
純で艶っぽい・・ヴォーヌ=ロマネらしい温度感を持ったフィネス溢れるワインです。バランスも最高です!
ちょっとトラブルが有りまして・・コメントを書いている時間が無いので、後で書かせていただきます。滅茶美味しいので「超お勧め」です!
【ここから加筆しました!】
この、まだ夏の余韻が残る、ワイン消費には厳しい時期では有りますが、何故か非常に忙しいんですね。消費税増税関連も・・純然たる消費者の方々には想像もできない事象かもしれませんが、何かしらトラブルが有るものでして、謀殺されています。
そんな中、歴史あるワインのインポーターであるAMZ社の会長、松田豊さんが亡くなられました。知らせを聞いて「ドキッ」としたのは言うまでも有りません。余り体調が優れないようだとは聞いていたんですが、まさかこんなに早く逝かれるとは思いもよりませんでした。
先日、お別れに行ってまいりました。本当に小さくなられていて、涙がこぼれました。
AMZさんとのお付き合いは本当に古く、会社がまだ白金に有ったころからのお付き合いです。その頃はまだ noisy も若造でロクにワインを売る力も無く・・それでもお取引をお願いに電話をさせていただくと、後に「日・仏・英・伊4ヵ国ワイン用語集」を出版された三谷太さんが出られ、
「当社は高級ワインのみの扱いですが大丈夫でしょうか?」
と尋ねられたのを覚えています。そんな言葉に多少なりともビビりましたが、そんなことでちびっていたら先にも後ろにも動けないので、
「勿論です!」
と返答させていただき、お取引が始まったんですね。現フィネスさんの藤田さんがおられた富士発酵さんが会社をたたんでしまい、お取引をお願いする約束をしていたけれど連絡先が判らず出来なくなり・・と言うようなタイミングの後でした。
そもそもAMZさんの松田さんは、もともと・・大元のラック社にいらっしゃったはずで、ラック社も船会社の子会社だったと思います。その後はだいぶ変遷していますが、ブルゴーニュワインの販売に自信を持たれたんでしょう、独立されて会社を興され、今に至る訳です。
ある意味、日本のワインをここまで隆興させた第一世代の生き残りのお一人でいらっしゃいました。ここに至る道は平穏では無かったはずで、
「どうやってフランス国内と同じ状態でワインを輸入し日本国内でワインファンを増やして行くか?」
と言う、とんでもなく大きな命題に取り組まれたお一人です。
noisy も、折に触れてはAMZさんのワインテースティングにも出かけ、勉強させていただきました。海外からのゲストを招いてのテイスティング・・それこそアドヴォケイト誌のブルゴーニュ担当さんと会ったのも、確かそのテイスティングだったと思います。凄く勉強になりました。少なくとも、
「あ~・・有名なテイスターでもそんなレベルか・・」
とも思いましたし・・いや、偉そうな物言いでお気に障ったら大変申し訳ないですが・・
「少なくとも外人さんと日本人(自分)の感性は大きく異なる!」
と初めて認識できたわけです。そのテイスティングの後は、知り合い同士で大騒ぎでした。今の言葉で言うと、
「マジか・・あいつ!」
・・汚くてすみません・・。
まあ、それまでは、世界的に、一般的に「良い」と言われるワインが良いんだ・・と言うような、教え込まれるような生徒の立場でしかいられなかったものを、そこから一歩踏み出すことが出来た経験だったと思っています。
そんな、普通じゃ不可能な出会い、経験を多くさせてくださったんですね。本当に有難いと思っています。
そんなAMZ社が輸入し、ドル箱にもなったドメーヌがこのシリュグさんです。その昔は本当に知られていない造り手でした。90年台はフラッグシップの「グラン=ゼシェゾー」が全然売れず、
「noisy さん・・これ、買ってくれませんかね~・・」
と当時の担当のSさんにシリュグのグラン=ゼシェゾーをお願いされ、
「・・知らない生産者だし・・じゃ、ケースで買うからテイスティング出来る位、少し値引きしてよ・・」
みたいな話しをした覚えが有ります。
で、開けてみたらもう・・物凄く素晴らしいワインで、もう完全に舞い上がってしまいました。
A.C.ブルも良かったんですが、今とはだいぶ違って「硬い」タチで、10カ月ほど置くとしなやかになってくるので、リリース直後には仕入れずに、年が明けてからロット仕立てで仕入れてました。千円代でしたから・・そりゃぁそこそこ販売できましたよ。でも、何の因果かリアルワインガイドで大きく取り上げられるようになってからは、却ってやり辛くなってしまいました。
それでも今まで余り変わらなかったシリュグでは有りますが、2017年ものを飲むと、この何年かの変化が良く判ります。
そもそも、村名ヴォーヌ=ロマネにしても、また、ヴォーヌ=ロマネV.V.にしましても、今までよりも、
「色合いが相当に淡い!」
ですよね?
そして、実は間違えて2015年の村名V.V.も開けてしまったので、その変化が2015年頃からはじまっていたことにも気付きました。
「2015年と2017年の村名V.V.は、ものの見事に純な味わいと香りが同じ!」
なんですね。
余韻における「美しい水のニュアンスが長くたなびく」のが・・同じなんですよ。
で、これはどういうことかと言うと、
「So2の使用量が年を追う毎に減ってきている」
と言うことですね。
2015年時、出来の良い年でしたが、2017年ものに比較すると少し多めなんですね。2017年ものは非常に少なく、かつよりエレガントです。美しい水・・超美味しい水の余韻が全く同じと言うことは、余り変わっていないと言うことでは無く、So2使用量を減らせるような、より自然なアプローチを目指している・・と言うことなんだと感じることが出来ました。
非常にヴォーヌ=ロマネらしく判りやすい村名ヴォーヌ=ロマネと、上級キュヴェ、例えばグラン=ゼシェゾーとか、軽やかで超エレガントなプティ=モンに通じるような、収穫量の少なさ、選別の厳しさから来る高質感が感じられる村名ヴォーヌ=ロマネV.V.でした。熟したら非常に面白い存在になるんじゃないかと期待しています。
少し暗い内容の文章になってしまいましたが、先人たちの偉業、そして関わり合いも少しだけ知っていただければと思っています。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【何とこの複雑精緻な村名ヴォーヌ=ロマネは、東西南北ブレンドの凄いワインだったんですね!今までで最高の仕上がりだと思います!】
2015年ものもヴィエイユ・ヴィーニュを造ったので、ACヴォーヌ=ロマネは2アイテムと言うことになっていますが、V.V.では無い方のヴォーヌ=ロマネをテイスティングさせていただきました。
2015年はアリゴテ、パストゥーグラン、ブルゴーニュ、ヴォーヌ=ロマネとテイスティングし時間切れになってしまった訳ですが、さすがにそれ以上テイスティングするとコスト割れしかねず、致し方無いところです。
まぁ、noisy のところはこのようにテイスティングのアイテムが多いですから、他のショップさんよりコスト高で有りますので生活は苦しい訳ですね・・。
エージェントさんもその辺を理解してくださるところと、「・・んなもん、勝手に飲みたいから飲んでるに過ぎんでしょ?」と言うような態度のところと両方です。人気が出たからとバラでしか送って来なくなったエージェントさんは当然後者でして、結構多いんですね・・。ワインの値上がりが続く中、中々に厳しい状況です。ただ、このロベール・シリュグに関しましては、余り値上がりしていません。
素晴らしいパストゥーグランとブルゴーニュを飲んだ後で、この村名ヴォーヌ=ロマネを飲むと、やはり「格の違い」をまざまざと見ることになるのと、
「ヴォーヌ=ロマネがコート・ド・ニュイのトップの生産地である」
ことを感じさせてくれます。

やはりそれは、ワインのバランスに有るのでしょう。何も突出していないのに、しっかり有って、その上でバランスをしていて、そのパレットや構造は他のアペラシオンよりも大きい・・ことに気付きます。
先だってもジャン=ルイ・ライヤールのヴォーヌ=ロマネを一推しにさせていただき、「理想のヴォーヌ=ロマネの姿」であると・・書かせていただきました。非常に旨いワインです。
似たようなタイプで有ることは間違い無いんですが、ライヤールのヴォーヌ=ロマネ2015が、一途な面を隠さないのに対し、シリュグのヴォーヌ=ロマネ2015は、柔らかで細やかな複雑性に富んでいます。おそらくその辺は、シリュグのヴォーヌ=ロマネが複数の区画をかなりブレンドしていることに由来し、このコラムの上の説明にある様に、オー・レア、レ・シャランダン、レ・バロー、オー・コムネ等の畑によります。
オー・レア、レ・ジャッキーネは南のニュイ=サン=ジョルジュ近く下部、レ・シャランダン、レ・ヴィニョーは北のヴージョ近く下部、レ・バローは西(上)のクロ・パラントゥーの上部、オー・コムネは中央部(東)の下部と、まぁ・・中央部はきら星の如きグラン・クリュが集まっていますから無理だとしても、
「ヴォーヌ=ロマネの東西南北ブレンド!」
が織りなす、正にヴォーヌ=ロマネの複雑精緻さを集めたもので出来上がっているんですね。これはある意味、非常に不可能なことをやってしまっている訳です。
この美しいルビーからのソフトでシルキーなテクスチュア、僅かに官能的なアロマがノーズに飛び込んできて、心がズキンっと痺れます。
「・・あぁ・・やっぱりヴォーヌ=ロマネ、好きだよなぁ・・」
と思わせてくれるでしょう。
シャンボール=ミュジニーの白くてツヤツヤとしたテクスチュアもそれなりに持ち、モレ=サン=ドニのワイルドなニュアンスをさらにエレガントさに磨きを掛けて持ち、ジュヴレの鉱物的なニュアンスも、さらに複雑精緻にして持っているような、そんな総合バランスに長けた素晴らしい味わいでした!
2015年のロベール・シリュグは、今までの集大成と言えるんじゃないかと思います。素晴らしい出来でした。是非とも飲んでみてください。超お勧めです!