【質感!・・これに尽きます。素晴らしい出来・・白葡萄と黒葡萄が織りなす、最も自由なワイン!と言えるでしょう!解き放たれたピエールさんの世界観を感じてみてください!】

この下にあるのは2019年のアンブル・ルージュです。また・・大分違いますよね?
トラペ・アルザスは長男のピエールさんが担当しているそうです・・。歴史的にマルセル・ダイスの存在がそうさせたのか、そうでは無いのかは判りませんが、アルザスのアペラシオンのヒエラルキーは別として、
「アルザスは比較的自由に造る生産者が増えて来た」
ようにも思います。勿論、ジェラール・シュレールもそう・・。彼のル・シャン・デ・ゾワゾーなどは実に秀逸です・・最も、時折、ヘンテコなのも出ては来ます・・
「・・ん~・・どう理解したら良いんだろう・・」
と思ったことも有りますよ。売らずにひっこめようかとか・・(^^;
だってね・・普通の白ワインだと思ったら、やたらと産膜酵母が動いたのは間違い無い・・としか思えないワインが届いたり、前年は滅茶美しいピノだったのに、翌年は揮発酸バリバリで・・
「・・どうしろって言うのよ・・」
と・・。造り手の意思をどう判断したらよいのか判らないワインも有りました。
まぁ・・こんなことを書いて、まったく忖度しないもんだから・・いただけなくなっちゃうんですけどね~・・判っちゃいるが止まらない・・(^^

勿論、ダイスの息子さんも・・かなり自由にやってます。noisy も何度か扱わせていただきました。ですが、
「毎年、味もスタイルも変わる」
もので、今は静観・・(^^;;
で、トラペさんちの長男のピエールさんのこの、
「白葡萄と黒葡萄によるアンブレ・ルージュ・マセレ」
ですが、2019年ものを軽く超えて来る素晴らしい味わいをしていました。感性のワイン・・と言えましょうか。サーモンピンクな色彩からは、
「ロゼのニュアンス」
を感じます。
そして、柔らかでほんのり・・いや、僅かに甘みを感じますが、そこにはやはりエレガンスや質感の高さがしっかり感じられます。
まぁ・・美味しいロゼ、しかもナチュールと言うことになりますと、
「マルク・アンジェリのロゼ・ダンジュール」
が有ります。これはほんのり甘く、ふんわりとしていてソフト、ふわふわ感が何とも心地良いナチュールさを感じさせてくれる佳品ですが・・質感、高級感と言うことになりますとどうでしょうか。ちょっと高くなり過ぎてしまったような気がします。
ですが、このマセレーションしたアンブレ・ルージュには・・まぁ・・仕方が無いのかもしれませんが、トラペ的な気品が備わっているんですね・・。
そして勿論、マセレしていますから、深みや複雑性、飲み応え・・と言った部分もしっかり有り、その上で気品のある仕上がりになっています。
ピノ・グリ的、比較的穏やかなスパイスと果実表現もピノ・ノワールのさらに穏やかな果実表現に加わり、単独で飲んでも、マリアージュも大抵そつなく行けるはずの不思議な存在です。是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【な・・なんじゃこりゃぁ~!!・・しかし・・この美味しさに納得させられてしまいますよ・・こんなに美味しいピノって!・・激ウマです!】
もう、グラスに注いだ瞬間から・・
「えっ?・・何これ・・」
・・です。
凄いショックです。赤だって聞いてましたから・・どう見ても赤じゃなくてロゼだし、「アンブル」と言いながらも「アンバー(琥珀)」では無いし・・
「私に一体どうしろと言うのよ・・?」
と言うような想像だけが膨らんで行ってしまいました。
しかしですね・・その膨らみの有るサクランボそのもののようなナチュラルなアロマと、正に高級サクランボを口にした時のような、甘みさえ感じるのに、甘いなどとは思えない、リアルな果実感に満たされてしまって・・
「いや~・・これは絶対有り・・でしょ!」
と言うような気になってしまったワインです。
そもそもですね、赤ワインやロゼで「甘い」は禁句に近いものが有ります。糖分的な甘さはないんですよこれ・・でも、酸のしっかりした果実的な甘みは有るんですね・・なので、甘くはないんだけど甘い・・もしくは、甘いんだけど甘く無い・・等と言うような中途半端な表現になってしまうんですね。
大体、
「甘いのは嫌いだ」
などと日本酒好きの方が良く言いますが、日本酒って・・相当に残糖分は有るのが普通なんですね。特に高級酒になればなるほど・・です。糖分が完全にアルコールと炭酸ガスに変化するような・・それも、高質さを保ったままそのように仕上げられる凄い酵母と、そんな酵母を自由に操れるスキルが有れば別なんですけどね。
なので、純米大吟醸の粕歩合の高いお酒が大好きで、ドライなのじゃないとダメ・・と言うのは、ある意味、相反することを言っている訳ですね・・例外が無いとは言いませんが・・。
で、このところのトラペさんは本当に素晴らしいです。ブルゴーニュの凄さは誰しもが認めるところまで来ていると思いますが、アルザスの方はそこまでじゃないですよね?・・どこかに何かしらの、幾分の「緩み」が感じられた場合は、
「・・ん~・・今一歩かな・・」
などと感じてしまいますが、今回テイスティングさせていただいた一連のヴァン・ダルザスは、下から上まで素晴らしい量のミネラリティが硬質感を漂わせ、美しい酸味を際立たせていますから、
「緩くダルイ果実」
は完全に消え、
「美しい果実の煌めき!」
とさえ感じられる見事なワインに仕上がっていました。で・・甘く無いです・・
そんな中で、新たに造られた「ピノ・ノワール沢山+ピノ・グリちょっと」の・・いや、noisy 的には「ルージュ」は有り得ず、「ロゼ」だは思いますが、フィネスさんからの資料によると「ルージュ」だと言うことなので・・そのようにさせていただきました・・そんなバランスが、
「これで良いんだ!」
と無理矢理にも肯定させられてしまう凄い美味しさを持っていることに、感動しています。
「いや~・・ドメーヌの人たちって、こんなに美味しいものを隠していたんだ!・・きっといつもこんな美味しいもの飲んでるに違いない!」
みたいな、半分やっかみの入った心持ちも存在しているのも事実です。
「これは実に楽しい!・・そして美味しい!」
ので、是非飲んでみて下さい。必飲と言いたいところですが、どうやら相当に人気のようで追加は難しそうです。本当に美味しい!・・しかも、少し残して後日飲んでも・・「えっ?」と驚きが有ると思いますよ。お勧めします!お早めにどうぞ!