
キュヴェ・アレクサンドリーヌのテイスティングは非常に楽しいし嬉しい。何故って、それは初心を思い出させてくれるからかも・・しれません。
ワインを勉強し始めの頃は、「樽香」なんて言われても良く判らなかったし、ましてや
「美味しい」
「凄いワイン」
と言う意味さえ判らなかった訳です。
今でも本当の意味で判ったかどうかは判らないけれども、「良い」「悪い」「ダメ」の、その要素の判断基準は少なくとも出来ているし、ブレも無いと思っていますが、ぶっちゃけたところ、
「美味しい、美味しく無い、は飲み手の自由判断」
で有って、でもプロとしては俯瞰した目・・と言うか、一般的な基準としての判断が出来ることが重要かな・・と思っています。それと同時に、やはりお客さんに対しては「啓蒙していくこと」が重要で、まだ知らないもの、まだ知らないことをちゃんと伝えること、偉そうに言えば、教える・・と言うことになるのかもしれませんが・・。
で、やはりこのワインを飲むと、昔を思い出してしまうんですね。毎回同じことを書いてる気がしますが、
「ほんのりと新樽の要素が香る」---まだ若いから・・でも強く無くとても気品の有るもの
「果皮の厚さをしっかり受容」---たぶん、ミルランダージュによるものでボルドー風な強いものにならないのが素敵
「複雑性が凄い」---おそらく複数の畑をブレンドしていることによるもの
のようなニュアンスを必ず受けるのと同時に、昔飲んだ「アンリ・ジャイエ」のワインのパーフェクトに思えるような凄い味わいを思い起させるんですね。
それでも御大アンリ・ジャイエのようには、長い漬け込み期間を取っていないでしょう・・などとも感じますし、いやいや、こりゃぁめちゃ美味しいからこれはこれでいいんだ・・と思ったり。
この美しい色合いを見つつ、開けるには少し勿体ないかも・・などと思いつつ、でも旨いな~・・と感じつつ楽しい時間を過ごせるんですね。
なので、そんな楽しい時間が過ごしたいと思うならば、ここはキュヴェ・アレクサンドリーヌにしか造りだせない世界ですから、ご検討いただいきたい・・と思います。特に長年ブルゴーニュワインに親しまれた方には、上記のような望郷の念にも近いものを感じさせてくれるのでお勧めです。2013年ものはたったの12本しか入りませんでしたし、2014年は希望数を減らされ24本・・そこの辺も自由に仕入れられた少し昔が懐かしいです。
以下は昨年以前のレヴューです。
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このところ、毎年のように飲んでご案内させていただけていた珠玉の味わい、「キュヴェ・アレクサンドリーヌ」ですが、収量が大幅に減少した2013年にてついに途切れてしまいました。
飲まれた方々は口々に、
「若いのに美味しく飲めてしまう・・それもかなり旨いのでビックリです!」
とおっしゃるんですね。
そうなんですよね・・アンリ・ジャイエも若いワインが実に旨くて・・などと話すのも気が引けるような時代になっちゃいましたが、やはりアンリは「畑で自分のポテンシャルのほとんどを発揮していた」のであって、それもどうやら「人為的に花ぶるいを起こしていた」と噂されたのも事実だったのかもしれない・・そんなことを教えてくれたワインでも有ります。
お早めにどうぞ・・。
以下は以前のコメントです。
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【素晴らしい!!心から美味しいと思います!】
毎年このワインを購入出来ていることが、とんでもないほどの幸福なのかもしれないと・・思い始めている noisyです。勿論ですが、マルク・ロワの他のワインも美味しいんですよ・・。しかしながら、このキュヴェ・アレクサンドリーヌは飛び抜けて素晴らしいんです。価格差も有りますが、それすら全く関係が無いと言うか、余りにこのキュヴェが凄すぎて、手を出し辛いと言うか・・(^^;;
飲むには早いのを承知の上で・・いや、oisy にも飲ませてやらんといかんか~・・との思いも有りつつ、到着間もないこのキュヴェ・アレクサンドリーヌを飲んでしまいました。
どうですか?・・この輝く赤をとことんまで積層して黒味さえ見える色合いを是非ご覧ください。
「・・美しい・・・」
きっとそのように感じられるでしょう。
口に含むと・・まだ樽が馴染んでいないにも関わらず、絶妙のエキスの旨みが拡がります。甘くないのに甘い・・・(^^ そしてエキスから漂うフルーツ感は、確実に赤いフルーツを示唆しています。しかも幾重にも積層しています。
oisy は・・
「黒いな~」
と申しておりましたが、赤が積層した色なんだよと説明すると、
「なるほど~」
と納得した様子でした。 価格には代えられない味わいが有ります。単なる村名ワインですが、クラスでは表せないすばらしさが有ります。家族総出でミルランダージュの房が熟すタイミングと量を計り、何度にも分けて収穫と醸造を重ねた結果、この世に生まれたワインです。このキュヴェ・アレクサンドリーヌはそんなワインです。物の見事に美しいです。・・・いつか、このワインも伝説になり、買えなくなってしまう恐怖にも駆られます。今飲んでもこの素晴らしさは伝わるでしょう。お勧めします。
以下は以前のコメントです。
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【ベラボウに旨い!!】 いや・・・ミルランダージュのみの葡萄を集めて造っている、気の遠くなるような作業の集大成がこのキュヴェ・アレクサンドリーヌです。むしろ、偉大なソーテルヌを造るために、ピンセットで何日も掛けて畑を回って収穫するのとは違うにせよ、似たような体力勝負な部分も多く有るに違い有りません。
今まではアソートでしか買えなかったんですが、2008からこのキュヴェだけ購入できるようになったので、とりあえず!・・・エージェントさんには申し訳ないが、何しろnoisyにとっては余り知らない造り手だったので・・何とか2ケース確保して、ついに飲んでしまいました!・・・素晴らしい・・凄いワインでした!
味わいが「うんたらこうたら」と、香りの種類を山ほど上げたところで、ワインの素晴らしさは伝わらないでしょう。noisyは良く使う手ですが、
「果皮と果汁の割合」
でお話ししたいと思います。
ピノ・ノワールの実は小さいですが、果皮も薄いのはご存知ですよね。ですので、ボルドーなどのワインに比べると、淡い色合いになります。
普通の、とても良く出来たジュヴレの1級を想像してみてください。日当たりも悪くなく、風通しも良い畑です。そして出来が凄く良い。
そのジュヴレの1級に使用した葡萄ですが、果皮を10、果汁を10と仮定します。実際の量がどうでも、そのように仮定です。
で、このキュヴェ・アレクサンドリーヌは・・・果皮が15、果汁が7.5 位の凝縮度、濃密さを持っているんです!
「でも、凝縮感が出ているとエレガンスが失われてるんじゃない?」
と思われるかもしれません・・・。そこが、ミルランダージュ・キュヴェの凄さなんでしょう!自然のなせる業は、人工的になした業のようにはならないんですね!エレガンスもそのまんま・・・倍増して・・なんと貯蓄されているような感じなんです。
そして、
「果皮が絶妙に甘い」んですよね~・・・これは飲まなきゃ意味が不明でしょう!・・・物凄い技術を持って、ピュアそのもののパッシートが有ったとして、しかも完全発酵させた上でドライな味わいに仕上げ、アルコール度は低めに抑える・・・などと、全く不可能なことが可能にならないとできないことでしょう。でも糖分の甘みじゃ無いんですよね。おそらくですが、物質が積み上がった時、その厚みを感覚器官で受け取ると、そんなように感じるんじゃないかな?と思います。
まあ、御大アンリ・ジャイエは、このミルランダージュ(花ぶるい)を誘発していたと言われています。そして、それが上手く行くと、大変喜んだようです。日本の巨峰やピオーネの生産者が聞いたら卒倒しそうな話ですが、単に収穫を制限するだけでは無く、小さくバラけた結実、結果として健全な実、果皮/果汁割合の上昇を得ていたのでしょう。そして、畑の要素をその果皮に詰め込み、ワインの表情としているんです。
このキュヴェ・アレクサンドリーヌですが、今でも美味しく飲めて仕舞います・・・。勿論ですが、この先20年OKでしょう。物凄く手の込んだ仕事です。「村名のジュヴレでこんなにするの?」というご感想は全く的を得ていないです。是非、こんなミルランダージュのみのピノ・ノワールを愉しんでみて欲しいと思います。お奨めします!
以下は以前の・・・飲めていない時のコメントです!
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【なかなかに秀逸だと思います!!】 本当に久しぶりに購入できましたが、ミルランダージュのキュヴェ・アレクサンドリーヌは飲めず、クロ・プリュールも飲まず・・・、取り合えずはヴィエイユ・ヴィーニュのみのテイスティングです。数量が限られていることと、アソートでの購入になりますので、ご理解いただければと思います。
まず、キュヴェ・アレクサンドリーヌですが、これは通常「花ぶるい」と言われる結実不良の葡萄の実のみで醸したキュヴェです。結実不良が起こりますと、収穫量は減るんですが、果皮は厚くなり、粒が大きくならない利点がある為、ブルゴーニュの品質本位のドメーヌには喜ばれたものです。ですが、全量をミルランダージュの葡萄で仕込んだとアピールしているのは、このキュヴェくらいのものなので、有る意味、他のキュヴェと比較することによって、我々の楽しみを拡げてくれる訳ですね。
ですので、ここを皆さんはきっと欲しいはずですが、これだけではフツウは購入できないはずです。一応お一人様1本限りにさせていただきましたので、出来ましたらクロ・プリュールかV.V.を購入していただけますと嬉しいかなぁ・・とも思っています。
クロ・プリュールですが、このリューディは、1級の格付けと、村名の格付けの両方が有りまして、このマルク・ロワの区画は村名の方です。1級の方はマジ=シャンベルタンの下部に位置しますが、村名は1級クロ・プリュールの下部でして、マジとの関係性はなかなか見えては来ないでしょう。価格的には高くは無いと思いますが、飲んでないので味わいは不明です。ですが、V.V.を飲んだ限りにおいては、かなり期待が出来ます。
で、肝心のテイスティング済みのヴィエイユ・ヴィーニュですが、そうですね、誰に似ているかと言えば、ジョセフ・ロティをやや凝縮させ、若干ムンムン系に寄せた方向性・・・というのが判りやすいでしょうか。(・・・ブルゴーニュをかなり飲んでいないと理解不明かもしれませんね。)
キュヴェ・アレクサンドリーヌでは無いのに、いや、一番安いV.V.なのに、葡萄の粒の小ささを連想させてくれるのにはちょっと驚きました。その果皮の割合の多さ、ピュアな果実の持つ、つややかさや、エグミやビター、そして旨みがリアルに生きています。
補足ですが、エグミやビター(渋み)というのは必需です。これを書いてしまうと、
「なんだ~、エグイのか~!」
とか、
「渋いの、やだ~!」
と思われるかもしれませんが、例えばグレープ・フルーツでも、葡萄そのもので良いですが、口に入れられたら、確かめてみてください。どんなに甘くても、渋みやエグミがちゃんとあるはずなんです。滅茶苦茶に甘いと、その美味しいと思ってしまう心が、わずかに存在し、大きな役目を帯びている渋みやエグミの存在を認めなくなってしまうんです。
エグミや渋みの無い、単に甘いだけの果実は、実は果実としては全然美味しくないんです。酸っぱみもそうですよ。この重大な要素が無くても良いのなら、単に果糖を舐めているのと変わらなくなってしまいます。それなら砂糖を発酵させ、ワイン風に香料を付けてみれば・・・どんなに不味いものが出来るか、お判りいただけるでしょう。・・・もっとも日本でそんなことをやってしまうと、酒税法違反で後ろに手が回ってしまいますが・・。
ですんで、
「エグミ、渋みが目立ちすぎて美味しくない・・」
という場合は有りますが、そういう表現で無い場合には、この要素こそが、ワインの大きさ、拡がりを造っているんだとご理解いただければと思います。
このマルク・ロワのヴィエイユ・ヴィーニュは、現時点でもそれなりに美味しく飲めてしまいます。そして、状来は結構伸びる余地を持っています。獣っぽさや、血っぽさをムンムン出してくるような、妖艶なスタイルに変身するんじゃないかな?と思っています。むしろ、ジュヴレの北西の1級畑群に近いニュアンスの味わいになるはずです。
キュヴェ・アレクサンドリーヌは、まあまあのプライスが付いていますが、その希少性や再現性に期待の価格と思っていただければ納得もできると思います。是非ご検討くださいね。
ドメーヌ所有のACジュヴレ・シャンベルタンの6区画から、先に家族のみでミルランダージュ(結実不良)の葡萄を選りすぐり醸造した大変珍しいワイン。殆どが古樹由来で、その平均樹齢はおよそ70年。2005年ヴィンテージが初リリース。樽熟成約12ヶ月(新樽比率約50%)。複雑で凝縮した黒系の果実味、香り高く繊細でエレガントな味わいの中に、酸と重厚なタンニンが見事に共存し全体を調和している。自然の恩恵に浴する、毎年リリース出来るとは限らない生産量極々少量の最高傑作!