
例えば、(ル・)モンラッシェやバタール=モンラッシェの良いコンディションで良い造り手のアイテムをグラスに注ぎ、香りを嗅ぐ。おもむろに少し口に含み、口内を転がす。そしてそこで・・
「・・(うわおっ・・)」
と・・含み笑いをする・・。
そんな経験の有る方も多いんじゃないかと思います。
ピュリニー側のモンラッシェ系はゴージャスで、より豪華な感じがしますが、シャサーニュ側のものは繊細系・・かと思います。
これが村名になると縦に積み重なった感じが失せて、ただ横に拡がってゆく・・幅の大きさの勝負になってしまうと、もうピュリニーのワインにはどうにもこうにも勝てやしない・・そんな無力感を感じてしまうのが普通です。
しかしながら、バタールや(ル・)モンラッシェの素晴らしいものは、決して横の拡がりまでを見せるには気の遠くなるような時間が必要です。その姿になる前の、優れた縦構造を愛でる・・これもまたモンラッシェ系ワインならではの楽しみ方じゃないかと思うんですね。
ただし、これは並のピュリニーじゃ・・確かにパレットは丸く、球体に近いものを感じるかもしれない・・けれど、それは本当にモンラッシェ由来の血か?・・と言うと疑問に思ってしまう。シャサーニュ村名なら余計、その疑問は大きくなってしまうのが普通。
ミシェル・ニーロンの村名シャサーニュ2011年は、優れたバタールや、跪いて飲むべきシャサーニュ側のル・モンラッシェに共通する厳しさ、いや、荘厳さと言うべきか、それを持ち、素晴らしい縦に積み上がった構造が有る。そのバタールやル・モンラッシェと同様の構造を持っているんですね。
しかしながら勿論、そんな上級品がそのままこの村名になっている訳が無く、やはりそこはより格下げしたニュアンスになってしまうのは仕方が無い。
それでも、並のピュリニーや1級には無い荘厳さの中に、縦構造や、上級畑に共通するエレガンス、そこから想像
をたくましくさせてくれる要素をたっぷり見せてくれるんです。
この、超合金にも例えられそうな張りのある酒躯・・そこに詰まった要素・・これだけでもプライスに見合う以上の喜びが得られる・・と思います。こんな表現が出来るのはニーロンただ一人。ラモネも旨いが村名でここまで張り詰めたフィネスを表現できてないと思います。
・・いや・・本当に美味しい!・・素晴らしい村名です。さすがニーロン!今飲んでも・・判る人には充分判るでしょう。お勧めします。ブローカー品ですがコンディションも良いです。