まぁ、2本しか買えなかったので、余り書いても仕方が無いんですが、かのティム・アトキン氏は2014年のクロ=サン=ドニに95ポイント、2011年ものに91ポイントと言うような評価をしており、この何年かの急激な成長を感じさせる評価になっています。
今回同時にご案内の2014年のモレ=サン=ドニ1級・クロ・デ・ゾルムを飲めば、以前のような「ガチガチ」に硬いスタイルでは無く、さらに繊細になったエキスの表情を柔らかく出してくるような、さらなる繊細な努力をしているように感じます。
まぁ、色合いが凄い***ですから、ぜひ2014クロ・デ・ゾルムのコラムも覗いてみてくださいね。一瞬、胸が締め付けられるかもしれませんが・・(笑
それに、2001年ものの写真も有りますから、その色の*さの違いにも驚かれるかと思います・・が、
「エキスは濃い!色の濃さはエキスの濃さと比例しない!」
です。
で、2013年ものと言うことで、2014年ものの超絶な *さ を見てしまえば、
「さらに * いかも・・」
と思われるかもしれません。
飲んでみたいワインのひとつですよね?・・クロ=サン=ドニ。モレの名前の由来にもなった畑なのに、ほとんど周知されていないグラン・クリュです。気になりましたら是非!・・この位の価格のグラン・クリュは絶滅寸前です。
以下は以前のレヴューです。
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【何ともエロティックな素晴らしく香しいブケ!さすがのグラン・クリュ!】
おそらく皆さんもこのジョルジュ・リニエのワインへの認識が変わったに違い無いと思いますが、ホント、素晴らしいワインなんですね。
近年、ジョルジュ・リニエさんが引退し甥っ子のブノワ・ステリさんが継いでいますから、微妙な変化は有るとしても、この素晴らしい「クロ=サン=ドニ」を飲む限りは、大枠では変りは無く、やや濡れたように柔らかなテクスチュアになったんじゃないかと思います。「完全エキス系」の非常に旨いワインです。
あ、余り言葉にしていないので、ここでハッキリしておきましょう。大きく分けて「エキス系」、「果実味系」と表現していますが、当然のことながらその「中間位の存在」も有るんですね。でも判りやすくするために大きく分けただけにしてみます。
例えば、葡萄の糖度が潜在アルコール分として13度だった場合を考えてみましょう。これを完全発酵が上手く行ったとしますとアルコール分13%、糖度0gのワインが出来上がります。非常に単純にはこれがエキス系です。
同じように潜在アルコール分が13度だった場合で、糖度をある程度残した場合・・、アルコール分が12度、糖度何gかのワインが仕上がります。これが果実味系です。
勿論ですが、机上の論ですから、そんあピッタリ行く訳も無い・・ですが、造り手は結構・・その辺りは厳しく見ています。自身の思い描くワインにするためです。
潜在アルコール分がもし、15度も有った場合は・・どうでしょう?・・完全発酵が可能だとすると、15度で糖度0gのエキス系ワインに仕上がりますよね?・・でも、それはブルゴーニュワインとしてはどうなんでしょう?
「アルコール分が多過ぎる」
と判断され、下手をすればINAOにAOCワインとしての認定がなされないかもしれませんし、何より熟成に時間も掛かるアルコホリックで強いワインになっちゃいますよね。エレガントさの無いワインになっちゃう訳です。
では、その潜在アルコール分15度の葡萄をアルコール分2度分、発酵させずに糖度として残したらどうでしょう?・・これは(上手くできた場合)フレッシュな果実がタップリ存在する、やや甘味を感じるワインに仕上がります。果実味系です。
さらには、アルコール分が15度にもなるかもしれない場合は、エキス系に仕上げたい造り手はどうするでしょう?・・・いつも通りにそのまま発酵を続ければ、アルコール分15%の、あのフィリップ・パカレさんの「アンディジェーヌ」みたいな化け物ワインになっちゃいますよね?
そう・・逆算するんですね・・。収穫時期で調整するんです。まぁ・・そんなに単純では無いんですが、糖度を上げ過ぎないようにする訳ですね。
そんなこんなで、果実味(重視)系のワインはそのように、エキス系のワインもそのように造っているからこそ、造り手のアイデンティティ、もしくは、テロワールの一部としての造り手の関与になってくるんだと思います。
で、このジョルジュ・リニエは、ものの見事に「完全発酵タイプ」のエキス系です。しかも、フィルターはそこそこしっかり掛けますから(今までは掛けました?が正解?)、10年経たないと柔らかく成って来ない・・硬いワインだったと言えます。
新世代になり、その辺りは大きく改善しているようです。まぁ・・非常に素晴らしい、ケワイな、エロティックな、官能的な、複雑で精緻でフィネスたっぷりなアロマ、ブケにノックアウトされてしまいました。

クロ・ド・ラ・ロシュの南に接するクロ・サン=ドニは、モレの村の名前にもなった、当時の村人たちが、
「最もグレートだ!」
と判断した畑でも有ります。
クロ・ド・ラ・ロシュが石や岩のニュアンスを多く含むのに対し、クロ・サン=ドニではそんな表情は、たった一部分に過ぎません。
また南に存在するクロ・デ・ランブレイの持つ、まるでヴォーヌ=ロマネのクリュのような複雑なミネラリティ、特に金属系の複雑に入り組んだ組成は、デ・ランブレイがやや粗雑な構成(・・)なのに対し、とてもバランス良く、しかもたっぷり持ち合わせています。
さらにはクロ・ド・タールのもつしなやかな黒い果実やスパイスの風味、あの・・偉大なキノコっぽいアロマ、黒い美しい土のニュアンスさえも持っていると言えます。
そんなクロ・サン=ドニの持つ、雅楽と洋楽を綺麗に合致させたような雅な調べが・・ノーズに飛び込んでくるわけですから・・ノックアウトされちゃうんですね~。
しかも、モレの他のグラン・クリュのクロ・ド・タールやランブレイのように、パワフルさと言う点においては一歩遅れるものの、絹のようなテクスチュアからの洗練された表情が実に素晴らしいです。
でもまぁ確かに、まだ少し早いと思います。しかしながら、開けた直後からの素晴らしいブケにひっくり返り、徐々にソフトなテクスチュアになりつつ要素の放出量、姿を変えてくれますから、
「今飲んで充分に旨い!!」
と言わせていただきたいと思います。
エキス系のワインが持つ、芯から香ってくる強いアロマの表情に、是非ノックアウトされてください。非常に安いです。クロ・サン=ドニって・・余り良く知らないはずですよね・・?・・これは非常にお買い得!お早めにどうぞ!