【若々しい果実と熟した果実の両方のエキスをしっかり持った、超エレガント系のA.C.ブルゴーニュ!・・オリヴィエ・ジュアンのエレガント系への転身は完了したようです!】

まあ・・毎年必ずと言って良いほど、このオリヴィエ・ジュアンのA.C.ブルはテイスティングで開けていますから、noisy としてはまったく驚くことは無いんですが、久しぶりにオリヴィエ・ジュアンを飲んだ方は・・
「相当驚かれるはず!」
と思っています。
確かに10年以上前のオリヴィエ・ジュアンのA.C.ブルは、彼のワインの中では最もエレガントな味わいだったと記憶していますが、2010年代になってからはそこそこに濃密さを得て、
「比較的濃い目のドメーヌ」
と言う印象が有ったと思うんですね。ほんのりと・・ほんの僅かでは有りますが甘みも有りましたし・・。
しかし、彼のワインはどれも、
「3~5年ほど置くと、驚くほどにこなれて来て美味しい!」
と・・。
で、この何年かはまたエレガント系、エキス系のワインへと変化して来まして、この2022年ものに至っては、
「2021年ものよりもさらにエレガント?・・より淡い?」
と言う仕上がりで、飲んだ方はかなり驚かれると想像しています。
樽をしっかり使うためにより熟した葡萄を収穫、結果として果実味がしっかりしたややファットな味わいに仕上げていたと思いますが、それを樽を控えめにするために、ほんの僅か・・収穫のタイミングも変えているように感じます。なのでフレッシュ感とエレガンスがより深くなっている印象です。

ベリーやチェリーをドライなエキスから感じさせてくれます。アルスナン(オート=コート系)の葡萄を中心にモレの村のA.C.ブルの畑の葡萄を混ぜていますので、余りオート=コートっぽい冷ややかなニュアンスが前面には出て来ていない感じです。
それでもこのややフレッシュな赤い果実を中心に感じさせ、甘みがほぼ・・いや、全く?・・無い感じのエキス系で、むしろシミジミとしたピノ・ノワールの美味しさを感じさせてくれるんですね。
ただし、現段階での成長具合は、オート=コート・ド・ニュイ・ルージュよりは若干遅れており、
「・・梅雨明け以降・・位から・・かな?」
と感じましたので、すぐに飲まれるのでしたらオート=コートを先に、A.C.ブルはその後が良いかと思います。
エレガント系に大転身を完了したと思われるオリヴィエ・ジュアンの2022年です。上級キュヴェも楽しみです!どうぞよろしくお願いいたします。
以下は以前のレヴューです。
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【オート=コートと比較しますと成長が遅れていましたが、そろそろ良いと思います。エレガント系の赤い果実中心だったものが、グッと来る黒果実が入って来ているはずです!】

このA.C.ブルのテイスティングが8月8日でして、赤果実の美しいチェリーな味わいでしたが、目には見える黒味の果実が出て来ず、酸バランスも僅かに崩れがち・・。まぁ・・これだと・・
「熟成不足、休養不足」
が疑われる状況です。
結果的にはアルコール分がA.C.ブルもオート=コートも13%でベスト、色彩も似たようなものでしたが、そのA.C.ブルのテイスティング時に、
「・・9月になってからのご案内にした方が良い・・か・・」
と思っていて、
「・・ならオート=コートのテイスティングは先延ばしにしよう・・」
と決めたんですね。
で、オート=コートは8月31日のテイスティングで・・
「でら旨!」
で感動ものでしたから・・
「・・やっぱ、9月だ・・」
と、してやったりです。

昨年ご案内させていただいた2020年のこのA.C.ブルは濃厚で・・色も凄いですよね~~・・でも、めちゃ滑らかなテクスチュアからの甘く無く伸びの良い味わい・・しかも色の濃さを感じさせないエレガントさも内包していて、素晴らしい味わいでした。
この2021年ものに至っては・・そんな濃密濃厚さがほぼ無く、非常に美しい・・エレガント系の味わいですが、noisy のテイスティング時には、
「その丸いパレットを想像させつつも、どこかに端まで届かない部分が有った」
のは事実で、おそらく現在は解消され、美しいパレットを描けるようになっているものと想像します。
そう・・意外に・・早いんですよね・・成熟しはじめますと。
それに、熟成不足と言うよりは休養不足だった可能性も有ります。
面白いもので確かにこの2023年の夏は、とんでもない酷暑でしたが、お盆を過ぎると毎年、如何に気温が高いままだとしても・・
「体感温度は・・カックンと下がって感じる」
訳です。いや、そんなことは無いとおっしゃる方もおられるとは思いますが、noisy 的にはずっとそう感じています。何しろ・・
「30年間もずっと毎日同じ・・アナグラ生活をしている」
ので・・。
で、このお盆過ぎの、この暑さが「カックン」となった時辺りから、
「バイオリズムが変わる」
と思っていまして・・まぁ、変わるのが人間なのかワインなのかは判らないんですが、確実にワインの味わいに変化が訪れ始めるんですね。季節の変化と同時に大きく変化して行きます。
ですので、9月を迎えたこのA.C.ブルも、オート=コートV.V.同様にしっかりまとまって来ていると思います。オート=コートには追いつかないまでも、幾分エレガンス中心の見事な味わいでしょう。是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【ファーストノーズ、序盤、中盤、終盤と起承転結を滑らかに、でもダイナミックに3D球体を形作る素晴らしいA.C.ブルです!・・マストバイ!】
仕入れを失敗したnoisy ですが、このA.C.ブルだけは最初から2ケースはオーダーしていたので、何とかそれだけは確保出来たのが唯一の救いだったと思います。もっとも2019年ものまでは、あれやこれやと・・時にはシャルム=シャンベルタンまでテイスティングしてご案内させていただいていたように、相当販売は苦労して来ました。
ですが2019年もので滅茶美味しくて・・思い返せはこの2020年ものでの大変身の複線・・と言いますか、プレヴューだったのかもしれません。
どこかアンリ・ジャイエ的な完璧なバランスと素晴らしい果実の味わいを見せながら・・しかも5年も瓶熟させると驚くほどに抑揚が生まれ、美味しいワインに成長した訳ですが、言ってみれば、
「比較的早い段階で消費されることを思えば若い段階での表情の抑揚不足」
と言うことだったのかもしれません。それが2019年、大幅に改善され、すでにお客様の支持を得たのかもしれず、それをワイン屋さん方は逃さずにオーダーが集中したんじゃないかと思うんですね。
このオリヴィエ・ジュアンのインポーターさんのMさんも、
「びっくりするほどご注文が集中しまして・・」
と、電話口で嬉しい悲鳴を上げていたのを聞き、
「(・・やっちまった・・)」
と一人、心で泣いていたんですね。水も肥料もたっぷり、日照を気にしながら育てたものの、収穫時期を noisy は間違えた・・そんな感じでしょうか。

2019年ものと比較しますと、明らかに濃密です。ですがルジェのパスグラやヴォーヌ=ロマネやニュイ=サン=ジョルジュの生産者さんほどじゃありませんし、アルコール分も幾分高めには出ているものの、ふくよかな果実と釣り合った見事なバランスをしています。
このA.C.ブルはアルコール分14.5%ですが、強いなぁ・・と言う印象は無く、ややジューシーさのある口入れから後に、
「
Ω」
のような球体に近い抑揚、膨らみ・・を「つるん」と感じさせつつ、美しくほどけて行く..高質な赤黒の果実感を感じさせながらの余韻が響きます。
その「質感」たるや・・
「オリヴィエ・ジュアン!..ついにたどり着いたか?」
と思わせるような素晴らしさで、その
「本当にたどり着いたのかどうか?」
を確かめたいがために、本来なら数的に飲めないから飲まない方向で考えていたモレ1級のテイスティングも行ってしまいました。何せリュショ、リオットともに10本しかありません・・バラで頼んだ訳じゃないですよ・・減らされたんです。
ですから、この赤を基調とした優しく高質な味わいは、
「今までで最高の表情表現を達成した」
訳でして、ワイン屋としましては、後は2021年、2022年がどうなって行くのかを慎重にチェックするのみ・・と言う感じになって来ました。
もう、ここまで来ますとブルゴーニュのトップクラスと言って過言では無い・・そう感じます。
今飲んでも充分に美味しいと感じていただけると思います。勿論ですが3~5年程度寝かせていただきますと、さらなる凄いバランスを見せてくれるはずです。
リアルワインガイド第79号も、おそらく過去最高と思われるポテンシャル点「90+」を付けています。是非ご検討くださいませ。超お勧めします。
以下は以前のレヴューです。
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【エレガントで超優しいフワフワな液体!・・モレ=サン=ドニ的な味付きの良さ、バランスに優れた味わいです!リアルワインガイド第76号も「マストバイ」!】

どうやらアメリカには輸出されていないのか、海外での販売や評価は非常に少ないオリヴィエ・ジュアンです。
そんな彼もそろそろ50歳・・。noisy もそんな歳の頃は、
「・・ん?・・50になりましたが・・何か?」
と、まだちょっと粋がって?るような時と、
「・・何だか最近なぁ・・頑張れなくなってるんだよなぁ・・」
とちょっと落ち込むような気持ちの時が交互に訪れるようになっていました。最も子供の頃から視力は良く無かった性か、老眼になるのはもっとずっと後・・ただし一気に進んだ感じで、最近は・・
「眼鏡をはずさないと見えない」
とか、
「顎を上下させて遠近両用メガネの焦点を合わせようとしてしまう」
など、何をするにも「見る」「確認する」「その小さなものを指先で持つ」のに非常に苦労するようになってしまいました。まぁ、毎日モニターを見ながらパソコンに向かい合って文章を書いたりプログラムを考えたりしているので、
「30インチ以上の大モニターを至近距離で・・しかも遠近両用でない、近くしか見えない度数の眼鏡で見ている」
のも良くないのかもしれません。
きっとオリヴィエもそろそろ身体のどこかに変調をきたすような状況になっているんじゃないかと心配しています。
まぁ、20歳から仕込みを始めたとしても、どんなに頑張っても50回しかヴィンテージは回って来ませんから、年に一度の仕込みは50回ほどが限度・・と言うことになります。それに醸造作業は危険が一杯・・。もし発酵槽に足を滑らせて落ちる・・なんてことになりますと、一酸化炭素中毒で瞬間で死んでしまいますから・・。
「・・ん?・・でも発酵途中じゃなきゃ大丈夫じゃん?」
と思われるかもしれませんが、発酵槽中に液体が有るならそれは発酵中ですから・・発酵が終わっても落ちて危険な状況になっていること自体がおかしい訳で、発酵槽=熟成槽で無い限り発酵が終わっていれば必ず次の入れ物にワインは移っています。日本酒の醸造では年間に何人かの方が落ちて事故になっています。

まぁ、歳は取りたくないものですが・・それでもその若いころから今に至るその間が重要で、どんな世界でも最初から「天才」はいないものです。スキルこそがそれを生むんじゃないのかなぁ・・と思うんですね。
オリヴィエ・ジュアンも昔は、少し焦げた樽のニュアンスに濃くて少し甘い果実を感じさせるワインを造っていました。2019年もののこのA.C.ブルを飲ませていただきますと、
「まさに隔世の感・・」
そのように思い出してしまいます。もっともその感覚も、何か別のちょっと酸っぱいような思い出も入り込んで脳裏に刻まれているような感じです。
ですから、
「PKさんが好みのスタイルを追求していたんでは?」
みたいな感覚と同時に蘇ってくる訳ですが、それを除いて真っ白な状態で向き合うと、
「優しくてほっこりしていてフワッとしていて綺麗で・・密度もちゃんと有ってジューシー」
と言えるんですね。
その上で、「モレ=サン=ドニ」っぽい積層感と紫のニュアンスがちゃんとある訳です。そしてこのA.C.ブルには「濃い」と言う感じはまずしないと・・感じるはずなんですね。
ですからとことん美味しい!・・ん~・・それでも思い出してしまう・・昔のちょっと焦げ臭くて黒くてちょっと濃いオリヴィエ・ジュアンの味わいを!きっとオリヴィエ・ジュアン本人も、
「見事な熟成を遂げた!」
のでしょう。是非ご賞味くださいませ。お勧めします!2019年もののオリヴィエ・ジュアンの追加は全く有りません。
以下は以前のレヴューです。
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【オリヴィエ・ジュアンもよりエレガントなモレ=サン=ドニのピノ・ノワールを目指しているようです!】
「エキス化された美しいピノ・ノワール!」
それが当然だった1980年代のブルゴーニュ・ピノ・ノワールでしたが、1990年頃からは台風が吹き荒れました。そう・・新樽ブーム、濃密な果実味を求められる時代になった訳です。
誰もがまた、新樽を使い始めたのがこの頃です。良きにつけ、悪しきにつけ、PKさんの影響力は物凄かったんですね。なので、それまで新樽など使ったことはない小さなドメーヌまで、挙ってバリックを買い求めました。ただし、買えるドメーヌは裕福で有るか、とても人気の高い造り手に限られました。誰もがまたアンリ・ジャイエを目指していたんじゃないかとさえ・・思える時代でした。そのためには、
「新樽を使うしかない」
と考えた造り手も多かったと思います。
そして、新たな手法も生み出されました。
「全部買い上げるから新樽を使ってくれ。」
と、その必要な財源をも含む高い金額でオファーをしたんですね。それがノースバークレーだったりする訳ですし、フランスのワインショップも独自に選んだキュヴェを買い上げる・・と言うようなことも起こりました。
2000年代に入ると、そんな雰囲気は飛んでしまいました。アンリ・ジャイエはとうに引退、ただ濃いピノ・ノワールに飽いたファンは、元からのエレガントなピノ・ノワールを求めた訳です。
ですが今もそのまま・・と言う訳でも無いと思います。やはりそのエキス化されたワインの出来・・それこそがワインの評価に繋がっていると感じます。
オリヴィエ・ジュアンもまた、2000年代までのやや濃いスタイルを、徐々に変化させていたと感じます。2018年ものは・・
「エレガントなモレ=サン=ドニ!」
を感じさせてくれる味わいです。
密度はしっかりあるものの、以前のような「果実の濃密さ」は影を潜め、「エキスの濃密さ」へと変化しているように感じます。そのエキスの濃密さが時間を経てやがて、「果実表現の増大」・・となって行くようなイメージです。
それでもまた、やはりこのA.C.ブルを飲むと、
「ん~・・オリヴィエ・ジュアン!・・赤いと見せかけて、しっかり黒も有る・・モレらしいワイルドなスパイスも重さも!」
と言うことになるんですね。美味しいと思います。是非飲んでみて下さい。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【よりドライに、よりエキスの美味しさに、よりエレガントな姿の高評価な2017年ものA.C.ブルゴーニュです!】
2016年もののオリヴィエ・ジュアンの扱いですが、モレの散々な情報がnoisy を悩ませている間に、結局飛ばしてしまいました。もし楽しみにされていらしたお客様がいらっしゃいましたら申し訳ございません。
1年飛ばして丸2年、開いてしまいましたが、やはりさほど需要が増えずにいるのに屈し、2017年ものは扱い数量も減らしてしまいました。
しかしながら・・我ながらビックリですが、2015年もののご紹介の時にはしっかり書いていたんですね・・忘れてました。
「エレガント系モレ=サン=ドニへの変貌が見える!?・・」
そうなんですよ・・。2016年ものは判りませんが、2017年ものは2014年以前のオリヴィエ・ジュアンとは、かなり異なって来ているように感じました。
「何せ・・超ドライ!」
です。
オリヴィエ・ジュアンと言えば、黒系果実が多く感じられる、より熟し気味の果実で柔らかい酸、むしろアンリ・ジャイエ系の果実味系な味わいが基本でした。
2015年ものをテイスティングした時に、「・・おやっ?」と思ったのでしょう・・しっかり忘れてましたが・・エレガント系、エキス系への転身を感じていた訳ですが、2017年ものはさらにそれを延長したかのようなニュアンスを受けています。
ですので、「よりドライ」になり、柔らかく暖かだった酸は「やや冷涼さ」を持ってエキス味系に振れ、結果として
「やや豊満な味わいがエレガント系の味わいへ、赤み有る果実の増大へ」
と変わって来ています。
その辺も評価されたのかと思いますが、単純に2015年ものと2017年ものを比較しますと、リアルワインガイド誌の評価で、
「プラス2点!」
ほど上昇しているんですね。(ものにより1.5ポイントも)
これは凄いことです。0.2ポイントじゃ・・無いので。2点も上がってしまいますと、これはもう「事件」に近い感覚ですよ。あのシャルム=シャンベルタンは、おそらく史上最高かと思いますが、2015年ものから1.5ポイントの上昇で、ついに95ポイントの壁を超えて来ました。ポテンシャル96+です。
このA.C.ブルも、いつもは88とか88+とかのポテンシャル点ですが、2017年ものは90点と1.5~2.0ポイントの加算です。
実際非常にドライですし、エキス感の増大が半端無いので、飲んでいて非常に幸せです。
半面、2014年以前までのような、果実がてんこ盛りに有って、どこかアンリ・ジャイエを思い出させるような味わいが無くなってきているのも事実・・少し残念な気持ちにもなり、複雑では有ります。
今飲んでも美味しいですが、少し「疲れ」も感じますので、1週間~2週間は休養させてあげて欲しいなぁ・・と感じます。その分、村名のクロ・ソロンが絶好調ですので・・すぐにも飲まれるならそちらから飲み始めてください。お勧めします!美味しいです!
以下は2015年もののレヴューです。
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【エレガント系モレ=サン=ドニへの変貌が見える!?非常に好ましいです!】
とても美味しいのに中々今一つ人気が盛り上がらない、不思議な生産者の一人であるオリヴィエ・ジュアンをご紹介します。
2015年は・・・さすがに noisy も、毎年のように在庫の積み増しをして来たこともありまして大量発注は出来ず、少量の入荷になっています。
なので、今までは少なくとも1級のどちらかは開けていたんですが、2015年は縮小せざるを得ませんで、ACブルゴーニュのみのテイスティングになってしまったことをお詫び申し上げます。
まぁ、一度付いた「ケチ」を拭い去るのは非常に難しいもので、インターネット時代のタケノコのように一斉に生まれたネットのワイン屋・・noisy もそのうちの一人で有ることには違い無いのでしょうが、安売りの目玉になってしまったことは、ワイン屋も責任重大ですが、エージェントさんのバラマキや、ほぼ仕入れ価格で換金を続ける連中の手駒にしてしまったことが一因でしょう。
実際に飲んでみると非常に柔らかく、濃く、モレらしい豊かさに満ちた素晴らしいワインで有り、むしろその味わいはアンリ・ジャイエ系の果実味がしっかり乗ったものでした。3~5年ほど置くと深みや複雑性も成長し、
「良いワインだなぁ・・」
と思えるものです。
2015年のACブルゴーニュは、2014年もので透けて見えていた「エレガント系への転身・変身」が顕著になり、上級キュヴェは飲めていないものの、
「冷ややかな酸を残しつつ、今までの柔らかく暖かな豊かな味わいにプラスした、エレガント系、エキス系寄りの果実味系モレ=サン=ドニ」
・・・?・・と言う、新たなスタイルに変貌していると思われます。
リアルワインガイドの最新号、第60号を読んでもその傾向が伺われ、徳丸さん的にはさして高くないと思われる 87+~88+ と言う評価です。
noisy 的にはその評価ポイントはどうかな・・と思いますが・・と言うより低すぎるかと思ってますが、2013年までのオリヴィエ・ジュアンを基準に考えるのなら、それも有りなのかなとも思います。
要は、
「シミジミ系のほっこりさせてくれるような味わい」
は、今までは無かったもので、例えばルイ・ユエランのような出汁味にも一見似たようなニュアンスを持っています。
しかしながら、モレの豊かな味わいや、ほんのりと鉄や赤土にスパイスの載ったアロマ、かすかに皮革のニュアンスなどは変わらず有りますので、非常に複雑ながらもしんみりと、でも後口は豊かなニュアンスに導かれる・・と言う、より先進性を感じさせるものになっていると思います。
色合いもグラスの底が見えるような「やや淡いな・・」と感じさせるものですよね。そこに、以前よりも透明度の高い石灰系ミネラリティが見える・・いや、noisy 的な感覚では有りますが、ように思います。
淡い色合いでは有りますが、味わいは決して淡いものでは無く、さりとて果実味がテンコ盛りでやや甘い・・と言うような果実味重視系では無いです。2013年以前はその傾向は有ったと思います。
むしろ、この「シミジミ」+「豊か」が、新生オリヴィエ・ジュアンの姿なんじゃないかと思えますし、果実味重視系からの脱却、そして若々しい果実や果実酸が乗り始めていることからも、それを伺えます。そしてそれは非常に・・いや、noisy 的には好ましく感じました。
とても良い出来だと思います。プライス的にももはや3千円ほどで購入できるACブルゴーニュが枯渇しはじめているところ、とても有難い存在です。是非飲んでみていただきたいと思います。お勧めです。
そのほか、モレ村名クロ・ソロン、1級リオット、1級ルショ、そしてトップ・キュヴェのシャルム=シャンベルタンは飲めておりませんで、リアルワインガイドの評価ポイントのみ、掲載させていただきました。ご検討くださいませ。
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【おっ?・・オリヴィエ・ジュアンが変わり始めたか?・・】
量的に少ない時でも必ずや毎年のようにこのワインだけは開けています。いつもふっくらと肉が有って、やや奥にエキスの味わい・・。これが完全に一体となるとイメージ的にはアンリ・ジャイエのワインに非常にそっくりになる訳ですが、さすがにそこまでには成りえて無い・・にせよ、やはり自然派らしいライトなナチュラルさが乗っかり、モレ=サン=ドニ近郊らしいまん丸な粒子の土のニュアンスと僅かな金属系ミネラリティが、オリヴィエ・ジュアンのオリジナリティと言えたと思うんですね。
まぁ~~・・2016年の10月は入荷が少なく、
「・・どうしちゃったの?」
と思ってしまうほどでしたが、11月になったらもう・・ご紹介を全く消化できないほどの量が入ってきてしまいまして、どうやっても仕入れ額を販売額が超えてくれないと言う、実に大変な状況になってしまっています。
何せ、ユベール・ラミーのとんでもなく素晴らしい仕上がりを知ってしまえば、販売予定数が終了したからと言ってラミーのコラムを消すことなんて・・noisy には出来ません・・。まだエージェントさんが持ってるのであれば・・です。
ただしそんなことばかりをやっていると、どんどん在庫が積み上がり、足の踏み場もないほどのセラーになっちゃいますからね・・資金繰りも大変です。
そんな中、ようやくオリヴィエ・ジュアン2014年のテイスティングの番が回ってきたんですが、柔らかくて深くてほんのり暖かい特徴有るブルゴーニュワインなのに、何故か今一つの人気なので、さすがに例年通りの発注は出来なくなっちゃいました。昔に比べればちょっと高くなった・・とおっしゃる方も多いのでしょう。でも、ほんの何年かだけ寝かせただけで、オリヴィエ・ジュアンのワインは激変しますんで、
「・・やっぱり外せないよなぁ・・」
と言うことになっちゃうんですね。
で、少ない仕入れの中、毎年欠かさずテイスティングしているこのブルゴーニュ・ピノ・ノワールですから、今年も外さずに飲んでみました。
すると・・どうでしょう・・。いつもとちょっとニュアンスが違うんですよ。・・そうなんです。
「オリヴィエ・ジュアンもエキス系のしなやかでエレガントな味わいに向かっている?」
オリヴィエ・ジュアン・・・お前もか?・・とまでは行かないにせよ、結構な感じでファットさを思わせた果実の風味は収まり、冷たくやや黒いチェリーに僅かに甘いクリームをトッピングした程度のニュアンスへ変わっていたんですね。
この方向性はアンリ・ジャイエとは違うベクトルを向いています。なので、今までは「アンリ・ジャイエ似な部分が多い」と言ってきましたが、「脱アンリ・ジャイエ」を始めたかのような印象でした。
勿論ですが、上記は全体的な印象にまで及んでいますが、アリヴィエ・ジュアンらしいモレな雰囲気にまん丸い粒子を感じさせるテクスチュアからの表現はしっかり残っています。この1~2カ月で良い感じにまとまってくると思います。
黒赤果実の、わずかに妖艶さも秘めた美味しいブルゴーニュです。今回は頑張って値下げしました!・・沢山飲んで欲しいので!・・頑張ったのは noisy の店だけで、別にエージェントさんから賄賂をもらっている訳では有りません。なので是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は2013年のこのワインのレヴューです。
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【美味しい!これは安いしどんどん飲みましょう!2013年はテロワールと造り手の技量がハッキリ判るヴィンテージです!】
実に不思議なことが起きているように思ってしまいます。悪くてどうしようもないと、散々に脅かされてきた2013年のブルゴーニュでは有りますが、むしろ、noisyが扱ってきた造り手さんたちは・・
「・・グレートな2012年より・・旨いかもしれない・・」
と思い始めています。どうなっちゃってるんでしょうね。やはり、志有る造り手たちは、自身の分身でもありえる自分のワインが、納得できるもので無いならリリースしない・・もしくは、それに必ず及ぶように仕上げる・・ということなのでしょう。そうでなければこういう結果にはならないはずです。
この素晴らしいACブルゴーニュは、モレらしい、紫のジューシーな味わいと、土っぽいテロワールの表現をしています。僅かなスパイスと果実味と一体化したミネラルで、光り輝いているように思えます。
「単純に美味しい!」
でも、このことが重要なんですね。ACブルとして、モレのACブルとして・・・とても秀逸です。2010年や2012年は果実味が豊かで、むしろ若い時は「モタ」っとした感じも受けるかもな・・と思えるのですが。2013年のこのACブルには、そんな贅肉にも似たような部分が無く、非常にスタイリッシュでエキスの味わいに満ちています。色合いは以前のヴィンテージに比べると、やや淡いのかもしれませんが、非常に心地の良いモレ風味の味わいがしっかり出て来ています。・・まあ、一番出汁と云うか、フリーランジュースのみっちゅうか・・・とにかく美しくピュアで身体に染み込んで来る旨さなんです。
少ないにせよ、どこかに野暮ったさを含んだモレのワインは、シャンボールに比較すると、避けられる傾向が有ると感じています。でも、タイミングにより、
「硬くて表情の無い味わい」
になりやすいシャンボール系よりも、上質に仕上がっているのであれば・・という条件付きで、モレ系のワインの方が、確率論的に美味しく飲める可能性が高い・・と思います。
まあ、オリヴィエ・ジュアンさんの、ちょっと熟した素晴らしい1級を飲まれた方なら、思いっきり美しいエキスの味わいと、モレ特有の動物香やスパイスのエレガントで複雑な香りがお判りでしょう!・2013年の作柄が心配だぞ・・と思われる方は是非このACブルでお確かめしていただきたいと思います!超お奨め!旨いです!