● 2017年のユベール・ラミーだけは、どんなことが有っても買わなければならない・・とさえ思います。いや、そう思わされました。なので、絶対に買ってください・・(^^;; 白だけでは無く、赤もです。おそらく、今までに体験したことのない世界を見せつけられたと感じていただけるはずです。そして、アペラシオンにこだわり過ぎたことへの反省さえ、心に浮かぶに違い無いのです。
2017年のユベール・ラミーのワインの総括としましては、陳腐な言葉の羅列になってしまいそうで怖い部分が相当に有ります。
何せこの数年、ユベール・ラミーのワインの上昇機運の気配を感じ取ってからは、毎年のように、「前年を超えた」と言ってきました。そして、「物凄いワインだ」とも言っていたはずです。「昇り詰めた」とさえ、どこかに書いたかもしれません。
しかしそれは noisy の大きな間違い、もしくは見込み違いだったと言わざるを得なくなりました。
2013年よりも2014年、2014年よりも2015年、2015年よりも2016年と、年を追う毎にその「密度」がもたらす素晴らしい味わいに歓喜の念さえ持ったものです。しかし、2013から2014へ、2014から2015、2015から2016へと、ポテンシャルの上昇率はほぼほぼ同じ割合で上昇していたと感じます。そして2016年もので高見に達したと思ったものです。
ところが・・それこそが間違いだったんです。2016年ものと2017年ものを比較しようとした場合、
「もうポテンシャルの上昇率が図り切れない!」
とサジを投げざるを得ない感情を持たされてしまった訳です。2013年から毎年20%ずつ上昇し2016年まで来たと仮定したとして、
「では2016年から2017年へのポテンシャル上昇率はどのくらいだろうか?」
と考えた時、もう・・それを図ることは不可能だと感じてしまった訳です。
それほどまでに凄まじい向上と言わざるを得ません。・・いや、2017年もいろんなことが有ったことは判っています。サン=トーバンは決してすべてが順調だった訳では有りません。遅霜の被害で相当の減収になったと伝わっています。でもそんなネガティヴな出来事も、結果的に見れば、
「図ることさえあきらめざるを得ないほどの凄まじい出来」
になったと言うことなんですね。
それでもまぁ・・ラミーのシャルドネは、そんなことも有るかもしれないと、薄々は感じられたかもしれませんが、サントネイやシャサーニュのピノ・ノワールがまた、「ひっくり返るほど」素晴らしく、
「はたしてこれは本当にボーヌのピノ・ノワールなんだろうか?」
「これを飲んでコート・ド・ボーヌのピノ・ノワールと当てられる人はいるのだろうか?」
と思っています。
「少なくともサントネイの赤であると言える人は唯の一人もいないはず!」
と確信しています。
まさに、ユベール・ラミーの値千金のサン=トーバンのシャルドネの姿を写し取ったかのようなミネラリティに満ち、決して崩れない、綻ばない、貴婦人が如くの美しささえ感じられるピノ・ノワールが、コート・ド・ボーヌに存在したことに、経験したことのない感動と驚きと、伸張して行く可能性がまだまだ残っていることへの恐怖にも似た感情を持ってしまいました。
しかもこれは、ブルゴーニュの南のドンケツのサントネイで有り、赤は誰も期待していないサン=トーバンとシャサーニュ=モンラッシェなのです。

その昔のブルゴーニュは、馬で耕作していた・・と言われますが、それは実は・・比較的最近のことです。それ以前は馬も入れなかったほどの「密植状態」であったとされています。
ユベール・ラミーは、その古い時代と同じ手法を用いることで、その時代さえも超越した、自身の境地に至っていることになります。
だからこそ、もう・・どんな造り手とも比較することは不可能だと言えるでしょう。陳腐なことになってしまいます。ラミーはラミーのワインで比較するしか、比較対象が無い・・とさえ言えると感じます。
そしてその感情は、2017年のユベール・ラミーを飲まれた方と、必ずや共有できるはずです。特にシャルドネだけでは無く、ピノ・ノワールも飲まれた方や、2016年以前からラミーを追いかけていらした方なら・・そうなってしまうことは容易に想像出来ます。
いたるところにラミーの考えや仕事ぶり、そして畑の姿を感じることが出来ます。この・・凄いコルクを見てください!・・思わずメジャーを出して来てしまいましたよ・・。
「57ミリもあるディアム!」
です。
ここではコルクの説明はしませんが、ラミーが何を感じてそのようにしているのか・・是非飲みながら・・いや、まずその長~~いコルクを抜いてからですが、想像してみて下さい。
そして外観だけを言うにしても、全てのアイテムに白い「蝋封」が施されています。しかも全然面倒くさく無い、「蝋封をして無い、蝋封が無い」と思ってスクリューを差し、少し上げてから割れた部分を除くだけで済む・・・でも「蝋封」がされています。この辺も是非、色々と楽しみながら、ラミーの意思を感じていただけましたら幸いです。
素晴らしい2017年でした。とても一言では言い表せませんが、これだけは言えます。
「ユベール・ラミーの2017年だけは見過ごしてはならない!」
・・是非後悔の無いようにされてください。お勧めします。
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ユベール・ラミーをご紹介します。非常に評判が高くなってきている造り手ですが、実際noisyも、ここまで成長しているとは 思いませんでした。一推しの生産者です!
ユベール・ラミーの2015年ものが到着しつつあります。トップ・キュヴェと赤ワインは次回以降に到着する予定ですので、そちらは後のご案内になろうかと思います。
また、今回はテイスティングの済んだブルゴーニュ・シャルドネ、サン=トーバンおよびシャサーニュ、ピュリニーのクリマものをご案内させていただきます。
今回ご紹介させていただくACブルゴーニュ・シャルドネ・レ・シャタイネールやサン=トーバン各種、シャサーニュ村名、ピュリニー村名を全てテイスティングしました。
樽が溶け込み滑らかで柔らか、とても素晴らしかった2014年に対し、そこによりピュアで繊細な表現が加わったのが2015年と言え、更に密度が上昇して構成が大きくなっているとも言えます。この7アイテムのテイスティングにより、上級キュヴェが物凄いことになっていると想像されます。
特に、サン=トーバン1級クロ・デュ・メ、1級デリエール・シェ・エドワール、シャサーニュ、ピュリニーの「圧」「密度」の感覚は圧巻で、しかもそこに美しい酸の「伸長」が長くたなびきます。素晴らしいです!
言ってみれば、昔のコント・ラフォンのスタイルが2014年とするならば、近年のビオに変更したコント・ラフォンのスタイルを、そのコント・ラフォン以上に成功させたもの・・とさえ言えるかもしれません。
さらに誤解を恐れずに言うならば、ユベール・ラミー2015年は、少しバシュレ・モノのスタイルに寄った感じ・・と言えるでしょう。より美しい伸びやかな酸を内包しているから・・です。
まだ到着して時間がさほどは経っておらず、やや荒れていたと想像されますが、そんなことは全く問題にならないほど密度の有るエキシーな素晴らしいシャルドネでした。是非飲んでみていただけますよう、ご健闘をお願いいたします。
Domaine Hubert Lamy / ドメーヌ・ユベール・ラミー
“ユベール ラミー”の歴史は古く、ドメーヌは1640年に、サントーバン村でブドウの栽培を始めたという記録があります。先代のユベール氏は、彼の父親であるジャン・ラミーの元で働き、1973年に自らドメーヌ ユベール・ラミーを立ち上げました。それまでは主にネゴシアンであったため、自社畑は8ヘクタールほどにすぎませんでした。
90年代にはクロ・ド・ラ・シャトニエール、デリエール・シェ・エドアール、ミュルジェ・デ・ダン・ド・シャン、クロ・デュ・メ、クロ・デ・ザートの畑を購入、賃貸契約で手に入れました。
また、より土壌の特性に合うとしてラ・プランセの区画に植わっていたピノ・ノワールをシャルドネに改植もしました。
1995年、世界各国でワイン造りとマーケティングを学んだ息子のオリヴィエ氏が、ワイン造りを受け継ぎ、経験を生かした新しい手法で畑から醸造までドメーヌを運営しています。
今日ではドメーヌは17ヘクタールの畑を所有しており、そのほとんどがAOCワインです。サン・トーバン、ピュリニー・モンラッシェ、サントネ、シャサーニュ・モンラッシェなど…18のアペラシオンから赤・白合わせて毎年10万本ほどのワインを生産しています。そのうち70%は海外に輸出され、残りはフランス国内のワイン商、レストラン、愛好家に回されます。
ドメーヌを始めた当初は、村の真ん中に位置する小さな醸造所でワインを造っていました。
1979年、ユベールは実用的な醸造所の建設を始め、1981年に完成させました。
それから仕事がより効率化され2003年には600㎡から3フロアから成る1200㎡の大きな醸造所にまで拡張することができました。ひとつのフロアは醸造設備(除梗、ベルトコンベア、空圧式プレス機2台、震動式選果台、ラベル貼りなど)です。
ふたつめのフロアはボトル貯蔵庫になっています。そしてもうひとつの地下フロアは赤ワインと白ワインが分けられた樽熟成のためのフロアとなっています。
栽培:葡萄はグイヨ仕立て。5月から8月まで毎月グリーンハーヴェストを施します。この10年の間、化学肥料は一切やらずに有機コンポストに切り替えて土壌を修正してきました。
白ワインの醸造:畑から収穫された葡萄はベルトコンベアでプレス機に入れられます。プレスされたジュースはステンレスタンクで一晩、清澄のために静置されます。翌日、清澄されたジュースは重力によって地下の樽へと導かれます。樽はブルゴーニュの伝統的なバリックではなく300リットルとドゥミ・ミュイと呼ばれる600リットルの樽を用います。
アルコール発酵、マロラクティック発酵ともに樽内で行われます。
赤ワインの醸造:収穫された葡萄は震動式選果台で厳しく振り分けられ、除梗した後にベルトコンベアでセメントタンクに入れられます。そこから3~10日後に約2週間かけてアルコール発酵を行います。
発酵後に不純物を分離するデキュヴァージュを行い、プレスします。ジュースを一晩、清澄のために静置させ、樽に入れるのです。およそ15カ月の樽熟成を終えてワインは瓶詰めされるのです。
2010年ヴィンテージについて
開花期の天候が良くなかった影響で、非常に少ない生産量となりました。
2010年ヴィンテージの生産量は例年の30%減となります。2010年ヴィンテージは2008年ヴィンテージに似たクラシックな個性の年です。
少ない生産量は結果として、ワインに凝縮感と素晴らしいバランスを与えてくれました。8月はブドウがゆっくりと成熟し、9月上旬には収穫を開始、9月の14日には収穫を終えました。
ワインはフレッシュさと完熟の要素を兼ね備えており、調和を見せてくれます。生産量の低さは、好ましい凝縮感をワインに与えてくれました。
2009年ヴィンテージについて
2009年は素晴らしいヴィンテージになったと言えるでしょう。まさに太陽のヴィンテージで、芳醇かつ力強さをもたらしてくれました。
しかしながら私達は飲み心地の良さだけではなく、ワインがフレッシュさとフィネスを保つように配慮しました。2009年の白は3年から8年の間は熟成するワインでしょう。
しかしむしろ現時点から開放的な黄色い果実のアロマがあり、完熟した果実味が口いっぱいに広がってからフレッシュさを伴った余韻へと続きます。
ワインはそれぞれの区画の土壌に由来するミネラルの特徴を備えています。
2009年の赤は3年から12年の間、熟成するワインです。深みのあるルビー色、黒系果実とスパイスの香りが特徴的で、フレッシュというよりは芳醇な果実味のワインです。
これらはまさに“美食家のためのワイン”なのです。
●ドメーヌ・ユベール・ラミーの土壌サン=トーバンについてドメーヌ・ユベール・ラミーの持つ畑は基本的に石灰質が占めています。
サン=トーバンの土壌は大別するとふたつに分けることができます。
ガメイ村を越えサン=トーバン村へと延びる斜面は白色マルヌ土壌から成るほぼ純粋な石灰岩質土壌です。柔らかい石灰岩質土壌のおかげで葡萄の根が深く、よりミネラルを吸い上げることができるのです。洗練されたタイトな味わいの白、ミネラル、石を思わせる風味の赤ワインを産出します。ピュリニー・モンラッシェの土壌と類似しています。
(Derriere chez Edouard: Tremblots)
サン=トーバン村の内側、特級畑モンラッシェの斜面にはより堅牢な石灰岩が広がり、葡萄の根によって石灰岩の断層が散見されます。赤色の泥灰土が多い特級モンラッシェから続く粘土質土壌です。より日照に恵まれた区画で、果実味が増しスケールが大きなワインを産出します。(Clos du Meix : Chateniere)
◆2016年についてラミーからのコメントが届いていないため
Burgundy Reportから転用します。
全てのワインを通して評価している評論家はこれぐらいしか見当たらず…
著者であるビル・ナンソンMW氏は造り手にもワインにも愛情を注ぐような文章で
個人的に好きな評論家の一人です。
他のメディア情報も、若干見受けましたが参考程度にしておきます。
『2016年はシャサーニュ1級マシュレルはありませんが、同じシャサーニュ1級のショーメは
ヘクタールあたり35ヘクトリットル確保出来ました。
父ユベール曰く、2016年はまるで1981年を思い起こさせる霜害だった。
最初の蕾は霜で凍結してしまいましたが、幸運なことに私たちの剪定のお蔭で二番目の蕾は少々の被害で済みました。
ヘクタールあたり15ヘクトリットル、最終的には例年の半分の収穫量になりました。』
数々の造り手の頂点に近い造り手で、この素晴らしいドメーヌの成功基準となる年です。
Burgundy Reportより 意訳:オルヴォー村岡