
このミシェル・グロのオート=コート三部作のトップ・キュヴェがこのフォンテーヌ・サン=マルタンです。コルトンと同様の地層だと言うことですが、なるほど・・そう言われてみればそのような気がします。
まぁ、コルトンとは言ってもいくつかのスタイルが有りますが、レ・ルナルドやレ・ロニェにむしろ似ている感じがするのは、ヴォーヌ=ロマネスタイルなオ・ヴァロンでしょう。でも、ル・コルトンやレ・ペリエール、言い過ぎかもしれますせんがレ・ブレッサンドなどには、このフォンテーヌ・サン=マルタンは似た部分が有ると感じます。オート=コートをグラン・クリュの畑と一緒にしてものを言うなんて少し憚られますが・・
ですがこの精緻な姿、細やかな表情には、単にオート=コートと言ってしまうと勿体無い・・みたいな気持ちが生まれているのも事実では有ります。
リアルワインガイド第80号では、
「ヴォーヌ=ロマネ村名だと言って誰かにしれっと飲ませてみたら・・」
と、いたずらなことを書いている位に・・上質です。
また、2019年ものが驚くほど冷ややかで、思わず「氷のミハイル」などと書いていますが、2020年ものはご覧の通り、そこまでの冷ややかさは有りませんが、それでも多くの2020年もののブルゴーニュワインと比較しますと、
「冷たい感じ」
は感じると思えるレベルです。

色彩も2019年ものは見事に冷たく見えますよね。透明感が凄く、全体がクリスタルなトーンに包まれている感じを受けます。
2020年ものは少し濃い目で妖艶なトーンに包まれている感じが・・しませんか?・・年的に、凄く暑さを得た時間が有り、水分不足で悩んでいたところを少雨で救われた・・そんな出来事が想像できる画像ではないかなと感じています。
「・・でもさ、2019年もののホワイトバランスと違うから、簡単には比べられないよ!」
と言われてしまうかもしれません。まぁ・・撮っている機種が2019年の時と変わっているので、いちいち合わせられないんですね・・
でも、今回に限り・・時間をかけて、RGB のバランスを2019年の時の写真に近づけてみました。それが3枚目の写真です。

どうでしょう?・・ワインの液体としての色彩は、想定外でしたが・・余り変化していないように見えます。
何とも妖艶な感じはそのまま・・いや、単に曇っているだけかもしれませんし、画角も微妙に異なりますが、テーブルクロスの色はほぼ同様になるように調整してみたんですね。
で、この左の3枚目が出来たんですが、これからは少し「G 緑」を減らすような撮り方をしようかと思っています。
やはり2019年ものよりもやや濃く、やや暖かく、ややグラが多く、やや官能的・・でしょうか。非常に良い出来だと思います。
リアルワインガイド第80号は、面白いように・・
「0.5点ずつポイント上昇」
していまして、リアルワインガイドもそれを認めています。つまり、
・A.C.ブル・コート=ドール 89+
・A.C.オート=コート 90
・オート=コート・オ・ヴァロン 90+
・フォンテーヌ・サン=マルタン 91
これを大きいと思うか、余り変わらないと思うかは人それぞれですが、この90ポイントを境にした評価の0.5点は、99.5点とはほとんどのレヴュワーが点を付けないのとほぼ同じ意味で、レヴュワーにとっての0.5点は相当に大きいんですね。99.5点って・・もうそりゃ100点だろ!・・って思ってしまいますが、
「100点は付けたくない」
に等しい訳です。
そしてそのポイントが異なる以上に異なるのが、やはりテロワールだと思います。この3種類のオート=コートでもこれだけ違うことで、お客様も大いに楽しめると思います。もしお時間が有りましたら、ニュイ=サン=ジョルジュ村の西方約10キロほどにある、「 arcenant (アルスナン)」を google MAP などで探してみてください。少なくとも相当な時間つぶしにはなります。お勧めします。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【下級キュヴェに有って最もフィネス溢れるのがこれ、フォンテーヌ・サン=マルタンですが、氷のミハイル化で・・もうツヤツヤなテクスチュアです!】
目先の美味しさ、鮮烈さはオ・ヴァロンでしょう。それは間違い無いです。ですが、本質的な部分での素晴らしさはこのフォンテーヌ・サン=マルタンに分が有ると感じます。それは2019年の「氷の・・」でも同様・・では有るんですが、冷やかなミネラリティが分厚い分、外に出ようとする表情を抑え込んでいると感じます。
ですので、よりフィネスたっぷりに・・おしとやかなんだけど実はちゃんと有る・・的なワインに仕上がっているんですね。
なので、もしもう少しでも多彩に、多弁になって欲しいと思うので有れば、2~3年置かれると良いかなぁ・・と思います。ですが、個人的には・・今飲んでも充分に旨いし、僅かずつ崩壊して行くバリア状のミネラリティから漏れてくる微細な表情こそにそそられてしまう・・と感じられる方には、今からゆっくり時間を掛けながら楽しめるんじゃないかと思います。
もし、もしですよ・・2018年のこのフォンテーヌ・サン=マルタンをお持ちでしたら、是非比較していただけますと・・面白いと思います。
「・・ん?・・何?・・氷のミハイル?・・パタリロ?・・何言ってんの?」
と思われる方も、もしそんな飲み方をしていただけますと、
「・・おお・・このニュアンスを氷のミハイルと評したのか?・・」
と相互理解が進むのではないかと・・いや、勿論ですが、noisy なんぞと相互理解が深まっても何にもならないと思っていらっしゃる方はスルーしてくださいね。全く強制するつもりなどは有りません。
ですが、このしなやかな厚み・・それをフィネス感で伝えてくるのがこのフォンテーヌ・サン=マルタン・ルージュです。美味しいと思います。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【3種のオート=コートのトップ・キュヴェ!・・(^^;; この精緻さ、フィネス感は流石です!】
面白いですよね・・3種ものオート=コートをリリースしているドメーヌを他には知りませんが、このところはこの3種を毎年テイスティングしていますから・・
「いい加減、その特徴を覚えてしまった・・」
んですね。なので、永遠に毎年同じような文章を書いてしまうかもしれません。それはちょっと怖いですが・・。
でも、おそらくピノ・ノワール・ファンの皆さんも同じだと思うんですよ。ベースのオート=コートを飲めば、オート=コートなのにヴォーヌ=ロマネっぽくて・・これで充分だ・・と感じながらも、このフォンテーヌ・サン=マルタンを飲めば、ビロードのテクスチュアとフィネス感に酔いしれ、
「ベースのオート=コートよりフォンテーヌ・サン=マルタンの方がヴォーヌ=ロマネっぽい!そして上品で精緻。」
だと思われるでしょう。
そして「オー・ヴァロン」を今飲めば、
「ベースのオート=コートも美味しかったけれど、よりヴォーヌ=ロマネっぽく、よりポテンシャルが有って、より今美味しいのはオー・ヴァロン!」
と思われるでしょう。最も3種類、全部飲めば、一番ヴォーヌ=ロマネっぽいのはフォンテーヌ・サン=マルタンになるでしょうし、オー・ヴァロンはヴォーヌ=ロマネっぽくは無い・・と感じられるかもしれません。
高貴さやフィネス、テクスチュアのしなやかさなどは、やはりこのフォンテーヌ・サン=マルタンが随一です。仕入れ価格も一番高いのも有りますが・・でも販売価格はさほど変わらないですから、
「色々飲んで楽しめる」
と言うのが有難いですよね。その、もしかしたら「僅かな違い」を人の感性がしっかり取り分けることが出来ることが、また自身の再発見に繋がりもし、楽しかったりすると思います。
非常に精緻で雅なピノ・ノワールです。少しだけ早いので、温かくなって来たな・・と思われた頃を目安に飲み始めてください!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【質感が凄い!オート=コートの中ではポテンシャルが最も上です。】
これだけアイテムが有ると・・いや、13アイテムですが・・数が無くて飲めないキュヴェが有ったとしても、毎日ミシェル・グロのテイスティングになります。
しかもオート=コートはいっぱい有るし、モレ、シャンボール、ヴォーヌ=ロマネ、ニュイと・・村は異なっても、ほとんど近場に「ギュッ」と集まった畑ですから、もしかしたら皆さんは、
「・・そんなの、飽きちゃうんじゃない?」
と思われるかもしれません。
でも、全くそんなことは無いんですね。むしろ、毎日が楽しかったですよ。・・何故って・・
「2017年のミシェル・グロはいつ飲んでも超美味しい!しかもレベルアップ度が凄い!」
から・・です。
この辺の理解はR誌のTさんとも同様だったことを確認済み・・です。まぁ、普段は余り意見が合うことは多く無いんですけどね。・・そうでもないか。
で、このフォンテーヌ・サン=マルタンの赤ですが、これまた他のオート=コートとは全然違うんですね。
むしろこのワイン、将来的にはかなり力強い感じの仕上がりになると思います。長く置けば・・ですので、ほぼその前に飲みつくされてしまうとは思いますが。
そして、冷やかな区画名無しのオート=コート、ヴォーヌ=ロマネ風なオー・ヴァロンとの違いは、
「質感」
です。
これ、とても精緻なんですね。そして質の良い、そしてむしろ甘くさえ感じる細やかなタンニンがさらさらと存在しています。なので、これが完全に溶け込みますと、「滑らかな太さ」のあるボディになるはずなので、
「オート=コートの中でポテンシャルは随一」
であることは間違い無いでしょう。
ただし、今のバランスですと、余りにオー・ヴァロンの表情が凄過ぎ!・・です。なので、反対にフォンテーヌ・サン=マルタンの精緻さや端正さがクローズアップされる・・と言う感じだと思います。比較してやや涼やかですしね。
素晴らしい出来です。こちらはほんのり休ませ気味で飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【全方位に円形を描く見事なパレットと赤い果実!非常に美味しいです!】
これはまん丸!・・実に良い感じに仕上がっていると思います。2014年にこのフォンテーヌ・サン=マルタンをリリースしましたので、noisy も「これは!」とばかりに飲んでみて、エレガントでクリーン、しかもどこかにヴォーヌ=ロマネを感じさせてくれるようなニュアンスを自然に感じさせてくれました。
しかし2015年ものは12本だけの入荷で、お客様の希望数には応えられないと・・飲まないことにしていましたんで、2016年は何としても!・・と言うことで開けた訳です。
2014年もののやや暗い色合いとは打って変わった明るい赤い色合いです。オート=コート・ド・ニュイにおいてはやや暗く冷ややかな部分は、「オー・ヴァロン」の受け持ちだったのかもしれません。オー・ヴァロンは冷ややかな酸、フォンテーヌ・サン=マルタンは比較するとやや暖かめです。暖かい酸だ・・と言うことでは有りませんで、あくまで比較した場合のニュアンスですね。
チェリー系の果実が実に心地良いです。今飲んでも美味しいですし、10年以上の熟成にも耐えられます。ミシェル・グロのワインは新樽率が低いですから、若いうちはとても自然な味わいです。しかし、熟して来ますと・・ピノの持つ野性味や、ミネラリティ由来の表情が、そのシンプルに自然な表情を深く複雑なものに変えてゆく訳です。これは飲んでいても・・その変化が有るだろうと言うことが判ると思います。
非常に良い出来です。価格もビックリするほどリーズナブル!・・コンディションも非常に良いです。是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです!
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【2014年初リリースのサン=マルタン・ルージュ!】 こちらは少ないので・・申し訳ありません。テイスティングは自重しています。リアルワインガイド第59号は、
「今飲んで88+ ポテンシャル89+ 飲み頃予想 今~2030」
と渋めですが、2015年の気候はオート=コートにぴったり合っている・・・つまり、2015年は糖分が高かったのでやや甘い仕上がりの年になりやすいところ、オート=コートの涼しさがそれを自然に抑えた・・と言うロジックでしょう。
以下は2014年もののサン=マルタンのレヴューです。
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【エレガントなエレガントな・・ブルゴーニュ・ピノ・ノワールの粋と言いたくなるような仕上がりです!】
2014年に大きく変更になったオート=コート・ド・ニュイのルージュです。どうやら、今までのブレンドものとは違い、フォンテーヌ・サン・マルタンと名付けられた区画のみの葡萄で仕上げられたワインのようです。
ある意味、noisy が2014年もののミシェル・グロに回帰したのは、このフォンテーヌ・サン・マルタンの存在に有るとも言えます。
だって・・目新しいじゃないですか・・。・・いや、ただそれだけなんですけどね。
話は飛びますが、PCをいじっていたら、大昔の写真が出て来ました。2000年に撮ったラ・ターシュの写真です。これ・・です。

小さいですよね~。でもDRCのエチケットは白地ですが、文字が結構ハッキリしているんで、その頃の性能がまだ良く無かったデジカメでもソコソコ写ったんですね。
反対にルロワのエチケットなんぞは、何時間かけてもまともに撮れませんでした。ま~・・苦労しました。
ようやくその頃は楽天さんが上場した頃かと思いますが、そんなECモールが山ほど存在していて、noisy も入ってくれとずいぶん誘われましたが・・全部断っちゃってましたね。楽天さんがモールを開いたのが1997年だそうで、noisy がホームページを開いたのが1995年、ECを始めたのが1998年ですから、楽天さんと良い勝負・・最も売り上げでは比較のしようも無いですけどね・・。その頃は、
「近い将来にネット販売は主流になる!」
と思ってたんですが、たかが5~10年でモノになるとまでは考えていたかどうか微妙では有ります。
その頃不安だったのは、
「陰の部分だけが取り上げられて、インターネット自体が潰されるんじゃないか?」
と言うことなんですが、2000年代前半はまだそんな不安を確実に持っていたと・・記憶しています。懐かしい気持ちでも有りますけどね。
そんな様々な不安や不安定な要素と戦いつつも、非常に安定して美しいワインを安価に提供してくれていたのが「ドメーヌ・ミシェル・グロ」です。アンヌ・グロやグロ・フレールは濃密さやパワフルさで売っていましたが、ミシェル・グロは濃厚バリック全盛時代も決して流されず、
「エレガントで美しいワイン」
でした。
いや・・エレガントなのと要素不足なのは違いますよ。今はそうでも無いですが、アンヌ=フランソワーズ・グロ(パラン)はやや不足気味でしたけど。足りない感じがしたものです。
で、このフォンテーヌ・サン・マルタン・ルージュ・・・デザインもエレガントに変更になりましたが、このデザインを2000年頃のデジカメで撮ったら苦労しただろうなぁ・・と言うことで、上記の話しになったんですが、それはさておき、
「今飲んで、ワイン単体でのバランスが凄い!」
です。完結しちゃってます!・・エレガントで美しく、非常に旨いです・・!。
もっとも、ワイン単体での話しでして、マリアージュさせるとなると話しは別になっちゃいますけどね。かなりの旨さです。
リアルワインガイド第55号で徳丸さんは、1回目の訪問時に凄かったのに、2回目ではガチガチで評価困難・・と、ほとんどのミシェル・グロのワインを「暫定点」にしています。これにつきましては、ミシェル・グロの上級キュヴェのコラムに書いていますので、ご参考にされてください。
で、暫定点ながらも 88~89+ と言う評価です。
非常にエレガントで美しく、とても冷ややかで、現在はひとつの良いバランスに有る状態と言えます。徳丸さんがテイスティングされた時とは、おそらくですがかなり変わっていると思われますが、この2017年のお正月と言うタイミングでは、
「まさにミシェル・グロらしい味わいのオート=コート!」
と言えます。愛らしいベリーやチェリーが冷ややかに香ります。やや冷えた状態でもたっぷり有るエキスの旨みがこのワインを近しいものにしてくれるはずです。
久しぶりにミシェル・グロ、いかがでしょうか。2つ目のモノポールとして、新たにリリースです。是非飲んでみてください!お勧めします!