
イル・パラッツィーノの定番、リーズナブルなのに本格派なキャンティ・クラシコ風のラ・カッシーナ・ジラソーレも、こちらのエドアルド・スデルチさんがリリースするようになりました。サンジョヴェーゼ主体と言うことで、年によりカナイオーロをブレンドするスタイルかと感じます。
イル・パラッツィーノ時代は、非常に素晴らしい仕上がりであるものの、リリース直後はやや硬く、半年から1年掛けて徐々に飲みやすくなってくる・・と言う感じでした。
エドアルド・スデルチさんのスタイルとしますと、素晴らしい「アゼッロ」を飲まれて判ると思いますが、ドライながらも「リアリティのあるディテール」と、より柔らかく、時に「固く閉ざしてる感」の有った以前のラ・カッシーナ・ジラソーレの内向きのベクトルが、やや多めの果実の風味と外向的なベクトルが、より素直な美味しさを感じさせてくれます。
上級のD.O.C.G.のキャンティ・クラシコ・アルジェニーナにも劣らぬ風格と、より外向的になったスデルチさんのスタイルから、飲み手としては大歓迎!・・な味わいになっています。
しかも、
「下級クラスだから間違いなく小柄な味わい!」
とお考えかもしれませんか、全くそんな感覚にはなりませんで、しっかりとしたボディからの押し出し、ふわっと昇る赤黒い果実のアロマのスピードも速いですし膨らみます。結果的にとてもリーズナブル!・・と感じていただけるでしょうし、肉々しいお食事との相性も良く、決して負けることのないマリアージュをお楽しみいただけるでしょう。
良いポテンシャルを持ったデイリーです。是非飲んでみてください!定番のデイリー・・作者?変更です!
以下はイル・パラッツィーノ時代のこのワインのレヴューです。
━━━━━
【これはかなり良いんじゃない? 】 久しぶりのイル・パラッツィーノでしたが、いや、良かったです。キャンティ・クラシコシリーズはそれなりの価格でしたので、
「デイリーにはちょっとね..」
という方も多かったはずですが、この位の..2000円以下で飲めるのであればOKでしょう。
しっとりとした総体の印象を受けるサンジョヴェーゼです。濡れた赤紫の小果実が、決して強く自己主張することなく存在しています。タンニンの質の良さと伸びやかさ、引き際の美しさは色っぽいです。
もっとも、
「これぞイタリアワイン!果実味充分!濃度・凝縮度が2倍、3倍!」
みたいなワインじゃありません。ワビ、サビを知り、水彩画の世界。まあ、パステル画や油絵のような派手さはありません。しかし、薄墨の濃淡や作法の習得レベルによるお手前の違いのように、微細な部分での表現と、大胆ながらも唸ってしまいそうな構図の感性がそこにあります。
綺麗系のキャンティ・クラシコ..そう思っていただいても良いでしょう。飲んでみてください。超お奨めします