● 久し振りの・・本当に久し振りのアンリ・ボノーです。2016年だったか・・アンリ・ボノーさんは亡くなられました。少しこってりとして、ボリューミーなエキスからの官能感と複雑なアロマ、その凄みは飲む者をひれ伏させるとも言います。
彼は、シャトーヌッフの町のセラーで、ラ・クロ―の葡萄から造ったワインを長く熟成させます。そして4~6年位でしょうか・・けっしてヴィンテージ順では無く、官能検査で・・
「この樽はセレスタン。こっちはマリー・ブーリエ・・」
のように樽に印を書いていきます。つまり、瓶詰めを決めるまで、その樽がどのキュヴェになるかを決めないんですね。
かのPKさんもアンリのセラーに行き、
「これはセレスタンになるだろう・・」
などと感想を書いていたそうですが、マリー・ブーリエになったことも有ったと回想していたと・・noisyは記憶しています。
また、彼のラ・クロ―の畑がまぁ・・物凄いんですね・・ラヤスも凄いですが、
「やや細長の丸い石が樹の根元にゴロゴロしていて積み上がっている」
のには驚かされます。
そんな畑から生まれたシャトーヌッフは逸品です。日本には長く正規代理店が無かったと記憶しています。仕入に苦労したワインです。
まぁ・・アドヴォケイトを読んでいると、色々な想像をしてしまい・・どうしても飲んでみたくなったものですが、気に入らずにネゴスにバルク売りしたものをコート=デュ=ローヌとして仕入れ、飲んだらもう・・
「げげっ!」
と、その半端無い美味しさにショックを受けたものです。
非常に希少な、そして素晴らしいワインです。現在は息子さんのマルセルさんと、親友のコンバンさんご夫妻でやっているようです。ご検討くださいませ。

■ Domaine Henri Bonneau (ドメーヌ・アンリ・ボノー)
ドメーヌ・アンリ・ボノーには6haの畑があり、3種類のワインが造られています。
・アンリ・ボノー
・キュヴェ・マリー・ブーリエ(これは、アンリ・ボノーのおばさんの名前に由来している。かつて彼女からブルゴーニュの小さなドメーヌを譲りうけた)
・レゼルヴ・デ・セレスタン(アンリ・ボノーの父親が商標登録した名前)
6ヘクタールの畑のほぼ全体が、「ラ・クロー」と呼ばれるテロワールにあります。ラ・クローは、シャトーヌフ・デュ・パップの最も優れたテロワールで、ジョルジュ・サンクの有名ソムリエ・エリック・ボーマールが、これまでに飲んだ中で最も素晴らしいグルナッシュだと評したワインは、このラ・クローの斜面から生まれたものでした。ロバート・パーカーらも度々同じことを言っています。
◇ 醸造について。
しっかり成熟したブドウを収穫し、小ケースに入れて運びます。選果後、ごく軽く破砕。熟成にフレッシュ感をもたらすために、果梗を残したまま仕込みます。5~6、あるいは7年、ボトリングするのに理想的な状態になるまで樽で熟成します。新樽は使いません。アンリ・ボノーと息子、そして彼が信を置くエクスクリューシヴ・ディストリビューターのコンバン夫妻も参加して、ボトリング時期が決められ、1500本程度を1シリーズとして、手作業でボトリングが行われます。清澄なし、フィルターかけなし。
ワインのリッチさ、複雑さ、特性を見て、ボトリング時にどの名前が付けられるかが決まります。パーカーが「レゼルヴ・デ・セレスタン」としてコメントしたワインでも、アンリ・ボノーはクラスを下げて「マリー・ブーリエ」とすることもありうるわけです。ですので、最終的な割当てが決まるのはボトリングの時点となります。

また、レゼルヴ・デ・セレスタンは、リリースされないヴィンテージも多くあります。87.91.92.93. 2002そして最近もレゼルヴ・デ・セレスタンが無いのはそういった理由です。2002年は、ヴィンテージに満足できなくて、全量をバルクでネゴスに売ってしまいました。現時点で販売中なのは2003年。2004年のボトリングもスタートしています。
上記とは別に、ガール県にドメーヌ・レ・ルーリエという3.5haの畑があります。ここで造られるワインが「レ・ルーリエ」で、ヴァン・ド・ターブルになります。ルーリエとは「馬車の車引き」のことです。これは、アンリ・ボノーの祖父が車屋だったことにちなんで名づけられたものです。グルナッシュとサンソーのブレンドですが、割合は年によって変わり、グルナッシュが60~80%でサンソーが40~20%です。ゴブレ仕立て。伝統的な醸造をして、3年間の熟成を行います。