
ムルソーの素晴らしい1級畑ものは、他の村のシャルドネに比較すれば、まだまだリーズナブルです。これをピュリニーで比較しよう・・なんて考えてしまうと、かなりの予算を計上しないとならなくなってしまいます。
畑の違いをどう考えれば良いのか・・まぁ、全て飲んで・・すべての造り手とその持ち畑を全て飲んで記憶すれば良いだけですが、人間は中々そうは出来ないものです。まずは位置関係かな・・と思いますよ。
ピュリニーとの境の南側から行くと判りやすいと思います。アバウトにですが、南端の下がレ・シャルムでその上がレ・ペリエール、その両者の北側がジュヌヴリエール、その北側がこの「ポリュゾ(3区画あり)」で、その上に「レ・ブシェール」、その両者の北側が「レ・グッド・ドール」です。これが大まかに言って、重要な1級畑です。勿論、他にも幾つか有りますが、今回は・・すみません。
noisy もジャン=マリ・ブーズローさんちの「1級レ・ポリュゾ」を飲んだのは今回が初めてです。で・・ちょっとビックリしました。想像していたのとだいぶイメージが異なっていたんですね。
一般的にはレ・ポリュゾのワインは、かなりのミネラリティの強いワインで、真上のレ・ブシェールや北隣のレ・グッド=ドールの豊かさとは、また違った「ハードな・・」「やや硬めな・・」「大理石的ミネラリティがほとんどを占めるような・・」と言いたくなるようなイメージだったんですね。
ところがですね・・エージェントさんの説明にもある通り、
「ピュリニー=モンラッシェを思わせるような・・」
柔らかさとフィネスを持った、ムルソー1級群の中では比較的早熟だと思わせるような、「愛想の良さ」を持っているんですね。
確かに、レ・ブシェール(リリースしているドメーヌは少ないです)は、ガチガチに硬さをアピールしてくるものと、豊かさを感じさせるものの両方が有るように思います。それでいてやはりミネラリティはしっかりしていると思います。
北側のレ・グット=ドールはとても豊かで大柄なワインと言う理解をしています。まぁ・・洗練されているな~・・と感じることは多くは無いですが、当たったグット=ドール・・・適度に締まっているタイミングでしょうか、これは素晴らしいと思います。基本的には豊かな感じです。
この2016年のポリュゾは・・こればちょっと確かにピュリニー1級かと勘違いしてしまいそうなニュアンスです。アロマは膨らみが有って、多くのムルソー南側の1級畑が見せる大理石的なニュアンスが少な目なんですね。
蜜とやや熟れた柑橘が有り、レ・ペリエール的な表情を1/5~1/4ほど持っているような感じです。勿論ですがレ・ペリエールのような、石の集合体のような厳しいミネラリティを見せつけることは有りません。豊かなんですね・・レ・グット=ドールのような豊かさ・・ですが、それよりも洗練された美しさを感じます。
そう言ってしまうと、ピュリニー1級と表現するのも全く同感で、終盤に見せるハシバミのようなミネラリティの表現から、
「・・いや、ムルソー1級かな・・良い年のレ・ジュヌヴリエール?」
と言うような判断も有るかもしれません。
さりとて、イヴ・ボワイエ=マルトノのレ・ジュヌヴリエールのような緊張感の連続で痺れてしまうようなものでも無い訳ですから、もしこれがブラインドで出されたとするとかなり悩むことになってしまいそうです。

で、出来の方ですが・・これが非常に素晴らしいんですね。
「凝縮感が有ってタイトでムルソーの本質を見せていて・・・・」
と言ってしまうと、これは「嘘」です。それだと全く違う感じになります。
勘違いされるかもしれないことを恐れずに言ってしまえば、
「2005年もののような雄大である種の大らかさと健康美を持ち、非常にバランスの良いピュリニー的な表情さえ感じさせる優雅なムルソー1級!」
とするのが良いかな・・と思います。これはかなり・・美味いです。今飲んでも行けちゃいますよ。