【トラペ・ダルザスの伸長具合が半端無い!・・このゲヴェのベブレンハイムの、どこまでも優しく、丸く、エレガントな華やかさには、これまでのアルザスワインが如何にエレガンスを欠いていたかを思い知らされます!】

すっごい旨いです!・・お客様がアルザスのゲヴェに、どのようなイメージをお持ちか・・は計りかねますが、南国的なフルーツが・・やや鋭角的に、ちょっとドギツイ果実に思われるものの、物凄く香るほんのり甘さの有るもの・・じゃないかな・・と思っています。
ですが・・トラペのアルザスが始まった頃から扱わせていただいていますが、もう始まった頃のことなどはまるでイメージには無く、また3年前ほどのレベルでもなく、もはやそこを一気に駆け抜けて成長したと言わざるを得ない・・そんな素晴らしさなんですね。
線の細さなどまるでなく、しかしただ太くて重い訳では無いんです。細いものをふんわりまとめて太さをバランス良く生んでいるかのようなイメージで、嫌な重さも、トゲトゲしさも無いです。エレガントで心地良い丸さが有り、ゲヴェルツトラミネールが持つ、フラワリーな、フルーティーなアロマを優しくもたっぷりとしたミネラリティを支えに感じさせてくれます。
レモンは丸々として、美しい黄色い粒肌を見せ、ライチを潰したようなフレッシュなアロマもまた、柔らかでトゲが無い・・スムーズな入りです。
もちろん・・ゲヴェですからスパイシーなんですが、時にゲヴェは、
「すごく良く香るけれど・・トゲトゲしくてキツイ」
のも事実・・なんですが、もはやトラペのベブレンハイム2022には、それはまるで当てはまりません。
そして言ってみれば・・残糖はあるのでしょうが、まるで甘いとは感じさせない見事なバランスをしています。つまり、果実感と滅茶釣り合うだけの果糖が有るバランスなのでしょう。

最近のアルザスのワインには、その「残糖度メーター」みたいなものが書いて在りまして、どうやら「必須」になったようです。
そこには「2 Demi-Sec」 と有りますので、残糖はしっかりあるのでしょう・・しかし、
「バランスの良さが半端無い!」
んですね。
そしてこの2022年のゲヴェの凄いバランスこそが、トラペ・ダルザスの美味しさそのものだと思いますが、ビオディナミの葡萄がようやく大きく育ち、地中深く根を張ってきた・・それが2022年のトラペ・ダルザスのワインを、素晴らしいバランスにしていると感じます。
飲んでみてください。凄い旨いです!・・ドゥミ=セックですが甘くは無い・・素晴らしいバランスをお楽しみください!
以下は以前のレヴューです。
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【緊張感とふくよかさを持ったエレガントな表情のゾンネングランツには追いつかないにせよ、ドライでやさしく、そして深いベブレンハイムのゲヴェの出来は素晴らしいです!】

ん~・・2021年のアルザスって、ブルゴーニュのようでは無かったんですね、きっと。
2020年もこのワイン、とても美味しかったんですが、2021年ものは非常に健康的で・・豊かさは今のところは「そこそこ」、すっと高域に伸びて行きながら、穏やかなスパイス、おしとやかで品のある果実を感じさせてくれます。勿論、ミネラリティも・・
「飲んでいて見えるように・・」
感じられます。
あ・・写真を見ても判りますよね・・めっちゃ美しいでしょう?・・ゆったりと流れ落ちる涙と、少し緑掛かった黄色い色彩の美しさったら・・。
そして、ノーズへ直接感じられるアロマも、アルザスワインの場合は結構「ソリッド」でえぐられますが、トラペの場合は先端が丸いので、全然えぐられないんですね。
もしかして、2020年ものの方が果実は強いかもしれません。ですが、noisy 的にはこのミネラリティがすっと感じられ、果実を抑え気味にしたようなニュアンスが、より美味しく感じられると思うんですね。

アルザスにも、非常に秀逸な造り手さんは数人いらっしゃいます。ツィント・ユンブレヒト、マルセル・ダイス・・他にも・・です。
それでも、今のトラペほどに柔らかで、ちゃんとミネラリティが有って、フィネスを持っているワインを造る方は・・もしかしたら居ないんじゃないかとさえ思ってしまうほどの・・仕上がりです。
ダイスも勿論、非常に柔らかで、複雑性が有って素晴らしいです。ですが、トラペほどは柔らかくはないかな・・。まぁ、柔らかければ良いと言う話しでは無いので勘違いしないでいただきたいんですが、
「時にその素晴らしい表情は、ツゥー・マッチに感じられる場合も有り得る」
んですね。
ゲヴェの素晴らしい特徴でもあるスパイシーな果実、スパイシーなアロマは、ちょっとキツく感じられる時が有りますし、ピノ・グリでも同様です。熟成でちょうど良くなってくる場合も有れば、その切っ先のような切れ味鋭いアロマが、厳しいと感じることも有ると思います。
トラペの場合・・そこの加減と言いますか、表現が大変素晴らしいと思います。ここまで言えるのは・・今回のテイスティングを経てからです。是非飲んでみてください。非常にリーズナブルだと思います。
以下は以前のレヴューです。
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【こちらのゲヴェも過去最高間違い無し!・・良年だからこそのふんわり優しいゲヴェ的スパイシー感、冷ややかな柑橘を思わせる果実がドライなのに甘みさえ感じさせてくれます!】
古い年代の写真がこの下に有りますが、比較してしまうと・・どうにもこうにも言葉にならないほど、全く異なる色彩になってしまっていますから、余り比較できない感じになってしまいます。
ですがやはり、人が丹精込めて手を入れた畑が徐々に活気を取り戻し、それが良年で一気に花開く・・そんな感じだと思うんですね。
2023年と言う今年は余りそんな感じはしなかったんですが、大抵・・毎年、寒い時期を超えて徐々に温かくなって来る頃・・
「いきなりの春雷に驚かされる!」
ことって無いでしょうか?
noisy 的には、この暖かくなって来たなぁ・・と感じた頃に凄い雷が落ちて、ちょっと怖い思いをする訳ですね。
「・・近くに落ちないで欲しいなぁ・・停電は勘弁!」
まぁ・・ワインが有りますからね・・気にしている訳です。寒い時期ですからまだ良いんですけど。
ですが、その「春雷!」が落ちるとですね・・
「草木が一気に目を覚まし、グングン伸びて・・春の花を咲かせる!」
・・そんなイメージが有るんですね。店の裏の庭の雑草もまた、春雷を待ちわびたように・・グングンとその勢力範囲を拡げるような感覚なんです。もしかしたら気のせい?・・かもしれませんが、何でしょう・・雷が落ちることによって土壌が活性化されるのかな・・などと勝手に解釈しています。

同種で論じられはしないのでしょうが、
「ビオディナミにしたから・・ビオロジックにして有機を頑張っているから・・」
と言って、2~3年で大きな結果を得ることは無いと思うんですね。
目に見えて変わって来たのは、ヴィニュロンとしますと感じられると思います。ですがむしろ収穫は多くなりませんし、余り増えて貰っても困る訳です。若い木は旺盛ですが、やはり水っぽい葡萄になってしまいます。
そんなビオ化の影響がようやくトラペ・ダルザスの葡萄を素晴らしいものにしたのと2020年の気候とのコラボレーションなのでしょうか。このゲヴェもリースリング同様に素晴らしい仕上がりなんですね。
豊かで満ちているんですが、しっかり締まってもいるんです。豊かな果実にミネラリティはたっぷり!・・グラスを伝う涙がボリュームを感じさせます。
下にある昔の写真には、
「飛沫の雫は見えるが涙にはならない」
ですし、何より色彩がもう・・全く異なる訳です。
ここまで質が上がって来ますと、全く別のワインみたいな感覚になって来ます。過去最高間違い無し!です。
まぁ・・マルセル・ダイスで言えば、村名格の畑を自称1級格としたようなイメージです・・流石にグラン・クリュには成れませんが、満足感はたっぷりです。
ドライですが集中していますので、グラも有り、旨味がしっかり載っています。ゲヴェにしては細く無く、豊かなボディで還ってくる果実的スパイスなノーズにフィネスが有ります。是非飲んでみてください。超お勧めします!安いと思います。
【ゲヴェの、時折見せるトゲトゲしさを、優しくソフトに包み込んだトラペならではのミネラリティとテクスチュア!美味しいです!】
トラペ・ダルザスのベースのゲヴェです。ベースと言いましても・・デイリー感覚よりもちょっと高級な感じがします。
この辺りのクラスで比較するとなると、ジェラール・シュレールかマルセル・ダイスか・・と言うことになろうかと思いますが・・
シュレールと比較しますと、ブレの大きい感じのシュレール、安心感・安定感のトラペ・・でしょうか。シュレールは時折、結構な揮発酸を感じることが有りますし、甘かったり超ドライだったり・・でもパリティキュリエールは美味しい・・(^^;;。価格的にも同様な位です。
一方トラペはと言いますと、以前の「優しいだけのトラペ」と言うような・・まぁ、悪く言えばですが・・ふんわり感のある滑らかなテクスチュアに加え、ミネラリティの豊かさが加わった感が有り、さらに、
「一皮むけた!」
と言いたくなるような見事な仕上がりです。
ダイスと比較しますと・・ダイスの下のクラスの「ゲヴェだけ」と言うのは無いように思います。中間クラスと言いますが、単に、ヴァンダンジュ・タルディヴのゲヴェなどは有りまして、むしろ・・
「そのクラス(中~高)のダイスのワインに似た感じ」
を受けました。
ただし、ダイスもビオに徐々に移行してましたので、どの段階でのダイスか・・と言いますと、ビオに移行中のダイス・・のヴァンダンジュ・タルディヴ系に似た感を受けます。
でもトラペのこのゲヴェ・ベブレンハイムは「甘くない」です。もしかしたら人に寄り「甘み」を指摘するかな?・・と言う程度でして、今回ご案内できるかどうか微妙ですが、ダイスの「2016 ベルケム・ブラン」の方が、一部のベクトルがキュッと締まって甘みを感じさせる部分が多く、甘いかと思います。なので、ドライ、もしくはセック位だと思っていただいて結構です。
ゲヴェらしい華やかさを包み込んだトラペらしいミネラリティ、テクスチュアの優しさが非常に心地良いです。是非飲んでみて下さい。お勧めします!