
1995年のジュヴレ1級レ・コンボットです。
1級、プルミエ・クリュでは有りますが、このレ・コンボットの周りは全て「グラン・クリュ」に囲まれていますので、
「・・ん?・・なんでここだけ1級?」
と言うような気にもなりますよね。村の南に有る他の1級畑は確実に・・グラン・クリュの下側、つまり東に有るやや低地ですが、レ・コンボットの下(東)はマゾワイエール(シャルム=シャンベルタンも名乗れる)ですし、上(西)はモン=リュイザン(クロ・ド・ラ・ロシュ)ですし、北はラトリシエールですし、南もクロ・ド・ラ・ロシュです。
しかも別に窪地になっている訳でもなく、まぁ・・やや平らかなぁ・・位のものでして、マゾワイエールやシャルムがグラン・クリュになった時に取り残されてしまった1級・・と言えるかもしれませんね。マゾワイエールがグラン・クリュであるなら、このレ・コンボットもその資格が有るんじゃないか?・・とも思います。
早速開けてみました。コルクはさすがに22年(実際には21年ほど?)の年月に劣化しつつあり、愚息に開けさせたために見事に割れました・・と言うか割れて、長いコルクの先端が残ってしまい、noisy の出番になり・・綺麗に処理しました。この辺は慣れですね。何度も厳しい道を通っていますので、そうは失敗しません。
古いワインのコルクを上手に抜くには、「観察」が必要です。どんな状況かを把握しないと対処のしようも有りませんよね。なので、じっくり観察しておくことをお勧めします。
そして、幾つかの状況を前以って想像しておくこと・・が重要かな・・と思います。
コルクの上側が硬くなっていて、ワインに接する部分が柔らかいと・・そしてスクリューが奥まで入っていなかったり、スクリューを途中で止めてしまって入る角度が今までとズレてしまったりすると、まず・・その境目で割れます。
また、コルクを引き上げるスピードが速すぎたり、変なタイミングで止めたりすると・・これも割れます。ブルゴーニュ瓶は、先端は広い部分に有り、上側の2/3~3/4は狭い部分に有ることをお忘れなく。なので、コルクの先端が広い部分から狭い部分にどのように入って行くか・・どう入れるか・・どう入って行ったかを考えつつ、感じつつ、ある程度までは引き上げないといけません。noisy 的には、やはり引き上げる時の「手の感覚」で、コルクの先端がちゃんと付いて来ているか?・・を感じるようにしています。
「・・そんなことできるの?」
とお思いかもしれませんが、そのつもりでやっていると、少なくとも、
「先端がついてこない時の感覚」
は判ると思いますよ。
まぁ、そのようにして抜栓してみてくださいね。他にも色んなコルクの状況が有りますんで・・。
良い感じに熟しています。慣れていない者が抜栓しているので、少し澱が舞っている感じです。ボトルを無意識に・・でしょうが揺らし過ぎですね。特に古いコルクを抜く時は、ちゃんと抜くことも重要ですが、澱を回さない意識も重要です。なのでこの場合は、
「若干澱が舞った状態」
を念頭にしたテイスティングになります。それは色合いからも判りますよね。綺麗なレンガ色の入った色合いですが、透明度がバッチリ!・・では無いです。
まぁ、ワイン屋でも・・無意識なんでしょうが、時折いらっしゃいます。せっかくテイスティングのトリのために立てて澱下げして休養させていたワインをいきなり持ち上げて横にしてエチケットを見て、
「お~・・これ、飲むんすか~!やった~!」
「(・・・あのね・・ noisy の努力を一瞬で無駄にしてくれて・・有難う。後で、ちょっと荒れてますね・・なんて言ったら蹴飛ばすぞ!)」
・・いや、すみません・・でもしょっちゅう出会うシュチュエーションです。因みに noisy の血液型はA型では有りません。
シャルム=シャンベルタンやマゾワイエール=シャンベルタンと言った、綺麗で豊かな粘土のニュアンスに鉄っぽさが入り混じった構造も感じられますが、むしろ少し乾いた・・と言うか、ガレた土壌っぽい、ラトリシエールのニュアンスが強いように思います。
しかし、ラトリシエールほど軽やかでは無く、やや冷涼で、モレ的な低域の押し出し、もしくはシャルム系にクロ・ド・ラ・ロシュの石・岩の重量感をプラスした感じが伺えます。なので、ラトリシエールの華やかさと軽やかさでは無く、クロ・ド・ラ・ロシュの綺麗な石・岩でも無く、ガレ場の複雑な大きさ違いの石・岩のニュアンスかな?・・と言う感じです。
マット・クレイマーさんに言わせると、
「ここは冷気が溜まりやすい」
ということで、ラトリシエールとは結構に違う・・というような言い方をしています。南に開けていること、上部に山・森(林?)が有り、その北側が畑で開けていることが影響しているのかもしれません。
良い年を思わせるスパイスは、結構太い感じに思います。酸化した鉄、皮革、東洋的なスパイスの入り混じった感じです。若いジョルジュ・リニエのワインは・・最近はだいぶ違うようですが、非常にスッキリ、パキーンとしたドライな味わいですが、表情が物凄く出ていて非常に楽しいです。
中盤もしっかり膨らみ、余韻もシッカリ長く、ジュヴレらしいやや粒々とした粒子を感じさせながら収束して行きます。
澱が舞ってなければもっと美味しかったのになぁ・・とは思いますが、それは仕方のないこと。ワインとはそういうものです。失敗を繰り返して少しずつ慣れて上達します。
まぁ・・偉そうに言ってますが、時間の無い時とか、他のことに気を取られている時に「ながら」で集中しないでコルクを抜いたりしますと、やはり見事に「失敗」しますよ。何事も集中しないといかんですよね。テレビを観ながら古いワインのコルクを抜く・・のは止めましょう!
22年ものの古酒です。スッキリ開けて美味しく飲んでください。楽しめると思います。お勧めです!