
マルキ・ダンジェルヴィーユのベースの白ワイン、アリゴテです。ブルゴーニュにおいてはこの十年ほどで、
「ブルゴーニュ・アリゴテの質の向上」
が半端なく続けられた結果、
「もはやアリゴテの昔の面影は無く、飲み手たちもそれを認めるべき」
状況に来ているのは、皆さんも承知のことかと思います。もっとも価格も上がって来てしまいましたが・・しかし、あのD.R.C.の共同所有者でもあるヴィレーヌさんちの「ブーズロン」の価格も半端なく上昇してしまい、
「・・それにしちゃぁ・・ポテンシャルはどうよ?」
と言うような部分は残りますよね。あまりに安泰過ぎてちょっと胡坐をかいているような感じもします。
しかしながら、10年前は・・と言うより2008年もの以前のダンジェルヴィーユさんのワインは、確かに悪くは無いものの、それこそ・・いや、失言かもしれませんが、かのブーズロンのような平板さと似たようなものを感じたものですから、この3年ほどの
「とんでもないレベル・スピードでの質感の向上」
は、ある意味、異常なのかもしれません。
そうは言っても例えばかのコシュ=デュリにしても、
「コシュ=デュリはアリゴテで充分!」
などと言う言葉は、noisy がネット販売を始める以前から、ワインファンの間で呟かれた言葉です。noisy もその言葉を随分と使わせてもらいました。
それほどまでに、他の造り手たちとコシュ=デュリのアリゴテとは、雲泥の差が有ったと言えます。

上の写真は2015年のアリゴテです。
そんな、コシュ=デュリのアリゴテを除けば、
「酸っぱいだけ。キール用(カシスを加えてリキュールにする)のワイン」
と言われたアリゴテ暗黒時代を、ようやく抜けたのが今です。そりゃぁそうですよ。
「ブルゴーニュに属するブルゴーニュ・アリゴテと言うアペラシオン」
なんですから。同じブルゴーニュワインで有りながら、アリゴテと付いたら格が下がる・・などと言うのは、本来はおかしい訳で、それなら最初から「並酒」(パストゥグラン等)で良い訳です。
ようやく今になって、
「ブルゴーニュ・アリゴテと言うアペラシオンの存在意義が発揮されるようになった」
と言えます。
ほんのりと、そしてふっくらとした青りんごのアロマに柑橘系果実が丸く柔らかに感じられます。中域は適度に膨らみ、早くも遅くも無い・・適度なスピードの豊かなアロマがそこへ乗っかって来ます。ノーズに抜けるときに白っぽい石灰感、柑橘のフレーヴァー、余韻にもほんのりと青味、余韻も良い感じに長いです。
普通に飲んだら「アリゴテを感じる部分」は少ないでしょう。言われなければ「シャルドネだろう」と信じて飲んでしまうに違いありません。
わずかに酸のエキセントリックさ、いや、非常にまろやかに仕上がっているので気付かないかもしれません。青りんごっぽさにその面影を見るかもしれません。その程度で有り、むしろそれは好意的にしか取れないでしょう。
わずかにマッタリ、蜜っぽさも有り、とても完成度の高い味わいです。
2014年は2015年に比較するとわずかに冷ややかさが多めかな・・と思います。2015年はよりグラマラスで、2014年の冷たさよりふくよかさが見えやすいと思います。
これだけ高質なブルゴーニュ・アリゴテにするには、やはりかなり収穫制限をしているかと思いますし、選果も厳しくしているのでしょう。価格もそれにつれて上昇するのは仕方が無いかな・・と思っていただけると思います。
とても美味しいです!・・その辺の仕上げはやはり「貴族ならでは・・の感覚」なのかなぁ・・とも思いますが、よほど美味しいものを食されていらっしゃるのかと!
お勧めします!ぜひ飲んでみてください。