・・と思ってください。
2013年ものは、つい先日・・今まで仕舞い込んでいて飲んでいなかったお客様から連絡が有りまして・・
「メオのブルゴーニュ・ルージュを昨年購入して先日飲んだんですが、余りの美味しさにビックリしました。まだ在庫が有れば欲しいんですが・・」
と非常に嬉しいお言葉をいただきました。でも残念ながらもう1本も無く、すみませんと言うしかなかったのですが、この2014年に関しては、
「2013年より確実に上のポテンシャルが有る分、2013年より少し時間が掛かるが超越する」
と思います。素晴らしいピノ・ノワールでした!是非ストックしてお楽しみください。超お奨めします!
以下は2013年もののレヴューです。
━━━━━

レアなアイテムで有りながらも、その数の少なさからテイスティングも憚られるような状況ですので、入荷したものもをそのままご案内するのみになっていました。
業界的にも何となく売り手は
「飲まないで案内するトップの造り手」
の一端で有って、結局誰も飲んでないと言う状況に、市場もメオ=カミュゼを何となく敬遠しているような状況かと思います。
なのでこの際、久しぶりに飲んでみるか!・・とばかりに、たった12本の仕入れの1本を開けてしまいました・・・っが、ハッキリ言って驚きました。
飲む前は、
「2013年もののネガティヴさはどんな感じかな・・?」
というノリがほとんどだったわけです。ところが・・・
「知らぬ間にメオ=カミュゼは物凄い進歩をしていた!」
と・・・気付きました。
何しろ、
「異常なほどの繊細さ、エレガンス。それだけで納得させられてしまう!」 いやもう・・ビックリです。2013年のマイナス面を評価しようと思っていたのをスッカリ忘れてしまい、ヴォーヌ=ロマネ近郊の、下級のピノ・ノワールに過ぎないワインが持つ涼やかで、しかし圧倒的なエレガンスに打ちのめされてしまいました。これは凄いです!・・・ヴォーヌ=ロマネの特別な畑のワインが持つものを、そのままスケールダウンしただけ・・・。各々の要素が持つ量のみをダウンしていますが、要素の種類はそのまま持っているかのような振る舞いを見せるんですね。
なので飲んでいる時に、ACブルゴーニュだからど~のとか、村名クラスか1級と比べるべきだとか・・そんな感情を持たないんですよ。最高クラスのピノ・ノワールのエレガンスが備わっているんです!
ある意味、これは凄いことです。そんなワインはまず見当たらない・・・。有ったとしても、出来の悪いグラン・クリュのワインが、それに近い風情を見せるのみです。
決して気取らず、全くパワフルでは無く、でも静かに穏やかに、その純粋なエキスの姿を愛でることが出来るんです。
この淡く美しい赤の勝った紫の色合いから純なアロマが漂ってくるかのようです。そして余韻・・・この美しさは圧倒的です。震えます。そしてコンディションも抜群でした・・・。これを飲んでしまったら・・メオ=カミュゼのワインを見直す羽目になる・・と言うか、買いに走るようになってしまうかもしれません。
ヴィンテージの弱さなど微塵も感じない、物凄いワインでした。これが4千円ならとんでも無く安い!お薦めします!