【あれっ?・・フェルナン・ボワイエは2014年ものまでとのイメージがかなり違うぞ!・・それに少し自然派寄りのSo2の少なさが感じられます。】

何しろ全キュヴェ合わせても24本しか貰えませんでしたので・・どうにもなりはしないんですが、やはり長年お付き合いさせていただいているドメーヌですから、せめて1本くらいはテイスティングしておこうということになりました。
さほどのお付き合いのある訳では無いエージェントさんのオファーですんで、結果的には少ない仕入れになりました。それにACブルやアリゴテなどは思いっきり削られましたしね。
ややガッカリしつつも、まだ先の望みは有るかもしれない・・と言うことで、ご理解いただければと思います。
でさっそく飲んでみました。いきなりですが・・
「・・あれ?・・」
です。
色合いがいつもと違うんですね。明らかにSo2が少ない、やや暗い色合いをしています。その代りにアロマはスピードも速く、柔らかい・・です。
noisy の仕入れは9月でしたので、現在は6月と言うことを考慮すると、やや柔らかく、色合いもシャキッと黄色が目立たないのも理解できますが、それにしてはSo2的なニュアンスが少ないです。
全体的な印象は、イヴ・ボワイエ=マルトノそのものなんですが、キュヴェ・フェルナン・ボワイエだとすると、これもまたニュアンスが違います。
2014年までのキュヴェ・フェルナン・ボワイエはノーズのトッピングに「蜜」っぽいニュアンスが乗っかっていましたが、2015年ものには有りません。また、大理石チックでハードな石灰石的ニュアンスはやや和らいでいて、その分、僅かに赤味を伴う「粘土質」っぽいニュアンスが有ります。ムルソーの北側の畑に感じられるニュアンスですね。例えば今だとご案内中の「モンテリー=デュエレ=ポルシュレのムルソー・プレ・ド・マンシュ」的なニュアンスが混じっています。
そして、「生のリンゴをかじった時のような」生鮮的果実がアリアリと感じられます。これは・・美味しいです。ただし、昨年までご案内のキュヴェ・フェルナン・ボワイエとは、明らかに違うロットだと感じました。
まあ、例えばかのコシュ=デュリも、出荷先で中身を明確に分けています。日本向けのムルソーは「****」で、イギリス向けは・・と言う具合に決まっているんですね。ムルソーのあちこちに畑が有りますんで、それをすべて、安易に樽寄せは出来ませんので、キュヴェにより振り分けている訳です。
イヴ・ボワイエ=マルトノも同様だとは言えませんが、もしそうだとすると、我々の分も残っているかもしれないなぁ・・などと希望的観測もしてしまいます・・。
いずれにしましても、今までご案内させていただいていた価格よりも「確実に高い」です。でも大して離れている訳でも無い・・ですよね。
美味しいムルソーです。ぜひ飲んでみていただけたらと思います。もし我々の分を出荷していただけるようになったとしたら、この「違いの検証」も面白いかと・・感じています。ご検討ください。
なお、ムルソー=シャルム、ムルソー=ジュヌヴリエール、ムルソー=ペリエールも少々ございます。とても飲める数量では有りませんで、今まで通りの完全なご案内は出来ませんが、コンディションに問題は無いようです。こちらも共々・・ご検討くださいませ。
以下は2014年ヴィンテージまでのレヴューです。
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【自由意志なスピットさえも許さない、グラスから舌に移ったとたん喉の奥に向かってダッシュする超まろやかな液体・・】 僅かに樽、めちゃ密度が高い。素晴らしい凝縮度。ミネラリティに品格有り。硬いのにスルスルと喉の奥を目指して液体が向かってしまう。
やっぱり1級です。ペリエール、ジュヌヴリエールの一部、レ・シャルムの一部は、もしムルソーにグラン・クリュが認定されるとすれば間違い無いとされる畑です。
レ・シャルムは比較的エレガントで小振りなパーフェクト感を感じさせてくれる可愛い奴です。もっとも、今回のテイスティングのように下から飲んで来ると、その大きさに圧倒される訳ですが、何せ後に控えているのが物凄いですから・・
「シャルムって名前の由来通り、チャームなのね・・」
と理解させられてしまうんですね。
まぁ、イヴ・ボワイエ=マルトノのようにグレートな3つの1級を持っている生産者で比較しないと、中々正しい判断にはならないでしょうし、またそれをいくつかの生産者、例えばコント・ラフォンとかで行い、また水平だけでは無く垂直も行って理解することで、何とか判ることなのかもしれません。
やや硬いですが、文頭で書いた通り、
「喉を目指す液体」
ですから・・ご注意くださいね。とても旨いです!
以下は2013年もののレヴューです。
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【何と・・シャルムがペリエール化!?・・凄いです!】 凄い・・シャルムでした!・・蜜、マンモス果実、気品溢れるアロマにノックアウトされました!
めちゃ美しい黄色のしっかりしたゴールド!豪放だが精緻さも備わるしっかりしたアロマ。綺麗な花の蜜。目の詰まりが半端無い。グラスに鼻を入れると咽そうになるほどの香りのボリューム。呆れるほどの美味しさ。まだ硬いがそれでも「胃を目指そうとする意思のある液体」。実にペリエール的な2013年。参った。
いや・・凄いです。気品とパワー、そして表現力・・。そしてペリエールかと思うような凄い緻密な香り!
このレ・シャルムは、レ・ペリエールの真下に有りますから、ペリエールっぽいオイリーさとか蜜っぽさとかは出る可能性は有ります。しかしながら、ほとんどの場合出ないです。ところがこの2013年は、「ちょっと出た」みたいなレベルじゃなくて、「レ・ペリエールかよ!」とツッコミを入れたくなるほどしっかり・・ソックリなアロマなんですよ。
中域はいつもの緻密に細やかミネラリティのレ・シャルムなんですが、総体としては「プティ・ペリエール」的な味わいに驚いちゃったんですね。これはそうそうはお目に掛かれない出来!ご検討ください!・・今飲めなくは無いですよ・・勿体無いけど!
以下は以前のコメントです。
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【いつまでもグラスに鼻を乗せていたい・・・そう思ってしまうでしょう!!】 エレガントさの極立たせているアロマ。いつまでもグラスに鼻を乗せていたくなる。蜜や鼻、果実、オイリーさ、ミネラル、全てのバランスがエレガントだ。そしてこの旨み!旨みの中のミネラリーさ!素晴らしい!余韻の長さが物凄い。エレガンスの極致だろう。ねっとりしているがエレガントなのだ。そして濃密さに感動!
いや、素晴らしい1級レ・シャルムでした。現時点では、トロットロのジュヌヴリエールに軍配が上がるでしょうが、先行きはこちらもどんどん伸びて行くでしょう!超お奨め!旨いです!