いや、飲みませんよもう・・。これで開けてしまうとドツボにハマってしまいますので・・はい。
今から9年ほど前に正規品で仕入れたデュジャックのネゴス部門の村名、シャンボール=ミュジニー、モレ=サン=ドニ、ジュヴレ=シャンベルタンです。しばらくデュジャックも飲めていなかったのでどうなっているかなぁ・・と言う興味が有り、いつの間にか、
「デュジャック・ペール・エ・フィス」
なるネゴスものが出ていたので仕入れたんですね。で・・飲ませていただきました。
なんだかなぁ・・これで良いのかデュジャック!?
と・・思っちゃったらもう・・いきなり販売する気も無くなり、半年ほど放置していたんですが・・それも邪魔になり、破格の処分価格でご案内させていただいたんですね。
そしたらまぁ・・ものの見事に売れてくれない・・誰も買ってくれない訳です。そりゃぁ・・
「なんだろね・・これ」
などと書いちゃってますから・・お客様も買うに買えない・・買って良いのかどうかも判らない訳です。
で、そのまんま放置していましたら、数を入れた分は買っていただけたんです。とんでもなく安かったと思います。
で、残りの分をアップするのを忘れたまま今に至った訳ですが、ちょうどドメーヌ・ロワイエの2015年ブルゴーニュ・ピノ・ノワールをテイスティングしていましたので、
「・・あら・・美味しいじゃん・・そう言えば放置しているはずのデュジャック2014、どうなってたかなぁ?」
と気が付きまして、まさに・・
「デュジャックのネゴスもの2014年もエルヴァージュ不足」
で仕上がって無い味わいだったのを思い出し、今回探し出したと・・言う訳なんですね。
そう・・キレイは綺麗ですが、ただそれだけ・・ワインが言うには、
「熟成させてから飲んでね」
と言っていた訳です。
で、流石に収穫から11年も経過しましたので、そろそろ良いだろう?・・となったんですね。
さらには、
「販売するには・・今、デュジャック・ペール・エ・フェスの村名、幾らぐらいなんだろう?」
と調べてみますと16500~17000円なんですね。
「・・流石にそれは高いんじゃ?」
と思ったものの、ほとんど完売しているじゃないですか・・。
なので、沢山有って邪魔な時に赤字で放出した分を少し回収させていただきたいのも有って、同じ価格にしようかとも思ったのですが、
「三分の二の価格で・・いかがでしょう?」
と言うことにしました。
ドメーヌ・ロワイエの古いものもめちゃ美味しくなっています。デュジャックもここまでくれば美味しくなっているでしょう。
まぁ・・希少ですよね・・(^^;; と言うことで、何かと一緒に買ってください・・どうぞよろしくお願いします。
いかはリリース時のレヴューです。
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【何だろね、これ・・】
デュジャックのネゴス部門、デュジャック・フィス・エ・ペールの村名クラス、3アイテムです。正規輸入品です。
入荷は昨年末でしたので、10カ月も置いてしまいました。それだけでも痛手ですが、そうしなければならなかった訳も・・有ります。
まぁ、少なくとも、
「旨いよ~!」
と言って販売してしまう自分を許容できないと言えます。
モレ=サン=ドニを語る時、偉大なジャック・セイスの造った数々の銘品を頭に浮かべる訳ですね。ポンソも然り、デュジャックにおいても、
「薄旨偉大系の元祖」
だと言う理解が有り、比較的新しい時代に始まった「デュジャック・フィス・エ・ペール」にもすべからくワインファンはその影を見ている訳です。
「次世代になって濃くなったとは言え、あのデュジャックだから・・」
「ほっ?・・デュジャックのマルコンソール?・・飲んでみたいなぁ・・」
と思われるに違いありません。

ワイン屋としましてもお客様から超絶な引きの有るデュジャックのワインは、正規から仕入れるのはかなりの困難を伴います。よほどの付き合いが無いと、まずドメーヌものなどは、リストにさえ載って来ないんですね。運良くネゴスものがリストに載っていることも有り、今回はその恩恵に預かった機会を逃さなかった・・と言うことです。
で、喜び勇んで飲んでみたんですね・・。久しぶりだし・・そう、2001年ものを扱った記憶が有りますので、一体何年振りなのか・・と考えていたら、そうだ・・と嫌なことを思い出したんですね。
まともに飲まずにご案内したことも有って、余り売れ行きも芳しくないフィス・エ・ペールのことと、戯れに開けてみたジュヴレ村名の硬い味わいを・・。
そうなんですね・・忘れてたんですよ。
「・・大したこと無いなぁ・・」
「色は濃くなったけどなぁ・・」
と。
嫌なことを思い出しつつ、まずはモレのテイスティングです。一番上の写真ですね。引いて撮った写真ですが、ある意味この時の味わいを見事に・・撮っちゃってます・・と言うか、写し込めています。
「パキパキに硬くて薄っぺらで何も出て来ない」
と言う状況でした。言ってしまえば、名はあるものの評判の良く無い大手ネゴスに良く感じる味わいですね。フィルターもガチガチに掛かっていて、旨みもそっけなく、果実も・・
「これ、ピノか?・・それも村名?ほんと?」
と尋ねたくなるようなレベルです。
まぁ、ブルゴーニュ・ピノ・ノワールだけでは無いですが、ワインには、そんなようになってしまうタイミングは有るんですが、2014年と言う良いヴィンテージでこの乾いたそっけない色感、エキス感も無いニュアンスは、noisy の経験から言えば「アウト」です・・と言うか、確信犯的な仕上げでこうなったのかもしれないと思ってしまいました。
まぁ、そんな話しを常連さんにしたところ、
「じゃぁ・・シャンボール買うから、今、開けてみましょうか・・?」
と言ってくれたんですね。
仕入れの数が数なので・・つまり割り当て数が非常に少ないので、飲めずにいたシャンボールを好意で開けてくれたので2枚目の写真です。
いや、これはモレ=サン=ドニほどは悪く無いです。色合いもソコソコに官能感が見えますよね。しかしながらやはりフィルターはガチガチに掛かっていて、中~高域はそれなりに要素があるものの、低域はほとんど削られています。ハッキリ言って、
「テイスティングしていたら絶対に仕入れないレベル」
です。・・と言うか、もしエージェントさんがワインを持って来てのテイスティングなら、グラスに注がれた段階で、
「・・はぁ?・・こんなのを飲めと?」
と、切れて言ってしまうかもしれません。近くに寄っての写真ですから良く判らないかもしれませんが、
「一面的で抑揚の無い彩色」
ですよね。

まぁ、ここまでは昨年の11月から今年の始め位までの出来事です。こんなのは売りたく無いので、そのままずっと締まっていました。でもコンディションが悪い訳じゃ無いですよ。コンディションは良いです。ただし、
「造り手のセンスを感じない工業的な味わい」
のワインと言うようなイメージです。
なので、もう仕方が無いと、数の少ないジュヴレも開けちゃいました。それが今年の夏ですね。
結果はシャンボールと同様で、モレほど干乾びてはいないものの、シャンボール同様の詰まらない、楽しさの無い味わいでした。
まぁ・・デュジャックはもう終わったか・・とは思いたくないが、良い年の村名ワインに、例えネゴスものだとしても、こんなワインを造っているようじゃ、そのうち見向きもされなくなるだろう・・と思います。
素晴らしい品質のメオ=カミュゼのネゴスものとはもう雲泥の差です。呆れた・・と言うのが正しい感覚です。
なので、今回は処分価格・・大赤字ですが仕方が無い。
かと言って、飲めないワインじゃないですよ。普通には美味しく飲めます。ただし、noisy のお客様方は満足できるレベルでは無いでしょう。
モレ=サン=ドニ村名は、5年ほど置けばそこそこ美味しくは飲めるようになると思います。ただし大きな感動などは望めません。
シャンボール=ミュジニー村名は、短い期間ではそんなには変わらないでしょう。硬い時期は訪れるかもしれませんが、10年置けば何とか飲めるでしょう。持つのは持ちます。30年位はへっちゃらでしょうが、レベルは高く無いです。
ジュヴレ村名も5年ほど置けば、ドライで平板な味わいに若干の肉を感じるようになり、香りも少し複雑になってくるかと思います。
残念ですね・・ビッグネームがこれでは。とてもじゃないが、美味しいと言っては売れません。怖いもの見たさ、デュジャック・フィス・エ・ペールの実力を見てみたい方限定です。